このブログでは、【君の知らない複式簿記】と題して、複式簿記のちょっと変わった側面を紹介しています。
今回は【君の知らない複式簿記】が何を目的とした企画なのかお伝えします。
【君の知らない複式簿記】とはなにか
【君の知らない複式簿記】とは、このブログの不定期連載企画です。
ビジネスパーソンの基本スキルとしてたくさんの学習者のいる複式簿記ですが、実は簿記検定の勉強で学ぶ簿記以外にも、さまざまな姿を持っています。
【君の知らない複式簿記】ではそんな複式簿記について、あまり知られていない側面を解説するブログ記事です。
目的1:簿記の理解を深める
【君の知らない複式簿記】の第一の目的は、簿記そのものをより深く理解することです。
【君の知らない複式簿記】では、複式簿記の様々な側面を紹介しています。たとえば、複式簿記を行列で表したり、ベクトルで表したり、矢印で表す方法について紹介しています。
このような複式簿記の別の側面に触れることで、複式簿記の理解が深まります。
借方貸方という複式簿記の「通常の」説明ではわかりにくい事柄でも、それをベクトルとして表現すると理系の人には理解しやすいかもしれませんし、矢印で表現することで直感的に理解できるという人がいるかもしれません。
日常生活において上手な例え話やアナロジーが理解を助けるように、複式簿記を別の概念と結びつけることによって、複式簿記を理解する助けになるのです。
【君の知らない複式簿記4】簿記代数の教科書『Algebraic Models For Accounting Systems』とバランスベクトル
目的2:実務への役立ちを探る
複式簿記は会計という実務で用いられる、ビジネスの言語のようなものです。
したがって、複式簿記の知らない一面を知ることが、実務に役立つことが期待されます。
実際、三式簿記という「拡張された複式簿記」は、経営管理や業績管理に役立つことが示されています。
また、行列簿記も実務への応用が研究されています。将来の経営予測や原価の配賦計算に行列簿記が利用できます。
さらに、複式簿記を数学的に表すことによって、会計システムの仕組みを理解するのにも役立ちます。
【君の知らない複式簿記4】簿記代数の教科書『Algebraic Models For Accounting Systems』とバランスベクトル
このように、複式簿記の知らない一面を知るということが、実務的にも役立つ知識になりうるのです。
目的3:まだ誰も知らない簿記の姿に迫る
普段とは違う複式簿記の側面を知ることで「そもそも複式簿記とはなんなのか」「複式簿記を複式簿記たらしめているのはどういう性質なのか」を理解する助けになります。
これは複式簿記の抽象化といってもいいでしょう。たとえば、複式簿記における仕訳の集合は、群という数学概念のなかまであることがわかっています。
さまざまな姿を見せる複式簿記に共通する性質を見極めることによって,複式簿記の本質がわかります。
複式簿記の本質がわかれば、会計実務のなかで扱う複式簿記以外にも、複式簿記と同じ性質をもつ別の概念に出会えるかもしれません。
それによって異なる概念を統一的に理解したり、まだ誰も知らない複式簿記の性質を見つけたりして、実務に活かせる可能性もあります。
実際、複式簿記の代数構造を前提として、キャッシュフロー計算書をより使いやすいものにしようというアイデアもあります。
【君の知らない複式簿記 補遺】誘導法によるキャッシュ・フロー計算書とバランス・ベクトル
もしかしたら今後、画期的な会計テクノロジーが生まれるかもしれません。
複式簿記の様々な側面を考察することで、誰も知らない複式簿記に出会えるかもしれないのです。
まとめ
本記事では【君の知らない複式簿記】シリーズの目的についてまとめました。
簿記の理解、実務への役立ち、まだ見ぬ簿記の探求、という3つの目的を達成するため、【君の知らない複式簿記】シリーズはまだまだ続きます。