テクノロジー

年金が「目標を達成できない確率」を統計プログラミング言語Rで計算してみた

こんにちは、毛糸です。

前回、年金ポートフォリオのリスクとリターンを、統計プログラミング言語Rを使って計算してみました。
参考記事:年金のリスクとリターンを統計プログラミング言語Rで計算してみた

今回は前回のコードを少し応用して、私たちの年金ポートフォリオが「目標を達成できない確率」を計算してみたいと思います。

年金運用の目標

私たちの年金資産の運用を所管する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、私たちの年金が安定的かつ効率的に運用されるようなポートフォリオを組み、年金資産を運用しています。

「基本ポートフォリオの考え方」(外部リンク)に記載されている通り、2014年には年金運用の中期目標が見直され、以下のような考え方のもと運用が行われることとなりました。

年金積立金の運用は(中略)財政の現況及び見通しを踏まえ、保険給付に必要な流動性を確保しつつ、長期的に積立金の実質的な運用利回り(積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたものをいう。)1.7%を最低限のリスクで確保することを目標とし、この運用利回りを確保するよう、積立金の管理及び運用における長期的な観点からの資産構成割合(基本ポートフォリオ)を定め、これに基づき管理を行うこと。

ここに書いてあるとおり、年金運用は資産の運用利回り(リターン)から名目賃金上昇率を控除した実質的な運用利回りを1.7%確保することを目標としています。

本記事では統計プログラミング言語Rを用いて、年金運用がこの目標を達成できない確率を計算してみようと思います。

Rの使いかたに関しては前回の記事「年金のリスクとリターンを統計プログラミング言語Rで計算してみた」を参照するか、もしくはより深い理解をしたい方には、下記書籍をおすすめします。

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d.id=a,e=c.getElementsByTagName(“body”)[0],e.appendChild(d))})
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年金ポートフォリオと名目賃金上昇率

「基本ポートフォリオの考え方」(外部リンク)で提供されている「【参考資料】年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更(2014年10月31日)」[PDF:249KB](以下の画像は断りがなければこちらからの引用です)には、年金ポートフォリオが投資する各資産の期待リターンと名目賃金上昇率が載っています。

Rに以下のように入力し、リターンと賃金上昇率のベクトル(期待リターンベクトル)を作成します。

#各資産クラスの期待リターン(実質、経済中位) 

mu<-c(2.6/100, 6.0/100, 3.7/100, 6.4/100, 1.1/100,2.8/100)

同様に、各資産と賃金上昇率のリスク(標準偏差)と相関についても、以下のように入力します。

#各資産クラスの分散(標準偏差の2乗) 

sigma<-c(4.7/100, 25.1/100, 12.6/100, 27.3/100, 0.5/100,1.9/100) 

#相関行列

Rho<-rbind(

     c(1,-0.16,0.25,0.09,0.12,0.18),

     c(-0.16,1,0.04,0.64,-0.1,0.12),

     c(0.25,0.04,1,0.57,0.15,0.07),

     c(0.09,0.64,0.57,1,-0.14,0.10),

     c(0.12,-0.1,-0.15,-0.14,1,0.35),

     c(0.18,0.12,0.07,0.10,0.35,1))

年金ポートフォリオの実質リターン

年金ポートフォリオは、以下のような資産配分で投資が行われます。
  • 国内債券(期待リターン(r_1 =2.6%))に35%(これを( w_1)とおく)
  • 国内株式(期待リターン(r_2 =6.0%))に25%(これを( w_2)とおく)
  • 外国債券(期待リターン(r_3 =3.7%))に15%(これを( w_3)とおく)
  • 外国株式(期待リターン(r_4 =6.4%))に25%(これを( w_4)とおく)
  • 短期資産(期待リターン(r_5 =1.1%))に0%(これを( w_5)とおく)
このとき年金ポートフォリオの期待リターン(mu_{PF} )は

[ begin{split}
mu_{PF}=sum_{i=1}^5 w_i r_i
end{split} ]と書けます。

実質リターンはここから名目賃金上昇率(これを( r_w)とします)を差し引けばよいので、年金ポートフォリオの実質期待リターン( mu_{Real})は

[ begin{split}
mu_{Real}=mu_{PF}-r_w
end{split} ]となります。

Rではこれを以下のように記述します。

#ポートフォリオから名目賃金上昇率を控除する実質ポートフォリオのウエイト

weight_Real<-c(0.35,0.25,0.15,0.25,0,-1)

