お金は純粋さを曇らすというお話。あるいは私がコミュニティ運営で気を付けていること

こんにちは、毛糸です。

私は定期的に勉強会を開催しているのですが、ときどき、

会費はとらないのですか?

と質問されることがあります。

今のところ、私が運営する勉強会で参加費を徴収することはありません(今後はわかりません)。

本記事ではその理由と「お金は純粋さを曇らす」という私自身の考えについてお話します。

アンダーマイニング効果

こんな寓話があります。

あるところに、塀に落書きをされて困っているおじいさんがいました。
おじいさんは、近所の子供らが落書きをしに来るたびに叱りつけますが、子供らは一向にやめようとしません。
ある日おじいさんは何を思ったか、落書きする子供たちにお小遣いをやり始めます。
おぉ、今日も落書きに来たのか、よしよし小遣いをやろう。
子供たちは疑問に思いながらも、自由に落書きをし小遣いまでもらえることを喜びました。

何日か後、おじいさんは子供たちに切り出します。
すまない子供たち、もうお金が無くなってしまって、落書きをしても小遣いをやれないんだ。
子供らはがっかりして、落書きするのをやめました。

この寓話は、行動経済学におけるアンダーマイニング効果を表した例として非常に有名です。

アンダーマイニング効果とは

内発的に動機づけられた行為に対して、報酬を与えるなどの外発的動機づけを行うことによって、モチベーション(やる気)が低減する現象

のことです(Wikipediaより)。

かみ砕いていうと、

好きでやっていたことに対して、

お小遣いをもらうなど外からの動機が与えられると、

それを失ったときに当初の熱意が冷めてしまう

ということです。

参考:『行動経済学まんが ヘンテコノミクス 

コンコルド効果(サンクコスト効果)

アンダーマイニング効果は人間の心理を説明したものですが、もう一つ、お金にまつわる重要な法則を紹介しましょう。

心理学におけるコンコルド効果(経済学ではサンクコスト効果ともいう)です。

コンコルド効果とは、

ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資がやめられない状態

を指します(Wikipediaより)。

コンコルド効果は、投資資金を少しでも回収しようと躍起になる心理状態とも解釈できます。
映画を見始めたはいいが、全然面白くない、けれどお金は払ったのですべて見ないともったいない。
そんな心理状態です。
合理的に考えるなら、映画を見始めた後でも、途中で退場してウィンドウショッピングでもしたほうが満足感が得られそうです。
しかし人間の心理的に、お金を払ってしまったら、それを回収しないと気が済まなくなるのです。

勉強会でお金をとらない理由

私は純粋な興味関心から、勉強に取り組んでいます。
つまり、内的動機づけから勉強を楽しんでいます
ですから、私が勉強することに対して金銭をもらったりすると(外的動機づけが加わると)アンダーマイニング効果によって勉強意欲が落ちる可能性があります。
これは私の個性を揺るがす問題であり、何としても防ぎたい状況です。
また、参加者から会費を徴収する場合にも、参加者はコンコルド効果により、会費を回収すべく勉強会コミュニティからの「リターン」を要求するようになります。
その結果、コミュニティ内でGiveする人よりTakeする人のほうが多くなって、破綻してしまします。
このように、純粋な学習意欲から生じた勉強会に、お金の仕組みを取り入れてしまうと、コミュニティの学習意欲が低下し、価値の需給バランスが崩れてしまう可能性があるのです。
ですから私は可能な限り、勉強会という「探求」の場に、金銭的利害を持ち込まないようにしています。
もちろん、勉強会の規模が大きくなってくれば、会場の確保やセミナー講師招聘などにお金がかかることもあるでしょう。
そういう場合は、会員のモチベーションを崩さない範囲で、上手にやりくりできればと思います。
しかし、基本的には「お金は純粋さを曇らす」と考えているため、お金に頼るのは最後の最後にしたいと思っています。

