社会人が数学を学ぶとき乗り越えるべき3つのハードル

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社会人で数学を学びたいという人が、私の周りで増えています。

AIやデータサイエンスの流行もあってか、新しい技術を理解するために数学を学び直したいというニーズがあるようです。

ただ、社会人が数学を学ぼうとするとき、いくつかのハードルに直面します。

この記事ではそんなハードルとその乗り越え方について解説します。

何から始めて良いかわからない

「数学を勉強したいんだけど」と社会人から相談される際に、セットで聞かれることが多いのが「何から始めたらよいか?」ということです。

高校・大学を卒業してしばらく数学から遠ざかってきた方からすると、この問いかけは重要です。

中学数学までさかのぼって復習したほうがいいのか、いきなり大学数学に手を付けても大丈夫なのか。どんな教材を使ったらいいのか、スクールなども検討したほうがいいのか。悩ましい問題です。

勉強したい理由が明らかなら、ゴールから逆算する

数学を再学習したい理由が明らかであれば、何をすべきかは比較的スムーズに決まります。

  1. 学びたい領域のテキストをぱらぱら読む
  2. わからない数学用語に出会う
  3. それを解説した簡易なテキストを探す

この手順を繰り返せば、手に取るべき教材を見つけられます。

もしかしたら、わからない数学用語を遡り続けて、中学や高校の内容がおぼつかないことに気づくかもしれません。その場合であっても、目的達成のための最短ルートが明確なので、モチベーションを落とさずに勉強が続けられることでしょう。

ただ、数学を学びたい理由がそう明確でない人も多いと思います。

とりあえず学び直したいなら、自分の理解を試すところから

具体的なイメージはないけれど、数学の素養はきちんと身に着けたいという方は、まず自分の数学の理解度を測るところから始めるのはいかがでしょうか。

理解度を測る方法として、検定試験を利用するという手があります。たとえば数学検定はトピックがレベル別に体系化されているので、数学力の測定に利用できます。

数学検定3級の試験問題がちんぷんかんぷんなら、中学数学の最初、もしくは算数の応用分野から始めるのがいいでしょう。

準1級の試験問題がおおよそ理解できるようなら、大学レベルの入門書や、数学をツールとして使う分野(統計学やら機械学習やら)のテキストに挑戦してみてもいいです。

「何から始めたらいいのか?」という質問は、実は自分の現状を知ることで、意外と答えが出るものです。

 

勉強の習慣がつかない、すぐ忘れる

数学は積み重ねがものを言います。

数学は、学んだことを基礎として、また新しい概念を導入する、ということの繰り返しです。九九がわからない人は割り算につまずき、ルートがわからない人は2次方程式でつまずきます。これはつまり、知識の定着なく前に進んでも、いつか理解が不安定になってしまうことを意味します。

学生のように規則正しく講義を受け、定期的に試験を受ければ、知識の定着は図りやすいといえます。しかし、社会人は忙しいので、数学の勉強を習慣化しづらいという問題があります。

また、勉強しても忘れてしまうのでは意味がありませんから、知識の定着のために問題演習をすることも大事です。覚えては忘れ、また覚えては忘れの繰り返しになってしまっては、ちっとも前に進めません。

知識の定着のため定期的に理解を問い、その習慣をつけるのは、個人のライフスタイルにも関わる部分なので、なかなか難しい問題です。

しかし、数学を学ぶ習慣をつけるのは、日々の時間の使い方の問題なので、比較的乗り越えやすいハードルと言えるでしょう。

SNSで勉強仲間を募ったり、朝や昼休憩の時間を利用して習慣づけることは可能です。私の知人にも、時間を上手くやりくりして数学資格の最高峰アクチュアリー試験に合格した社会人がいます。

時間の使い方にルールを課すのもよいです。朝の30分は数学の勉強に使うだとか、仕事終わりに直帰せず問題に取り組んでから帰るといったふうに、数学を学ぶためのマイルールを作るのがおすすめです。

勉強スケジュールを立てるとき、読み進めたページを目標にしない

一点注意があります。それは読み進めたページを目標にしないということです。「成果を目標にしない」と表現してもいいでしょう。

数学を勉強する際のルールとして「テキストを1日5ページ読む」というルールを自分に課したとしましょう。その場合、その日の目標を達成するために、不十分な理解のまま先に進んでしまう日がきっと出てきます。

数学は、理解せずに進むと、すぐに立ち行かなくなります。「わかったことにして先に進もう」と考えるのは危険であり、すぐに復習せざるを得なくなります。

そうなると1日5ページという目標はどんどん達成困難なものになり、最終的に心が折れます。

数学書を読んでページをめくる、というのは、数学を理解したことによる成果です。成果を目標にすると、自分の首を絞めます。

もちろんこうした目標設定が自分を奮い立たせるのだという意見もあるでしょう。しかしその重圧でせっかくの学習モチベーションを台無しにしてしまっては元も子もありません。

個人的には、1日〇ページという成果ベースの目標よりも、1日〇分というような投入ベースの目標の方が適していると感じます。

 

勉強したあとの役立ちがイメージしづらい

数学は抽象的な学問です。グラフの下側の面積や解と係数の関係が、日常生活のなんの役に立つのか、すぐにはわかりません。

そして、自分の人生に役立つかわからないことにじっくり時間を使えるほど、私たちはヒマではありません。

社会人として活躍しているなら、自分の得意な分野、活躍できる機会を見つけている人も多いでしょう。そういう人にとって、数学を学ぶ機会コストはそれなりに高いといえます。

数学を学ぶなら、その機会コストを上回る便益がないといけません。数学を学ぶご利益(ごりやく)が知れていることは、社会人の数学学習にとっての必要条件と言えます。

勉強したいことが明確なであれば、数学学習の先をイメージしやすいでしょう。ただ、漠然と数学を学びたいという人にとっては「役立ちがイメージしづらい」のは、モチベーションの維持を難しくします。

数学の各分野を学んでどんなうれしいことがあるのかは、ネットで「三角関数 何に使う」とか「内積 役立ち」などと検索して、活用例を見てみるといいでしょう。知識を得た自分がどんな課題を解決できるのか知ることで、やる気がわいてきます。

また、近くに数学に詳しい人がいれば、その人に聞いてみてもいいです。私もTwitterで数学とビジネスについて発信しているので、もしよければ質問をお寄せください。

まとめ

この記事では社会人の数学学習のハードルになる3つのことについて、その解決策とともに解説しました。

  • 何から始めていいかわからない
  • 習慣化できない・忘れてしまう
  • 役立ちがイメージできない

数学はコツコツと努力することが力になる学問です。

この記事を読んでくれたあなたが、楽しんで数学を学べるよう、祈っています。

参考文献

高校数学の内容に不安のある人は、中学数学を手短にでもいいので学ぶと、不安が消えます。以下のテキストは高校数学を学ぶ前の予習に役立ったという口コミが寄せられた書籍です。

高校数学の内容は、以下のテキストにまとまっています。最近の課程では扱われなくなった行列に関する内容を含んでいる点がおすすめポイントです。図が豊富で式展開も丁寧なので、独学に使えるでしょう。

 

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