投資とギャンブルの違いとはなにか?経済学にも触れながら。

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こんにちは、毛糸です。

先日、金融庁が「老後までに2,000万円の貯蓄が必要」とする報告書を公表し、多くの日本人が投資の重要性に気づき始めています。
しかし一部の人は、投資をギャンブルと同等に捉え、あまり近づきたくないと感じているようです。
たしかに、投資もギャンブルも、お金を投じることにより、将来お金が増えて返ってくることを期待し、しかしその金額がいくらになるかはわからない(不確実性がある)という意味では同じ性質を持っています。
しかし一般的には、投資とギャンブルは「常識的に」別物だと考える人が多いのではないでしょうか。
本記事では、投資とギャンブルの境界線となる以下の点に注目し、経済学の観点から説明してみようと思います。
  • 消費的価値の存在
    • 投資は(定義上)満足を生まない一方、ギャンブルは満足感を生む
  • 期待リターンの正負
    • 投資は期待リターンがプラスであるが、ギャンブルは多くの場合マイナス

お金の使い方には2種類:消費か投資か

投資とギャンブルの違いを考える前に、そもそも投資とは何かについて説明しなければなりません。
経済学では、お金の使い方(支出)を大きく2つに分けます。
ひとつが消費(consumption)、もうひとつが投資(investment)です。
投資には、貯蓄(saving)を含みます。
消費とは、お金を使って、満足感を高めることです。
投資とは、お金を使って、将来のお金を得ることです。
経済学では消費と投資を明確に区別しており、投資からは直接満足感を得ることはなく、投資することで将来得られるお金を使い、将来消費を行うことで満足感を得ると考えます。
消費のためにお金を使ったときに得られるモノを、財といいます。たとえば、休憩時間にお金を支払って買ったコーヒーは、満足感を高めてくれる財です。
財は基本的に、自分の財産を増やしてくれるものではなく、購入して消費して満足感を高めて、おしまいです(長期間に渡り満足感を高めてくれる財:耐久消費財もあります)。
他方、投資のためにお金を使ったときに得られるモノを、資産といいます。たとえば、銀行にお金を預ける(=支払う)ことで、将来それに利息をつけて返してくれる預金・貯金は、資産です。
株式も、資産です。なぜなら株式とは、企業にお金を託しビジネスに活用してもらうことで、そこで得られた利益を配当として還元してくれるための証明書であり、将来のお金を得る手段だからです。。
投資とは、資産を買うことで、将来お金を増やすことを目的に行われる活動を言います。

投資には2種類:無リスク投資(安全資産)とリスク投資(危険資産)

将来お金を増やして返してもらう目的で、お金を支払う行為が投資であり、投資の「あかし」が資産です。
投資(資産)には2つの種類があります。
ひとつは、現時点で将来いくらお金が返ってくるかわかっているもの。これを無リスク投資(安全資産)といいます。
もうひとつは、現時点で将来いくらお金が返ってくるかわからないもの。これをリスク投資(危険資産)といいます。
無リスク投資はたとえば、絶対に破綻しない国に対してお金を貸した際にもらえる証明書(国債)がイメージしやすいでしょう。
リスク投資は、株式や投資信託など、いわゆる金融商品のほとんどが該当します。
リスク投資をする際に重要なポイントが、リターンとリスクです。
リターンとは、その資産にお金を投じたとき、将来どれくらい増えるかの度合いのことです。
リスクとは、リターンが想定する金額からどれくらいブレる可能性があるかの尺度です。
通常、リターンは大きいほうが(つまりたくさん増えたほうが)好ましく、また、リスクは小さいほうが(つまり想定からあまりブレないほうが)好ましいとされます。
リターンの想定のことを、期待リターンといいます(期待とは、確率論における期待値を意味しています)。
資産の期待リターンは通常プラスです。なぜなら、増える見込みのないものにお金を出すなんてことは、合理的な人であればするはずがなく、誰も興味を持たない資産が世に出回ることはないと考えられるからです。

投資とギャンブルの違い

消費と投資、無リスク投資とリスク投資の違いがわかったところで、本題です。
投資とギャンブルの違いは何なのでしょうか。

ギャンブルの消費的側面

第一に、ギャンブルには消費的側面と投資的側面があります。
どういうことかというと、ギャンブルという行為は、それ自体が満足感を得られる活動(消費)であり、かつお金を投じることで将来増えることを目論んでいる(投資)のだということです。
通常、投資は満足を生みませんが、ギャンブルは消費の対象になり、満足感を得られます。
したがって、「ギャンブルは投資に含まれる」のではなく、「ギャンブルは消費と投資の両方の性質を持つ」と考えられます。

期待リターン

第二に、ギャンブルとしてイメージされる活動の多くは、期待リターンがマイナスであるということです。
投資は通常、期待リターンはプラスです。マイナスならば誰にも欲しがられることはなく、市場から消えてしまうからです。
しかし、多くのギャンブルは期待リターンがマイナスです。たとえば宝くじの期待リターンは-54.3%ほど(当選金率45.7 %、参考URLリンク)であり、100万円買っても期待値の上では45.7万円(54.3万円の期待損失)にしかなりません。
投資は基本的にプラスリターンであると考えられている一方、ギャンブルはマイナスであるというのは、投資とギャンブルの大きな違いの一つです。
しかし、ギャンブルには前述の通り消費性(満足感を高める性質)がありますから、期待リターンがマイナスでも、欲しがる人はいなくならないのです。

まとめ

消費と投資、無リスク投資とリスク投資という経済学の考え方に触れながら、投資とギャンブルの以下の違いについて述べました。
  • 消費的価値の存在
    • 投資は(定義上)満足を生まない一方、ギャンブルは満足感を生む
  • 期待リターンの正負
    • 投資は期待リターンがプラスであるが、ギャンブルは多くの場合マイナス
投資とギャンブルには明確な違いがあり、統語の資産形成には投資が役立つことは言うまでもありません。
投資をギャンブルと混同せず、正しく理解して、資産形成を行っていきたいですね。
本記事の参考文献として以下を挙げます。投資初心者がまず何に投資すべきか、証券会社にどうやって口座を開けば良いのか、NISAやiDeCoなどの制度をどう利用したら良いのかという具体的な話に加え、本記事で述べたギャンブルの消費性についても触れられています。
タイトルに若干の胡散臭さを感じますが、金融理論に即した投資の基本が学べます。

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