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会計


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経理は利益を生まないのか?【No】企業価値に貢献します!

こんにちは、毛糸です。

経理は利益を生まないという人がいます。

 
確かに、営業職とは異なり、経理は時間をかけることで収益が得られるものではありません。
 
しかし、だからと言って経理の仕事を軽視にするのは、短絡的な思考と言わざるを得ません。
 
経理、もしくは企業情報の開示・IRというのは、資本市場において企業がお金を調達するために果たさなくてはならない義務です。
 
義務であると同時に、経理が十分に役割を果たすことで、企業のビジネスを多くの投資者に知ってもらうことができ、それによって企業の資金調達にかかるコスト(資本コスト)ができると期待されています。
 
つまり、経理の仕事は、企業価値を高めるのに役立つということです。
 
企業の目的の一つは、利益を獲得し、企業価値を高め、投資者にリターンをもたらすことです。
 
営業職のいう「我々は収益に貢献している」というのは、企業価値向上の1つのルートにすぎません。
 
経理職も、資本市場における義務を果たし、投資者に企業内容を開示することで資本コストを下げるというルートを通じて、企業価値向上に貢献します。
 
したがって、経理は決して「仕方なくやるもの」ではなく、むしろ収益機会の不確実性の高い現在の事業環境の中で、企業価値向上のために行わなければいけない必須業務なのです。
 
経理職のみなさんには、是非このことを認識して、ご自分の業務に誇りを持ってほしいと思います。
 

中小企業における「人材」の意味と採用活動

こんにちは、毛糸です。

私は会計士資格を武器に、大企業の決算支援の仕事をしています。

いわゆる会計事務所に所属していますが、職員は会計士有資格者が100人程度の中小事務所です。

私の所属する会計事務所の主な業務内容は、大手企業の決算支援や、上場準備支援です。

夏場は決算シーズンから外れており、比較的自由に過ごすことができます。

自由に、といっても暇を持て余しているわけではなく、新しい会計トピックに追いついたり、ビジネスに関連するテクノロジーに関する勉強をしたりして過ごします。

しかし、こういった自己研鑽と同じくらい大切なことが、仲間の募集、すなわち採用活動です。

会計事務所、とくに中小事務所において、事業の成否を左右するのは人材です。

大手会計事務所であれば、社内の教育力も十分にあり、また組織内に十分なスキルを持つ専門家をたくさん抱えることができますが、中小事務所ではそうはいきません。

中小事務所では、ゼロから教育を施すほどの投資を行える余力はなかなかないのが通常ですし、さまざまなスキルを持つ専門家たちを多数抱えるのも難しいのです。

したがって、優れた人材を、適時に確保することが極めて重要です。

いくら市況がよく、会計事務所への業務依頼が活発であっても、人材がなければ収益には一切結びつきません。

中小会計事務所においては人材の確保は業務拡大の必要条件なのです。

幸運にも、私のいる会計事務所は労務管理が行き届いた、働きやすい職場です。

決算支援という「目の前のお客さんに喜ばれる仕事」にも誇りをもっていますし、大変充実したキャリアを歩んでいます。

こういう私自身の充実した毎日を売り文句にしながら、同じ志を持って働ける仲間を見つけていこうと思います。

会計とファイナンスをつなぐもの|クリーン・サープラス関係とアクルーアル

こんにちは、毛糸です。

最近、会計とファイナンス(金融経済学)との調和について考えています。

会計では当然ながら、資産や利益といった会計情報を扱います。

一方、ファイナンスでは株式市場についての分析を行うことから、特に実証分析において、会計情報が極めて重要になってきます。

しかしながら、投資理論や金融意思決定の理論的研究においては、会計情報を明示的に扱うものは多くありません。

ファイナンスでは基本的には、キャッシュフローや資産が分析の中心になります。

そんな会計とファイナンスですが、両者をつなぐ重要な関係式があります。

それがクリーン・サープラス関係、そしてアクルーアルです。

本記事では会計とファイナンスをつなぐこれらの概念についてまとめます。

クリーン・サープラス関係

会計とファイナンスをつなぐ重要な関係式の1つが、クリーン・サープラス関係です。

クリーン・サープラス関係とは、期末の資本は、期首の資本に利益を加え、配当を控除した額として求まる、という関係式のことです。

時点tにおける資本を\( B_t\)、利益を\( e_t\)、配当を\( d_t\)とすると、クリーン・サープラス関係は以下のような関係式として表されます。

\begin{equation} \begin{split}
B_t=B_{t-1}+e_t-d_t
\end{split} \end{equation}

クリーン・サープラス関係は、資本や利益という会計数値と、配当というキャッシュフローをつなぐ関係式であり、会計とファイナンスの重要な接点です。

詳細は下記の記事を参考にしてください。
会計数値の時系列構造を決める関係式|クリーン・サープラス関係、金融資産関係、営業資産関係

株価の評価モデルである配当割引モデルに、クリーン・サープラス関係を適用すると、株価と会計数値(資本と残余利益)の関係式が得られます。
【参考記事】
上述のクリーン・サープラス関係は2時点間の資本の関係を表した差分方程式ですが、これを微分方程式として表すこともできます。
【参考記事】

