条件付確率の考え方を身につけましょう
ある条件が与えられた時に、ある事象が起こる確率を考えることはよくありますよね。これは条件付確率という概念で説明できます。— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
こんな例を考えてみましょう。
袋の中に白い球と黒い球が3つずつ、計6つ入っている。
白い球には、Aと書かれた球が1つ、Bと書かれた球が2つある。
黒い球には、Aと書かれた2球がつ、Bと書かれた球が1つある。
この袋の中から球を一つ取り出そうとしたとき、白い球であるのが見えた。
この球に書かれている文字がAである確率はいくらか。
袋の中には6つの球があり、そのうちAと書かれているのは3つなので、一つ取り出したときにAと書かれている確率は3/6=1/2です。
しかし、取り出した球が白であることが分かったならば、結論はどう変わるでしょうか。
白い球3つあり、そのうちAと書かれているのは1つだけなので、確率は1/3です。
このように、「白い球である」という条件が与えられたとき、Aと書かれた球を取り出す確率は変わります。
このような考え方を「条件付確率」といいます。
会計士受験生100人の村
ここは会計士受験生100人の村。
村人のうち90人は短答式試験で落ちてしまいします、残念ですね。合格した10人には論文式試験が待っていますが、ここで残れるのは3人だけ。彼らは修了考査に挑戦できます。でも、ここで1人は試験に落ちてしまいます。晴れて公認会計士になれるのは2人です、おめでとう。— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
この村を例に、条件付確率の考え方を実践してみましょう。
会計士受験と条件付確率
まず、条件付でない「公認会計士になる確率」を考えてみます。会計士受験生100人の村で見たように、公認会計士になれるのは100人中2人です。
たとえば、ある会計士試験の受験生が、一度も失敗することなくストレートに公認会計士になる確率は、およそ0.02です。
100人受験生がいたら2人です。— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
同様に、短答式試験(会計士1次試験)に受かる確率と論文式試験(会計士2次試験)に受かる確率も考えてみましょう。それぞれ、100人中10人、100人中3人です。
まず、短答式試験に受かる確率がざっくり0.1(10%)です。
また、論文までストレートに受かる確率はざっくり0.03(3%)です。
これはそれぞれ、条件付でない確率です。— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
ここで、条件付確率の考え方をとるとどうなるでしょうか。
しかし、論文に受かる確率といって、3%と言う人はあまりいません。論文は3人に1人受かる試験だと言われています。
この「3人に1人」=1/3という確率は、「短答式試験に受かったという条件のもと、論文式試験に受かる確率」であり、条件付確率です。— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
同様に、「修了考査(会計士3次試験)は3人に1人受かる」と言われているのも、条件付確率の考え方をとっています。
「論文式試験に受かったという条件のもと、修了考査に受かる確率」が2/3なのです。— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
※「3人に2人受かる」の誤りです。
このように、条件付確率とそうでない確率は大きく異なるものであることがわかります。
条件付確率を組み合わせて、条件付きでない確率を計算することも可能です。
仮に、短答・論文・修了考査のそれぞれに合格する事象が独立だとすると、ある受験生がストレートに会計士になる確率は、
[短答合格確率]✕[短答合格の条件付での論文合格確率]✕[論文合格の条件付での修了考査合格確率]=0.1*0.3*2/3=0.02=2%となります。— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
条件付確率のからくりを疑いましょう
条件付確率とそうでない確率を(時には敢えて)混同している例はたくさんあるので、気をつけましょう。— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
条件付確率とそうでない確率の使い方で、印象はかなり変わります。
「公認会計士になれるのは2%」というのと「公認会計士の3次試験は3人に1人しか落ちない」というのでは大違い。— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
似たような例ですが、医師国家試験は合格率9割ほどです。
えー簡単じゃん、と思うかもしれませんが、言わずもがな、これは「医学部に合格したという条件付の」確率です。— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
もちろん、会計士試験を受けるためには相応の努力が必要で、その努力を乗り越えた人が短答式を受けるのだと考えると、受験生全体ではさらに数が増えますね。
会計士試験に受かった方は、かなりの狭き門を突破した人なのです。— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
会計士予備校が合格率出すじゃないですか。短答合格率3割とか4割とか、たまに見ますよね。
あれもたぶん条件付確率です。
予備校のカリキュラムについてきて、ちゃんと短答を受けたという条件のもと、合格した確率です。
入校したけど挫折した人は、たぶん数に入ってないんじゃないですかね。— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
みたいな視点を持てるから、みんな確率統計はちゃんと勉強しような!!!— 毛糸 The Cryptant (@keito_oz) 2017年12月26日
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