この記事では基本的な代数構造の1つであるモノイドの定義を述べます。
また、圏論において「一つの対象からなる圏は本質的にモノイドと同じである」という主張について解説します。
モノイドは複式簿記会計の対象となる経済的状態のモデルとして使えます。
この記事では基本的な代数構造の1つであるモノイドの定義を述べます。
また、圏論において「一つの対象からなる圏は本質的にモノイドと同じである」という主張について解説します。
モノイドは複式簿記会計の対象となる経済的状態のモデルとして使えます。
会計とは、企業等の経済主体が行う経済活動を一定のルールに基づき情報として伝達するプロセスをいいます。
圏論とは、一定の関係性を持つ対象たちの集まりを考察する数学の一分野です。
会計にも圏論にも「忠実」という言葉が登場します。
この記事では会計と圏論がどういった意味で「忠実」という言葉を使っているのか、そこに関連性はあるのかについて考えます。
財務会計と管理会計は会計の「二大巨頭」とも言える分野です。
どちらも会計の基本的な性質は共有していますが、一方でその意義・目的に起因する差異も存在します。
本記事では財務会計と管理会計の共通点と相違点についてまとめます。
複式簿記における仕訳では、必ず2つ以上の勘定科目が登場します。例えば、
(借)減価償却費100 (貸)減価償却累計額100
という仕訳には「減価償却」と「減価償却累計額」の2つの勘定科目が現れます。勘定科目を3つ以上用いる仕訳もあります。
通常、「減価償却累計額」という勘定科目は「減価償却費」の相手勘定として仕訳に現れることが多いです。
このように、勘定科目には特定の表れやすさがあります。勘定科目の表れやすさはどうやって定式化したら良いのでしょうか。
その方法の1つが共起です。
2021年2月に実施された簿記2級の合格率が、速報値で10%を割ってます。
時代は変わったんですね……
10%と言えば従来の1級の合格率くらいのイメージでしたが、まさか2級でこれとは驚きです。
今回は簿記2級の難化について、いち会計士として・実務家としてどう向き合うべきか考えます。
ベンフォード分析は財務諸表監査の一環として行われる、異常検知の手法の一つです。
本記事ではベンフォードの法則と会計監査への応用、そしてExcelでベンフォード分析を行う方法についてまとめます。
このブログでは、【君の知らない複式簿記】と題して、複式簿記のちょっと変わった側面を紹介しています。
今回は【君の知らない複式簿記】が何を目的とした企画なのかお伝えします。
細谷功『具体と抽象』は、ものごとを抽象に考えることの重要性を説いた書籍です。
私たちは「具体的なものはわかりやすい」「抽象的なものはわかりにくい」と印象を抱きがちです。
しかしものごとを抽象的にとらえると、一般的な性質に着目できるため、私たちの理解を助ける場合があります。
本書はものごとを抽象的に考え、思考力・発想力・理解力を向上させたいという読者に向けた本です。
また、具体的なレベルでしかものごとを捉えられない人とのコミュニケーションの齟齬に悩む人も、想定読者に上げられています。
具体と抽象の行き来は、課題解決に役立つと考えています。
ユニクロの柳井社長は、具体と抽象の行き来が上手かったそうです。
「赤のフリース売れません!」という販売部門からの報告会の出来事です。
会議の参加者は「白は売れ行きは?」「トレンドカラーは茶だよ」という、色に着目した議論を進めようとしたそうです。
そんな中柳井社長は「フリース全体は?そもそも衣類支出の動向は?」と、より広い視野での質問を投げかけ、この問題を抽象化して考えようとしました。
このように、具体的な課題をさらに高い次元で考察することに、柳井社長は長けていたのだそうです。
ここに抽象化(もしくはカテゴリーの上位化)を伴っています。
このような抽象化による課題解決のアプローチを学ぶため、この本が役に立つと考えました。
具体的には異なるものを、まとめて同じものとして扱う。これが抽象化の例です。
ものごとを抽象的に捉えると、異なるものを統一して見ることができるようになり、思考の幅が広がります。
また、共通する性質に対して考察することで、広く応用しやすい結論を得られます。
これは数学を学ぶことにも似ています。
数学は数や論理を使って議論を繰り広げます。しかし、具体的に何を扱っているかは問題とせず、例えばりんごひとつもみかんひとつも「1」という数で表しますし、コーヒーカップもドーナツも穴が1つという意味で「同じ」とみなしたりします(これはトポロジーという数学の考え方です)。
具体的なものではなく、抽象的なレベルで議論を展開しておくことで、あらゆる場面に応用できる一般性のある結論が得られます。
これが抽象化のメリットです。
抽象と具体は「1:N」の関係で表現できると『具体と抽象』には書いてあります。
これは会計システムにおいて、勘定科目が階層構造を作っていることと似ています。
流動資産という抽象的な1つの勘定科目に対して、現金・預金・売掛金といった具体的な複数の勘定科目が対応しています。
また、流動資産・固定資産といった勘定科目は、さらにまとまりをつくり、資産というより抽象的な勘定科目を作ります。
このように、勘定科目の階層構造は、本書に書かれた具体と抽象のパターンそのものといえます。
参考文献:『勘定科目統一の実務』
細谷功『具体と抽象』は、ものごとを抽象的に考えることの重要性を学べる本です。
抽象的に考えることで、理解を助け、発想を豊かにし、一般的な性質を見極められます。
より広い視野でものごとを考えたいという方に、おすすめしたい一冊です。
会計には、その目的によっていくつか種類があります。財務会計、管理会計、税務会計などがその例です。
これらの会計は別個独立に存在しているのではなく、互いに関連しあっています。
複式簿記を代数的に表現するという研究があります。私はそれを簿記代数と呼んでいます。
簿記代数では、仕訳や試算表といった「複式簿記のオブジェクト」の集合に「仕訳の追加」「試算表の合算」といった加法を定義し、群や環上の加群を導入します。
【参考記事】【君の知らない複式簿記3】複式簿記の代数的構造「群」
複式簿記の構造を群として考えるということは、複式簿記のオブジェクトにはどれも逆元が存在するということです。
この逆元というのは、ある仕訳の逆仕訳が想定されます。この逆仕訳というのは、ある仕訳の取り消し処理のことです。
どんな仕訳にも逆仕訳が存在するということは、どの仕訳も取り消せるということです。その取り消しは実務的な要請(誤謬の訂正)という意味合いが大きいように思えます。
しかし、もし「理想的な」会計実務が想定でき、仕訳の誤りがなくなったら、どうでしょうか。それはつまり、仕訳の取り消し処理が不要ということです。そのような場合、もはや複式簿記の代数的構造において必ずしも逆元の存在を認める必要はありません。
したがって、群よりもさらに原始的な構造であるモノイドを複式簿記の構造として考えることができます。
【参考記事】代数的構造の関係を図示してみた(マグマ、半群、モノイド、群、アーベル群、環、可換環、整域、体)
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