アクルーアル

会計とファイナンスをつなぐもう一つの重要な概念が、アクルーアルです。

現代の会計では、収益と費用、そしてその差額である利益は、キャッシュフローとは一致しません。

たとえば、今月の家賃を来月10日に支払う、というような契約場合には、月末においては支出が行われていないにもかかわらず、費用を認識します。

こうした費用認識のルールは、発生主義(accrual basis)とよばれます。

収益も同様、認識した額とキャッシュフローの範囲がズレることがあります。

したがって、収益から費用を控除して計算される利益は、キャッシュフローを伴う部分と、キャッシュフローを伴わない部分に分解できます。

この、キャッシュフローを伴わない利益を、アクルーアルと呼びます。

利益はキャッシュフローとアクルーアルの和であり、利益からアクルーアルを控除したものがキャッシュフローです。

利益=キャッシュフロー+アクルーアル

ファイナンスで扱われるのはキャッシュフローですから、これにアクルーアルの調整を行うことで、会計上の概念である利益と結び付けられることになります。

証券会社が潰れたら?分別管理のまとめと暗号資産取引業者との対比

こんにちは、毛糸です。

先日こんなツイートをしました。

本記事ではこのつぶやきを掘り下げて、証券会社においてある資産の保全に関する制度(分別管理)と、暗号資産取引業者における似たような規制についてまとめます。

証券会社が破綻・倒産した場合、預けている証券やお金はどうなるのか?

証券会社が破綻した場合に、預けている資産はどうなるのでしょうか?

破綻している会社に預けていた人が悪い、と自己責任で片付けられてしまうのでしょうか?

いいえ、そうではありません。

証券会社は顧客の資産を自社資産と分けて管理している(分別管理)ので、会社が倒産しても誰かに取られてしまうようなことはありません。

参考
今さら聞けない!投資Q&A-証券会社が倒産した場合、預けている証券やお金はどうなるの?

そもそも、証券会社に預けている資産は、証券会社のものになったわけではなく、あくまで顧客の資産を一時的に預かっているだけなので、証券会社が破綻しても差し押さえ等の対象にはなりません。

参考
株券の保管振替制度Q33.【参加者の破綻】証券会社を通じ株券を<ほふり>に預けた後、その証券会社が破綻した場合、自分の株券はどうなるのでしょうか?

上場株式の場合、第三者の機関(ほふり)で区分して管理したり、金銭は、信託銀行に信託財産として管理されています。
参考

分別管理の制度:金融商品取引法、金融庁・証券業協会・会計士の検査・監査

証券会社の分別管理は金融商品取引法に定められており、違反すれば罰則があるほか、金融庁の検査・日本証券業協会の監査・公認会計士によるチェックが行われます。
また、破産の懸念があるような場合には、日本証券業協会が特別監査に入り、厳しく監督されることになります。

セーフティーネットとしての投資者保護基金(いわゆるペイオフ)

分別管理を前提とすれば、仮に破綻した場合でも、顧客の財産は返還されます。
しかし、万が一破綻時に何らかの事故(事務ミスなど)が発生するなどにより、円滑に返還できなくなった場合に備えて、投資者保護基金から1,000万円まで補償が行われることになっています。
銀行が破綻したときに預金保険機構が保証を行うのと同様、証券にも類似の制度が定められているということです。

暗号資産(仮想通貨)の分別管理と、証券会社との比較

暗号資産(仮想通貨)に関しても、暗号資産取引業者は分別管理を行うことが定められています。
顧客の金銭に関する分別管理は、金銭信託として信託銀行を使うので証券会社と同様のルールです。
顧客の暗号資産については、「自己の暗号資産と分別して管理」し、「業務の円滑な遂行等のために必要なものを除き、顧客の暗号資産を信頼性の高い方法(コールドウォレット等)で管理すること」が求められるとされています。
証券会社が上場株式について行う分別管理とはやや内容が異なっていますね。
証券会社における有価証券の分別管理が「第三者機関における区分管理」であるのに対して、
暗号資産交換業者の暗号資産の分別管理「コールドウォレット等での管理」となっており、管理の仕方が異なっています。

