こんにちは、毛糸です。
最近、数学を学びなおす社会人が増えているそうです。
ビッグデータやAIといった新しいテクノロジーを理解するに当たり、数学が重要であるというのがあるようです。
私も、大学院で金融工学を研究し、その後も趣味で勉強を続ける中で、数学をいつも身近に感じています。
今回は、私の生活において数学がどんなふうに役立っているのかを振り返ってみたいと思います。
論理的思考に役立つ
数学を身に着けた人の「強み」としてよく挙げられるのが、論理的思考力です。
数学は、前提と論理を用いて、曖昧さなく主張を導いていきます。
前提と論理から主張を導くことを「演繹」といいますが、これが実生活やビジネスにおいて役立つことはたくさんあります。
数学的な思考を身につけると、前提と論理をきちんと把握してから物事を考えられるようになります。
ある主張や仮説に対して、それはどんなときに成り立つ命題なのか、その仮説は正しそうなのか、というような疑問を自然に抱くことが出来るので、判断の確度が高まります。
先日も『「去年はこうでした」が通用するための条件について』という記事の中で、主張が成立するための条件はなにか?というテーマを考えてみたのですが、これも数学を身に着けたからこそ抱いた疑問だったのかもしれません。
ビジネスにおいても、前提条件の確認は、プロジェクトの成否に直結する重要なプロセスです。
MECE(漏れなくダブりなく)というビジネスでよく使う考え方がありますが、これも数学における「場合分け」と全く同じです。
数学をきちんと学んでいたことで、ビジネスマンの思考フレームワークとして重宝されている様々な考え方が自然と身についていた、ということも少なくありません。
思考の整理と課題解決に役立つ
数学は、思考の整理と課題解決に役立ちます。
実世界の出来事は、簡略化して考えることで数学の問題として扱えることがあります。
このような手法を「モデル化」といったりしますが、モデル化は現実の問題を整理し、問題を解決するために有用です。
たとえば、金融工学の新しい手法に「リアル・オプション」というのがあります。
これは、会社経営における意思決定の柔軟性が価値をもつ、という考え方です。
意思決定の柔軟性、と言っても、現実には無数の選択肢があり、多くのプレイヤーが組織運営に携わるため、簡単には議論できません。
しかしこの問題を数学の世界に持っていき、金融工学という「ツール」を適用することによって、現実世界の状況を整理し、定量的に分析することが可能になります。
もちろん、現実世界のどういった側面を数学の言葉で置き換えるかという問題はありますが、しかしいったん数学を用いて整理できてしまえば、あとは数学の世界で妥当な結論を得て、結論を再び現実の問題として解釈し直すことで、課題を解決することが出来ます。
数学は、現実の複雑な状況を整理し、問題を解決するための指針を与えてくれるのです。
最近では、投資信託が儲かりそうかどうか、というのを、数学を使って考えてみたことがあります。
参考記事:ひふみ投信の対TOPIXの勝率を調べてみたら、統計的に有意に1/2より大きかった件
投資の収益というのを、「確率論」「統計学」と呼ばれる数学を用いて「モデル化」することで、数学世界の主張を現実世界の問題として解釈することができ、正しい判断に繋げられます。
数学による整理と解決は、かなりパワフルであると言っていいでしょう。
好奇心を満たす
数学の実益は前述のように多々ありますが、私の生活の中で、数学は好奇心を満たすものとして、とても重要な意味を持っています。
数学というのは古くから人類の叡智を結集させて進歩させてきた偉大な関心事であり、いちど正しいと証明できれば、未来永劫その正しさが揺るぐことはありません。
過去の偉人が考え出した定理や公式は、何百年たっても正しくあり続け、現代の私たちと共有されます。
ガウスやニュートンといった「天才」が発見した数学は、現代に生きる私たちにとっても全く色褪せることなく正しくあり続けます。
そんな数学の不変性に、私はロマンを感じずにいられません。
テキストに書いてある数式がわからず、何時間も悩んでしまい、やっとの思いで証明できたその喜びを、千年前の数学者も感じていたのだろうと想像するたびに、自分の好奇心が満たされワクワクした気持ちになります。
「知らないことを知ることで満足感を得る」という人間の理性のままに、ただ勉強し、理解し、好奇心が満たされる。
そういう人生の豊かさを、数学は与えてくれます。
まとめ
数学が私の生活にどう役立っているのかを簡単に述べました。
論理的思考や、問題の整理と解決は、ビジネスにおいても重要です。
また、数学を学ぶことで得られる知的好奇心の満足も、私の人生を豊かにしてくれています。
これからもライフワークとして数学を学び続けたいと思います。