ご協力いただける方に感謝を

現在、私が運営事務をしている勉強会では、コミュニティの方針に賛同していただく企業様から無償で会場をお借りしています。
また、セミナー形式での勉強会をする際にも、登壇者はお願いベースで許可をいただき、完全なボランティアで講演をしていただいております。
コミュニティのために無償で資源を提供し知見を披露してくださる協力者の皆様には、心から感謝しております。
勉強会のために労を厭わず協力していただける方々の存在を、ただただ有難く思います。
この場で再度、感謝申し上げるとともに、今後のコミュニティの発展で報いると約束したいと思います。
「お金は純粋さを曇らす」と考えてはいても、それにより誰かが我慢や犠牲を払っていては意味がありません。
純粋な気持ちを尊重しつつ、より良い方法を探る姿勢を持ち続けたいと思います。

投資信託はインデックスか、アクティブか。日経ヴェリタスの記事を読み解く

こんにちは、毛糸です。

投資信託の愛好家には、

アクティブ型投資信託の多くはインデックスに勝てない

という主張をする方が多くいます。
ファンドマネジャーが銘柄を選定し、売買のタイミングを図るアクティブ運用は、平均的にはインデックスを上回る成果は上げられない、という主張です。
この主張に関して、日経ヴェリタス 2019年3月31日号に興味深い記事が載っていたので、紹介します。

アクティブはインデックスに勝てないのか?

投資の分散効果や手間の最小化の観点から投資信託を選択する人達の間で、次のような主張をよく目にします。

アクティブ型投資信託の多くはインデックスに勝てない

例えば、インデックス投資の入門書であり、優れた解説書である『お金は寝かせて増やしなさい』には、

大半の投資信託が市場平均のインデックスに負けてしまうという結果が、古今東西明らかになっています。

と書かれています。

大手投信評価会社モーニングスターの2016年の分析でも、

2014年、2015年と2年連続で40%を下回り、2016年も9月末までの年初来で39%と低迷している。

という結果が出ています。

このように、アクティブ型投資信託は、少なくともインデックスに「常勝」する存在ではないことが、データから明らかになっています。

では、直近のデータまで含めた成績はどうなっているのでしょうか。

インデックス優位の常識を疑う

日経ヴェリタス 2019年3月31日号は「インデックス優位」という主張に対し「二元論で投信を評価するのは少々乱暴」と述べています。

記事では運用期間5年以上の追加型株式投信について運用成果をまとめており、その結果、5年、10年のリターンはアクティブ型がインデックス型を上回っていることが明らかになっています。

(出典:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO42785400S9A320C1000000/)

特に中小型株投信のリターンが大きく、記事ではインデックスの3倍近い信託報酬を控除してもなお収益を稼いでいることを強調しています。

また、日本株式以外の資産クラスについても、例えば新興国債券については、アクティブ型がインデックス型の成績を上回っていることが明らかになっています。

記事では、インデックスかアクティブかの二元論ではなく、どんな分析・情報が投資家にとって有用なのか議論をすべきと締めくくっており、インデックス優位という「常識」に疑問を投げかけています。

結局、インデックスか、アクティブか

金融工学・ファイナンスの標準的な枠組みにおいて、「最適」なポートフォリオは広く分散されたものであるべき、という結論が出ています

CAPM(資本資産評価モデル)やその派生形・拡張系の多くは、市場ポートフォリオと呼ばれる極めて広範な分散ポートフォリオに投資することが、投資家の効用を最大化させることを証明しています。

したがって、金融工学が依拠する前提に立てば、広く分散されたポートフォリオとしてインデックスを保有することは一定の合理性があります。

ただし、金融工学が依拠する前提が現実に成り立っていないことも十分にありえるため、現実的にはインデックスが唯一絶対の投資手法であるとは言えません

また、インデックスかアクティブを過去データから分析する際も、過去の実績がそのまま将来にも当てはまるとは限らないため、過去データによる結論を一般論として解釈するのも危険です。