#ポートフォリオから名目賃金上昇率を控除した実質リターン

(mu_Real<-weight_Real%*%mu)

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年金ポートフォリオの実質リスク(標準偏差)

同様に、リスク(標準偏差)についても計算します。

前回の記事「年金のリスクとリターンを統計プログラミング言語Rで計算してみた」と同じく、分散ベクトルと共分散行列から、分散共分散行列を作成します。

Rでは以下のように記述します。

#実質標準偏差
Var_Real<-weight_Real%*%Sigma%*%weight_Real
#ポートフォリオのリスク(標準偏差)
sigma_Real<-Var_Real^0.5
これでポートフォリオの実質リスク(標準偏差)が計算できました。

年金ポートフォリオの目標が達成できない確率と下方確率

各資産の収益率と賃金上昇率が、以上で述べたような期待リターンベクトルと分散共分散行列をもつ多次元正規分布に従うと仮定すると、年金ポートフォリオの実質収益率も正規分布に従うことがわかります。

正規分布の性質や計算方法について詳しく知りたい方は、下記参考文献を参照してください。

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||c.scripts[c.scripts.length-2];(b[a].q=b[a].q||[]).push(arguments)};
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年金ポートフォリオの実質リターン(名目リターンから賃金上昇率を控除したもの)を( r_{Real})とすると、( r_{Real})は平均( mu_{Real})、分散(sigma_{Real}^2 )の正規分布に従います。

したがって、年金ポートフォリオが目標となる実質利回り1.7%を達成できない確率( P(r_{Real}<1.7%))は、計算以下のように計算できます。

#目標達成できない確率
pnorm(1.7/100,mean=mu_Real,sd=sigma_Real)
結果は49.8%でした。
目標を達成できない確率が約半分というのはオカシイと思われるかもしれませんが、この目標は期待リターンが1.7%を上回るようなギリギリのラインとして設定されたものなので、こういう結果になって当然です。
なお、資料には名目リターンが賃金上昇率を下回る確率(下方確率)も記載されています。
こちらは実質利回り( r_{Real})が0以下となる確率( P(r_{Real}<0))を意味するので、以下のような計算で求められます。
#下方確率
pnorm(0,mean=mu_Real,sd=sigma_Real)

計算結果は0.444(44.4%)で、上記資料と一致しています。

この確率は名目リターンが賃金上昇率を下回る確率であり、運用によって給付の伸びを賄えない状況ということです。

まとめ

年金ポートフォリオが運用目標利回りである1.7%を超えられない確率は49.8%でした。

また、名目リターンが賃金上昇率に達しない確率(下方確率)は44.4%でした。

年金に関しては、最近金融庁が示した報告書でその制度の存続性に疑問が投げかけられており、議論の的となっています。
参考記事:【年金は頼れない?】「高齢社会における資産形成・管理」を読んだあとに私たちが取るべき行動

年金制度の今後について議論する際には、本記事のような科学的・数理的検知からの判断も考慮できるとよいのではないでしょうか。

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「複利の効果」にまつわる2つの致命的な誤解

こんにちは、毛糸です。

資産運用について勉強する際、必ずと行っていいほど目にする言葉、それが「複利の効果」です。

「複利の効果」とは、利息に利息がつくことで、資産が雪だるま式に増えていく仕組みのことで、アインシュタインはこれを「人類最大の発明」と呼んだとも言われています。

しかしこの「複利の効果」については、多くの文献で誤解を招く表現がされており、投資初心者に間違った解釈を与えています。

今回はそんな「複利の効果」にまつわる2つの致命的な誤解について説明します。

なお、本記事は下記書籍を参考にしていますので、合わせて参照してください。

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高い利回りは確定したものではない(リスクの存在)

