会計は写像であるといわれます。このフレーズはどう理解したらいいのでしょうか。
本記事ではこのフレーズの意味と、関連する会計学のテキストを紹介します。
「会計は写像」の意味
企業などの経済主体は経済活動を行い、その内容を会計という規則に従って財務諸表という定型の報告書にまとめ、利害関係者に伝達します。
このプロセスにおいて、会計とは、経済活動を報告書に対応付ける規則、すなわち写像としての機能を担っています。それが「会計は写像」というフレーズの意味です。
ただし、会計学の教科書では、報告書そのものを指して、写像という言葉を使っています。
会計学の教科書での説明
これは財務会計論の有名なテキストである『財務会計講義』の第1章の最初に書いてあります。そこでは企業という経済主体が、資金の運用によって製品の製造販売といった経済活動を営んでいることを例示したあと、写像としての会計を以下のように表現しています。
会計はこのような経済活動を所定のルールに従って測定し,その結果を報告書にとりまとめる。したがってその報告書は,経済活動という実像を計数的に描写した写像である。
写像としての報告書は,その経済主体をめぐる多くの利害関係者に伝達され,各種の用途に利用されることになる。
ここでいう「写像」とは、数学における「集合から集合への対応規則」ではなく、当該規則によって対応付けられた値域の元のことを指していると考えられます。
つまり、経済活動の集合を\( X\)、報告書の集合を\( Y\)とし、それらの間に写像\( f:X\to Y\)が存在するとき、\( x\in X\)を指定したときに定まる\( f(x)\in Y\)を「写像」と言っているのです。
参考文献
引用したのは以下のテキストです。会計学のテキストのなかで最も有名なものといっても過言ではないでしょう。この1章に、会計とはなんなのかという疑問への回答が示されています。
会計を数学的な写像として定義し論じた記事として、以下があります。
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