2019年 7月 の投稿一覧

学びの習慣、欲求階層説、感謝の気持ち

こんにちは、毛糸です。

先日こんな呟きをしました。

私にとって勉強すること、より具体的には、まだ知らないけれども興味のあることを追求することは、趣味のようなものです。

大学院まで進み、継続的学習を求められる専門職という職業にある私にとって、学ぶということはとても自然な営みです。

【参考記事】
学習意欲を持ち続けるための心がけ4つ

しかし、いつも学ぶ姿勢を持てているわけではありません。

仕事が忙しい時にはゆっくりテキストを読む余裕はありませんし、自分や家族が寝込んでいるときに数式をいじる気にはなりません。

本ブログの記事「繁忙期にも学びを止めないための3つの心がけ」には、仕事が忙しいときにも学ぶ姿勢を崩さないために気をつけるべきことをまとめています。

しかしそうは言っても、寝る間もないほどに忙しいときに「学びの姿勢を!」というのは酷というものです。

心理学者マズローは、人の欲求をいくつかの段階に分け、下位の欲求は「原始的欲求」に近く、それらが満たされながらより高次の「自己実現欲求」を求めるという欲求階層説を唱えました。

(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/自己実現理論#/media/ファイル:Maslow’s_hierarchy_of_needs.png)
「学びの欲求」はそれなりに上位の欲求のようで、食う寝るなどの生理的欲求が満たされなければ、学びを求めるような心理状態にはなりませんし、安全や社会的欲求も満たされている必要があるように思います。
冒頭のツイートは、次のように続きます。

私が学ぶ自由を持っていられるのは、私の生活を(欲求を)支えてくれる多くの人のご支援があってこそです。

支えてくれる方々に感謝をしながら、今日もテキストを開きます。

Excel VBA「RPAです」「よし、通れ!」に潜む危うさ

こんにちは、毛糸です。

先日こんなツイートを見かけました。

このツイートをパク……いえ、インスパイアされて、こんな呟きをしました。

本記事ではこのツイートの内容を深掘りし、VBAをRPAと間違えて通してしまうような状況がどうして起こるのか、その問題はどこにあるのかについて考えてみます。

RPAというバズワード

RPAとは、次世代の新しい労働力と期待される自動化システム(ロボティック・プロセス・オートメーション)のことです。

いまビジネス界ではAIと並ぶ技術として多くの企業が注目し、実際に業務に適用されています。

RPAに関しては、以前開催された勉強会PyCPAでも取り上げられ、大変反響がありました。

RPAは一種のバズワードとして、ビジネスマンなら知らないでは済まされない言葉になりつつあり、企業の「偉い人」たちの中でも、業務に組み込めないものかと画策する人は少なくありません。

冒頭のツイートは、そんなRPAブームを風刺するものです。

VBAではなくRPA、その心は

RPAは業務アプリケーションをまたぐようなプロセスの自動化を可能にするソフトウェアです。

業務自動化という点に着目すれば、すでに「広く普及したツール」により、ある程度のことは可能になっています。

それがExcelマクロであり、その記述プログラミング言語であるVBAです。

Excel VBAはエクセルの操作の自動化や、他のOfficeソフトやインターネットエクスプローラーとの連携により、様々な処理を自動化可能です。

実際、大企業ではExcel VBAによる大規模なツールを開発・導入し、業務効率化を行っている例が数多くあります。

しかし、RPA全盛期の今、「それExcel VBAでもできますよ」というフレーズは、「偉い人」たちの心には刺さりません。

「RPAじゃないの?それじゃあだめだよ、RPAを使わなくちゃ」

と一蹴され、RPAではなくExcel VBAでプログラム組みましょうとはなりづらい現状があります。

このような現象はひとえに「RPAを使いたい」ということが目的化していることが原因です。

RPAは本来、従来の方法では自動化できなかったアプリケーション間の連携などを柔軟につなぎ合わせることが可能な技術として、業務改善に用いられるべきものです。

しかし空前の「RPAブーム」によって、「RPAを使うこと」それ自体が目的化し、そのために課題を探すという逆転現象が起こっているのです。

配られたカードと、課題と解決の一致

もちろん、RPAという新しい技術が世に広く知られたことで、見えてきた課題もあるでしょう。

スヌーピーでおなじみの漫画ピーナッツにもこんな名言があります。

配られたトランプで勝負するっきゃないのさ……(YOU PLAY WITH THE CARDS YOU’RE DEALT…)

RPAというカードが配られたからには、そのカードを使って勝ちを挙げたい、と考える人は多いでしょう。

しかし他者もやっているからうちも、とか、Excel VBAでできるような比較的簡単な自動処理もRPAでやりたい、とかいう話になってくると、手段と目的が入れ替わっていると言わざるを得ません。

