2019年 7月 の投稿一覧

GeoGebraで数学のグラフをきれいに描く

こんにちは、毛糸です。

「数学 グラフ」でググっていたら、良さげなツールを見つけたのでメモしておきます。

GeoGebraで関数のグラフをかんたん描画

GeoGebraは関数を指定してグラフを描画したり、平面図形などを簡単に描くことのできる、教育的なオンラインツールです。
関数が既知のものであれば、それを入力するだけで、すぐにグラフが描画されます。
授業用教材にはさまざまな分野・レベルの例題が満載で、数学を勉強し直そうと思っている人がテキスト代わりに使うのも良いでしょう。

棒グラフもかけます

私は調和級数\( \sum_{k=1}^n\frac{ 1}{ k}\)について調べるなかで、棒グラフを描きたかったのですが、これも


BarChart({1.5,2.5,3.5,4.5,5.5},{1,1/2,1/3,1/4,1/5})

で描くことができます。前半のカッコで各バーの始点を、後半のカッコでバーの高さを規定します。
調和級数\( \sum_{k=1}^n\frac{ 1}{ k}\)は上下から以下のように評価できます。

\begin{equation} \begin{split}
\int_1^{n+1}\frac{ dx}{ x}<\sum_{k=1}^n\frac{ 1}{ k}<1+\int_2^{n+1}\frac{ dx}{ x-1}
\end{split} \end{equation}

これをグラフにしてみると、この関係式は一目瞭然です。

「高利回りのヘッジファンド」について金融庁に問い合わせてみた

こんにちは、毛糸です。

先日、金融庁から「老後までに2,000万必要」とも読める報告書が公開され、多くの国民が投資に意識を向けています。

【参考記事】
【年金は頼れない?】「老後までに2,000万」報告書を読んだあとに私たちが取るべき行動

老後に豊かな生活を送るには「リスクをとる」必要があるということを多くの人が認識し始めていますが、同時に金融詐欺の話もちらほら聞こえてきます。

先日私の友人から「平均利回り10%超のヘッジファンドがあるんだが、どうだろう?」という相談を受けました。

ヘッジファンドとは「金融派生商品など複数の金融商品に分散化させて、高い運用収益を得ようとする代替投資の一つ」(Wikipedia)であり、デリバティブなどの複雑な金融商品を利用して高いリターンの獲得を目的とする基金(ファンド)や運用主体のことを言います。

調べてみるとヘッジファンドに関する情報源はいくつかあり、ヘッジファンドを比較するサイトもいくつかあります(あえてリンクは載せません)。

友人から相談を受けた(ヘッジファンド)(本記事ではカッコを付けて呼称します)についても、比較サイトにはよく取り上げられているようなので、少し調べてみました。

しかし、どうも怪しいのです……

ヘッジファンド比較サイトのランキング上位に、いくつもの疑念

ぱっと気になった点だけでも

  • 金融商品取引業者の登録がない
  • ホームページに代表者名がない
  • 本店所在地が普通のマンション
  • 投資成績などの情報は個人情報を開示して問い合わせないと入手できない
  • 個人発信と思われる口コミがほぼない
  • ファンドを標榜する合同会社に直接出資する謎スキーム

などなど、引っかかる点がたくさんあります。

友人曰く「検索上位のサイトでおすすめされているから、たくさんの閲覧者がいる信頼できる情報だよ」とのことですが、検索上位であることは法的に信頼できる情報であることを意味しません。

直接話を聞きに行きたいという話も聞いていましたが、相手が「よからぬ輩」である可能性も否めません。

そこで、金融の専門相談窓口に電話してみることにしました。

投資詐欺かも?と思ったときの相談窓口

金融サービス利用者相談室は「あやしいな」「投資しても大丈夫なのかな」といった相談にも乗ってくれる金融庁の窓口です。

金融サービス利用者相談室より

こちらに電話をかけ、(ヘッジファンド)の名称や、その情報に行き着いた経緯をお話したところ、以下のような回答が得られました。

  • 金融商品取引業者や適格機関投資家等特例業者に登録・届け出はない
  • 無登録で業務を行っている、証券投資を業として行っていない詐欺的なもの、そのいずれか
  • 個人情報を渡すことになるので、連絡したり会ったりすべきではない

平たく言うと「付き合っちゃいけない人たちの可能性が高い」ということですね。

適格機関投資家等特例業者は登録が要らない?

