書籍『まちがえない採用』は、現代の潮流を踏まえた実践的な採用戦略の解説書です。
本書の中で、受けてみたい会社として名前は上がるけれど、最後の1社に選ばれないのであれば、魅力付けが足りない可能性があると述べられています。
企業側が候補者を選ぶという視点で採用を考えるのではなく、候補者から選ばれる会社を目指そうという点に、私はハッとしました。
『まちがえない採用』では、会社の魅力を考える際の視点を4つ提示しています。
- 事業(社員のほこり)
- 仕事(社員のやりがい)
- 風土(人、仲間→社員の成長)
- 待遇(社員の心の安定)
今回は事業について、どんなアピールができるのか、具体例を考えてみたいと思います。
本記事の内容は以下の書籍を参考にしています。
売上・利益・業界での立ち位置
営利を目的とする企業において、売上や利益は重要な要素です。
莫大な収益を稼ぎ、利益を獲得する企業は、ビジネスで一番重要なことを達成している会社と言えます。○年連続増益、といったキャッチーな定量的視点は、人材の注目を浴びます。
売上や利益の水準が同業他社と比較して優れている場合には、そこで働く社員も自社に誇りを持てるでしょう。うちは他とは一味違う、ということに誇りを感じる人は少なくありません。
売上や利益に目立った業績がなくとも、例えば売上利益率が高いだとか、少ない資本で効率よく利益を挙げているような会社は、ユニークなポジションを築いていると言えます。
理念、ミッション、ビジョン、価値観
企業理念やミッションは、その企業の文化を特徴づける重要な要素です。
崇高な理念を社員全員が共有していれば、団結力が高まり、絆が深まります。細かな指示をしなくとも同じゴールを目指してメンバーが自走できるので、のびのびと働けます。
社内外に具体的なビジョンを提示していれば、それに共感し、一緒に達成したいと思える仲間が見つかる可能性が高まります。ビジョンに共感できる会社で働けることは、メンバーがストレスなく働く必要条件です。
価値観を共有することで、日々の業務に安心感が生まれ、自律的な活躍を促すことも出来ます。例えば、顧客への価値提供はもとより、組織メンバーの成長を特に重視するという価値観の会社を考えてみましょう。そういう会社には自然と、成長志向の人材が集まるのではないかと考えられます。
事業内容、商品・サービスの独自性、ブランド力
事業そのものも重要なアピールポイントです。
ある特定の領域に強くコミットし専門性を発揮する企業や、新しい挑戦を歓迎し多角的に事業を推進する会社など、個々の組織で特色があります。
特定の商品やサービスを提供する会社であれば、その独自性をアピールすることも大切です。独自性の背後にある思いやストーリーを伝えられれば、採用候補者の心をつかめるかもしれません。
ブランド力も重要です。企業名がブランド化しているということは、その企業の良さが社会によく知られていることの証拠です。確固たる地位を築いた会社で働くことは、メンバーにとっても気持ちがいいものです。
自社のビジネスの競争力が個々のメンバーのプロフェッショナリズムで成り立っている場合には、そうした業務特性を踏まえて、自走できる自律的なメンバーに活躍のチャンスがあるとアピールしてもいいでしょう。
企業の成長段階フェーズ
自社が企業の成長段階のどのフェーズにいるかを考えることで、マッチ度の高い人材を採用する手助けになります。
立ち上げ当初の「なんでもあり」「すべてはここから」な環境であれば、0→1のクリエイティブな働きをしたい人材に好まれるでしょう。逆に、すでにビジネスが軌道に乗り、定型業務の効率化が求められるフェーズであれば、慎重で堅実な人材にとって魅力的な組織と言えます。
成長段階に合わせた人材を採用することで、組織と人材の双方にメリットがあります。したがって、採用に当たり成長段階を明確にしておくことは重要です。
まとめ
採用シーンで候補者から選ばれる会社になるために、自社の事業をどう捉えるべきかを考えてみました。
内定を出した候補者に「この会社はここが素晴らしい、だからここに決めます」と選んでもらうためには、候補者に「刺さる」ようなアピールの視点が必要です。
参考文献
この記事の内容はこちらの本を参考にしました。採用に関するノウハウを、基本となる考え方と具体的方法論で解説しており、大変参考になります。