学問は興味だけでは進まない?研究のコスパの話

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望月教授の宇宙際タイヒミュラー理論(IUT)は、数学のパラダイムを変えるほど革新的な研究だそうです。

しかし、論文の内容が正しいのかどうか、数学界では意見が割れているようで、議論はなかなか終着を見ません。

日経の記事では、ある海外の数学者のこんな発言を紹介しています。

他にもやるべきテーマがある。以前は理解できないかと考えてきたが、もはやこの議論に費やす時間はない

この考え方には納得できます。数学者は数学の研究を生業としており,そのためにはある程度「コスパ」を意識する必要があると思うからです。

数学者は数学の研究をするのが仕事です。したがって、自身の研究成果に繋がる研究を優先的に理解しようと努めるはずです。IUTを理解するよりも他に優先度が高い研究領域があることは,想像に難くありません。

もちろん、純粋な興味からIUT論文を読み込む研究者も大勢いるのでしょう。けれど、IUTはこれまでにない概念を創造するような研究ですから、ちょっとやそっとじゃ理解できないのだと思われます。

そうであるなら、如何に数学的に重要(と言われている)論文であっても、自身の研究成果に役立てるにはどうしても学習コストが大きすぎるということになります。

前掲の数学者の声にある「他にもやるべきテーマがある」とはまさにそういうことで、詰まるところIUTを理解するのは「コスパが悪い」「ROI(投資効率)が低い」ということなのでしょう。

望月新一教授の宇宙際タイヒミュラー理論とはなにか:ABC予想の解決論文の「雰囲気」を知る

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