非定型の有機的業務であるプロジェクトに対して,伝統的な管理会計を適用するのは難しいと言われています。
この記事ではプロジェクトの定義に触れたあと,プロジェクトマネジメントのなかで管理会計を適用する難しさについて述べます。
プロジェクトの定義
プロジェクトとは,特定の目的を達成するための有期的な業務をいいます。
日々の業務におけるルーティンワークは,プロジェクトの定義を満たしません。
日常業務とプロジェクトの違いは,プロジェクトが以下の3つの特殊性を持つ点です。
- 個別性:非反復的で,前提条件がさまざま
- 有期性:始まりと終りがある
- 不確実性:計画立案と評価が困難
プロジェクトマネジメントに管理会計を適用する難しさ
管理会計は伝統的に,反復継続的な日常業務を前提に構築されてきました。
そのようなルーティンワークにおいては,以下のような管理会計のプロセスを適用することで,経営を効率化できます。
- 計画を立案する
- 計画と実際とを比較・評価する
- 改善案を見つける
- 新たな計画に織り込む
しかしプロジェクトは非反復的な個別性の強い業務であるため,このような手法を適用するのは困難です。
計画をしようにも類似の事例が乏しく,それゆえに計画と実際とが大きく乖離しがちで,改善の方法を考えるのも難しいのです。
では,プロジェクトマネジメントにおいては管理会計は役に立たないのでしょうか。
そんなことはありません。
『業績管理会計』第11章には,プロジェクトの管理会計として,プロジェクトの定義を踏まえたマネジメント・コントロールのあり方が提示されています。
「計画立案」「結果評価」「結果是正」というプロジェクトの過程と管理会計に共通する考え方に触れながら,プロジェクトの管理会計の全体像を提示しています。興味があれば読んでみてください。
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