【PyCPAセミナー振り返り】会計士の海外業務、Fintech、ギャップを埋めることの価値

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こんばんは毛糸です。

今日はPyCPAという勉強会のセミナーがありました。

PyCPAとは「Python×CPA(会計士)」をテーマにした有志の勉強会で、月に一度、渋谷の貸し会議室フォーラムエイト様のご協力のもと開催しております。

今回は以下のような内容でセミナー形式で実施しました。

  • 会計士の海外業務と現状と今後の展望(野瀬大樹先生@hirokinose
  • fintech時代を生きる会計士のための資金決済法入門(にゃす先生@kabanyasu
大変有意義なセミナーでしたので、ここで振り返りをしたいと思います。

タイミングを見極め、流れの乗るということ

発表者の野瀬先生は、インドを拠点に活躍されている公認会計士です。

野瀬先生は監査法人のIPO部門でのキャリアを重ねていらっしゃいました。

監査法人を辞め独立していたある日、知人の伝でインド法人設立のチャンスに遭遇します。
インドにおける会計士の希少性、インドの経済成長の展望、英語が通じることなど、自分が挑戦するに足る環境であると判断した野瀬先生は、インドに関するトップレベルの知識を有していないながらも、果敢に飛び込んでいきます。
前人未到の環境でありながら、リスクを取るに足る機会であると判断されたのでしょう。
その後彼はインドにおける日本の公認会計士として、日印の架け橋となるような業務を広く提供し、今ではBIG4と呼ばれる世界的な会計事務所からも一目置かれる、トップランナーになっています。

にゃす先生もまた、公認会計士資格を武器に独立し、特に暗号通貨界で活躍する若手プレイヤーです。

先進的なテクノロジーや暗号通貨に関する知見が深く、エンジニアなどとも深いかかわりのある彼もまた、特定分野で強みを発揮する尖った専門家の一人です。
彼の暗号通貨との出会いは、知人を介して暗号通貨の初期のギークから、新しいテクノロジーに関して教えを受けたことだったそうです。
今やにゃす先生は、暗号通貨界と一般ビジネスをつなぐ架け橋的存在になっており、暗号通貨を専門家に・専門家の仕事を暗号通貨界に、それぞれ紹介しよいエコシステムを作る手助けをしています。
野瀬先生もにゃす先生も、今でこそその道のプロではありますが、
もとを正せば何の知識もないところから、
偶然舞い込んだチャンスを「面白い!」と感じ、その分野の知見を貪欲に吸収して、確固たる立ち位置を確立した存在と言えます。
タイミングを見極め、流れに乗る
その際に、自分が取れるリスクを大胆に取りに行く。
これこそが次世代会計士に求めらられるマインドだと思います。

会計士の強みを活かすということ

野瀬先生のインドでの業務は、現地の記帳代行や税務申告、連結決算の対応、各種コンサルティング業務です。
もちろん、これら業務に当たりインドの諸制度を高いレベルで理解していることは必須です。
ですが、彼の場合、これに「日本の公認会計士である」という強みが上乗せされます。
記帳代行や税務申告などは現地事務所でも低価格で提供できるところは多々あります。
しかし、連結決算の対応や日印の制度・法律等に関する業務となると、少なくとも現地事務所の手には終えません。
もちろん、インドに進出している日本企業には駐在員として日本人が業務にあたっていますが、彼らは細かなマネジメントが出来る時間的余裕など到底ないのです。
そこに、日本の会計士でインドの会計税務に長けた野瀬先生の活躍の場が生まれます。
インドという日本から離れた場所で、日本の会計士だからこその価値を提供する、それが野瀬先生の強みなのです。
にゃす先生も同様です。
暗号通貨という、ディープなテクノロジーの世界において、通常のビジネスマインドを持っている人は多くないでしょう。
会計や税務などの規制下の業務は、新しいテクノロジーに対しても当然要求されます。
そんな中で、テクノロジーに関する深い理解を持ち、ギークたちと対等な会話が出来るビジネスの専門家がいれば、そこに価値が生まれることは想像に難くありません。
また、最新のテクノロジーに明るくない会計専門家に対して、技術界のリアルな今を伝えられる存在は、これから更に求められるものとなるでしょう。
野瀬先生もにゃす先生も、公認会計士であることをビジネスの中心に据え、「公認会計士であること」それ自体が価値となるようなフィールドで上手く戦っています。
公認会計士という国家的専門家だからこそ、上手く環境を選ぶことで、発揮できる強みがあるのだと感じました。

「ギャップを埋める」ことが価値を生む

野瀬先生とにゃす先生のビジネスの本質を、運営者のペコ先生(@pekopon0120)は
ギャップを埋める
 
と表現しました。
そもそも公認会計士の独占業務である監査は、投資家と企業の情報の非対称性を緩和するという意味で、まさしく「ギャップを埋める」業務です。
登壇者のお二人も、まさしく各分野におけるギャップを埋めることで価値を生んでいます。
日本とインドの会計品質のギャップ
インド人の働きぶりと日本人の期待のギャップ
日本で培った「あるべき会社像」とインドの会社の現実のギャップ
暗号通貨界のビジネス観と通常求められるビジネスレベルとのギャップ
進みゆくテクノロジーと士業の理解のギャップ
「ギャップを埋める」ことはビジネスの基本と言っても良いでしょう。
公認会計士は多くの現場で「あるべき」に触れます。
あるべき会計処理、あるべき内部統制、あるべき業務フロー。
「あるべき」を知った会計士が、そこからのギャップに着目して、それを埋めることで勝ちを得る。
これは公認会計士の王道と言ってもいいでしょう。

 

PyCPAのこれから

PyCPAはプログラミングに関する勉強会です。
プログラミングは、今その重要性が大きくクローズアップされ、世の中に普及していく過渡期になっています。
これはチャンスです。
これから、ビジネスの多くの現場で、プログラミングないしプログラミング的考え方が広まっていくでしょう。
そんな環境で、会計士がプログラミングを習得していたら、どうでしょうか。
業務効率化ツールに対して、そのベネフィットやリスクについてアドバイスできるかもしれません。
会計データを意思決定に利用する際に、プログラミングが武器になるかもしれません。
監査ツールを効率化したいと考えたときに、プログラミングがその有効な解決策となるであろうことは、もはや自明です。
今はまだ、会計士とプログラミングのシナジーは十分に認識されていません。
しかし、会計士とプログラミング・技術界とのギャップを埋めることで、提供できる価値がきっとあるはずです。
PyCPAは、ギャップを埋め価値を創出するため手段を提供する場を目指します。

取るべきリスクを取る、そのタイミングは、今です。

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