複式簿記という言葉を初めて使った人物はルカ・パチョーリではなかった

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複式簿記という言葉を初めて使った人物は「会計の父」ルカ・パチョーリではありませんでした。

複式簿記という言葉を初めて使った人物,その名はベネデット・コトルリ。パチョーリと同時期のイタリアに生きた商人です。

コトルリは,ルカ・パチョーリの『スンマ』よりも36年早く、複式簿記について記しています。

もっともコトルリの原稿が出版されるのは,執筆から実に115年も経った1573年のことでした。それより80年余前の1494年には,すでにかの有名な『スンマ』が出版されています。

複式簿記の理論は『スンマ』をもとに発展し、パチョーリは「会計の父」と呼ばれるようになりました。有名さという意味では、コトルリはパチョーリの後塵を拝する格好となっています。

しかし,コトルリは複式簿記という言葉を初めて用いた[片岡 2018]という意味で,歴史的な意義は大きいと言えます。

複式簿記の祖としてのコトルリは,簿記の理論研究においてもその名が挙がることがあります。

Ellerman[2014]では,T勘定図の集合がなす代数構造を指して,会計の父と複式簿記の祖の両方の名前をとり,パチョーリ・コトルリ群とも呼んでいます。

参考文献

片岡 泰彦, 2018, 「複式簿記起源論再考」, 『経済論集』大東文化大学 http://opac.daito.ac.jp/repo/repository/daito/52316/

Ellerman, D., 2014. On double-entry bookkeeping: The mathematical treatment. Accounting Education, 23(5), pp.483-501.

ベネデット・コトルリ – Wikipedia 

【君の知らない複式簿記7】T勘定とパチョーリ群

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