ベストセラーになった『起業の科学』には、事業の成功の条件の1つに、問題と解決策が一致していること(プロブレム・ソリューション・フィット)を挙げています。

起業という文脈を抜きにしても、課題とその解決策が一致していなければその取組みから成果を上げることは難しく、したがって「解決策(RPA)」ありきで課題を見つけるようなやり方が、常にうまくいくとは限りません。

ましてや冒頭のように、Excel VBAを「RPAです」と言って「よしよし」と納得してしまうのは、RPAという技術がなんたるかを知らないばかりか、自分の課題すらも見失っているのではないかと心配になる状況です。

残念ながら、こんな笑い話のような状況が、たまに見聞きされるのです。

まとめ

RPAの革を被ったVBAが、「偉い人」の機嫌をとる風刺は、課題より解決策が先に来て目的化する危うさを含んでいます。
バズワードに惑わされることなく、いま自分たちが直面している課題はなにか、本当に必要な解決策はどういうものかということを、きちんと考える必要があるように思います。

需要と供給から考える監査報酬

こんにちは、毛糸です。

日本は欧米と比べ、監査報酬が低いと言われています。

特に業界では最近、監査報酬をいかに上げるかという話がよく取り上げられます。

監査報酬というのは、監査というサービスに対して支払う価格のことですから、そのサービスの需要と供給で決まります。

もしたくさん報酬を払わなければ監査受けられないということになれば、嫌でも監査報酬は上がるでしょう。

最近は大手監査法人を中心に、ハイリスクな新興企業を安価で受けるようなことをしなくなってきています。

一昔前は、後の大規模クライアントを期待してか、ベンチャーを破格の監査報酬で獲得しては、現場を疲弊させてきました。

しかし、昨今の働き方改革により、そういった案件に資源を咲くのが難しくなりつつあるようです。

個人的には、それはいい傾向だと思います。

監査サービスの需要と供給

会計不正が市場を賑わせる昨今、多少高くても高品質な監査法人を使いたいというステークホルダーの希望はあるでしょうし、

一方の監査法人も無尽蔵にリソースがあるわけではないことをよく思い知ったでしょううから、

監査報酬アップの土壌は整いつつあるのではないかと思います。

監査サービスの供給側から見ると、働き方改革で従来のジュニアの残業頼りのやり方は通用しなくなり、そのしわ寄せがシニア層へ来ているようですが、ここに十分な手当てがされないと、いよいよ監査法人の運営が危うくなります。

そうなれば、報酬効率の良いクライアントしか残せなくなり、供給はタイトになってくるはずです。

もちろん大手監査法人以下、中堅以下が受け皿になって監査サービスの供給を下支えすることは考えられますが、過度に低廉の報酬は維持できないでしょう。

監査の需要側から見ると、監査なしには資本市場への参加が難しいこともあり、必要コストとして監査の需要は底堅いように思います。

ただ、一方で、監査が必要な会社でいることのメリットは徐々に小さくなっているような気がしています。

監査(を要する会社であること)のコストが大きければ、じゃあ上場辞めようかとか、合同会社でいいかとか、そういう話になるので、監査報酬上げるなら監査報酬に見合う経済的メリットがあることを強調しないといけません。

いずれにせよ、監査法人側もクライアントに対する価値というものに向き合わねば、納得感ある監査報酬アップはできないでしょう。

【投信定点観測】17週目|インデックス、ロボアドバイザー、アクティブファンドに積立投資

こんにちは、毛糸です。

【投信定点観測】2019年7月第1週(スタートから17週目)の損益の報告です。

今週末における損益率は2.60%(年率5.41%)です。

損益状況

商品ごとの含み損益率は以下のようになりました。【投信定点観測】開始から17週間経過時の含み損益率は2.60%(年率換算で5.41%)で、先週から1.73%のプラスです。

インデックス投資信託の振り返り

先週末の米中首脳会談から両国間の緊張ムードが和らいだことが好感され、市場は盛り上がりを見せています。

日本株式、先進国株式とも2%を超える上昇となり、長らく含み損であった日本株も含み益に浮上したことで、全資産クラスで含み益の状態になりました。

ロボアドバイザーの振り返り

ロボアドバイザーのWealthNavi(ウェルスナビ)は今週+1.31%(含み損益2.62%)、THEO(テオ)は今週+1.12%(含み損益1.28%)でした。

今週の含み損益ランキングは、【投信定点観測】の全14の投資先のうち、WealthNaviは第7位、THEOは第12位です。

分散投資を行っているはずのTHEOが【投信定点観測】内ランキングで下の方にいるのが残念です。

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THEO

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WEALTHNAVI(ウェルスナビ)

アクティブファンドの振り返り

日本株式に投資するアクティブファンドであるひふみ投信とセゾン資産形成の達人ファンドですが、セゾンのほうが継続的に高いリターンを維持しています。

対インデックスで見た場合のアクティブファンド(ひふみ、セゾン)は、いずれもインデックスをアウトパフォームしており、今のところはアクティブファンドとしての価値を発揮できていると言えるでしょう。