「複利の効果」に関する文献でこんな例を見たことはないでしょうか。

  • 定期預金の年率0.01%で100万円を20年間運用しても100万2千円にしかならない
  • もし年率5%で運用できれば、20年後には265万円にもなる
こういう文献では、「複利の効果」を実感させるために、高い利回りを例に出すことが多々あります。
しかし、投資において、年利数パーセントという高い利回りを、長期に渡り安定的に実現させるのは不可能です。
投資において利回り(リターン)はリスクに見合う報酬として、期待値の意味で高くなるものです。
期待値の意味で、とは、実現するリターンは高かったり低かったリスクけれども、平均すると、という意味です。
したがって、期待値の意味でリターンが高くとも、実現するリターンが高いとは限りません。
日本株の期待リターンは5%前後と言われていますが、バブル崩壊やリーマンショックの際には-40%超のマイナスとなりましたし、
比較的期待リターンが高いと言われている新興国株式は、現在の私の投資状況においては、悲しいことにマイナスリターンとなっています。
このように、高い期待リターンが見込める資産は、マイナスになる可能性もはらんでいます。
「複利の効果」をうたうときに、高いリターンを例にしている場合は、そのリターンが安定的に得られると考えてしまいがちですが、それは大きな誤解です。


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複利によって損が増幅する可能性がある

「複利の効果」は利息に利息がつく仕組みですが、前述の通り投資にはリスクがあります。
したがって、運悪くリターンがマイナスになることもあります。
「複利の効果」は、このマイナスのリターンを増幅する作用があります。
こんな例を考えてみましょう。
100万円を投資し、ある時点で10%のリターンが得られたとしましょう。
このとき得られたリターン10万円を再投資すれば「複利の効果」が得られると考えられます。
しかし、もし次の時点で運悪くマイナスのリターンが実現した場合はどうなるでしょうか。
たとえば実現リターンが-10%であった場合には、「複利の効果」を期待して再投資した場合、110×(1-10%)=99万円になります。
一方、前期のリターン10万円を再投資せず、ポケットに入れておいた場合には、投資額は100万円×(1-10%)=90万円になりますが、ポケットの10万円と合わせて資産総額は100万円のままです。
この場合「複利の効果」を期待して再投資したのに、むしろ資産が減ってしまっています。
この例からわかることは、「複利の効果」は必ずしも資産を増やすとはかぎらず、リターンの実現値によっては、むしろ損になることもあるということです。
投資はリスクから逃れることは出来ませんから、マイナスリターンが実現する可能性も十分にあります。
「複利の効果」をうたう文献では、こういうネガティブな例には全くと言っていいほど触れていませんので、「複利の効果」は無条件に良いものと誤解しがちです。
しかし、リターンの実現地がマイナスである場合には、「複利の効果」は裏目に出るのだということを認識しておかなくてはいけません。


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まとめ

資産運用で重要な「複利の効果」に関する2つの誤解について説明しました。
「複利の効果」は利息が利息を生む大切な仕組みですが、高いリターンが安定的に獲得できるわけではなく、また運が悪ければ損を増幅する作用があります。
こうした負の側面も正しく理解しながら、資産運用と向き合っていきましょう。
以下の書籍は今回触れたような「複利の効果」の負の側面にも言及している、大変優れた投資入門書です。
資産運用の正しい理解を得たい人は、是非読んでみると良いでしょう。

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d.id=a,e=c.getElementsByTagName(“body”)[0],e.appendChild(d))})
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【君の知らない複式簿記2】複式簿記の拡張、三式簿記

こんにちは、毛糸です。

先日こういう呟きをしました。

最近、複式簿記というものについてとても興味を持っており、いろいろ調べております。

今回は、複式簿記の拡張とその例、三式簿記についてお話します。

複式簿記の拡張とはなにか?