将来の予測ができず、投資の成果も確率的に決まる以上、ある一期間のデータを取り上げて、勝った負けたというのはナンセンスです。

より科学的に、統計的に立証されたアプローチにのっとった分析を行うことが重要です。

まとめ

アクティブはインデックスに勝るか。

その問いかけに対する答えは、過去の特定の期間データを分析するだけでは、結論づけることはできません。

統計的科学的に、一歩進んだ分析が必要です。

少なくとも「インデックス優位」という「常識」を疑うことを気づかせてくれた日経ヴェリタス 2019年3月31日号の記事は、一読に値するものでしょう。

なお、インデックス投資に関する基本的な事項を学ぶための教科書としては、下記の本をおすすめしておきます。

PyCPA第9回勉強会(第三回セミナー)の概要と参加者アンケート結果報告

こんにちは、毛糸です。

先日、会計×テクノロジーをテーマとした勉強会コミュニティPyCPAの第9回勉強会が開催されました

今回はセミナー形式での開催となり、40名近い参加者にお集まりいただきました。

本記事ではPyCPA第三回セミナーの振り返りをしてみたいと思います。

参加者には事前にアンケートにお答えいただいてますので、その結果もあわせて公開します。

PyCPAとは

PyCPAは、テクノロジーの進化を武器に次世代の担い手となる探求者たちのコミュニティです。

もともとは、プログラミング言語Pythonに関心のある公認会計士(CPA)の勉強会として発足しましたが、現在ではより広く、テクノロジー全般に興味を持ち、探求する意欲のある、会計士、経理財務人材、エンジニアなどがメンバーとなって活動しています。

PyCPAは毎月勉強会を開催しており、もくもく会やセミナー、参加型ワークショップを行っています。

現在のコミュニティメンバーはSlack登録者ベースで150名ほど、2019年3月現在の勉強会の累計参加者は200名を超えます

PyCPAコミュニティと勉強会への参加は無料となっており、運営事務、会場確保、講師の登壇等はすべて、コミュニティのビジョンに共感していただいている組織・個人のボランティアでなりたっています。

PyCPAにコミュニティメンバーとして参加したい方はPyCPAのSlackにご登録ください。

ツイッターでのPyCPAコミュニティメンバーのやり取りは、こちらからご覧いただけます。

第三回セミナーの概要

PyCPA第9回勉強会は、セミナー形式で行いました。セミナー形式はこれが三度目となります。

講演内容は以下のとおりです。

  • スタートアップにおけるプロダクト開発のリアル〜プロダクト開発における会計士の役割〜
  • 無人化工場とパワードスーツ〜二分化するRPAに未来はあるか?
  • キャッシュレス時代における部門経費処理のベストソリューション

スタートアップにおけるプロダクト開発のリアル

公認会計士でスタートアップの役員としても活躍するShimboさんの発表です。
課題解決型のプロダクト開発の重要性について、ご自身のスタートアップでの経験を踏まえた講演でした。
誰が、どれほどの痛みを感じているのか、という「課題」にフォーカスし、それを解決するために仮説検証を繰り返すというサイクルの重要性を説かれていました。
課題解決型のプロダクトこそスタートアップが開発すべきもの、という主張は、スタートアップに関するベストセラー『起業の科学』にも述べられており、プロダクト・マーケット・フィット(市場の課題とプロダクトの解決策とがマッチしている状態)こそスタートアップの目指すべき姿です。
また、スタートアップにおける役割として、公認会計士の基礎スキルが極めて高い利用価値を生むことも、講演の中で述べられていました。

二分化するRPAに未来はあるか?

