数理モデルとは抽象化である

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『具体と抽象』という本は、さまざまな視点から抽象思考のメリットを紹介し、ものごとを抽象的に考える方法論を解説しています。

この記事ではそんな抽象思考の一例として、数理モデルによる分析を取り上げます。


抽象化とは、個々の具体的な対象に共通することを抜き出して、まとまりとして捉えることです。裏を返せば、個々の具体的な対象たちがもつ細かな差異は捨象するということでもあります。

この考え方は学術研究における数理モデルの位置付けと全く同じです。

数理モデルでは、現実の出来事のなかで考察したい性質を抜き出して、それを簡潔な数式で表現します。

そうすることで現実の具体的な問題を単純化し、数学的な解を導くことが可能になります。

数理モデルという抽象的な対象を考察することで、具体的な課題たちに共通する一般的な性質を突き止め、その課題をまとめて解決することができます。

〇〇の定理や〇〇の公式が得られれば、個別具体的な多くの課題に対して解決の糸口を与えられるので、効率がよいのです。

参考文献『具体と抽象』では物理学の例から、数理モデルとしての抽象化について解説。

そこでは、熱や運動や高さが持つ具体的な「力のみなもと」のあり方を「エネルギー」として抽象化し、エネルギー保存の法則という1つの法則が共通の法則として存在していることを述べています。

経済学や会計学の世界でも、数理モデルを用いた現実問題の解決は数多く行われています。

もちろん、数理モデルにおける仮定は必ずしも現実に当てはまるとは限りません。また、数理モデルでは捨象されてしまった性質が、現実には極めて重要な意味を持つ場合もあります。

そういった「理論と現実のギャップ」を埋めるのは、極めて重要な手続きです。

 

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