「複式簿記の拡張」というのは壮大な試みです。

複式簿記は12世紀頃に生まれたとされ、14世紀の数学者ルカ・パチョーリが著書の中で取り上げたとされています(Wikipedia)。

それから数百年の時が流れ、複式簿記は未だに会計を支える基幹技術として、ビジネスマンの必須スキルとされています。

長きに渡り人類の営みを支えてきたそんな複式簿記ですが、単純な疑問として、複式=貸借の二式簿記は、それ以上の次元に拡張することは出来ないのか?と考えてしまいます。

 

「複式簿記の拡張」として考える際にまず思い浮かべるのは、借方貸方に次ぐ第三の「方」です。

借方貸方の2方向のバランスを、3方向のバランスにするという拡張が思いつきます。

これを勝手に「方向的三式簿記」と呼ぶことにすると、貸方借方ほにゃらら方の3方向にバランスする(3方向の重心が零点になる)と考えられそうですが、この第三の「方」が何を意味するのかは、ちょっとよくわからないですね。

複式簿記においては、貸借対照表の借方貸方が資金の運用と調達という意味付けができますが、この「方向的三式簿記」については、概念としては成立しつつも、意味付けが難しい気がします。

このように、複式簿記の拡張は、それほど簡単なものではないのです。

 

しかし、「複式簿記の拡張できるのか?」もしくは表現を変えて「複式簿記は完成された概念か?」という疑問について、熱心に取り組み一定の成果を挙げた学者がいます。

 

それが、日本人の公認会計士として、アメリカ会計学会の会長を務めた井尻雄士先生です(Wikipedia)。

 

井尻先生の研究については、大藪「<研究ノート>複式簿記から三式簿記へ : 井尻雄二著「三式簿記の研究」を中心にして」(外部リンク)によく整理されています。

 

以下では上記資料を眺めつつ、井尻先生が「複式簿記の拡張」として提唱した三式簿記について述べたいと思います。

 

時間的三式簿記

複式(二式)簿記を三式簿記に拡張するには、まず複式簿記の二次元性がどこからくるものかを理解する必要があります。
複式簿記の二次元性は結局、

財産=資本

という等式に基づいていると井尻は考えました。
ならば、別の等式を新たに加えれば、三式簿記への拡張が出来るのではないか?という考えが生まれます。
井尻先生はここで財産=資本という等式を

現在(財産)=過去の累積(資本)

と解釈しました。BS=現在、PL=過去ととらえた、と言ってもいいでしょう。

こう考えるならば、自ずともう一つの等式が何であるべきかが見えてきます。

現在、過去に続くもう一つの要素、そう、未来を表す財務諸表を加えればいいのです。未来を表す財務諸表=予算計算書を導入することで複式簿記を拡張したものが「時制的三式簿記」と呼ばれるものです。

未来を表す情報、すなわち予算計算書を考えることが、複式簿記の第一の拡張です。

 

しかし、その後時制的三式簿記は「複式簿記を2度適用したもの」にすぎないことが、井尻自身によって看破されました。

 

未来を考えるといっても、それはあくまで1つの時間軸上の話であるから、「複式簿記の拡張」と呼ぶにはやや心許ないということです。

 

微分的三式簿記

時制的三式簿記に限界を見出した井尻先生は、別の確度から「複式簿記の拡張」を試みます。
井尻先生は、1次元と2次元の対応関係が、2次元と3次元の対応関係と並ぶような「次元の拡張」を試みました。
そのような考えで得た次なる視点は、

財産=資本

という等式を

ストック=フロー

という等式として見る、ということです。
ここで、フローはストックの変分を意味すると考えます。
より一般に、フローをストックの「微分」概念と捉えることにより、複式簿記の拡張の緒になるのではないかと井尻先生は考えました。
いわば
\begin{equation} \begin{split}
\mathrm{dBS}=\mathrm{PLd}t
\end{split} \end{equation}
という関係式です。
こう考えることにより、資本の微分(財産の2次微分)概念を新たな次元として、複式簿記を拡張できるのではないかと思い至ります。
離散的に考えれば、損益の2期比較が新たな次元ということになります。
これを利力・利速と呼びます。
実務的には、PLの前年同期比が開示されまするが、これはまさに利力に関する開示情報と言えます。
こうして

財産=資本(の積分)=利力(の積分の積分)

として、複式簿記は拡張されます。
これが微分的三式簿記です。
微分的三式簿記における
  • 財産
  • 資本
  • 利力
は、ニュートン力学における
  • 位置
  • 速度
  • 加速度
に対比されます。