公認会計士で大企業のRPA推進を担当するesteeさんの発表です。
RPAの意義と現状、市場分析と、今後RPAが向かっていくであろう2つの方向性についての講演でした。
発表者のRPA導入の経験を踏まえた広範かつ深い考察から、RPAは今後、

  • 「無人化工場型」=強固な内部統制を敷き大規模なシステム投資を伴うあり方
  • 「パワードスーツ型」=個人の業務支援を気とした小規模なEUCとして運用していくあり方
二分化するだろうという見解が述べられています。

発表者esteeさんのRPAに関する知見は一ユーザのレベルを超えており、公認会計士協会のIT委員会研究報告第52号「次世代の監査への展望と課題」の公開草案に対して、彼が述べた意見が報告書に盛り込まれたという影響力の持ち主です。

経費処理のベストソリューション

公認会計士で最新のテクノロジーについて広く深い知見を有するKBにゃすさんの発表です。
KBにゃすさんは若くして独立し会計事務所を営む中で、Tech系ベンチャー、スタートアップとの交流も深く、ご自身もエンジニアとしての開発活動に参加するなど、会計士×テクノロジーのコミュニティの中心人物です。
会社によって多様な運用がされている経費精算のプロセスに焦点を当て、主要なツールについてメリット・デメリットを整理したあと、会社の規模・ステージに応じて最適なソリューションは変わるということを指摘しています。
経費精算は「いにしえの管理手法」EXCELを利用したものから、クラウドソフトを利用するところまで様々な解決策がありますが、会社の規模に合わないツールの導入は控えるべきと警鐘を鳴らしています。
以上、PyCPA第三回の3名の講師の発表資料は、PyCPAのSlack「資料室」チャンネルで無料公開されています。

参加者アンケート結果報告

PyCPA第9回セミナー参加者には、事前に以下のアンケートにお答えいただいています。
  • 参加者の所属
  • 参加理由
  • 意見・感想・提案など
その回答状況を見ていきましょう。

参加者の所属

PyCPA第三回セミナーの参加者の4割が一般企業勤務でした。次いで監査法人職員独立会計士・税理士と続きます。
セミナー内容が、スタートアップ、RPA、経費精算であったため、一般事業会社の方により高い価値を感じていただけるものであったと感じています。
PyCPAがCPA(会計士)の勉強会から発足していながら、会計士でない多くの方が関心を寄せていることからも分かる通り、PyCPAのコミュニティはその裾野をどんどん広げていっています。

参加理由

PyCPAへの参加理由は、業界情報の収集が1位、僅差でIT技術力向上、最後にネットワーク構築となっています。

テクノロジーに関する探求者が集うコミュニティとして、PyCPAはIT技術と会計等専門領域の情報収集・意見交換に役立つ場となることが期待されています。

意見・感想・提案など

自由回答で寄せられた意見等についてまとめます。

ITの知識があまりありません、勉強します

自分にはハイレベルかなと思いましたが、良い刺激が得られればと思います

PyCPAは初心者がはじめの一歩を踏み出す場でありたいとも考えています。
PyCPAも最初は初心者の寄せ集めでした。第1回勉強会に来て始めてPythonをインストールしたという方も何人もいました。

ですが、回を重ねるごとに知識は蓄積され、初心者も自律的に学ぶ習慣を身に着けています。

はじめること、続けることのハードルを、PyCPAコミュニティメンバーと一緒に乗り越えていけたら嬉しいです。

経理財務職として視野を広げるべく学びたい

エンジニアをやっていると会計法律の分野がおろそかになるので勉強になります

会計×プログラミングに興味があります

自動化に興味があります

PyCPAは探求者のコミュニティです。探求者、と言っても決して堅苦しいものではなく、興味あることを深めたいという純粋な気持ちを持つ人、という意味です。
様々なバックグラウンドの方々が、好き勝手に学んでいます。それがPyCPAのいいところです。

