こんにちは、毛糸です。
先日の記事「ひふみ投信の対TOPIXの勝率を調べてみたら、統計的に有意に1/2より大きかった件」では、ひふみ投信の設定開始日2008/10/1から本記事執筆時点の直近営業日である2019/4/26までの2,590日を1期間として、当該期間の平均や日次勝率を算出しました。
しかし、ここでこんな疑問がわきます。
2008年から2019年という期間では確かにそうかもしれないが、最近に限れば勝率は高くないのではないか?
事実、最近はインデックスに対する勝率が低いという分析結果もあります。
参考記事:ひふみ投信の懸念点とその他投信の注意点
そこで今回は期間選択のバイアスをなくすため、計算期間をランダムに指定して、ひふみ投信とTOPIXの比較をしてみたいと思います。
ランダムな期間のとりかた
全体期間を、ひふみ投信の設定開始日2008/10/1から本記事執筆時点の直近営業日である2019/4/26とします。
この全体期間の中から、ExcelのRAND関数を用いてサンプル期間開始日( t_i^S)(下付きは( i)番目のサンプルを表す)をランダムに選択します。
次に、サンプル期間開始日( t_i^S)から全体期間終了日までの期間の中から、ExcelのRAND関数を用いてサンプル期間終了日( t_i^E)(下付きは( i)番目のサンプルを表す)をランダムに選択します。
こうしてサンプル期間(left[ t_i^S,t_i^Eright] )を作成し、これを1000セット作成します。
これがランダム期間の1000個のサンプルです。
期間をランダムサンプリングしたので、「ひふみ投信のパフォーマンスが高い期間を恣意的に選んだ」という疑念はなくなるでしょう。
各サンプル期間に対して、ひふみ投信とTOPIXの日次リターンの平均、標準偏差、シャープ・レシオ、日次勝率、期間勝率を比較します。
サンプル期間における日次リターンの平均
各サンプル期間で、ひふみ投信とTOPIXの日次リターンが計算できます。
1000件のサンプルで計算されたひふみ投信の日次リターンの平均は年率換算で16.01%、TOPIXは7.81%でした。
期間をランダムに選択した場合でも、ひふみ投信はTOPIXより良好なリターンを上げていることがわかりました。
サンプル期間における日次リターンの標準偏差
1000件のサンプルで計算されたひふみ投信の日次リターンの標準偏差(リスク)は年率換算で18.28%、TOPIXは19.25%でした。
期間をランダムに選択した場合でも、ひふみ投信はTOPIXより低リスクであることがわかりました。
サンプル期間における日次リターンのシャープ・レシオ
日次リターンの平均と標準偏差を用いて計算されるシャープ・レシオは、ひふみ投信が1.29、TOPIXが0.6でした。
投資の運用効率を測る指標であるシャープ・レシオは、ひふみ投信のほうがポイントが高いことがわかりました。
サンプル期間における日次リターンの日次勝率
各サンプル期間で、ひふみ投信の対TOPIXの日次勝率が計算できます。
日次勝率の平均は53.63%で、ランダムに期間を指定しても、ひふみ投信はTOPIXに勝つ確率のほうが高いという結果になりました。
なお、日次勝率の1000サンプルにおける勝率トップは77.5%(2019/1/7-2019/1/20)、勝率最下位は0%(2019/12/5-2018/12/8)、中央値は53.5%でした。
1000サンプルから計算される日次勝率をヒストグラムにしてみると、勝率が50%から57%の間にあるケースが最も多いという結果になりました。
サンプル期間における日次リターンの期間勝率
各サンプル期間でのひふみ投信の基準価格成長率とTOPIXの伸び率を比較することで、サンプル期間での勝敗を定義することが出来ます。
1000サンプルのうち、ひふみ投信がTOPIXの成長率を上回ったサンプルは873件であり、勝率は87.3%でした。
期間を適当に区切ったとき、ひふみ投信がTOPIXより「儲かる」確率は87.3%と解釈できます。
まとめ
本記事ではリターン計測に期間選択の恣意性が混入しないよう、ランダムに期間を選択し、その期間でリターンや勝率を計算してみました。
個別のサンプル期間で見ればひふみ投信がTOPIXに勝てない期間もありましたが、平均的にはひふみ投信はTOPIXより優れた運用成果を上げていました。
本記事の分析は多数・ランダムなサンプルによる統計的手法に基づいてはいるものの、ひふみ投信の一側面しか見えていないというご意見もあろうかと思いますので、是非SNSで「こんな見方もある」といったコメントを頂けると嬉しいです。
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