ヘッジファンドについては、Wikipediaに「監督官庁に届け出る義務や規制がなく」と記載されていますがこれは誤りであり、日本においては金融商品取引法で明確に規制されています。

金融商品取引法においては、いわゆるファンド業務を行う者は、金融商品取引業者の登録を行うか、適格機関投資家等特例業務の届出を行わなければいけません。

【参考】
ファンド関連ビジネスを行う方へ(登録・届出業務について)-金融庁

あるまとめサイトにはこの(ヘッジファンド)について、適格機関投資家等特例業者等で少人数にしか勧誘を行わない私募であるから、規制は受けないのだ、と書いてありましたが、もし適格機関投資家等特例業者等であるとすると金融庁のこちらのページに公開されているはずです。

しかしこの(ヘッジファンド)の名前は見つかりませんでした……

この事実を知った私の知人も、さすがに実際に会いに行くのは諦めたようです。

自分のお金と命を守るリテラシーをもとう

金融に関する規制は、我々一般市民を不慮の損害から守るための大切なルールであり、一般的な金融機関であれば法令遵守の重要性を強く認識しています。

しかし一部の悪質な(詐欺的な)集団は、「高利回り」「損失なし」といった謳い文句で消費者を煽動し、実態のない、もしくは法令に違反した形で資金を得ようとしてきます。

そうした資金は不適切な立場の人間に渡ることもあれば、実際に面会する相手がそういう立場の人間かもしれません。

「おかしいのではないか」と疑う気持ちが少し欠けるだけで、お金を、そして命をも危険に晒す可能性があることを忘れてはなりません。

「うまい話はない」とよく言われますが、これは金融経済学における無裁定の原理として知られており、この世をよく表しています。

投資について勉強するべきと感じたのはとても素晴らしいことですが、是非焦らず、きちんと勉強をして、リテラシーを高めてください。

【参考記事】
「投資しなきゃ……」焦るなキケン!

「投資しなきゃ……」焦るなキケン!

こんにちは、毛糸です。

先日、金融庁から「老後までに2,000万必要」とも読める報告書が公開され、多くの国民が投資に意識を向けています。

【参考記事】
【年金は頼れない?】「老後までに2,000万」報告書を読んだあとに私たちが取るべき行動

 
投資は正しく理解し実行すれば、資産を効率的に増やす可能性のある、魅力的な機会であり、金融理論においても「合理的な経済主体は投資を行うべき」という結論が数学的に導かれています。
 
しかしながらこの「正しく理解」というのが、実はとてもハードルの高いもののようです。

 

何に投資すべきなのか、どう勉強したら良いのか

まず、何をどう勉強し理解したら良いのかわかりません。

投資と一口に言っても、資金を投下する対象は星の数ほどあります。
 
日本の上場株式だけでも3,000社をゆうに超えますし、証券のおまとめ商品である投資信託も毎月のように新規の銘柄が生まれています。
この中から自分が儲かると思った株を好きに選んでいいよ、と言われたところで、そんな銘柄わかるわけもなく、途方に暮れてしまいます。 

私がおすすめするのは、まずFP(ファイナンシャル・プランナー)の勉強をしてみることです。

FPは家計の財産や資産運用など、お金に関する総合的なコンサルティングを行う専門職です。

そんなFPを名乗るための資格として、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士がありますが、その勉強のなかで、日常に潜む多くのお金の問題と向き合うことができます。