まとめ

【投信定点観測】を始めて17週、全銘柄が含み益の状態になりました。

損益状況に一喜一憂するのは長期投資家のスタンスとしてはよろしくないのかもしれませんが、好成績なのは嬉しいですね。

投資の継続という観点からは、含み益状態による「安心感」も重要な要因であると感じます。

引き続き、投資信託による「コツコツ」積立投資で、安定的な資産形成を目指していきます。

引き続き積立投資の状況をリポートして参りますので、もしよろしければSNSでのシェアよろしくお願い致します!

quantmodの使い方とCAPMの計算|Rでプログラミング

こんにちは、毛糸です。

株式の期待リターンを推定するために広く用いられているのが、CAPM(Capital Asset Pricing Model)です。

CAPMは株式のリターンを市場ポートフォリオの1次関数として表す、とてもわかり易いモデルです。

本記事ではCAPMの計算(具体的には、ベータの推定)を、統計プログラミング言語Rで行う方法についてまとめます。

CAPMにおけるベータの推定には、個別株式と市場ポートフォリオのリターンのデータが必要になりますが、quantmodというパッケージを使えば、簡単に取得できるため、その方法も説明します。

また、推定に必要な無リスク金利(安全資産利子率)には、財務省が公表している国債利回りを用いることとします。

CAPM(Capital Asset Pricing Model、資本資産価格モデル)の概略

CAPMは、資産収益が正規分布するなどのいくつかの仮定のもとで成り立つ、危険資産(株式など)の期待リターンに関するモデルです。
CAPMでは、ある証券\( i\)の期待リターン\( E[r_i]\)は、無リスク金利\( r_f\)と市場ポートフォリオの期待リターン\( E[r_M]\)を用いて、以下のように表されます。
\begin{equation} \begin{split}
E[r_i]=r_f+\beta\left( E[r_M]-r_f\right)
\end{split} \end{equation}
係数の\( \beta\)(ベータ)は、証券\( i\)と市場ポートフォリオ\( M\)の連動性を示しています。
CAPMにおける\( \beta\)は、ある証券\( i\)の超過期待リターン\( E[r_i]-r_f\)を被説明変数、市場ポートフォリオの超過期待リターン\( E[r_M]-r_f\)を説明変数とした回帰分析によって求められます。
本記事では、統計プログラミング言語Rを用いて、
  • 証券と市場ポートフォリオのデータを取得しリターンを計算する方法
  • 無理リスク金利を取得する方法
  • 回帰分析を行う方法
を解説しています。

quantmodによる株価ヒストリカルデータの取得方法

Rライブラリ「quantmod」を用いると、個別株式の価格情報を入手することができます。
quantmodは、Rコンソールで以下を実行すればインストールできます。同時に「XML」というライブラリも必要になる(ないとエラーを吐く)ので、合わせてインストールしましょう。
install.packages(“quantmod”)
install.packages(“XML”)
quantmodライブラリを読み込みます。
library(quantmod)
getSymbols()関数を使うと、指定した証券コードの価格データをwebページから取得することができます。日本の株式では、Yahoo!ファイナンスを情報ソースにすればよいです。
本記事では、証券コード9984.Tソフトバンクグループの株価を、Yahoo!ファイナンスから、開始日”2013-06-01″、終了日”2019-05-31″で取得します。
証券コードは、Yahoo!ファイナンスの各証券のページの?code=以下に記載されているものです。
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=9984.T
証券コードの.Tは市場(T=東京証券取引所)を示すものですが、なくても大丈夫かもしれません。
関数の最後の引数auto.assignは取得したデータを自動でオブジェクトに代入するかどうかを決めるもので、=TRUEとした場合は自動的に「YJ9984.T」というオブジェクトに情報が格納されます。
getSymbols(“9984.t”,src=”yahooj”,from=”2013-06-01″,to=”2019-05-31″,auto.assign=TRUE)
auto.assign=FALSEとした場合には自動でオブジェクトに代入されないので、自分でオブジェクトに代入します。
data9984<-getSymbols(“9984.t”,src=”yahooj”,from=”2013-06-01″,to=”2019-05-31″,auto.assign=FALSE)
取得したデータは、日次ベースの時系列データになっており、始値・高値・安値・終値・取引高・調整後株価が格納されています。
以下の作業では終値の情報を使いますので、以下のように終値のみのデータを作ります。
Price_i<-YJ9984.T$YJ9984.T.Close
plotすることで株価の推移を見ることができます。
plot(Price_i)
\( t\)日目の日次リターン\( r_{i,t}\)は
\begin{equation} \begin{split}
r_{i,t}=\frac{P_{i,t} -P_{i,t-1}}{ P_{i,t-1}}\approx \log(P_{i,t})-\log(P_{i,t-1})
\end{split} \end{equation}

