複式簿記のフラクタル構造について,Twitterでこんなコメントをいただきました。
簿記を仕訳数の多次元でとらえたらフラクタルになりそう。
— ケイバリュエーション☻ (鈴木健治) (@info_kvaluation) June 15, 2021
この記事では複式簿記のフラクタル構造についてアイデアを整理します。
会計情報の細分化という着眼点
情報の細分化を無際限に行えるという意味で,フラクタルな会計情報を指向しようという実務的着想があります。
#3 マネフォで経営と現場を繋ぐデータ分析/管理会計フレームワーク「Management by Fractal」|酒井亮輔@マネーフォワード データ分析のお兄さん
フラクタルな≒必要とあらばいくらでもブレークダウンできるような情報を単一の情報ソースとして保持しておくことで,財務や管理といった異なる目的にも整合性を保ったまま利用できるということです。
ただ,フラクタルな会計情報データベースを実務的にどう構築するかというのは悩みです。現実世界の取引情報を会計データベースに反映する際には,どうしても情報の欠落が生じます。そうなると,それよりも細かな情報にブレークダウンするのは難しくなります。
現実には会計データの認識の最小単位という細分化の限界が存在します。それ以上分割不能な,いわば「会計原子」とでもいうべき最小の情報単位の存在は,会計情報を考える上で重要になりそうです。
会計情報の相関関数
フラクタルは統計的な方法でも定義できます。
高安[1985]ではフラクタル次元を定義する方法として,相関関数や分布関数を用いた方法を提示しています。
会計情報は確率論の言葉で定式化できそうですから,そのフラクタル構造も統計的アプローチによる方が都合がいいかもしれません。
高安秀樹 (1985-09-20). “フラクタルの物理” (PDF). 物性研究 44 (6): 885-981.