投資においてはリテラシー(判断能力)が重要であると言われますが、資格勉強はその分野の知識を体系的にインプットするのに適した教材を使うため、マネーリテラシーを高めるためにFP資格を目指すのはとても良い方法です。

【参考記事】
体系的インプットのための資格受験はおすすめです

分散投資を常に心がける

投資は、不確定な将来にお金を託す「リスク」のある行為です。
 
ここでいうリスクとは、将来うまくいくか、下手を打つか、現時点ではわからないという意味で、「損失の可能性」よりも広い意味です。
 
リスクは、分散投資によって低減できる、というのが、投資の原理です。
 
ときおり、虎の子の退職金を気になる会社の株に全部振り向けて、その会社が業績不調に陥った、なんていう都市伝説を聞きますが、これは分散投資を行わなかったことによる失敗です。
 
分散投資によって「たまたま」持ってる株で大儲けする確率は小さくなりますが、しかし損失を被る可能性も小さくなり、投資効率の観点からは分散はするほど好ましいという結論が出ます。
 
ノーベル経済学賞を受賞したハリー・マーコウィッツは、投資に数学的手法を導入した先駆者として知られていますが、彼も論文の中で、もっとも「合理的な」投資戦略は、広く分散されたポートフォリオを持つことであると証明しています。
>>現代ポートフォリオ理論

投資信託を信じ、金融機関を信じるな

分散投資を手軽に行える金融商品が投資信託です。
 
下記書籍は投資信託による分散投資で、負担を抑えながら、効率的に資産運用を行う方法を詳しく説明しており、おすすめの書籍です。
 

 
資産運用を勉強したければ、こうした入門書を読んでイメージを膨らませてから行うのが良いでしょう。 

決して焦ってはいけませんし、金融機関に駆け込んでもいけません。

金融機関は営利企業であり、儲けを出すことを目的に活動しています。

したがって、彼らの勧める商品は、購入者が儲かること以前に、金融機関が儲かることが前提になっています。

最近は購入者の利益と金融機関の利益が同じ方向を向くように規制がしかれつつありますが、しかし基本的には、金融機関の商品はあまりおすすめできません。

下記書籍は、タイトルの割に中身がかなりまともで驚いたのですが、その中に「金融機関から買うべき金融商品はない」とすら書かれています(笑)

まとめ

インターネットには投資に関する情報が溢れかえっており、本屋さんに行けばズラーッと投資本が並んでいます。

この中から自分にあった投資商品を見つけるのは、容易なことではありません。

しかし、焦って投資を行おうとすると、小賢しい奴らの格好の的になります。

投資をしなければ、お金が減ることはありません。

でも焦って投資をしてお金を減らすことは高い確度で起こりえます。

まず調べる、勉強する、それからでも遅くありません。

【投信定点観測】20週目|インデックス、ロボアドバイザー、アクティブファンドに積立投資

こんにちは、毛糸です。

【投信定点観測】2019年7月第4週(スタートから20週目)の損益の報告です。

今週末における損益率は2.57%(年率4.56%)です。

損益状況

商品ごとの含み損益率は以下のようになりました。【投信定点観測】開始から20週間経過時の含み損益率は2.57%(年率換算で4.56%)で、先週から0.80%のプラスです。

インデックス投資信託の変動

決算シーズンを受けて買い戻しが広がり、日本株式は週間0.47%上昇、先進国株式は1.16%の上昇となりました。

ロボアドバイザーの振り返り

ロボアドバイザーのWealthNavi(ウェルスナビ)は今週+1.47%(含み損益2.87%)、THEO(テオ)は今週1.09%(含み損益1.37%)でした。

今週の含み損益ランキングは、【投信定点観測】の全14の投資先のうち、WealthNaviは第6位、THEOは第11位です。

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THEO

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アクティブファンドの変動

日本株式に投資するアクティブファンドひふみ投信は、インデックスであるTOPIXの週間上昇率0.47%に対して、1.87%の上昇となり、優位なパフォーマンスを上げています。

