こんにちは、毛糸です。
資産運用や、何かに挑戦するときに
リスクをとる
という言葉を使いますね。
仮想通貨バブルの最中には盛んに「リスクをとれ!」と叫ばれていましたし、今も起業や副業の文脈で「リスクを取ろう!」と声を大きくしているインフルエンサーがたくさんいます。
しかし、「リスクをとる」ということがどういうことか、十分に理解している人は多くないようです。
「リスクをとればリターンが得られるんでしょう?」という考えでは、きっと後悔するでしょう。
今回はこの「リスクをとる」ということの本当の意味について考えていこうと思います。
「リスク」の意味
リスク、という言葉を日本語訳するとき、多くの人は「危険」という言葉を充てるでしょう。
OXFORD現代英英辞典によると、”the probability of something bad happening at some time in the future(将来のいずれかの時において何か悪い事象が起こる可能性)” とされている。
という記載があります。
つまり、リスクとは悪いことが起こる可能性、というのが一般的な意味です。
一方、「リスクをとる」という言葉を使うときには、やや意味が異なります。
「リスクをとる」と言ったときの「リスク」とは、経済学上のリスクを指します。
経済学(特に金融経済学)においてリスクとは、ある事象の不確実性を意味し、良いことも悪いことも含めて、将来の結果が予期できないことを意味します。
「リスクとは分散や標準偏差のことだ!」という専門的な主張も、不確実性の度合いが、分散や標準偏差で測られることを意味しています。
この定義に当てはめると、「リスクをとる」とは、結果が不確実な試みに参加する、という意味になります。
将来の収益が予測できない株式投資や、上手くいくかわからない起業などは、まさしくこの意味で「リスクをとる」ことなのです。
「リスクをとる」の本当の意味は、上手くいかない未来を覚悟するということ
老後の貯えを充実させるため、若い時からリスクをとって資産運用をしましょう、と金融機関からの勧められることがあります。
こちらの記事でも、老後を安定して生活するためには、1億円の財産が必要であると金融機関に教えられたという話が載っています。
参考記事:「老後に1億」まじめな人ほど要注意!思い込みが家計を脅かす
この記事を見る限り、高い利回りの商品を積み立て購入すれば(リスクをとれば)将来に1億円の財産を築ける、といった説明がされているようです。
しかし、この説明は「リスクをとる」ということを十分に説明しているとは言えません。
すでに述べた通り、「リスクをとる」とは、、結果が不確実な試みに参加する、という意味です。
ここで大事なのは、将来利益になるか損失になるかはわからない、ということです。
参考記事ではさも「リスクをとれば安定した老後が迎えられますよ」と言わんばかりですが、これは誤りです。
リスクをとるというのは、目標期限までの不確実な値動きを我慢すれば、目標期限には高い実現収益が得られる、という意味ではないのです。
つたない絵ですが、図示するとこういうことです。
まとめ
リスクとは、不確実性であるということ、そして「リスクをとる」とは、上手くいかない未来を覚悟することであるということをお話ししました。
もちろん「リスクをとる」ことにより、高い収益を得る未来も、当然待ち構えています。
リスクが損失として顕在化することを恐れるあまり、チャレンジすべき機会を逃してしまうのも考え物です。
「リスクをとる」ということを安易に捉えず、自分が許容できる範囲内で挑戦していくことが大切です。