ハンズオンセミナーをやってほしい

現役のITベンチャーの人を呼ぶ講演会があっても面白い

参加型セミナーや現役で活躍するIT人材による講演会は企画中です。もしPyCPAに呼びたい人がいたり、聞きたいトピックがあれば、こっそり教えてください

毎回ユニークなテーマで開催されていて感心します

RPAなどのホットトピックと、簿記数学などアカデミックな内容が共存できる場は貴重

キワモノ会計学が聞きたい

PyCPAではこれまでにも、経営管理、監査、仮想通貨、数学、海外テクノロジーなどのセミナーを開催してきました。

今後も一風変わったコンテンツを用意しておりますので、ご期待ください。

隔週希望

大阪や福岡などでも開催し、同時中継してほしい

開催頻度、動画配信や中継については、現在いい方法を探っています。こんなやりかたがあるよ、というアイデアがありましたら、是非教えてください

若い方にお会いできるのを楽しみにしています

PyCPAは比較的若い人が集まっているかと思いきや、管理職クラスの方も大勢いらっしゃいます。

PyCPAコミュニティが、副次的にネットワーキングやリクルーティングに活用されてもいいと考えていますので、是非年次を問わずご参加いただければと思います。

まとめ

PyCPAの概要と、セミナーの振り返りについて述べました。

PyCPAには会費もなければ参加資格もない、ふわっとしたコミュニティですが、探求者が集う場として確かな輪郭を備えつつあります。

みなさんの学ぶ意欲と発信で、一緒に楽しみましょう。

【投信定点観測】2019年3月第5週|REITインデックスに救われる、ひふみの逆襲はじまる?

こんにちは、毛糸です。

【投信定点観測】2019年3月第5週(スタートから3週目)の損益の報告です。

今週末における投資総額は133万円、含み損益は+8,811円、損益率は0.66%(年率30.23%)です。

損益状況

商品ごとの時価は以下のようになりました。【投信定点観測】開始から3週間経過時の含み損益は+8,811円で、先週から5,696円のマイナスです。

損益率に直すとこんな感じです。今週末の損益率は0.66%(年率換算で10.99%)です。

インデックス投資信託の振り返り:新興国株式に大ダメージ。REIT引き続き好調。

22日ニューヨーク株式市場が世界経済の減速懸念から大幅安となってから、市場は一時リスクオフムードかと思われましたが、今週に入り先進国株はやや持ち直しています。

残念ながら新興国株式については冴えない展開となっており、1%ほど元本を毀損している状態です。

一方で、世界的な金利低下から、REITは多大な恩恵を受けており、J-REIT、G-REITともに大きくプラス圏で推移しています。

ある資産クラスで運用成績が振るわなくとも、別の資産クラスでそれをカバーできるのが、分散投資のパワーを実感するところですね。

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ロボアドバイザーの振り返り:含み損だが、大きな傷はなし

ロボアドバイザーはWealthNavi(ウェルスナビ)THEO(テオ)ともに含み損となっています。

【投信定点観測】のポートフォリオ全体の損益率は0.66%のところ、WealthNavi(ウェルスナビ)、THEO(テオ)の損益率がそれぞれ-0.16%/-0.17%です。

【投信定点観測】のポートフォリオは今週好調であったREITの比率が高く、ロボアドバイザーは株式の比重が高いため、損益率に差が生じています。

リスク・リターンの組み合わせが違うため、運用成績に差が生じることは当然です。

今後の運用成果に期待ですね。

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アクティブファンドの振り返り:ひふみの逆襲はじまる?

日本株式アクティブファンドひふみ投信が、TOPIXをアウトパフォームし良好な成果を上げています。

アクティブファンドはインデックスに比してハイリスクであると言われますが、これまでの価格推移を見ても、その主張はうなずけますね。

アクティブファンドであっても積立投資が行えるので、コツコツ続けていきましょう。

▼ひふみ投信の積み立てもSBI証券で月々100円から始められます。




まとめ

【投信定点観測】を初めて3週間、やや混乱気味の市場ですが、REIT市場の伸びがポートフォリオの収益を牽引しています。

ある資産クラスが振るわなくとも、別の資産クラスでカバーできる、それが分散投資の効果です。

分散投資は金融工学的にも支持される投資の王道、コツコツ続けていきます。

引き続き積立投資の状況をリポートして参りますので、もしよろしければSNSでのシェアよろしくお願い致します!