まとめ

【投信定点観測】を始めて20週、累積リターンを見るとJ-REITの+9.11%から、日本株式(TOPIX)の-1.18%まで、資産クラスによって明暗が別れています。

日本株式については、アベノミクスで脅威的な上昇を見せたとはいえ、バブル崩壊と失われた20年のイメージが強く残っているためか、投資対象として魅力的に映らない人が多いようです。

しかし、市場の効率性を考えると、日本株式の先行きは現在の株価に反映されていると考えられるので、安易な思考で投資対象から除くのは懸命ではないように思います。

【参考記事】
「日本株に投資すると長期的には損」は本当か?

将来のリターンを予測するのは大変困難なことなので、個人投資家は広く分散した投資によって、リスクを低減するのが王道でしょう。

引き続き、投資信託による「コツコツ」積立投資で、安定的な資産形成を目指していきます。

「俺の会計基準」モデル|社会的選択論は会計を考えるツールになるか

こんにちは、毛糸です。

先日こんなつぶやきをしました。

会計基準とは企業が行った経済活動をどのように会計情報として表せばよいのかというルールのことです。

最近、会計基準はどのように決まるのか、ということをよく考えます。

先日公開した記事のなかで、会計と確率論の類似点について考えてみましたが、会計基準をどう決めるかという問題は、確率論では確率変数をどう決めるかという問題に対比されると考えられます。

【参考記事】
確率論のアナロジーとしての会計学と、それらの重要な差異


しかし、確率変数としての会計基準をどう決めるべきかというのは、もはや数学の問題ではなく、純然たる会計学の問題です。

冒頭のツイートは経済学の立場からの考察ですが、この場合、会計基準はもし自由に決められるならば、自己の効用を最大化させるように決められるはずです。

つまり、誰もが「俺の会計基準」を心に秘めており、それが民主的な手続きにより、社会全体に適用される会計基準となるのではないかと考えます。

しかしながら、社会の構成員全員が納得できるような民主的な意見集約の方法はないと言われており、アローの不可能性定理(Wikipedia)として知られています。

したがって、会計基準が社会の総意で決まるとしても、万人が納得するような会計基準は達成できないのではないか、というのが冒頭の趣旨です。

残念ながら私はこういった経済学の議論について何も知らないので、あくまで個人的な仮説の域を出ませんが、しかし会計基準の設定という問題を考える際には、こういった「社会的選択理論」の考え方が有用になるのではないかと考えています。

超一般化中心極限定理と株式リターン

こんにちは、毛糸です。

先日こんなつぶやきをしました。

本記事では株価リターンを題材に、確率論における中心極限定理とその一般化についてまとめます。

中心極限定理とその一般化

「独立同分布の確率変数の和は正規分布に従う」というのが中心極限定理のざっくりとした内容です。

中心極限定理は確率論における重要な定理であり、それが成立するための前提条件がもちろんあります。

ある定理を、より広い範囲に適用できるようにしたり、前提条件を緩めたりした場合にも成り立つことを示す、というのは、数学においてはよく行われます。

こうした「一般化」は中心極限定理についても存在し、一般化中心極限定理という「拡張版の中心極限定理」では、確率変数の和は正規分布ではなく、べき乗則をもつ安定分布に従うことが示されます。

正規分布に従わない株価リターン

株式リターンの実際の分布は、正規分布よりも「レアな値が出やすい」ものであり、統計的には正規分布に従いません。

【参考記事】
日本株式、米国株式、欧州株式、全世界株式の日次リターンが正規分布ではなかった件

ファイナンスの多くの理論では、リターンの正規性を仮定して結論を導いていますから、実際のリターンが正規分布ではないことについて危機感を覚える人もいるでしょう。

しかし実は正規分布でないケースにも、多くの理論は成り立ちます。

【参考記事】
株価リターンが正規分布でなくてもファイナンス理論は成り立ちます!

