この記事は『独学大全』の紹介記事です。
この本には,学ぶ意欲のある人が,効果的で効率的に学ぶためのノウハウが満載です。「社会人になって久しいけれど,また勉強をしてみたい」「勉強は好きだけど,もっと効率的に進める方法が知りたい」という人に強くおすすめします。
目次
何についての書籍か
独学のための心構えや方法論についての解説書です。
独学のモチベーションを保つ方法、効果的・効率的な勉強方法、知識の整理術などを解説しています。
なぜ手に取ったのか
知識整理の効率的な方法を学ぶため。
学術論文を読むことが増えたので、その内容を忘れず、かつすぐに内容を振り返られるような整理術を知りたいと考えていました。
資料を多数・効率的に読むためには、その管理方法も大切です。一度読んだ資料にはすぐアクセスできるようにしたいし、どこに何が書いてあったか瞬時に思い出せる状態にしたいのです。
その具体的な方法論がこの本で学べそうだったので,手に取りました。
何を学んだか
文献の探し方:文献たぐりよせ
文献を効率的に探す方法として本書が提案するのが「文献たぐり寄せ」です。
文献たぐりよせとは,書籍や論文の引用や同じ著者の他の文献といった「関係」に着目して文献を探し出す方法です。
文献たぐりよせによって関連する文献を自分の理解度に関係なくピックアップでき,引用関係をもとに文献の重要性が把握できるので,独学者に適した文献調査の方法と言えます。
本書では文献たくりよせによる調査の方法を,役立つWebサイトなども引用しながら解説しています。
文献の記録と管理:3つのマトリクス
文献の内容を効率的に記録し管理する方法として本書が提案するのが,3つのマトリクスによる方法です。3つのマトリクスとは,目次マトリクス,引用マトリクス,要素マトリクスを指します。
目次マトリクス
目次マトリクスは文献の目次を集めた一覧表です。その分野のトピックやキーワードを掴むのに役立ちます。
目次を一覧化することによって,その分野の頻出キーワードがわかります。また、大量の文献を管理するためのリストにもなります。
同じキーワードを持つ文献たちの関係がわかるという点も重要です。もし独学の中で中身の薄い文献に出会ってしまっても,目次マトリクスがあればすぐに別の文献にうつることができます。これは良い教材を教えてくれる先生がいない独学者にとって大きなメリットです。
引用マトリクス
目次マトリクスは文献から文献への引用をまとめるたマトリクスです。各文献の評価や関係を把握するのに役立ちます。
前述の文献たぐりよせを行う際に,引用マトリクスを使うと便利です。重要な文献の一覧や,文献がまとまった教科書がすぐに見つかれば,それを使って文献たぐり寄せができます。しかしそうした教材は必ずしも存在するとは限りません。そこで,引用マトリクスを自ら作成することで,そのトピックに関する文献を網羅的に挙げて管理することができます。
要素マトリクス
要素マトリクスは,自分が気になるトピックや概念について,各文献がどう書いているかを記録するものです。
複数の文献の見方を付き合わせることで,そのトピックの核心をつかむことができ,自分のオリジナルな見方や考えを発見するのに役立ちます。
何に応用できそうか
『独学大全』は知識整理の効率的な方法を具体的に解説しており,日々の研究活動や,ちょっとした調べ物にも応用できそうです。ビジネスにおけるリサーチ業務にも活用できるでしょう。
この本に書かれているのは特定分野における知識整理術ではなく,探究活動一般に応用可能なノウハウです。
どうせ勉強するなら効率的に進めたい、そんな人に強くおすすめする一冊です。
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