貸借対照表と損益計算書は何を表しているのか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

私たちの社会において,企業は重要な役割を果たしています。

企業は投資者から集めた資金を使って,製品を作ったり工場設備を整えたりしています。こうした企業の経済活動は,財務諸表という報告書によって,投資者に伝達されます。

財務諸表のなかで特に重要なのが,貸借対照表と損益計算書です。

この記事では貸借対照表と損益計算書が何を表した報告書なのかを解説します。

貸借対照表(たいしゃく たいしょう ひょう)

貸借対照表は,ある時点における企業の状態を表す報告書です。企業の状態という言葉は,専門用語で財政状態や投資のポジションといいます。

英語ではBalance Sheetといい,頭文字をとってB/SやBS(いずれもビーエスと読む)と略されます。

企業においては資金の状態が重要であるという考え方に基づいて,次の2つの視点で企業の一時点の状態を表しています。

資金の調達源泉

企業が経済活動に利用している資金が,どのような源泉から調達されているかという情報が,貸借対照表の右側(貸方)に表示されます。ざっくりいえば「どこからいくら調達しているか」が示されています。

企業が資金を調達する手段は,大きく分けて2つあります。

ひとつが資本(自己資本),もうひとつが負債(他人資本)です

資本には,企業設立にあたって集められた出資金や,株式の発行によって集めた資金が該当します。

負債には,債権者からの借入や,社債の発行によって集めた資金が該当します。

資金の運用形態

調達された資金がどのような資産へ投下されているかという情報が,貸借対照表の左側(借方)に表示されます。ざっくりいえば「どこへ資金が投下されているか」が示されています。

調達された資金は現金や預金として持っている場合もありますし,商品在庫として保有する場合もあります。また,工場や土地を購入し経済活動に利用している場合もあります。これら価値ある財は資産とよばれます。

貸借対照表等式

企業が負債や資本として調達した資金は,何らかの資産として企業に保有されます。

逆に,企業の資産はそれを購入するために,かならず負債や資本による資金調達が行われているはずです。

したがって,貸借対照表で表現される資産(運用形態)と負債・資本(調達源泉)は,その金額が一致するはずです。このことは以下のような等式としてシンプルに表せます。

資産=負債+資本

この等式は貸借対照表等式とよばれています。

 

損益計算書(そんえき けいさん しょ)

損益計算書は,資本の増殖分の原因を表す報告書です。資本の増殖分という言葉は,専門用語で経営成績や投資の成果といいます。

英語ではProfit and Loss Statement(もしくはincome statement)といいます。頭文字をとってP/LやPL(いずれもピーエルと読む)と略されます。

資本,つまり元手(もとで)の増殖分を利益といいます。利益を稼ぎ出すことは企業の目的のなかで特に重要なことです。

利益は以下に示す収益から費用を引くことによって計算されます。こうした計算を損益計算書という報告書で示すことによって,投資者は「この会社はこういう理由で,当期これだけ資本を増やすことに成功したんだな」と理解できます。

収益

収益(しゅうえき)とは,企業の営業活動によって達成された成果のことです。

例えば製品を作ってそれを顧客に販売できたとき,販売によって企業の資産が増えます。このような成果を収益という名前で記録するのです。

費用

費用(ひよう)とは,成果を得るために費やされた努力のことです。

製品を販売しようと考えたとき,まず良い製品を作らないことには始まりません。製品を作るには材料を購入したり,加工用の機械を準備する必要があり,それにはお金がかかります。このように,収益を得るためには何らかの努力(犠牲や負担と言ってもいいでしょう)が必要で,それを費用という名前で記録するのです。

参考文献

この記事の内容は,以下のテキストを参考にしました。財務会計の教科書として最も有名なもののひとつで,会計の基本的な考え方や,企業のさまざまな活動をどのように会計処理したらよいのかについて,体系的に学ぶことができます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*