こんばんは、毛糸です。
今回は「投資」と「投機」の違いについて考えていきます。
投資(Investment)は良いもの、投機(Speculation)は悪いもの。
そんな風に漠然と考えていませんか?
実はそれほど簡単な話ではないのです。
投資はいいけど、投機はだめ!という主張はよく見るけど、投資と投機の明確な差異を直感で議論している人ばかりです。
— 毛糸@Py計士 (@keito_oz) 2018年5月23日
辞書的な意味は?
Weblio辞書によれば、投資と投機はそれぞれ以下のような意味です。
この定義によると、「利益を得る目的」という点で両者は共通しています。
一方で、投機は偶然性や価格変動という意味合いを含んでいます。
しかしながら、投資であってもそのリターンは偶然に左右されますし、投資する以上は値上がりを期待するものでしょうから、投資にも価格差から生じる利益(キャピタルゲインといいます)を目的にしているという側面もあります。
辞書的な意味だけでは、投資と投機の明確な違いはわかりませんね。
Twitterでのご意見は?
利益の発生形態と不確実性の多寡
リターンの継続性が、リターンの自己相関が正であることを指すなら、株式投資は投資ではない。
不確実性(リターンの分散とします)が大きいものが投機なら、オプション取引は投資ではない。— 毛糸@Py計士 (@keito_oz) 2018年5月23日
資(モノ)にお金を投げ込むのが投資・機(トキ)にお金を投げ込むのが投機
機(トキ)にお金を投げ込む典型が預金だと思いますが、定期預金は投機なんですかね…… https://t.co/jJ5g1tZAyW— 毛糸@Py計士 (@keito_oz) 2018年5月24日
金融機関・専門書の意見は?
- 投資:将来が有望な投資先に長期的に資金を投じること
- 投機:相場の変動を利用して利益を得ようとする短期的な取引
一般的には、ギャンブル的要素が強い・リスクが高い・保有期間が短いといったときには「投機」、手堅い・リスクが低い・中長期で運用といったときには「投資」という表現を使うことが多い
投資と投機を区別する基準は、どのような期間で投資リターンを考えるかがはっきり意識されているかどうかと、リターンが合理的に予測できるかどうか、の二点にある。投機家は二、三日あるいは二、三週間の間に大儲けすることを狙って株式を取得する。これに対して、投資家は、何年、あるいは何十年先まで安定的に配当をもたらし、あるいは持続的な値上がりが期待できるような株式を保有する
いずれの定義においても、
- 投資は長期目線で安定的なリターンの獲得を目指す
- 投機は短期的な取引で大きなリターンを目指す
学術的な差異は?
ファイナンスや金融経済学の教科書的な立場からは、実は投資と投機を使い分けることは少ないです。
投資も、投機も、もっというとギャンブルであっても、ファイナンス・金融経済学という学問の立場からは、本質的な差異はありません。
投資・投機・ギャンブルの違いも金融経済学では意識されない。投資理論の最初の説明では必ずと言っていいほど、ギャンブルやクジが題材になる。
— 毛糸@Py計士 (@keito_oz) 2018年5月23日
金融経済学の立場からいうと、投資も投機もギャンブルも、
- 実行する前に結果を予測することができず、かつ
- 結果によってキャッシュフローが変わる
という意味で、同じものなのです。
投資も投機もギャンブルも、試行前に結果が予期できず、結果に応じてキャッシュフローが変化するという意味で、本質的に変わりません。— 毛糸@Py計士 (@keito_oz) 2018年5月23日
起こりうる結果の確率分布、その期待値や分散などに違いがあるだけ。その違いに勝手に線引きをして、ここから投資、ここから投機と主張することは構いませんが、あくまで個人的都合の産物です。
— 毛糸@Py計士 (@keito_oz) 2018年5月24日
結論:投資と投機の違いは目的・時間・リスクにあり!
以上のように、投資と投機は「どこからが投資、どこからが投機」という明確な線引はないものの、その目的・リターンを得るための時間・リスクの負い方に差があるということがわかりました。
これまでの内容をまとめると、次のようになります。
- 投資:将来性を見込んで、長期目線で、安定的にリターンを追い求める
- 投機:価格変動を目論んで、短期目線で、積極的にリスクを取り利益を追い求める
参考文献
『ブラック・スワン』は不確実性とリスクに関する読み物として大変有名です。https://t.co/PLqNULRntZ https://t.co/2Z9XykEiiL— 毛糸@Py計士 (@keito_oz) 2018年5月24日
- ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質, 2009, ナシーム・ニコラス・タレブ, ダイヤモンド社
- ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理, 2016, バートン・マルキール, 日本経済新聞出版社
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