投資と投機の違いとは?目的・時間・リスクに注目!

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こんばんは、毛糸です。

今回は「投資」と「投機」の違いについて考えていきます。

投資(Investment)は良いもの、投機(Speculation)は悪いもの。

そんな風に漠然と考えていませんか?

実はそれほど簡単な話ではないのです。


辞書的な意味は?

Weblio辞書によれば、投資と投機はそれぞれ以下のような意味です。

  • 投資:利益を得る目的で,資金を証券・事業などに投下すること。
  • 投機:偶然の利益をねらって行う行為。将来の価格変動を予想して、価格差から生じる利益を目的に行う売買取引。

この定義によると、「利益を得る目的」という点で両者は共通しています。

一方で、投機は偶然性や価格変動という意味合いを含んでいます。

しかしながら、投資であってもそのリターンは偶然に左右されますし、投資する以上は値上がりを期待するものでしょうから、投資にも価格差から生じる利益(キャピタルゲインといいます)を目的にしているという側面もあります。

辞書的な意味だけでは、投資と投機の明確な違いはわかりませんね。

Twitterでのご意見は?

この話題をTwitterで投げかけたところ、いくつかご意見を頂戴したので、紹介しましょう。

利益の発生形態と不確実性の多寡

利益が継続的で不確実性が小さいのが投資、利益が単発的で不確実性が高いのが投機、というご意見です。
うん、もっともらしいですね。
しかし、何を持って継続的・単発的と定義するのか、不確実性の高低はどこで線引されるのかなど、不明瞭な点が残ります。

資(モノ)にお金を投げ込むのが投資・機(トキ)にお金を投げ込むのが投機 

資(モノ)にお金を投げ込むのが投資、機(トキ)にお金を投げ込むのが投機、というご意見も、もっともらしいですね。
お米を蒔いて収穫するのが投資の典型、といったイメージでしょうか。
しかし、資産運用の第一歩であるところの定期預金はモノにお金を投じていませんが、これを投機とするのは不自然な気がしますね。

金融機関・専門書の意見は?

全国銀行協会の【90秒でわかる!】貯蓄と投資・投資と投機の違いには、投資と投機の違いが以下のように説明されています。
  • 投資:将来が有望な投資先に長期的に資金を投じること
  • 投機:相場の変動を利用して利益を得ようとする短期的な取引
東証マネ部の投機と投資の違いは? 長期投資に欠かせない運用コストを意識しようでは、投資と投機の性質の違いを以下のようにまとめています。

一般的には、ギャンブル的要素が強い・リスクが高い・保有期間が短いといったときには「投機」、手堅い・リスクが低い・中長期で運用といったときには「投資」という表現を使うことが多い

インデックス運用のバイブルと名高い『ウォール街のランダム・ウォーカー』にも、以下のような投資と投機の線引が述べられています。

投資と投機を区別する基準は、どのような期間で投資リターンを考えるかがはっきり意識されているかどうかと、リターンが合理的に予測できるかどうか、の二点にある。投機家は二、三日あるいは二、三週間の間に大儲けすることを狙って株式を取得する。これに対して、投資家は、何年、あるいは何十年先まで安定的に配当をもたらし、あるいは持続的な値上がりが期待できるような株式を保有する

いずれの定義においても、

  • 投資は長期目線で安定的なリターンの獲得を目指す
  • 投機は短期的な取引で大きなリターンを目指す
という点で共通していますね。

学術的な差異は?

ファイナンスや金融経済学の教科書的な立場からは、実は投資と投機を使い分けることは少ないです。

投資も、投機も、もっというとギャンブルであっても、ファイナンス・金融経済学という学問の立場からは、本質的な差異はありません。

金融経済学の立場からいうと、投資も投機もギャンブルも、

  • 実行する前に結果を予測することができず、かつ
  • 結果によってキャッシュフローが変わる

という意味で、同じものなのです。

結論:投資と投機の違いは目的・時間・リスクにあり!

以上のように、投資と投機は「どこからが投資、どこからが投機」という明確な線引はないものの、その目的・リターンを得るための時間・リスクの負い方に差があるということがわかりました。

これまでの内容をまとめると、次のようになります。

  • 投資:将来性を見込んで、長期目線で、安定的にリターンを追い求める
  • 投機:価格変動を目論んで、短期目線で、積極的にリスクを取り利益を追い求める
最近は「貯蓄から投資へ」の政府の号令のもと、NISAやiDeCoといった投資に関する優遇政策がいくつも打ち出されています。
そんな社会情勢の中で、投資と投機の違いを意識することで、みなさんの資産形成はより豊かなものに出来るのではないでしょうか。

参考文献

  1. ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質, 2009, ナシーム・ニコラス・タレブ, ダイヤモンド社
  2.  ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理, 2016, バートン・マルキール, 日本経済新聞出版社

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コメント

  1. kuytm より:

    投資と投機は利益を得るという行為には違いはありませんので、厳密に分ける必要は無いと感じました。
    しかし、ギャンブルについては、フェア・ゲームにすら満たないものは、ギャンブルとしてもいいのではないかと感じます。

  2. Keito_Oz より:

    期待リターンが正か負かで投資・投機とギャンブルを分けるという考え方ですね。それも意味ある定義だと思います。

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