分別管理と公認会計士制度:合意された手続から保証業務へ

証券会社の分別管理も、暗号資産取引業者の分別管理も、それが規則に則って適切に行われているかどうかを確かめるため、会計士による保証を受けなくてはいけません。
参考
分別管理は従来「合意された手続」でしたが、最近「保証業務」に変わったようです。
会計士による確認作業から、会計監査と同じようなレベルに高まった、というイメージでしょう。

AIに振り回される会社の共通点|道具としてのAIへの向き合い方

こんにちは、毛糸です。

AI(人工知能)というバズワードはビジネスの世界でもよく聞かれるようになりましたが、その具体的な内容を理解できている人は多くない印象です。

ディープラーニングをはじめとする機械学習などのアルゴリズムないしプログラムがAIの正体ですが、当然使いどころや適した分野というのがあります。

しかし、ことビジネスの文脈においては、どうも「AIってのを使えば今までにない収益機会が得られたり、驚異的なコスト削減ができる」という夢物語が散見されます。

当然、AIはそんな魔法ではありません。

ディープラーニングでできるのは大量のデータから共通点を見つけ出し、新しいデータを分類することであり、「ねぇAI、コスト分析して?」とお願いするだけでレポートが作れるわけではありません。

記事の中でもAIへの理解の浅さに警鐘が鳴らされています。

必要なのは課題に対して適切な解決策を立案し実行できることであって、AIを使うことが目的になってしまっては主従逆転です。

AIはあくまで道具です。

道具に振り回されることなく、道具の性質をよく理解したうえで、使うべき時にその道具を使えるようにしたいものです。

会計情報で株価は予測できるのか

こんにちは、毛糸です。

会計は、企業がどのような経済活動を行っているのかを、企業外部の株主や債権者に報告するルールであり、言語でもあります。

会計が果たす役割にはいろいろあり、「自分が託したお金がどのように運用されているか」を知らせるためだったり、その企業の「価値」がどれくらいなのかを投資家が推測するためだったりします。

後者のような会計の役割を「意思決定有用性説」と呼びます。

投資の意思決定に有用であるために会計はあるのだ、ということですね。

この目的が果たされているなら、会計情報を使うことで、投資の成果の予測が出来るのではないかと考えられ、実際に多くの投資家は会計情報(利益やキャッシュフローや財務健全性など)から、投資の成果が得られそうな会社を選定しています。

一方で、ファイナンス(金融工学)の立場は、会計の果たす役割についてやや否定的です。

ファイナンスにおける「効率的市場仮説」によれば、投資家はすでに公開されている情報を用いるだけでは、超過収益は得ることが出来ないとされます。

市場に公開された情報は瞬く間に投資家の知るところとなり、その内容がポジティブならば、瞬時に株価に織り込まれ、蓋然性の高い収益機会はなくなってしまうと考えられているからです。

会計情報により株価リターンは予測できるのか、もしくは超過収益が得られるのか、という研究は、実務家・研究者を問わず多くの市場参加者が行っています。

個人的には効率的市場仮説とそこから演繹される理論体系が好きなので、これを信じていますが、実証研究では会計情報に関する多くの収益機会(会計アノマリー)の存在が指摘されています。

先入観を持たず、これらの研究を追っていきたいと思います。

種類株式の評価事例| 日本公認会計士協会(経営研究調査会)経営研究調査会研究報告第53号

こんにちは、毛糸です。

「種類株式」は、スタートアップや大企業の資金調達に用いられる、柔軟に設計された株式です。

種類株式は普通株式とは異なり、配当や残余財産請求権を制限したり強化したり、議決権や取得条項などを付けられるなど、各会社の都合に合わせてカスタマイズできます。

当然、種類株式に関する約束が普通株式と異なれば、価格も異なるものになります。

種類株式はその発行時に、その価値に見合う金銭を出資してもらう必要がありますので、当然種類株式の「評価」の問題が浮上します。

 日本公認会計士協会(経営研究調査会)は2013年、経営研究調査会研究報告第53号「種類株式の評価事例」を公表しました(リンク)。

「種類株式の評価事例」では日本の制度上許される種類株式の多くの条件について整理し、実際にそれらをどう評価に織り込めばよいのかを、例題を用いて説明しています。

種類株式の発行時には、どういう目的で、どういう設計にし、それをどう評価すべきかという問題を常にセットで考えねばなりません。

「種類株式の評価事例」には、その問題に対応するための指針が提供されています。

企業価値と株主価値・PBRの関係

こんにちは、毛糸です。

先日こんなツイートを見つけました。

この図の出典は『ROEを超える企業価値創造』(柳 et al. 2019)だそうです。

この図や、あとに述べる同じ著者のレポートでは、企業価値という言葉を誤用しているのではないかと思われたので、ここで指摘したいと思います。

企業価値と株主価値と純資産

企業価値とは株主価値と負債価値の和として定義されます。

株主価値の評価理論について論じた『Equity Valuation』にも

we may determine the value of the firm both as the sum of debt and equity value, i.e.,

