複式簿記は会計報告の唯一の方法なのか?簿記と会計の独立説・一体説

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私たちが会計について学ぶとき、ほとんどのケースで複式簿記の知識も一緒に身につけることになります。あるいは、複式簿記の規則を学ぶことが会計を学ぶ第一歩と位置づけられていたりもします。

セットで学ぶことが多い会計と簿記ですが、両者の境目はどこにあるのでしょうか。もしくは境目などなく、会計と簿記は一体の概念なのでしょうか。

簿記と会計の一体説・独立説

簿記と会計は一体であるという考え方を一体説とよびます。また、それらは独立した概念であるという考え方を独立説といいます。

一体説の立場では、簿記と会計は表裏一体の関係であり、会計基準や会計理論があって始めて簿記の対象が定まるのだと考えます。

独立説の立場では、会計とは独立に、簿記そのものに固有性を認めます。

日本の高名な会計学者には、一体説に立つ方もいらっしゃいますし、独立説に立つ方もいらっしゃいます。

 

簿記と会計が独立であるとすると

独立説に立てば、こんな問いかけも生まれます。

簿記は会計のための最適な仕組みなのか?

 

簿記と会計が一体であるという一体説に経てば、簿記と会計は切り離せず、したがって簿記以外の会計の表現方法を考えるという問いかけはナンセンスです。

しかし両者が独立であると考えると、「会計のために、簿記以外の方法を頼る」という選択肢もあるのではないかという疑問がわきます。

実際、この問いかけはAryaらの2000年の論文”Inferring Transactions from Financial Statements”の最後を締めくくるフレーズとして登場します。

An interest- ing question arises: Could accounting structure, and perhaps even double entry, be an optimal way of aggregating information?

この問いかけに対する明確な答えを、私はまだ知りません。

 

ちなみに、私自身は会計と複式簿記は別個独立の概念であると考えています。

  • 会計とは、経済主体の活動(取引)を適当な報告様式に対応付ける写像(規則)
  • 複式簿記とは、借方と貸方という概念が存在する数値的報告様式

と私は考えており、両者は定義上、依存関係がないためです。

 

参考文献

簿記と会計の一体説・独立説の話は、日本簿記学会の講演で知りました。

前述の通り私は独立説に立っていますので、その立場から発表者に「簿記と会計が独立とすると、会計目的でない簿記もあるのか?」と質問しました。発表者の方は明確に「ある」と答えられました。そのとき参考文献として教えてもらったのが、以下です。

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