井尻先生は、損益(PL)をBS項目の変化ととらえるところから、拡張を試みました。

BSの差分(極限の世界での微分)としてPLを定義することで、複式簿記は拡張したのです。

井尻先生が発見した微分的三式簿記は彼自身によって「利速会計」と呼ばれ、企業の業績評価に利用できる新しい会計として本にもなっています。

ブロックチェーン的三式簿記

近年、「複式簿記の拡張」とは別の側面から「三式簿記」と呼ばれる概念が生まれました。
それが「ブロックチェーン的三式簿記」です。

これは、取引の当事者2者に加え、当該取引をブロックチェーンに記録することで、会計情報の正確性を担保しようとする試みのことです。

ブロックチェーン的三式簿記は会計情報の正確性や透明性を高める新しい手法として注目されていますが、複式簿記という技術そのものを再定義するものではなく、複式簿記を用いた会計情報の記録手段と考えられるので、私はこれを「複式簿記の拡張」とは位置づけていません。

 

井尻の三式簿記は「複式簿記の拡張」と呼べるか?

時制的・微分的三式簿記を発見した井尻先生は、複式簿記の拡張に際して考慮すべき2つのポイントを挙げています。
1つが旧システムの保存性=拡張された簿記が複式簿記を包含すること、もう1つが新システムの必然性=旧システムから論理的に導かれるものであることです。
井尻先生が自ら結論づけているように、時制的三式簿記は「三式簿記ではない」のですが、微分的三式簿記は保存性・必然性を満たす「複式簿記の拡張」になっているように思えます。

しかし、利力という新たな会計概念の理解や測定といった実務的困難さゆえ、現状有用なものとはみなされていません。

複式簿記が会計計算技術であるという前提に立てば、微分的三式簿記はその概念の普及と利力の測定インフラの整備が必要です。

終わりに

現代の日本の会計研究界において「複式簿記の拡張」というテーマに取り組んでいる研究者はどれくらいいるのでしょう。
社会に広く浸透している複式簿記は、果たして完成された概念なのか、それとも更に高い次元に至る可能性を秘めているものなのか、個人的にじっくり研究していきたいと考えています。

最近読み進めている『Algebraic Models For Accounting Systems』という書籍は、複式簿記の代数的構造に着目した、異色の会計専門書です。

複式簿記そのものが持つ構造・性質を深く理解すれば、複式簿記の拡張も可能になるかもしれません。

私は、井尻先生に挑戦したいと思います。

オリジナルの仮想通貨を作りたい!アイデアと方法について

こんにちは、毛糸です。

最近、仮想通貨(今は暗号資産と言うのでしたっけ)の価格が持ち直して来ているようです。

仮想通貨が現代のバブルとして大きな爪痕を残したのは記憶に新しいです。
参考記事:ビットコインはバブルである

さて最近、オリジナルの仮想通貨を作って配布したら、なにか楽しいことになるんじゃないか、というアイデアを思いつきました。

今回はこの目論見の概要と方法について整理しておきたいと思います。

業界型仮想通貨がおもしろいんじゃないか

仮想通貨はコミュニティーの帰属意識を高めるのに役立つのではないか、と考えています。

仮想通貨を会員証のように発行し、保有者はそのコミュニティの一員であることを示すことができる、そんな使い方ができると思っています。

ある業界の振興や発展のためにデザインされた「業界型」仮想通貨というのは、すでにいくつかあります。

  • アニメやマンガなどのエンタメ業界の振興を目的としたOtaku coin
  • 歯科業界で使われることを目的に開発されたDentacoin
  • 格闘技界での普及を目指したMAS OYAMA COIN

残念ながら、これら業界型コインは、仮想通貨バブル崩壊とともに、大きなムーブメントを起こすことなく鳴りを潜めてしまったものがほとんどです。

しかし、ICOによるマネタイズや「通貨」としての利用に重きをおかず、保有していればコミュニティへの帰属意識は高められる「会員証」として位置づけることで、コミュニティの活動に何かしらの利益をもたらすのではないかと思います。