【投信定点観測】2019年3月第4週|JREITが好調!しかし悪夢の足音が……

こんにちは、毛糸です。

【投信定点観測】2019年3月第4週(スタートから2週目)の損益の報告です。

今週末における投資総額は131万円、含み損益は+14,507円、損益率は1.11%(年率57.74%)です。

損益状況

商品ごとの時価は以下のようになりました。【投信定点観測】開始から2週間経過時の含み損益は+14,507円です。

損益率に直すとこんな感じです。1週間経過時の損益率は1.11%(年率換算で28.87%)です。

インデックス投資信託の振り返り:JREIT大勝利、しかし…

3/22日現在、東証REIT指数が9連騰し、JREIT連動投信が大きな恩恵を受けています。

米国FOMCで年内の利上げ見送りがアナウンスされ長期金利が低下。併せて、日本も日銀の追加緩和期待が浮上し長期金利が低下したことで、REIT指数を押し上げる結果となりました。

金利が下がると資金調達のコストが下がるため、不動産市場にはプラス材料とされます。

REITは伝統的資産(国内・海外の株式・債券)に含まれていませんが、【投信定点観測】では分散効果を享受すべくREITを積み立て購入しています。

広く分散したポートフォリオを保有することで特定の資産クラスの好成績を無理なく享受できるのが良い点です。

ただ、残念なことに22日ニューヨーク株式市場が世界経済の減速懸念から大幅安なっているため、来週は波乱となりそうです。

相場が下がったときは投信を安く購入できるチャンスでもありますので、淡々と続けていきます。
▼インデックス投信で分散投資の効果を享受するなら、SBI証券がおすすめです。



ロボアドバイザーの振り返り:WealthNavi(ウェルスナビ)に軍配

ロボアドバイザーはWealthNavi(ウェルスナビ)が含み益、THEO(テオ)が含み損となっています。
THEOは前述の米国株安を既に織り込んでいるために含み損となっています(WealthNaviはたぶん未反映)。

THEOはWealthNaviに比較してリスクが小さいポートフォリオで運用しているため、市場が好況の時の爆発的なリターンはない代わりに、変動性の少ない安定した運用ができます。

▼ロボアドバイザーTHEO(テオ)の申込はコチラから
THEO

アクティブファンドの振り返り:TOPIXに負けるなひふみ

先週の日本株式の下落により打撃を受けたものの、3/23終値ベースでは元本をとりもどしました。

アクティブファンドはインデックスに比してハイリスクと言われることもあります。

ハイリスクであるということは相場が上向いたときの戻りにも期待できるということ。

これから対インデックスの超過リターンに期待です。

▼ひふみ投信の積み立てもSBI証券で月々100円から始められます。



まとめ

【投信定点観測】を初めて2週間、全体的に投資環境が好調です。と思ったのもつかの間、日本時間が終わったあとのNY市場では大幅安となりました。

いつまでも好調な相場が続くことはありませんので油断は禁物です。

投信の基準価格が下がったということはそれだけ安く買えるということでもありますから、コツコツ淡々と続けていきましょう。

引き続き積立投資の状況をリポートして参りますので、もしよろしければSNSでのシェアよろしくお願い致します!

粉飾決算は厳罰化で減らせるか?

こんにちは、毛糸です。

私は公認会計士として働いています。

公認会計士の大きな使命の一つに、企業の会計監査があります。

会計監査は企業の財務諸表(資産の状態と成績)が正しく公表されているかを確かめる手続きで、資本市場を維持するために欠くことのできない社会インフラです。

昨今、この会計監査の目を潜り抜け、粉飾や不正会計に手を染める会社がニュースになることが度々あります。

オリンパスや東芝などの不正会計のニュースを知っている方も多いでしょう。

今回はこういった粉飾を防ぐべく、ルールを厳罰化することについて考えたいと思います。

なぜ粉飾決算・不正会計を行うのか

企業が作成する財務諸表は、企業がどれだけの資産を持ち資金を調達しているのか、その企業が一年間にどれだけの利益を得たのか、といった情報が開示されます。

当然、多くの利益を獲得したと報告できれば、株価は上がり経営者の報酬も上がるでしょう。

財務諸表は企業が自ら作成するため、自分の都合のいいように改ざんするインセンティブが働きます。

これが粉飾です。

経営者は、企業の業績が冴えなければ、株主から厳しい追及を受け、職を失うおそれもあります。

そうしたことへの恐れから、企業は粉飾に手を染めるのです。
参考:なぜ粉飾決算を行ってしまう企業が発生するのか

 

