複式簿記は財務諸表を作成するための基本原理であり、会計とは切っても切れない関係にあります。
しかし、会計は財務諸表による企業ディスクロージャーのみではありません。財務会計とともに会計学の中核をなす管理会計においては、必ずしも複式簿記による会計情報は用いられず、それどころか貨幣単位での測定や記録すら行われない場合があります。
【参考記事】財務会計と管理会計の相違点・共通点
このように、会計という大きなくくりで考えたときには、複式簿記を伴わない会計もメジャーな存在です。
『新版 現代会計学』では、会計を以下のように定義しています。
会計は,これらの経済主体が営む経済活動(資金の調達建物の購入など)およびこれに関連して発生する経済事象(建物の焼失,機械の損耗,商品の破損・値下りなど)について,主として貨幣額で測定・記録・報告する行為である
この定義にも「複式簿記」という言葉は出てきていません。
財務会計制度において作成が求められる財務諸表は複式簿記に則る必要がありますが、より一般の会計を考えたときには、複式簿記は必須要件ではないと言っていいでしょう。
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