ニーズ・ベースの研究,シーズ・ベースの研究

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この記事では研究におけるニーズとシーズの考え方について説明します。シーズとは研究において解決したい課題のことであり,ニーズとは何らかの解決手段のことです。

何を解決したいのかをまず考える

教科書を読んで面白い分析手法や方法論について勉強したとします。

研究ではそれを何に使うか,何に活用するかという視点がとても大事になってきます。

何に使いたいかによって,その手法や方法論をどう改良し発展させていくか,その方向性が決まります。

重要なのは,課題意識がまずあって,それに対して道具を準備するのだということです。今できていないことを可能にするだとか,問題のあることを改善するだとか,そういう課題感に基づいて道具に向き合うことで,研究の方向性を見失わずに済みます。

課題ドリブンで学ぶ

ニーズとシーズ

「ニーズ・ベースで考える」というフレーズが,このような研究アプローチを端的に表現しています。

ニーズとは,何かを必要とする気持ちです。マーケティングの世界では,消費者が欲しいという気持ちや,消費者が解決したい課題を,ニーズという言葉で表しています。経営学における「マーケット・イン」の考え方にも通じるものがあります。

ニーズとシーズとは?マーケティングに欠かせない2つの視点を解説

ニーズ・ベースの対義語は,シーズ・ベースです。シーズ・ベースとは,すでに持っている技術や知識を活用しようというアプローチをいいます。経営学における「プロダクト・アウト」の考え方と似ています。

シーズとは種のことです。すでに持っている研究の種をまいて,それを成長させ果実を得る,そんなイメージです。

ニーズ・ベースとシーズ・ベース,どちらのアプローチによって研究を進めるかには,正解はありません。しかし,研究価値を他人に理解してもらうには,他人と共有できる課題を解決したという役立ちがあったほうが良いでしょう。

特に社会科学は,人間社会における諸課題を解決するという大きな目的がありますから,会計学や経済学の研究においてシーズばかりに目がいってしまうと,その研究は評価されにくくなるかもしれません。

 

課題,ニーズの見つけ方

自分の経験や知識のない分野でニーズを発見するのは難しいことです。必要であれば経験を広げたり知識を広げるといったことが必要になるでしょう。

しかし,ひとたび問題意識を持つことができれば,それを解決したあとの理想像を掲げることができます。そしてその理想と現状の差を知ることによって,自分の研究の方向性が見えてきます。

研究上の課題やニーズには,それを解決したいという強い熱意が必要で,それは自分の知識や経験に基づいて湧き上がってくるものです。

日頃から「課題はなんだろう?」と考え続けることで,研究テーマにふさわしい問題意識が醸成されます。

書籍『独学大全』の第7章には,ニーズの見つけ方に関連するテクニックが説明されています。「知りたいことを発見する」という章で,独学者が何を学ぶかを見つけるための方法論を解説しています。その方法論は研究課題を見つけるのにも役立ちます。


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