企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」の要点

こんにちは、毛糸です。

企業会計基準委員会が「時価の算定に関する会計基準」を公表しました。
>>企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」等の公表

この基準により、すでに海外基準では取り入れられている「公正価値ヒエラルキー」が日本でも導入されます。

公正価値ヒエラルキーでは、時価算定の複雑度によって時価を3つのレベルにわけます。

3つのレベルはインプット(時価算定に必要な入力情報)の性質によりわけられます。

ざっくりとしたイメージは以下のとおりです。

  • レベル1:時価が活発な市場で直接観測できるもの
  • レベル2:活発な市場はないが、直接観測できるもの
  • レベル3:時価が直接観測できず何らかの仮定を要するもの

複雑な相対デリバティブなどはレベル3が通常です。

公正価値ヒエラルキーによる時価開示は、米国基準では10年くらい前に既に適用されていますが、当時はかなりの実務負担であったと聞いています。

日本でも時価会計基準の導入にあたっては、海外基準がかなり参考になるでしょう。

国際財務報告基準(IFRS)においてはIFRS第13号「公正価値測定」、米国会計基準においてはAccounting Standards Codification(FASBによる会計基準のコード化体系)のTopic 820「公正価値測定」)が、本基準に対応しています。

時価基準導入にあたって、有価証券の時価としていままで認められてきた、期末前1ヶ月平均価格が使えなくなります。

これは、時価の定義が明確になり、売却により得られる価額、とされたためです。

本基準において時価は以下のように定義されています。

「時価」とは、算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格をいう。

1ヶ月平均価格はその価格での売却を確約するものではないので、時価とは認められなくなります。

また、時価算定にレベルの概念を導入したことにともない、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券、という概念はもはや存在しなくなることから、基準から削除されます。

時価の範囲を広げたので、何かしら時価はつけられるはずである、ということですね。

金融商品はレベル別の残高を開示する必要があるため、自社の金融資産がどんなインプットを使っているかを把握して、レベル分けをする必要が出てきます。

また、レベル3の金融商品は、期首残高から期末残高への調整表(フロー表)を開示することになります。

ヘッジ・ポートフォリオとオプション評価の考え方を簡単に解説する

こんにちは、毛糸です。

私がファシリテーターを務める「モンテカルロ法によるリアル・オプション分析」輪読会で、ヘッジ・ポートフォリオと無リスク金利での割引についての質問をいただきました。

本記事では、

  • ヘッジ・ポートフォリオとはなにか
  • ヘッジ・ポートフォリオの収益率と裁定取引
  • ヘッジ・ポートフォリオでオプション価格が求まるのはなぜか

について説明します。

ヘッジ・ポートフォリオとはなにか

そもそも「ポートフォリオ」というのは、いくつかの証券(株式や債券)のまとまり、もしくは組み合わせのことです。

トヨタ株とホンダ株を1枚ずつ保有するポートフォリオや、TOPIX連動投資信託1単位と個人向け国債1万円を保有するポートフォリオなど、さまざまなポートフォリオが考えられます。

証券投資において、ポートフォリオを組むと、リスクが下がることが知られています。

これを分散効果といい、投資の基本中の基本です。

【参考記事】
>>「リスクをとる」とは何か?よくある誤解と本当の意味。

オプションの価格を知りたいときには、株式とオプションのポートフォリオを考えると都合がよいことが、長年の研究により明らかになりました。

実は、株式とオプションを「上手く」組み合わせることで、そのポートフォリオの価格変動をなくすことができます。

株価の値上がり・値下がりに影響を受けず、値動きを回避(ヘッジ)するような株式とオプションのポートフォリオを、ヘッジ・ポートフォリオといいます。

ポートフォリオのペイオフ(キャッシュフロー)は当然、株式のペイオフとオプションのペイオフの和になります。

ヘッジ・ポートフォリオの収益率と裁定取引

株式とオプションを「上手く」組み合わせて、ポートフォリオの値動きが完全にヘッジできるようになったとすると(つまりヘッジポートフォリオが値動きなしになったとすると)、果たしてヘッジ・ポートフォリオのリターンはどうなるでしょうか?