今回の試みでは、オリジナルな仮想通貨を作り、私が参加する勉強会で配布しようと考えています。

私が参加している会計×テクノロジー勉強会PyCPA(外部リンク)というコミュニティには、新しいテクノロジーに敏感な優秀なメンバーが揃っています。

そんなコミュニティの話題として、オリジナルの仮想通貨を作るというのは、よいネタになるのではとも考え、今回こうしてアイデアを公開している次第です。

NEMのMOSAIC(モザイク)トークンでオリジナル仮想通貨をつくる

業界型仮想通貨は、業界の発展に寄与するものであることが必要です。

したがって、業界内で何らかのアクションを起こした人の間で、簡単に・頻繁にやりとりされるようなものであると良いと思っています。

仮想通貨の送金は、Twitterで気軽にやり取りが出来るのが良いかなぁと思います。

仮想通貨の中にはTwitter上のリプライで送金を行えるサービスがいくつもあります。

そのサービス(bot)を利用することで、業界型仮想通貨を気軽にやり取りすることが出来るのではないかと考えています。
参考記事:仮想通貨で気軽にチップ!Twitterを利用した投げ銭の方法をご紹介!

Twitterで送金が行える仮想通貨には、BitcoinやMonacoinがありますが、今回のオリジナル仮想通貨の発行にはNEMが役立ちそうです。

NEMは、オリジナルの仮想通貨(厳密にはMOSAICと呼ばれるトークン)を発行することが可能です。

いくらかのNEMを使ってMOSAICトークンを作ることが出来、これをTwitter上で送り合うことが出来ます。

割と簡単に作れるようなので、当面はNEMのモザイクトークンでオリジナル仮想通貨を作ってみようと思います。

まとめ

勉強会でオリジナルな仮想通貨を作り配布したら面白いのではないかと考えました。

業界振興のため、仮想通貨は簡単に送金できるようにしたいので、NEMをベースとしたトークンを作ろうと思います。

まだアイデア段階ですが、あまりお金をかけずにできそうなので、楽しみながらやってみようと思います。

終身雇用のインセンティブとは何だったか?そして、なぜそれが破綻したのか?

こんにちは、毛糸です。

先日、トヨタの豊田社長が「雇用を続けている企業へのインセンティブがあまりない」と述べたことが話題になっています。

経団連の中西会長も「終身雇用なんてもう守れないと思っている」と答えています。

終身雇用(しゅうしんこよう)とは、

同一企業で業績悪化による企業倒産が発生しないかぎり定年まで雇用され続けるという、日本の正社員雇用においての慣行(Wikipedia)

のことですが、そのインセンティブとは一体何だったのでしょうか。

そしてなぜそれが今、破綻してしまったのでしょうか。

今回は終身雇用のインセンティブとその崩壊について整理したいと思います。

終身雇用のインセンティブ

日本の終身雇用の原型は、第一次・第二次大戦の中間期に始まり、日本がまだ高度経済成長を果たす前、企業が熟練した作業者の確保に悩まされていた時期に、昇給や退職金の仕組みを整えたのがきっかけと言われています。

その後、大正デモクラシーによる雇用の慎重化や、高度成長時代の労働者不足の深刻化により、企業が人材流出を食い止めるべく、終身雇用が確立しました。

我が国の企業が長きに渡り「守ってきた」とされる終身雇用には、以下の4つのインセンティブがあります(正確には、ありました、というべきかもしれません)。

終身雇用のインセンティブ1:人材投資の不確実性の低減

終身雇用を前提とすれば、企業は採用した人材を長期的な人的資源として利用でき、人材投資の不確実性が減るというメリットがあります。

雇用した人材がすぐに辞めてしまうような状況では、企業は短期的な利益に貢献しない社内教育などを実施しづらくなりますが、終身雇用が浸透していれば、長期的戦略に基づいて人材投資を行うことが可能になります。

終身雇用が破綻し、労働の流動性(離職転職率)が高くなった場合、企業は採用のための広告費といった直接的なコストや、離職転職が多いことによる労使関係への悪影響などの間接的コストを負担することになります。

しかし終身雇用が確立していれば、企業は余計なコストを負担せずに済み、人員投資の不確実性は小さくなります。

終身雇用のインセンティブ2:余剰労働力の確保

企業はさまざまなビジネスリスクにさらされており、需給の変化によって業績が下がることもあります。

人員は基本的には自由な解雇が行えないため、需要低下時には雇用過剰(人余り)の状態になります。

しかし、その需要低下が一時的であり、いずれ需要は回復し業績は改善するという前提に立てば、教育コストを勘案すると、一時的な雇用過剰でも雇い続けることに経済合理性があります。