\begin{equation} \begin{split}
V_\tau=S_\tau+D_\tau
\end{split} \end{equation}

と述べられており、私もこの定義がフォーマルな定義であると考えています。なお、\( \tau\)はある時点を表す添字、\( V\)が企業価値、\( S\)が株主価値、\( D\)が負債価値です。

この定義の上で、株主と債権者に帰属するフリーキャッシュフローの割引現在価値もまた、企業価値\( V_\tau\)に一致することが示せます(これは定義ではなく定理です)。

株主価値\( S_\tau\)は市場から評価される金額であり、平たく言うと株式時価総額です。

会計ルールによって作成される貸借対照表で、株主価値に対応するのは、純資産(Book value, \( B_\tau\))です。

会計ルールは、株主価値\( S_\tau\)と純資産\( B_\tau\)が一致するようには出来ていないので、当然両者には差があり、両者の比が1になるとは限りません。

株主価値\( S_\tau\)と純資産\( B_\tau\)の比\( \frac{ S_\tau}{ B_\tau}\)はPBR(Price-Book Ratio)といいます。

ROEとPBRの関係

冒頭のツイートの図と似たような図が、同じく柳氏らのレポート『エクイティ・スプレッドと価値創造に係る一考察』(PDF)にも載っています。

同レポートの中では

ROE8%未満ではPBR1倍以下で価値評価が低迷するケースが多く、ROEが8%を超えるとPBRは1倍以上に向上して価値創造が高まる傾向があることが観察できる(図表1)。

と記載されており、また冒頭のツイートの画像(『ROEを超える企業価値創造』のものとされる)の題名は「優れたIRは企業価値向上に貢献する可能性」となっています。

いずれの図でも「ROEが高い企業はPBRが高い傾向にある」という傾向が読み取れますが、同時にこれを「価値創造が高まる」と表現しています。

この解釈は妥当なのでしょうか。

PBRと企業価値の関係

PBRは株主価値\( S\)と純資産簿価\( B\)の比\( \frac{ S}{ B}\)であり、企業価値\( V\)は株主価値\( S\)と負債価値\( D\)の和(\( V=S+D\))です。
これをちょっと変形してみると

\begin{equation} \begin{split}
V=S+D=PBR*B+D
\end{split} \end{equation}
です。

この式から、純資産簿価\( B\)と負債価値\( D\)が同一ならば(変化しなければ)PBRが大きい会社ほど企業価値\( V\)が大きいといえます。
しかしこの前提が成り立たなければ、「高いPBR」は「高い企業価値」を意味しません。

トヨタ自動車は企業価値が大きい会社であるという主張は多くの方に賛同してもらえるかと思いますが、トヨタのPBRは1を下回るかどうか程度ですので、高いPBRとはいえません。