値動きを完全にヘッジしたポートフォリオは、価格変動がないという意味で、無リスクです。

無リスクということは、ヘッジ・ポートフォリオの収益率は無リスク利子率に一致するはずです。

なぜヘッジ・ポートフォリオの収益率は無リスク利子率に一致するのか

もしヘッジ・ポートフォリオの(無リスクの)収益率\( r_1\)が、無リスク利子率(安全資産の利子率)\( r_f\)より高ければ、

安全資産を売って、そのお金でヘッジ・ポートフォリオを作ることで、無リスクなしに\( r_1-r_f\)を稼ぐことができてしまいます。

無リスクで(絶対に)\( r_1-r_f>0\)を稼げるなら、持っているお金をすべてこの投資戦略につぎ込むような人がたくさん現れるでしょう。

この投資戦略に従えば、例えば\( 100\)億円の資金を持ってる人は「確実に」「絶対に」\( 100(r_1-r_f)\)億円稼げるわけです。

みんながこの戦略(ヘッジポートフォリオを買って、安全資産を売る戦略)をとると、当然ながら安全資産の価格は下がります。需要より供給が多くなるからです。

価格が下がると、将来返ってくる金額は一定なので、安全資産の収益率があがります。

つまり\( r_f\)が大きくなります。

最終的にはこの投資戦略の「うまみ」がなくなるまで\( r_f\)が上がります。

つまり\( r_1=r_f\)になるような水準に落ち着きます。

したがって、ヘッジ・ポートフォリオの収益率\( r_1\)は安全資産の収益率\( r_f\)と一致します。

このような取引は裁定取引(アービトラージ)といい、裁定取引が行えるような状況を裁定機会といいます。

取引が自由に行われる市場においては、裁定機会は瞬時に消滅すると考えます。

ヘッジ・ポートフォリオでオプション価格が求まるのはなぜか

ヘッジ・ポートフォリオは無リスクなので、ヘッジ・ポートフォリオから得られる将来収益を現在の価値に割り引くときには、無リスク金利を割引率として用いるのが適当です。

ヘッジ・ポートフォリオは株式とオプションの組み合わせで収益が決まり、その金額は前もって知ることができます。

この将来の収益額を\( V\)と表すことにしましょう。

現在価値は

\begin{equation} \begin{split} \frac{ V}{ 1+r_f}
\end{split} \end{equation}
です。

さて、ヘッジ・ポートフォリオは株式とオプションの組み合わせですから、ヘッジ・ポートフォリオの現在価値は株式の価格\( S\)とオプションの価格\( C\)を「適当な」比率\( 1:\omega\)で組み合わせたあわせた\( S+\omega C\)でもあるはずです。

以上のことから、

\begin{equation} \begin{split}
\frac{ V}{ 1+r_f}=S+\omega C
\end{split} \end{equation}
という関係が成り立ちます。

そもそもヘッジ・ポートフォリオというものを考えた理由は、オプションの価格\( C\)を知りたいからでした。

上の式を変形すると、オプションの価格\( C\)は

\begin{equation} \begin{split}
C=\frac{ 1}{ \omega}\left( \frac{ V}{ 1+r_f}-S\right)
\end{split} \end{equation}

として求められることになります。

こうして、ヘッジ・ポートフォリオを考えることによって、オプションの価格が求められました。

まとめ

本記事ではオプション価格評価において重要となるヘッジ・ポートフォリオの考え方について説明しました。
金融や投資の知識と、数学の知識が必要になる難しい分野ですが、一つ一つの用語の意味をしっかり掴んで、イメージを持ちながら論理を追っていきましょう。

参考文献

クロネコヤマトとP≠NP予想

こんにちは、毛糸です。

先日、こんなつぶやきが話題になりました。

このツイートのなかで「NP困難」という言葉が使われています。

調べてみると、この話題は「P≠NP予想」という数学の未解決問題に関係する話であることが分かりました。
本記事ではクロネコヤマトのプログラミングコンテストに関連する「計算理論」という数学の概念を概観し、このプログラミングコンテストがどんな問題に挑戦するものなのか、P≠NP予想という未解決問題とどんな関係があるのかについてまとめます。

なお、直感やイメージを大事にするために、数学的な厳密さを欠く部分がありますので、詳しく勉強したい方はテキスト等を参照してください。

計算理論とはなにか

NP困難という用語は、計算理論という数学の一分野における用語です。
計算理論とは「計算」を数学的に定式化し、コンピュータのような計算機と、計算機による計算手順(アルゴリズム)について考えることで、ある問題が「計算」可能かどうか、可能であるならそれはどの程度複雑なのか、といった問題を扱う分野です。
ある計算がどの程度複雑なのかという問題は、計算複雑性理論と呼ばれています。
計算複雑性理論では、データが\(n \)個与えられたときに、計算量が\( n\)と比べてどれくらいの大小関係なのか、ということを考えます。
たとえば、ばらばらに並べられた\(n\)個の自然数を昇順に並べる場合に、
隣どうしの数字の大小を比較して、昇順に並び替える
という手順(アルゴリズム)を考えたとき、並び替えの回数は\(n(n-1)/2\)回を超えることはないということがわかります。
これは「おおよそ」\(n^2\)と同程度の複雑さと考えることができます(これくらいのアバウトさでも十分意味のある分析になります)。

このように、計算複雑性理論では、データ数に関連してその複雑性を定量な尺度で評価します。

多項式時間アルゴリズムとクラスP、クラスNP

あるアルゴリズムがデータ数との関連でどれだけ時間がかかるか、という問題を考えたとき、ある多項式で表せる時間以内で解けるようなアルゴリズムを、多項式時間アルゴリズムといいます。