べき乗則と一般化中心極限定理

正規分布でなければ何なのだ、ということで注目されているのが、「べき乗則」を持つ分布です。

リターンが正規分布に従うとき、「レアな」リターンが実現する確率は、期待リターンから遠くなればなるほど急激に減っていきます。

しかし実際には、「レアな」リターンはそれほど急激に減っていくものではなく、「べき乗則」というゆったりとした減り方をしているという研究があります。

一般化中心極限定理の帰結として得られる安定分布はこのべき乗則に則った確率分布であり、実際の金融データへの当てはまりの良さが期待されています。

冒頭で述べた超一般化中心極限定理は、これを更に広範囲に拡張した定理のようです。

株価リターンに正規分布を仮定する理由

こんにちは、毛糸です。

先日こちらの記事で、日本株を始めとして株価リターンが正規分布に従っていないことを指摘しました。

【参考記事】
日本株式、米国株式、欧州株式、全世界株式の日次リターンが正規分布ではなかった件


多くの金融理論において、リターンは正規分布に従うという仮定がおかれています。

本記事では主に確率過程論の立場から、なぜこのような仮定がおかれているのかを説明します。

株価ではなくリターンをモデル化する

まず前提としてあるのは、株価は負にならない、ということです。

株価は会社財産の請求権であり、制度上追加的な支出を強制されることはない(株主にキャッシュアウトの義務はない)ので、価格は常に正になります。

したがって、株価をモデル化するにあたっては、価格が常に正値をとるような関数として定義するのが適切です。

指数関数\( y=e^x\)は実数\( x\)がどんな値をとっても正値をとるため、株価を表す関数として適切と考えられます。

時点\( t\)における株価\(S_t \)を
\begin{equation} \begin{split}
S_t=S_0 e^{Z_t}
\end{split} \end{equation}と表すと、株価は常に正値をとり、さらに指数の肩の\( Z_t\)は株価の幾何リターン(対数リターン)を示すという「よくできた」形になります。

したがって、正値をとる株価をモデル化するときには、株価\( S_t\)そのものではなく、収益率(幾何リターン)\( Z_t\)を確率過程として考えるのが好都合なのです。

市場が効率的で、過去の情報から収益率が予測できないという立場に立つと、独立増分性をもつ確率過程がよさそうということになります。

もしリターンの分布が時点に依らないと考えるなら、時間的一様性という性質を考えるのが適切です。

このとき、リターンを表す確率過程はレヴィ過程になります。

レヴィ過程は、連続なふるまいを決めるドリフトとGauss分散行列と、ジャンプの振る舞いを決めるレヴィ測度が決まると一位に定まる、という著しい性質があります。

特に見本経路が連続であるとき、レヴィ過程はドリフト付きブラウン運動になります。

したがって、収益率が独立増分で時々刻々取引が行われジャンプがないような株価のリターンは、数学的にはブラウン運動くらいしかないのです。

連続複利ベースの収益率がブラウン運動なら、価格は当然幾何ブラウン運動ということになります。

つまり、株価とリターンにふさわしい性質を検討していった結果、候補として残るのは、リターンが正規分布に従うようなもの(=ブラウン運動)しかない、ということです。

会計学と情報理論の融合、そして「会計学の基本定理」

こんにちは、毛糸です。

最近目にしたとある文献に「会計学の基本定理」という定理が紹介されていました。

「基本定理」とは数学の各分野で極めて重要な意味を持つ中心的な命題につけられる名称ですが、会計学にもそうした定理があることは知りませんでした。

「会計学の基本定理」はその名の通り、会計学(の数理的側面)における極めて重要な主張、ということなのでしょうが、これまで一度も聞いたことがなかったので、強い興味を持ちました。

