『新版 現代会計学』では、会計を以下のように定義しています。
会計は,これらの経済主体が営む経済活動(資金の調達建物の購入など)およびこれに関連して発生する経済事象(建物の焼失,機械の損耗,商品の破損・値下りなど)について,主として貨幣額で測定・記録・報告する行為である
会計の定義のなかに「経済主体」という言葉が登場することに注目しましょう。
同書には「経済活動を営む主体を経済主体といい」とあり、この経済活動こそが会計報告の対象となるものですから、経済主体は会計における重要な概念と言えます。
マテシッチによる会計の基本的仮定やRenesの公理にも、経済主体の存在が会計の前提になっています。
経済主体は会計の「適用範囲」を左右するファクターでもあります。
通常、企業の取引には相手方、つまり異なる経済主体が存在し、その相手方との取引を一定の会計規則に当てはめて仕訳を行い、報告します。
一方、異なる経済主体間の取引であっても、それが連結グループ内の取引であれば、連結会計上の会計処理に影響しません。
このように、経済主体は会計の対象となる範囲を規定する役割を果たしています。これは自然科学における「系(system)」に近い概念です。
経済主体を考えるということは、会計モデルの系を考えるということ、なのかもしれません。
リンク