利益のコントロール手法としての会計政策

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企業は様々な理由から,利益をコントロールしたいという動機を持ちます。

利益は会計処理の結果として算出されるものですから,利益のコントロールには会計的な操作を伴います。

この記事ではそうした利益操作の方法である技術的会計政策と実質的会計政策を説明します。

会計政策とはなにか

企業は様々な理由から,利益をコントロールしたいという動機を持ちます。たとえば株価を高く保って資金調達を有利に運びたいという利益増大の動機があったり,税負担を小さくするために利益を圧縮したいという動機があったります。

こうした利益操作の手段のひとつに,会計政策があります。

会計政策とは,一般に公正妥当と認められた会計処理のなかで選択が認められるものについて,一定の目的を達成するために最適なものを選択したり変更したりすることによって,会計数値を意図的にコントロールすることです。

会計政策には,会計処理を選択することで会計数値を直接操作する技術的会計政策と,会計数値につながる事業活動を操作することで会計数値を間接的に操作する実質的会計政策とがあります。

技術的会計政策

技術的会計政策は,会計方針の変更によって会計数値を直接制御しようとすることです。

たとえば,有価証券の保有目的を変更したり,固定資産の減価償却方法を変更したりすることで,利益をコントロールしようとする動きが,技術的会計政策にあたります。

技術的会計政策は,ときに不適切な会計行動とみなされます。会計方針をみだりに変更することは企業会計において認められていないため,あまり恣意的に行おうとすると,監査人に指摘を受けることになります。

実質的会計政策

実質的会計政策は,事業活動を制御することで間接的に会計数値をコントロールすることです。

たとえば,投資有価証券や固定資産を売却することによって,営業外損益や特別損益を増減させ,経常利益や当期純利益を捻出しようとする動きが,実質的会計政策にあたります。

実質的会計政策は,現実に事業活動を伴っているという意味で,技術的会計政策とは大きく異なっています。しかし,実質的会計政策が利益操作のための形式的活動に過ぎず,取引の前後で経済的実体が変わっていない場合(たとえば,資産を売却し損益を計上した後,すぐに買い戻すなど)には,不適切な会計処理とみなされる場合があります。

まとめ

会計利益は企業の収益性がそのまま表れているのではなく,技術的・実質的会計制作によってコントロールされていると理解するのが適切です。

会計政策は常識の範囲内で多くの企業が実行に移しているものと考えられますが,あまりに恣意的な適用は,不適切な会計とみなされる場合があり,注意が必要です。

参考文献


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