今回はそんな「会計学の基本定理」について、私がそれにたどり着いた経緯と、定理の主張を簡単にお話します。

複式簿記の美しさと数学的構造

私は以前から、複式簿記の「美しさ」に興味を持っています。

混沌として目まぐるしく移り変わるビジネスの出来事を、借方貸方という2つの側面から整理できてしまう「複式簿記」という技術には、きっと何か素晴らしい「数学的構造」があるに違いないと考えていました。

そもそも会計学というのは、現実の出来事を複式簿記という技術を用いて会計数値に変換(写像)するプロセスと、そうして生まれた会計数値の利用や解釈に関する学問です。

会計学において複式簿記は欠くことのできないツールですが、しかし、複式簿記それ自体にどういう構造や性質があるのか、といった研究は、あまり注目されていませんでした。

日本の公認会計士で、米国会計学会の会長も務めた会計学者 井尻雄士(Wikipedia)先生は、借方貸方で表現される複式簿記を拡張できないかという問題に取り組まれ、三式簿記と呼ばれる拡張された簿記を考案しています。
参考記事:【君の知らない複式簿記2】複式簿記の拡張、三式簿記

しかし、複式簿記のそのものを考察対象とする学術研究はあまり広まることなく、一部の研究者ないし実務家が、断続的に研究を行ってきたようです。

行列簿記は複式簿記のひとつの形として研究されており、その内容と限界は以下の記事にまとまっています。
参考記事:【君の知らない複式簿記1】行列簿記の意義、性質、限界

近年、複式簿記の数学的研究は、海外の研究者によってその本質に迫るようになり、そこでは複式簿記を「群」と捉えることで、複式簿記の数学的構造を見事に抽象化し理解できるようになりました。
参考記事:【君の知らない複式簿記3】複式簿記の代数的構造「群」

会計学と情報理論の融合

このように、複式簿記はその数学的構造を代数の言葉で表現することに成功しつつあり、現在私の周りでもこれを理解しようとする動きがあります。
 
一方、これとは全く異なる側面から、会計学にアプローチする方法があります。
 
それが「情報理論」的なアプローチです。
 
情報理論とは1948年のクロード・シャノンの論文を創始とした、情報・通信を数学的に扱う学問分野です(Wikipedia参照)。
 
情報理論は確率論や統計学をベースに、確率変数が持つ「情報量」やその不確かさである「エントロピー」を定義するところから始まります。
 
情報理論では確率変数の持つ情報の不確かさなどを定量的に扱うことで、計算機や通信技術や暗号技術などに応用されており、比較的新しい学問分野でありながら、大きな社会的意義を持っています。
 
そして、情報理論は会計情報を分析する際の有効なツールになりうることが、オハイオ州立大学のJohn Fellingham教授らによって示されました。
 
Fellingham教授のページには、「会計学:情報科学(原題Accounting: An Information Science)」と題するペーパーが公開されており、「会計学の基本定理」もここに述べられています。 

このペーパーのよると、会計学の基本定理とはいくつかの仮定のもとで成り立つ、会計情報と相互情報量の関係のこと指しています。

ペーパーにはこの定理の証明が書かれいますので、気になる方は目を通してみてください。

私が言いたいのは、会計学は他の数理的な分野との融合により、別の確度から捉えることが可能なのだということです。

会計学というと、簿記による仕訳作成や財務諸表分析がイメージされますが、数学の文脈の中で捉えることによって、違った姿を見せます。

物事を多角的に見ることで、対象の本質がよく分かるようになりますが、会計学を理解する上でも、こうした別の視点からの観察を行ってみると、なにか発見があるかもしれません。

AIに仕事を奪われた私たちに何が出来るのか

こんにちは、毛糸です。

「AIやロボットによって、人間は単純作業から開放され、付加価値の高い業務に集中できる」

そんな声を聞きます。

本当にAIは私たちの仕事を楽にしてくれるのでしょうか?

