会計は様々なものにたとえられます。会計を数学の「写像」にたとえることは有名で、このブログでも何度か取り上げています。
【参考記事】
この記事では「会計は言語である」というアナロジーと、会計という言語の学び方について述べます。
会計は「事業の言語」である
伊藤邦雄先生の『新・現代会計入門』には、会計は「事業の言語」だと述べられています。
言語とは広い意味での情報伝達手段です。
通常の意味での言語は、人の思考や感情を他者に伝える際の決まりごと(プロトコル)として機能します。
会計も同様です。
企業などの経済主体が行う経済活動は、会計という言語に乗せることで、企業内外の利害関係者に伝達できるのです。
会計は複雑な経済事象を抽象化し表現することで、利害関係者に伝達する手段として機能するので、言語にたとえられるということですね。
会計がわからないということは、言語を知らないということ
私たちが外国語を勉強する際に、その外国語を習熟していないことによる「不快感」を味わうことになります。
伝えたいことがあるのに適当な言葉が思い浮かばなかったり、構文がわからず正しいニュアンスを伝えられなかったりすると、コミュニケーション上の「不快感」を味わいます。
会計学にも同じ現象が起こります。
つまり、会計の語彙や文法ルールを理解しないと、会計情報に触れても、意図が読み取れなかったり誤解してしまったりします。
会計も言語も学び方は同じ
会計が「事業の言語」であるなら、会計を学ぶ際にも、外国語を学ぶ際の勉強の仕方が役に立つのではないかと考えられます。
私たちが海外の言葉を勉強する際には、単語の暗記、リスニングの訓練、スピーキングの練習をします。それと同様に、会計の勉強においても、専門用語を覚えたり仕訳を行う練習をすることがとても重要です。
そういった基礎的なトレーニングを行うことで、会計という言語が身につき、会計情報から企業の実際の活動を適切に把握することができるようになります。
努力をしなくても英語が話せるようにはならないのと同じで、会計を勉強する際にも地道な基礎訓練は避けては通れません。
しかし、一度そういった会計の語彙や文法を身につけたなら、会計から得られる情報は格段に上がりますし、理解の正確さも上がるでしょう。
泥臭い地道なトレーニングを嫌がらずに、会計という「事業の言語」を学ぶ気持ちが大事です。
参考文献
この記事は以下のテキストを参考にしました。会計の基本的考え方や、各トピックの歴史的な経緯、実務的な論点など、会計人材として活躍するための基礎が身につく良い教科書です。