したがって、終身雇用によって教育コストを回収することができるのです。

終身雇用のインセンティブ3:企業特殊熟練の蓄積による生産性向上

終身雇用は勤続の長期化をもたらします。
勤続が長期化することで、その企業の文化や方法を反映した、企業独自のスキル(企業特殊熟練)が蓄積されるようになります。
企業特殊熟練はその企業のビジネスを遂行する上で必要なスキルであり、この企業独自スキルが高まることで、生産性が向上します。
終身雇用はこうした企業特殊熟練の蓄積に貢献し、生産性を上げるのに役立ってきました。

終身雇用のインセンティブ4:監督費用の削減

労働を高い能率で働かせるためには、監督が必要ですが、終身雇用は低能率な労働者を発見するのに役立つと言われます。

短期で離職転職が起こる企業では、短期的な非効率を発見するための労働者監督コストが高く付きますが、終身雇用(と退職金や年功序列制度)では、長期の労働実態から能率的でない労働者を発見し、異なった待遇に処することが可能です。

したがって、終身雇用によって長期的な目線で労働者を「品定め」することが出来るというメリットがあります。

終身雇用のインセンティブはなぜ崩れたか

トヨタ社長豊田氏の言葉を借りれば、現代日本は「雇用を続けている企業へのインセンティブがあまりない」状況になりました。
一体、何が状況を変えてしまったのでしょうか。

もっとも大きな原因は、現代という社会が目まぐるしい変化を伴うようになってきた、ということでしょう。

インターネットの普及以後、情報はまたたく間に世界に伝播し、ビジネスを国際化させ、あらゆる前提が揺らぐようになり、全く新しいテクノロジーが次々ともたらされるようになってきました。

企業の将来予測や戦略采配のミスにより、またたくまに企業生命を脅かすような状況に見舞われるようになった現代においては、もはや「需要の回復を待つ」というような悠長なことは言っていられません

したがって、企業の教育コストはもはや回収の蓋然性が高いものではなくなり(「インセンティブ2:余剰労働力の確保」の崩壊)、熟練した労働者のスキルもあっという間に陳腐化します(「インセンティブ3:企業特殊熟練の蓄積による生産性向上」の崩壊)。

一旦崩れ始めた終身雇用制は、終身雇用を前提とした均衡を崩し、採用コストの増加や人材投資の不確実性を高めます(「インセンティブ1:人材投資の不確実性の低減」の崩壊)。

流動的になった人員のマネジメントのため、追加的なコストもかかるようになるでしょう(「「インセンティブ4:監督費用の削減」の崩壊)。

このようにして、現代の日本においては、終身雇用の前提となっていた経済状況は完全に過去のものになったのです。

つまり、我が国を代表する企業のトップが「終身雇用は守れない」と口にするようになったことの背後には、変化の激し現代に終身雇用がそぐわなくなったという理由があるのです。

まとめ

企業が終身雇用を守るインセンティブには、以下のようなことが考えられます。

  • 人材投資の不確実性低減
  • 余剰労働力の確保
  • 生産性向上
  • コスト削減

しかし、これらが成り立つ前提は崩れました。

テクノロジーの進歩により、企業を取り巻く環境は様変わりしています。

終身雇用のインセンティブがなくなった現在、労働者としての私たちも、そのあり方を見つめ直す必要があります。

参考文献

勉強会「意識高い……」「レベル高そう……」いやいや、誤解してませんか?

