【年金は頼れない?】「老後までに2,000万」報告書を読んだあとに私たちが取るべき行動

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こんにちは、毛糸です。

2019年5月22日、金融審議会市場ワーキング・グループが「高齢社会における資産形成・管理」と題する報告書の案を公表し(以下「報告書案」、外部リンク)、話題になっています。

人生100年と言われる現代日本において、金融機関に対する顧客目線に立った資産管理のあり方に指針を提供する内容です。

報告書はまだ素案の段階ですが、ニュースメディアはこぞってこれを取り上げています。

なかには「実質的な年金制度の敗北宣言だ」と言わんばかりの取り上げ方をしているメディアもありますが、本当でしょうか?

今回はこの報告書案の内容と、私たちが取るべき行動について考えてみたいと思います。

忙しい人のための報告書案まとめ

まず、忙しい読者の方のために、「高齢社会における資産形成・管理」の内容を箇条書きでまとめてみました。
  • 高齢社会の金融サービスのあり方についてまとめている
  • 高齢化は進み続けており、「資産寿命」の長期化の重要性が増している
  • 老後を見据え現役時代から資産形成に取り組む必要があり、金融機関はそのニーズに応えることが求められる
  • 唯一の正解はないが、個々人がリテラシーを高め「自分ごと」として資産形成に取り組むべし
これらの内容に関連して、以下では補足的な情報と、私たちが取るべき具体的な行動について考えてみます。

超高齢社会の日本の現状

現代の日本は超高齢社会といわれ、総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は27.3%に登ります。

既に国民の4人に1人は高齢者なのです(内閣府高齢化の状況より)。

日本人の平均寿命は男性81歳女性87歳に達し、今後も医療の発展等によりさらに長寿化すると考えられています。

(出所:報告書案 p3)

そんな状況において深刻化するのがいわゆる「長生きリスク」です。

長生きすることで老後の生活費に困窮したり、医療・介護費を工面できなくなるなどのリスクが懸念されています。

今回の報告書案はそうした長生きリスクに対処すべく、資産寿命をいかに伸ばすかという観点から指針が示されたものです。

高齢期に備えた資産管理の必要性

報告書案では、老後までの資産形成について「かつてのモデルは成り立たなくなってきている」と指摘されており、退職金や国民年金・企業年金に依存してきた旧来の老後の資産形成のあり方に警鐘を鳴らしています。

報告書案には高齢無職世帯の平均値として毎月5万円の赤字になっていることが示されており、リタイア後の余生30年で約2,000万円の取り崩しが必要であると述べられています。

メディアではこの内容を受けて「年金を当てにせず自助に努めよという政府からのメッセージ」と捉える向きもあるようです。

報告書案では年金制度の破綻に関して直接述べられてはいないものの、「少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していく以上、年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい」との記述があり、ネガティブな印象は拭いきれません。

国に任せていれば安心、という前提は、政府の打ち出す制作やメッセージに鑑みるともはや成り立たないと考えたほうがよく、資産形成について一人ひとりが責任を持って向き合う必要があります。

現役世代が利用すべき制度:NISAとiDeCo

個人の自助努力による資産形成の支援政策として、NISAとiDeCoがあります。

(出所:報告書案 p29)

これらは投資信託などの金融商品に対して行った投資について、運用益への課税が免除されたり、現役世代の税金が減るといったメリットがあります。

NISAもiDeCoも現役世代の資産形成の強い味方であり、私も最大限活用しています。

NISA、iDeCoは証券会社がこぞって解説をしている他、下記の書籍などにその内容や上手な利用方法がまとまっていますので、将来に向けて準備したい人は早めに勉強すると良いでしょう。

ハイリスク商品に注意、リテラシーを高めて

自助努力による資産形成の重要性が高まっているのは確かですが、一方で過度な恐怖心を持つのはかえって危険です。

年金が破綻する、老後の生活費の確保が難しくなる、といったフレーズは、金融機関からすれば、高い手数料を生むハイリスクな商品を買わせるチャンスでもあります。

老後の不労所得を確保するという建前で、収益性の低い不動産を高い価格で売ろうとしてくる業者も現れるでしょう。

大切なのは、自分の将来を可能な限り客観的に予測・評価し、過度な不安にとらわれることなく、自分自身で判断できるようなリテラシーを身につけることです。

もしこれを読んでいるあなたが自身の資産形成に全く興味を持っていなかったとしたら、今が絶好の機会だと思って、資産運用の入門書を手に取るなどしてみてはいかがでしょうか。

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