NPV法は将来のキャッシュ・フローを資本コストで運用できると仮定している,という主張について

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

戦略管理会計』よれば,NPVの計算には,将来のキャッシュ・フローを資本コスト率で運用するという仮定が内在していると説明されています(会計士受験の予備校のテキストにも同じ説明があったと記憶しています)。

しかし,これはNPV法で「仮定」されていることなのか,ちょっと引っかかったので,ここにメモしておきます。

この主張が言わんとしていることは,以下のような内容と理解しました。

資本コスト率\( k\)のもとで計算される将来キャッシュ・フロー\( C\)の割引現在価値を\( PV_k(C)\)と表すことにします。

NPV法の枠組みにおいて,時点\( t\)の期待キャッシュ・フロー\( C_t\)とそれを時点\( s\)期間だけ資本コスト率\( k\)で運用したときの時点\( t+s\)での期待キャッシュ・フロー\( C_{t+s}:=(1+k)^s C_{t}\)について,

\begin{equation} \begin{split} PV(C_t)=PV(C_{t+s})\end{split} \end{equation}
という等式が成り立ちます。

冒頭の「将来のキャッシュ・フローを資本コストで運用する」という主張は,この等式が成立することを示しているのだと解釈しました。

ただ,これはそのように解釈できるという話であって,別にNPV法という枠組みそのものが,この主張を仮定しているわけではないように思います。

要は,この性質はNPV法において成り立つ定理であって仮定(定義の一部)ではない,ということです。

NPV法で仮定されている条件が何なのか,まだ理解が曖昧なので,このような引っ掛かりを覚えているだけかもしれません。この点についてはもう少し検討してみようと思います。

【参考文献】


 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*