会計の圏論的定式化について

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この記事では会計の圏論的定式化について簡単な解説を行います。

会計は写像,関手

会計は写像であるという言葉は有名です。

「会計は写像」というフレーズの意味と出典テキスト

これを圏論的に再定式化してみたのが以下の記事です。会計写像の定義域と値域が一致し,それを唯一の対象とする圏を考えたとき,経済的状態の圏からの関手を会計と解釈することができます。

【君の知らない複式簿記8】会計は写像であり、関手である。

経済状態の圏

上の記事に登場する経済状態の圏は,イメージしづらいかもしれません。

経済状態とは,『Algebraic Models for Accounting Systems』の第6章に説明がある,会計システムに影響を与えるエコノミックイベントの集合と考えていただければよいでしょう。

書評『Algebraic Models for Accounting Systems』複式簿記と会計システムの代数構造を解明する

実務的観点から経済状態の集合をどうとらえるかというのは難しい問題ですが,ここでは単に「状態と状態遷移が上手く定義されている」ことのみを求めているにすぎません。

 

射としての取引

マテシッチの基本的仮定にも見て取れるように,会計上の取引を射とするのは想像しやすいと思われます。

会計報告の対象となる取引は,企業の経済状態の変化と解釈できます。

その状態変化を会計という写像によって計数的に変換したものが会計情報です。

会計圏論における関手は「ある特定の会計ルール」に対応していますから,たとえば連結会計(という会計写像)やIFRS会計(という会計写像)などと解釈することができそうだと考えています。

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