>>多項式時間-Wikipedia

多項式時間で解けるといったときには、解くための時間が天文学的な数字にはならない(現実的な計算時間に収まる)と考えてよいでしょう。
多項式時間アルゴリズムで解ける問題は、クラスPと呼びます。

また、ある問題の答えが「yes」だとわかったとき、それが本当に正しいのかを多項式時間で判定できる問題を、クラスNPと呼びます。

>>NP-Wikipedia

ある問題がNPである、といったときには、その問題の答えが与えられたときに、膨大な計算を要さずに答え合わせができる、と考えてよいでしょう。

NP困難な問題と巡回セールスマン問題

NPに属する問題(多項式時間で答え合わせができる問題)と同等、もしくはそれ以上に難しい問題を、NP困難な問題といいます。

NP困難な問題は、その検証に膨大な計算を要する場合があります。

NP困難な問題として有名なものに「巡回セールスマン問題」というのがあります。
巡回セールスマン問題とは、いくつかの目的地を巡回するセールスマンが、もっとも短い移動距離を達成するには移動したらよいか、を考える問題です。

巡回セールスマン問題はNP困難、つまり多項式時間では解けない複雑な問題であるということです。

ヤマト運輸プログラミングコンテスト

冒頭でとりあげたヤマト運輸は、AtCoderというプログラミングコンテストサイトで、巡回セールスマン問題と思われる問題を出題しています。

ヤマト運輸プログラミングコンテスト2019

その問題の概要は以下のとおりです。

本コンテストでは、私たちの取り組む課題の一つとして「宅配ドライバーの配達ルートの効率化」をテーマとして取り上げ、配達ルートの最適化問題を含む2問を出題いたします。

配達ルートの最適化という言葉から類推するに、ヤマト運輸の出題する問題はおそらく巡回セールスマン問題に何らかの実際的な制約を課した問題なのでしょう。
ヤマト運輸はこの問題の良い解決策が得られれば、彼らの物流ビジネスの効率化につながります。
しかし、巡回セールスマン問題は多項式時間では解けそうにない(計算量が膨大になる)問題ですので、ヤマト運輸の課題も、解くのは容易ではないと予想されます。

なお、このヤマト運輸はこのプログラミングコンテストについて、著作権を譲渡することを求めており、これがちょっとした批判の的になってるようです。

P≠NP予想

計算複雑性理論には、数学上の未解決問題が残されています。
それが「P≠NP予想」です。
P≠NP予想はクレイ数学研究所のミレニアム懸賞問題の一つとして100万ドルの懸賞金がかけられた未解決問題で、
クラスP(多項式時間で判定できる問題)とクラスNP(多項式時間で答え合わせができる問題)とは一致しない
という予想です。
>>P≠NP予想-Wikipedia
「PならばNP」(判定できるなら答え合わせができる)は真なので、PはNPに含まれる(P⊆NP)ことはわかります。
しかし、PだけれどもNPでないような問題があるかどうか(つまりPはNPの真部分集合になるか、多項式時間では判定できないけど答え合わせならできる問題があるか)はまだ誰も証明したことがなく、未解決の問題となっているのです。

まとめ

計算理論における、多項式時間やクラスP、NPといった用語をまとめながら、NP困難な問題である巡回セールスマン問題とヤマト運輸のプログラミングコンテストの内容について説明しました。
この分野においては「P≠NP予想」という数学上の未解決問題があります。
ヤマト運輸のプログラミングコンテストでP≠NP予想が解決できるわけではありませんが、計算理論の「実践」のすぐ近くに、数学の未解決問題があるというのは、ロマンを感じませんか。

参考文献

本記事の内容(計算理論やアルゴリズム、P≠NP予想)に興味を持たれた方は、下記書籍が大変参考になります。読み物としても数学書としても楽しめる名著です。

保険数理と金融工学の融合について

こんにちは、毛糸です。

先日こんな論文を見つけました。
>>金融と保険の融合について(PDFリンク)

私は大学院で金融工学について研究しており、社会人になってからアクチュアリー(保険数理人)を目指そうと思ったこともあったため、とても興味深く思い読んでいます。

本記事ではこの論文で解説されている「保険数理と金融工学の融合」について、最近の研究にも触れながらコメントしたいと思います。

保険数理とはなにか

私たちは、人間の生死や事故などの予測不能なアクシデントに備えるために、保険に加入します。

保険は「万が一」に備えて多くの人がお金を出し合い、不幸に見舞われた人を保障する仕組みです。

保険に加入すると保険料を支払わねばなりませんが、この保険料はどのように決めるべきかを主な関心事として、数理的な分析を行うのが、保険数理という分野です。

保険数理を生業としている専門職はアクチュアリーと呼ばれ、極めて難易度の高い資格となっています。

金融工学とはなにか

私たち家計や企業は、自分の資産を運用したり、必要な資金を調達するなどして暮らしています。資金の貸し借りや投資は金融活動と呼ばれ、経済の潤滑油に例えられます。

お金を持っている主体が企業にお金を託す行為は証券投資として広く認知されていますが、企業がその事業に成功するかどうか、将来を完全に予測することはできません。

こうした不確実な金融に関する事柄について、いかに効率よく資金を利用できるか、どうしたらリスクを回避できるのかという課題を、数学を用いて解決する学問が、金融工学です。