統計的にROEがPBRを高めるという主張は成り立っても、それが企業価値を高めているかどうかは明らかでないのです。

「高いPBR」と「高い企業価値」は同じ概念ではないので、それらを混同すると、誤った結論を導くことになります。

『会計情報と資本市場』のレビュー

こんにちは、毛糸です。

本記事では『会計情報と資本市場』の6つの主要な結論をまとめます。

本記事の内容は2019年の日本経済会計学会における『会計情報と資本市場』著者浅野先生の講演内容を参考にしています。

経営者の裁量と企業価値

経営者は、会計基準の枠内、もしくは自身の業務執行の範囲内で、一定の裁量(操作可能性)を有しています。


会計処理における裁量余地は、情報提供や効率的契約を通じて利益の質と企業価値を向上させる一方、経営者は機会主義に陥り企業価値を低下させるおそれがあります。

経営者が企業に有利なように会計情報や投資活動を「操作」することで、企業価値を高められる可能性がある一方で、好きかってやってしまう可能性も生じるということです。

減損損失の認識は、機会主義的処理として、企業価値評価のノイズになっている可能性があり、それを防ぐためにのれん償却が正当化されるといいます。

原則主義と細則主義

会計基準に原則のみを定め、詳細は個々の企業の状況によって判断するという考え方を、原則主義といいます。

他方、会計基準に個別具体的な会計処理を細かに規定しておくやり方は、細則主義といいます。

会計基準における原則主義と細則主義の二者択一ではなく、両者を会計基準の精神に照らしながら両立させていくことが現実的です。

マネジメント・アプローチの欠点

マネジメント・アプローチは時系列比較の欠如や所在地別セグメントの非開示など負の側面があり、有用性低下や租税回避につながっているとされます。

エージェンシーコスト削減のため、これら問題に対処する必要があります。

業績予想の柔軟化と規制

経営者は企業の内部の情報を誰よりも知る者であり、経営者による業績予想は、投資家の将来予測に大きな影響を及ぼします。

業績予想は証券取引所のルールに乗っ取り適時に行われるものですが、これをより柔軟にしようという動きがあります。

しかし、業績予想の開示柔軟化により、返ってその有用性が低下するおそれがあります。

業績予想それ自体は、投資意思決定に極めて有用なので、有用性を害しないようなガイドラインが必要です。

東日本大震災後の業績予想

東日本大震災の直後、企業にたいする業績予想の開示が時限的に緩和されました。

これにより、業績予想を非開示とする会社が多数発生しました。

この行動を分析したところ、業績予想は不確実性を低下させ、投資環境を改善する効果を持つことがわかりました。

経営者の私的選択と裁量余地

経営者の私的選択が外部から検証可能であれば機会主義を減らせますが、判別は困難です。

したがって、細則により裁量余地を減らすことが効果的です。

連続時間モデルにおけるクリーン・サープラス関係(Clean surplus relation, CSR)

こんにちは、毛糸です。

先日、以下の記事で、会計数値(純資産や営業資産)の変動を規定する関係式について述べました。

【参考記事】
会計数値の時系列構造を決める関係式|クリーン・サープラス関係、金融資産関係、営業資産関係

上記記事に示したクリーン・サープラス関係(Clean Surplus Relation, CSR)とは、企業の純資産の変動を示す以下の関係式のことです。
\begin{equation} \begin{split}
bv_t=bv_{t-1}+ni_t-d_t
\end{split} \end{equation}

ここで\( bv_t\)は時点\( t\)における純資産の金額、\( ni_t\)は純利益、\( d_t\)は配当を示しています。クリーン・サープラス関係は、純資産\( bv_t\)を離散的な時間単位で観測した、差分方程式を表しているといえます。

ということは、これを連続時間で考える、つまり純資産の微分方程式を考えるのは、極めて自然な流れではないでしょうか。

素朴に考えると、1期間で成り立つクリーン・サープラス関係を、時間区間\( \Delta t\)でも成り立つと考え

\begin{equation} \begin{split}
bv(t+\Delta t)-bv(t)=ni(t)\Delta t-d(t)\Delta t
\end{split} \end{equation}

と表し、時間区間\( \Delta t\)を\( 0\)に近づけた極限を考えると
\begin{equation} \begin{split}
dbv(t)=ni(t)dt-d(t)dt
\end{split} \end{equation}
のように表せてもよさそうなものです。

これは純資産\(bv \)の微分方程式になっています。

当然ながらこれを積分すると

\begin{equation} \begin{split}
bv(t)=bv(0)+\int_0^t ni(s)ds-\int_0^t d(s)ds
\end{split} \end{equation}
となり、
「ある時点の純資産は、当初純資産に、利益の累積額を足して、配当として流出した分を控除した額として決まる」
という当たり前の結果が成り立ちます。

会計では通常、会計数値は連続的には観測されず、四半期ごととか1年ごとといった離散時間でのみ観測されます。

しかしながら、理論上は瞬間瞬間に決算をし会計数値を確定させるような手続きを踏めば、もしくはその時点で決算を行えば観測されたであろう「仮想の」会計数値を考えれば、連続時間でクリーン・サープラス関係が成り立つと考えても問題はなさそうです。

むしろクリーン・サープラス関係を微分方程式として表すことができれば、解析学のツールを活用することが出来、分析の幅が広がることも期待されます。

会計学の論文では実際に、この連続時間版クリーン・サープラス関係を扱っているものがいくつかあります。

時間をとってこれらの論文を読み込んでみたいと思います。

RESIDUAL INCOME, REVERSIBILITY AND THE VALUATION OF EQUITY(PDF)
Mark Tippett and Fatih Yilmaz
LINEAR INFORMATION DYNAMICS, AGGREGATION, DIVIDENDS AND “DIRTY SURPLUS” ACCOUNTING(PDF)
David Ashton, Terry Cooke, Mark Tippett and Pengguo Wang
A valuation model for firms with stochastic earnings(PDF
Steven Li
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