本記事は「AIで私たちは単純作業から開放されるのか」という主張に対する私見を述べつつ、高付加価値業務にシフトすることの難しさに触れながら、来るべきAI時代を前に私達は何をすべきかを考察します。

機械は単純作業の担い手になるのか?

本記事では「機械」という言葉をよく用いますが、これを「人間の作業を支援・代替する、自動化等のコンピュータ技術全般」と定義します。

一般に「AI」「人工知能」と呼ばれるものよりも、本記事における機械の定義は広い範囲を指していますが、多くの(専門家でない人の)AIに関する主張は、上記意味での「機械」を指すと考えたほうが自然な場合も多くあります。

さて、AIを含む近未来の労働力としての「機械」の実体は、コンピュータのプログラムです。

プログラムですから、決まった同じ処理を繰り返したり、ルール通りの手続きをひたすら行うことは大得意といえます。

プログラムされたコンピュータは、単調な作業に文句も言わず、疲れもせず、ルールを一度決めればミスをすることもありません。

こうした特性から機械は、「単純作業」=「プログラミング可能な作業」を行う主体としては、人間より適しているとさえ言えます。

AI等のコンピュータプログラムは、これまで人間が行ってきた単純作業を代替する可能性を十分に秘めているのです。

AIに仕事を代替された人はどうなるのか?

機械が単純作業をやってくれるとすると、今までそれを仕事にしてきた人は、余剰人員となります。

この点に関して「人間が単純作業から開放されれば、より付加価値の高い仕事に集中できる!」という主張があります。

しかし、私は機械に・AIに仕事を代替された(≒AIに仕事を奪われた)ことで生まれた余剰人員が、みな付加価値の高い仕事にシフトできるとは思えません。

そもそも、人間が行う単純作業が減って、付加価値が高い仕事にシフトする、という流れの背後には、

  • 高付加価値業務はたくさんある
  • 単純作業をしてきた人は、高付加価値業務も担当できる

という前提があるように思えます。

この前提はなりたっているのでしょうか。

高付加価値業務、そんなにたくさんありますか?

第一に、人間が行うべき高付加価値業務というものは、そんなにたくさんあるのでしょうか?

仮にあるとして、現在それに着手できていないのは、果たして単純作業が多いから(つまり手が足りないから)なのでしょうか?

企業は利益獲得のため合理的に行動しますが、高付加価値業務が十分にあるなら、これまでも採用を拡大し、高付加価値業務を推進してきたはずです。

労働力不足が問題視されているのは確かですが、単純作業に忙殺され高付加価値業務が出来ていない、という言説は、よく聞かれる主張ではありません。

高付加価値業務がそう多くない環境で、単純作業を機械に代替させたら、余剰人員分が解雇されて終わりです。

少ない人員でより利益を高められるという意味で、企業のROIは上がるかもしれませんが、

少なくとも十分に高付加価値業務のストックがなければ、単純作業をAIに代替させても、人員のシフトは行えないでしょう。

単純労働を機会に任せることで生じた余剰人員の受け皿になるほど、高付加価値業務がたくさんあるとは思えません。

高付加価値業務、すぐにできますか?

第二に、これまで単純作業ばかりしてきた人が、人間にしかできない高付加価値な仕事ができるのでしょうか?

付加価値の高い仕事には、専門知識や技術や経験が要求されますが、通常それらを習得するにはコストがかかります。

そのコストを負担するのは誰なのでしょう?企業でしょうか?

高付加価値な業務を提供し、利益体質に改善した企業が、多大なコストをかけて、それまで単純作業を行ってきた従業員に丁寧に仕事を教えるのでしょうか。

考えづらい状況です。

先日、日本を代表する大企業のトップや、経済界のリーダーが、終身雇用の限界を口にし始めましたが、それは教育投資の不確実性の高まりも関係していると思われます。

【参考記事】
終身雇用のインセンティブとは何だったか?そして、なぜそれが破綻したのか?