金融工学のスペシャリストのことをクオンツと呼び、数学や物理学の研究者が、一時期金融界を席巻しました。

 

保険数理と金融工学の共通点

保険数理も金融工学も、将来を完全に予見することはできない、という考え方に基づいています。

どちらも、予測不能なランダムな現象と、それに伴う将来のお金の出入りに関する分析を行います。

分析のツールとなるのが、確率論(確率過程論、確率解析学)や統計学です。

つまり、保険数理も金融工学も、不確実な将来のリスクに紐付いたキャッシュフローを巡って、数学を武器として立ち向かう学問分野であるという点で共通しています。

保険数理と金融工学の相違点

保険数理も金融工学も、数学によるランダム性への挑戦という意味で同じですが、その基本思想は大きく異なっています。

保険数理は、人や企業が負担するリスクをどう測定・評価し、それをいかに制御するかという問題に比重を置いてきました。一方、金融工学は、不確実性の源である証券の価格変動は、市場取引を通じてヘッジ(回避)可能なもの考えています。

つまり、保険数理と金融工学には、リスクに対する姿勢が大きく異なっているということです。

もう少し具体的な相違点を挙げてみましょう。

保険数理におけるリスクは「大数の法則」により、その傾向を描写することが可能とされることが多いですが、金融工学におけるリスクはこの考え方が適用できない場合が多くあります。

金融工学におけるリスクの多くは「市場性」があり、市場を通じた資産の売買によりリスクをヘッジすることが可能とされますが、保険数理で考えるリスクには市場性がないのが通常です。
(証券投資は似た値動きの株を保有して変動を回避できますが、事故のリスクは誰かに肩代わりしてもらうわけにはいきません。)

このように、保険数理と金融工学には、リスクの考え方をめぐり相違点があります。

しかしながら、昨今は保険商品が流動化されることにより、保険に市場性が生まれつつあり、保険にかかわるリスクのヘッジ可能性が高まりつつある一方で、市場取引でヘッジ不能なリスクをどう価格に反映するかというプライシング理論を取り入れた金融工学発達により、両者はかなり近接してきています。

経済学による統一理論の試み

保険数理と金融工学は、徐々にその垣根が消えつつあります。

両者は、「不確実性の経済学」というより一般的な枠組みの中で、統一的に議論できるようになっています。

たとえば、保険数理における保険料計算原理は、経済学における期待効用最大化問題の解に対応していますが、全く同じ考え方によって、金融工学のリスクを反映した証券の価格が決定されます。

論文ではエッシャー原理に基づく保険料計算について述べられていますが、これは指数型の効用関数による効用最大化問題を解いていることと同じであり、保険数理で用いられてきた手法が経済学的意味を持っていることを明らかにするものです。

同時に、指数型効用の最大化問題を金融工学に適用すると、正規分布に従う資産価格を原資産とするオプションが、かの有名なブラック・ショールズ式で評価できることが知られています。

このように、経済学という枠組みの中で保険数理と金融工学を扱うことで、両者は極めて類似した概念を用いていることがよくわかります。

経済学の枠組みでは、将来キャッシュフローを「適切な割引因子」とともに計算することで、今の価値を評価できるという公式が知られています。

その式は「中心資産価格付公式」とか「資産価格の基本等式」と呼ばれており、以下のような極めてシンプルな形をしています。

\begin{equation} \begin{split}
1=E\left[ mR\right]
\end{split} \end{equation}

この式は、資産収益率\( R\)は、「適切な割引因子」\( m\)を乗じて期待値を取ることで、1に等しくなることを主張しており、この公式から多くの結論が導き出されます。

「適切な割引因子」は確率的割引ファクターやプライシング・カーネルと呼ばれ、経済学では特別な意味を持ちます。

エッシャー変換もリスク中立確率も、この公式から出発しています。

【参考記事】
>>リスク中立確率、状態証券価格、確率的割引ファクターの関係

最新の研究にも触れておきましょう。

従来、主に損害保険分野で考察されてきたであろう、災害が発生した際にキャッシュフローが生まれる金融商品(保険であり、デリバティブ)について、経済学の均衡アプローチから論じた論文がこちらです。

>>変換ベータ分布を用いた地震デリバティブの評価理論(PDFリンク)

