こんにちは、毛糸です。
先日、フリーランスのITエンジニアの月収が高騰しているというニュースを見ました。
参考記事:フリーITエンジニア、月収相場65万円 正社員より高額
この金額は、50代のサラリーマンの平均的な所得53万円(年645万円、doda調べ)よりもさらに高い水準です。
私はこの状況をバブルだと考えています。
今回は、バブルの定義と、バブルに気づくことの難しさ、そしてバブル期にすべきことについて述べたいと思います。
バブルとはなにか
バブルとは、本来の価値を超えて、実態以上の高い値がつけられる現象のことです。
1980年代の日本のバブルでは、土地が本来の価値を超えて高く評価されました。
2000年頃のITバブルも、収益力の乏しい企業が、ITビジネスを行っていると標榜するだけで多額の資金を調達し株価も上がる状況にありました。
2017年の仮想通貨バブルも記憶に新しいでしょう、時価総額は一時期の3分の1にまでなりました。
バブルとは、期待が期待を生み、実態以上の価値を見出される集団催眠状態のようなものです。
バブルに気づくことの難しさ
バブルは、バブルの中にいるときには、バブルであると気づけない人がほとんどです。
バブルの対象になっているものは、時代の寵愛を受けた輝かしい資産や技術なので、誰しもその繁栄がずっと続くと思いがちです。
連邦準備制度理事会 (FRB) 議長を務めた経済学者、ベン・バーナンキ氏も、
バブルとは、終わってみないとそれがバブルであったのか、それとも経済のファンダメンタルズを表したものであったのかは解らない
と述べており、バブルに気づくことの難しさを物語っています。
冒頭に述べたエンジニアの月収高騰も、IT人材の需要過多や、テック系企業の台頭によるものであり、需要に即した適正な水準だ、と言う人もいます。
確かに、グーグルやアマゾン、ソフトバンクなどの大手企業がITベンチャーに投資を続けていることを考慮すれば、今後もIT業界は伸び続け、エンジニアが「儲かる」職業であり続けるだろうとも考えられます。
しかし、冷静に経済のプレイヤーを分析すると、綻びが見つかります。
例えば、このエンジニアの例では、難関資格があるわけでもなく、参入障壁は比較的低いことがわかります。
エンジニアになるための学習教材も、本、動画、web講義、プログラミングスクールなど、どんどん増えてきています。
そもそも、エンジニアが日本人である必要もないため、海外に外注するケースも増えるでしょう。
エンジニアの給料が上がるということは、企業にとって見ればコストが増えるということですから、企業は代替策を講じるはずです。
企業という主体は合理的に行動するため、高コストな人材を無尽蔵に使うことはできません。
このことに気づくと、エンジニア界隈の活況も未来永劫続くものではなく、栄華もいつか衰えるということが想像できます。
過去においても、ビットコインがバブルであるということ、それがいつか弾けることはわかっていました。
私自身、ビットコインがバブルであることは、バブル崩壊直前の12月にブログで指摘しています。
参考記事:ビットコインはバブルである
また、会計士業界においても、昨年独立ブームが起こり、日当5万というのがかなり現実的な数字になっていましたが、これも私は早くからバブルであると指摘しています。
独立すれば給料そのまま労働半分!
がまんざら嘘ではない今の会計業界だけど、絶対長くは続きません。独立組はこのバブルで信頼を築いたら、労働需要の引き締めに備えて継続受注先を確保しておいたほうがいい。
監査パートで何年も食いつなげると思ってはいけない。— 毛糸=会計士×ファイナンス×IT (@keito_oz) October 22, 2018
いま、監査法人はパートナーの首切りが噂されており、独立ブームも去ろうとしています。
バブルの中でも落ち着いて分析すれば、いつまでも熱狂は続かないと気づくでしょう
バブルの中でとるべきたった1つの行動
バブルは、それが弾けるまでは、高い収益をもたらします。
バブルはババ抜きゲームにも例えられますが、冷静に市場を見極めることで、ある程度は利益に預かれます。
バブルが高い収益をもたらすことは、経済学や資産価格理論(asset pricing)のテキストにも書いてあることです。
バブルが最高潮に達したときに手を引くのは不可能なので、欲をかかずに波に乗るのが肝要です。
そしてそれより大切なこと、バブルの中でとるべきことは、バブルにおける良い条件を固定化することです。
バブルの最中はみんな好況が続くと考えているので、その高い報酬水準、価格水準で契約を固定化することは難しくありません。
好条件でキャッシュフローを固定化することで、リスクをなくすのです。
「条件を固定化」とはつまり、人材バブルでいえば、独立というリスクをとるのではなく、高い給料で転職するということです。
そうすることで、バブルが弾けたときにも高い収入を確保することができます。
バブルの波にのるのは簡単ではないので、欲をかかず、適当なタイミングで「手を打つ」ことが大切です。
まとめ
バブルとは、期待が期待を呼ぶことで生じる、実態と乖離した熱狂です。
バブルは、バブルの最中にはそれと気づくことは難しいです。
しかし絶対に気づけないわけではなく、そこかしこに綻びは見つかります。
バブルは上手く乗りこなせば大きな収穫を得られる機会ですので、上手く立ち回りたいですね。
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