 

技術進歩に伴い、単純作業のAIによる代替は進むのでしょうが、それを上回るペースで、今まで単純作業を担ってきた人間を高付加価値業務に転換させるのは、簡単なことではないように思います。

人員削減の波はすぐそこまで

メガバンクなどでは、無人店舗の導入やロボの活用によって万単位で人員を減らしているようです。

現状の人員は解雇しない、という方針のようで、採用を絞るなどして調整しているそうですが、

それも結局、従来入社すべきであった人員が採用されないという意味で、実質的には人員整理と大差ありません。

AI、広い意味での自動化、IT化によって、人間が単純作業から開放されたのはよいことかもしれませんが、現状、それによって雇用も減ってるように思えます。

単純作業から解放された従業員は、高付加価値業務を担当するはずではなかったのでしょうか。

実際に起こっている人員削減の波を考えると、「単純作業から高付加価値業務へ」という考え方は、あまり現実的でない気がします。

AIに仕事を奪われた私たちに何が出来るのか

単純作業を担ってきた私たち人間が、AIにその仕事を奪われようとしたとき、私たちは何が出来るでしょうか。

AIを使う側に回る。

AIとコスト競争をする。

AIにはできない人間的な働き方にかじを切る。

やりようはいろいろあります。

大切なのは、今起ころうとしている変化を察知し、情報を収集し理解することです。

そして、持てる知識と経験を総動員して、自分の価値を磨いていくことです。

恐れすぎることなく、しかし楽観視するでもなく、これから起ころうとすることを注意深く観察し、自分にできることから始めていきましょう。

自ら課題を見つけ、解決し、自己を高め続けられるのは、機械には真似のできない、極めて「人間らしい」営みです。

学びを止めることなく、常に前進し続けましょう。

【参考記事】
繁忙期にも学びを止めないための3つの心がけ

【投信定点観測】19週目|インデックス、ロボアドバイザー、アクティブファンドに積立投資

こんにちは、毛糸です。

【投信定点観測】2019年7月第3週(スタートから19週目)の損益の報告です。

今週末における損益率は1.77%(年率3.30%)です。

損益状況

商品ごとの含み損益率は以下のようになりました。【投信定点観測】開始から18週間経過時の含み損益率は1.77%(年率換算で3.30%)で、先週から0.54%のマイナスです。

インデックス投資信託の変動

米国の利下げが小幅なものにとどまるとの観測から、G-REITは週間で1.39%のダウン、一方のJ-REITは0.96%のアップとなり、J-REITの累積リターンは8.90%となっています。

ロボアドバイザーの振り返り

ロボアドバイザーのWealthNavi(ウェルスナビ)は今週-0.81%(含み損益1.44%)、THEO(テオ)は今週-0.99%(含み損益0.28%)でした。

今週の含み損益ランキングは、【投信定点観測】の全14の投資先のうち、WealthNaviは第8位、THEOは第11位です。

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アクティブファンドの変動

日本株式に投資するアクティブファンド、ひふみ投信は、インデックスであるTOPIXに対して優位なパフォーマンスを上げています。

まとめ

【投信定点観測】を始めて19週、累積リターンを見るとJ-REITの+8.90%から、日本株式(TOPIX)の-1.65%まで、資産クラスによって明暗が別れています。

投資を行おうと考えるとき、多くの方は自国株式(つまり日本株)を対象にしますが、現状、日本株は数あるインデックスの中でもパフォーマンスが劣っています。

だからといって今後も日本株式のリターンが低くあり続けるわけではありません。

将来のリターンを予測するのは大変困難なことなので、個人投資家は広く分散した投資によって、リスクを低減するのが王道でしょう。

引き続き、投資信託による「コツコツ」積立投資で、安定的な資産形成を目指していきます。

引き続き積立投資の状況をリポートして参りますので、もしよろしければSNSでのシェアよろしくお願い致します!