「やらんかいマネジメント」が管理会計を台無しにする

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この記事では,日本企業に見られる「やらんかいマネジメント」という好ましくないマネジメント方法に関して説明します。

管理可能性原則という管理会計の基本的な前提について触れたあと,やらんかいマネジメントの定義とその危険性について述べます。

管理可能性原則

利益やコストに関する責任を管理者(マネジャー)に問うのは,それらが管理可能な場合に限るべきという考え方を,管理可能性原則といいます。

管理可能性原則に従うなら,想定外の事象に管理責任を問うのは不適切です。たとえば強力な競合他社の登場により自社商品の需要が激減し利益が目標を下回ったり,予期しない市場環境の変化によって製品の材料費が高騰したりするケースは,想定外の事象といえます。

計画にない想定外の事象は,管理可能でありません。したがって,管理可能性原則に則れば想定外の結果として起こるネガティブな結果をマネジャーに問うのは不適切といえます。

やらんかいマネジメントとその危険性

日本企業では,こうした想定外の事象に対しても責任を追わせる傾向があるといいます(『業績管理会計』谷・小林・小倉[2010],p.334)。

彼らはこうしたマネジメントのあり方を「やらんかいマネジメント」と呼び,次のような危険性があると述べています。

やらんかいマネジメントは,プロジェクトのマネジャーの計画実行への動機付けを削ぐだけでなく,計画に多くのスラックを入れることを動機付け,ひいては管理会計プロセスを台無しにしかねない

マネジャー自身が管理できない問題に対して責任を負うようなマネジメントが行われると,管理会計上のいろいろな不都合が表れます。

やらんかいマネジメントのもとでは,マネジャーは想定外が起きても目的を達成できるように,あらかじめ目標を低く見積もったり,必要資源を多く申告したりします。これをスラックといいます。

スラックは想定外が生じたときのバッファとして機能するというポジティブな側面もありますが,一方でより効率的な作業を追求する動機付けを損なうなど,ネガティブな側面もあります。

過度なスラックは,業績評価や効率測定の指標を歪めるため,管理会計上は避けるべきと考えられています。

しかし,やらんかいマネジメントはこうした不適切なスラックを生じさせる原因になり,ひいては管理会計プロセスを台無しにしかねないというわけです。

参考文献


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