こんにちは、毛糸です。

このところ毎月のように勉強会を企画したりしているのですが、先日「意識が高い」「近寄りにくい雰囲気」という声を耳にしました。

私はそういう声にはあまり気持ちを乱されないタイプですが、しかしそういうイメージを持たれるのは本意でなく、誤解であると感じているため、今回はそういった声に対するメッセージをお届けします。

私はなぜ勉強会を開いたか

私は昨年のプログラミングブームの中で、自分と同じようにテクノロジーを学ぶ人達と交流したいという思いで、勉強会を企画しました。

当時の私はプログラミング言語Pythonに興味を持っていました。

日頃、会計士として仕事をしていますので、Pythonを会計の仕事に役立てられないかと考え、会計×テクノロジーの勉強会 PyCPAを立ち上げました。

PyCPAという勉強会は昨年の発足以来、10回以上の開催実績があり、参加者も述べ250人を超える規模となりましたが、最初はプログラミングに興味のある会計士ツイッタラーを集めた小規模な集団でした。

会計とテクノロジー(プログラミング)という、ある種「オタク」な趣味を共有するために、SNSで仲間を募り集まってみた、とうただそれだけの勉強会です。

PyCPAという勉強会は、これまで色々な形式で開催されてきました。

  • ただ集まって各自黙々と作業を行うもくもく会
  • 講師を招き実務の最先端を学ぶセミナー
  • 実際にプログラミングをしながら学ぶハンズオン
  • 専門書をみんなで読み進めていく輪読会
などなど、多彩なバリエーションで開催しています。
勉強会は完全無償で運営されており、会場の提供や講師の登壇まで、すべで勉強会のビジョンに共感して下さる方々の善意で成り立っております。

勉強会に対する誤解

そんな勉強会PyCPAですが、最近「意識が高い」「レベルが高くて近づきがたい」という声をちらほら耳にするようになりました。
前述の通りPyCPAは、Twitterに生息する一部の「オタクな」会計士による趣味の集まりとして発足しました。
今でこそ多くの支援者に恵まれ、コミュニティとしての輪郭を備えつつありますが、「楽しさを探求する」というあり方は、当初から全く変わっていません。
意識の高さを志向しているようなことはまったくなく(おそらくコミュニティメンバーもそれを望んでおらず)、ただ楽しいから・知りたいからと言う理由で、探求し発信しています。なので、
なに意味わからんこと追い求めてるんだあいつら……
という方向で近寄りがたいのならよくわかりますが、
なんかレベル高いことやってるよ意識たかっ……
と思ってるなら、それは大きな誤解です。
もちろん、会計やテクノロジーに興味を持ち探求することを楽しむ人種が世の中の多数派だとは思っておりませんので、そういう意味では「尖った」集団であることには間違いないのですが、もし「意識高い」奴らと映っているのであれば、それはこのコミュニティの本質を十分理解いただいていないということでしょう。

やりたいからやる、楽しいから学ぶ

私の周りには、私の興味ある話題について話を深められる人があまりいません(私の交友関係の狭さゆえです)。
私が気になる、AIの新技術とか、正規分布の和とか、簿記の代数的構造とか、そういう話題を一緒に楽しめる人が近くにいないのです。
しかしSNSは違いました。
SNSではどんなにニッチな趣向でも、広く発信すれば必ずと言っていいほど共感してくれる人が現れます。
SNSの広がりによって、リアルな人脈を超えた人間関係が構築できるようになりました。
こうしたネットでのつながりをリアルに感じたい、同じ志を持ち共通の話題を楽しめる人たちともっと交流したい、そういう気持ちが勉強会を企画する原動力になりました。
やりたいからやる、楽しいから学ぶ。
そうした娯楽を一緒に楽しめる仲間が、勉強会に集まっています。
そこにあるのは決して意識の高いインテリジェンスな集団ではなく、ちょっと変わったことに興味を持つ人たちが集まる探求の場なのです。

まとめ

「意識高い」「近寄りにくい」という声が、私たちの勉強会を形容する言葉としてはちょっとずれていると思い、考えていることを述べました。
私たちの勉強会は、ただ楽しいから集まり、知識を共有しているだけです。
もし「レベルが高くて……」と遠ざけてしまっている方がいたら、それは大きな誤解です。

PyCPAで登壇する人たちだって、最初はみんな手探りで学んでいたのです。

もし、今まで勉強会なんて行ったことも開いたこともないけれど、興味があるという方がいらっしゃったら、勉強会に足を運んでいただくか、こんな勉強会を開きたいとリクエストしてみてください。
参考記事:PyCPAで勉強会を開催する、もしくはリクエストする方法

どうせ楽しむなら、話のわかる人と一緒にやったほうが楽しいのです。

一緒に楽しく学びませんか。

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