1960年代の会計の数理研究
1960年代に会計や複式簿記に対する数学的な研究が進みました。当時はコンピュータの黎明期であり,会計をIT環境に載せるという社会的な課題感がありました。その期待に応えるべく,会計学者は簿記や会計を数学の言葉で表現することで,簿記や会計をコンピュータに実装する礎を築きました。
こういった歴史的背景を踏まえながら,今日において会計や簿記を数学的に研究することの意義を考えるのは重要です。
今日のIT技術と問題意識
今や複式簿記を用いた会計はIT技術なしには成り立っていません。コンピュータによって会計帳簿を作成することは,会計実務の前提となっています。
そんな現環境において,1960年代当時のようなモチベーションで会計や簿記の数学的研究を進めるのはあまり得策ではないかもしれません。時代の変化を認識し,今日の社会環境に合うような目的意識で簿記や会計の数学的研究を進めていく必要があります。
例えば,クラウド会計システムなどは比較的新しい技術であり,今日の会計を支えています。クラウド会計システムならではの問題や課題が見つかれば,それを数学的に表すことで,現代的な課題を解決することにつながります。
ここでも,現状をよく理解し問題意識を持つことが重要といえるでしょう。