地震の指数は取引不能・ヘッジ不能であることは明らかですが、経済学の立場からは値付けが可能であることが示されています。

まとめ

>>金融と保険の融合について(PDFリンク)
を参考にしながら、保険数理と金融工学の共通点・相違点について概観してみました。

両者はリスクを数理的に扱う学問分野として共通していますが、リスクに対する態度は大きく異なっています。

しかし、両者はより広い経済学の枠組みの中で統一されつつあります。

今後両者が連携し、社会科学の分野が更に発展していけばよいと願います。

参考文献

経済学の枠組みの中で、確率的割引ファクターやプライシング・カーネルの考え方が解説されている本では、下記がおすすめです。

ファイナンスと保険数理を両睨みで学べるテキストには、以下のようなものがあります。

会計数値のマルコフ性について

こんにちは、毛糸です。

先日こういったつぶやきをしました。

最近、会計を数学の世界の言葉で置き換えられないか?ということをよく考えます。

複式簿記の代数的構造について考えだしたのも、こうした問題意識の一環です。

【参考記事】
>>【君の知らない複式簿記3】複式簿記の代数的構造「群」

先述のつぶやきは、同僚と議論しているときに考え付いたものです。

本記事では会計数値のマルコフ性について考えてみたいと思います。

マルコフ性(マルコフ過程)とは

マルコフ性とは確率過程論の用語で、

前期「まで」の情報を所与とした場合の予測が、前期「のみ」の情報を所与とした場合の予測と同じ

という性質のことです。

マルコフ性の例をあげましょう。

コイン投げをして表なら1円もらえ、裏なら1円持ってかれるゲームをします。

n回目のコイン投げのあとに持ち金が\( C_n\)円だったとき、n+1回目のコイン投げのあとの持ち金の期待値はいくらになるでしょうか?

n+1回目のコイン投げで表が出れば1円もらえ、裏が出れば1円持っていかれてしまうので、その期待値は

\begin{equation} \begin{split}
1\times\frac{1}{2}+(-1)\times\frac{1}{2}=0
\end{split} \end{equation}

になりますから、n+1回目のコイン投げのあとの持ち金の金額は\( C_n\)円になります。

この「予測」にはn-1回目以前のコイン投げの情報は必要なく、n回目時点の持ち金の情報のみで決まります。

これがマルコフ性という性質です。

マルコフでない例も考えてみましょう。

このコイン投げに「前前回の獲得金額がおまけされる」というようなケースが、マルコフ性をもたない例です。

このときn回目のゲームのあと\( C_n\)円持っているとわかっても、n+1回目のコイン投げの獲得金額はn-1回目の結果に左右されるので、n回目時点の持ち金\( C_n\)という情報だけでは、将来を予測できません。

これがマルコフでない例です。

会計数値はマルコフ性をもつか

会計数値はマルコフ性を持つでしょうか?

たとえば、企業が保有する売買目的の有価証券は、マルコフ性を持ちそうです。

売買目的有価証券は貸借対照表において時価評価されますが、売買目的有価証券の時価を予測するのは通常困難で、過去の情報を使ってリターンを予測するのは難しいからです(これを効率的市場仮説といいます)。

【参考記事】
>>「日本株に投資すると長期的には損」は本当か?

償却性の固定資産はどうでしょうか。

償却性固定資産は減価償却に関する諸条件が変わらなければ、当初の条件どおりに費用認識をするだけなので、将来にわたる減価償却費とその累計額、およびそれを控除した固定資産額が購入時点でわかることになります。

もちろんこれは「前期のみの情報で予測できる」というマルコフ性の定義を満たしますので、この場合の固定資産額はマルコフ性を持つでしょう。

しかし、減損があれば話は別です。

減損会計には「利益が2期間赤字」というようなトリガーが定められています。

したがって、ある時点の固定資産額が減損するか否かは、前期・前々期の情報を必要とするため、マルコフ性を持ちません。

減損会計のように複数時点にまたがるトリガーを会計数値の測定に反映させる処理があると、会計数値のマルコフ性は失われます。

あらゆる会計数値について、その金額の計算方法から、マルコフ性を持つか否かを考えることが可能ですが、一般には会計数値はマルコフ性を持たないと考えて差し支えないでしょう。

ちなみに、マルコフ性を持たない確率過程の議論はとても難しいと考えられており、現実どおり「会計数値は非マルコフ」と考えて分析すると有用な結論が得られなくなることがほとんどでしょうから、学術的には会計数値もマルコフ性を持つと仮定して話を進める場合が多いのではないかと思います。

まとめ

会計数値を確率過程として考えたとき、それがマルコフ性を持つかどうかを考えてみました。
一般には、会計数値はマルコフ性を持たないでしょう。
しかし、非マルコフな確率過程は扱いが難しいので、マルコフ性を仮定している場合も多いのではないかと思います。

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