粉飾には罰則がある

粉飾決算を行った場合、企業や経営者には罰則が科せられます。

ライブドアの粉飾決算では社長が逮捕されましたし、最近の例ではふりそでレンタル業者の元社長が逮捕されるなどしています。
参考:粉飾は刑事事件ですか?

金融商品取引法では懲役刑や罰金(課徴金)の規定があり、民事上も損害賠償義務を負う可能性もあります。
参考:企業における粉飾決算の法律問題

 
このように、粉飾には罰則がありますが、しかし粉飾決算は後を絶ちません。
 
公認会計士の間でも度重なる粉飾事件のたびに反省が行われ、会計監査のよりどころとなる監査基準が改定されるなどの対応がなされていますが、粉飾根絶には至っていません。
 
粉飾がなくならない理由として、粉飾のペナルティが軽すぎると主張する識者もいます。
 
では、粉飾のペナルティを大きくすれば=厳罰化すれば、粉飾はなくなるのでしょうか?
 

粉飾決算は厳罰化で減らせるか?

粉飾決算を経済学的な観点で見ると、
 
粉飾をした場合の利益>粉飾がバレる確率×粉飾のペナルティ
 
である場合には、合理的な主体は粉飾に手を染めてしまいます。
 
粉飾により得られる利益は状況によりけりなので、粉飾を未然に防ぐためには、
 
粉飾が解明される確率を上げるか、
 
粉飾のペナルティを高める(厳罰化する)かのいずれかが必要になります。
 
罰則強化が犯罪抑止に効果的であるとの研究結果も存在するようですから、粉飾防止には厳罰化も一定の効果があるのではと考えられます。
 
一方、厳罰化すればするほど犯罪が抑制されることが積極的に実証されているわけでもないようで、効果を疑問視する声もあるようです。
 
社会的制裁の観点からも粉飾を行った企業と関与者に対しては懲罰を与えるべきとの声もあり、今後の世論と当局の動向が気になるところです。
 
この点に関しては監査法人を含む会計士たちの声と、資本市場のプレーヤーたる投資家や企業が、足並みをそろえて議論する必要があります。
 
また、粉飾が「割に合わない」ものとするためには、粉飾がバレる確率を上げる、という手段もあります。
 
現在の会計監査制度上、監査人には強制調査権がありません。
 
あくまで企業の同意を得て、監査に必要な資料を入手するにとどまります。
 
しかしこの点に関しても、今後会計士に求められる役割が多様化していく中で、監査のルールが変わっていくことも考えられます。
 

まとめ

後を絶たない粉飾決算について、確実な対処方法はないのかもしれません。
 
粉飾の厳罰化や監査ルールの変更など、変化させていくべき部分もあるかと思います。
 
粉飾のインセンティブを上手くルールでもって防止できればよいですが、そのためには継続的な議論が不可欠でしょう。

【投信定点観測】2019年3月第3週|インデックス投資信託・ロボアドバイザー・アクティブファンドにドルコスト平均法で積立投資

こんにちは、毛糸です。

【投信定点観測】2019年3月第3週(スタートから1週目)の損益の報告です。

今週末における投資総額は130万円、含み損益は+10,093円、損益率は0.78%(年率40.48%)です。

損益状況

商品ごとの時価は以下のようになりました。【投信定点観測】開始から1週間経過時の含み損益は+10,093円です。

損益率に直すとこんな感じです。1週間経過時の損益率は0.78%(年率換算で40.48%)です。

インデックス投資信託の振り返り:先進国株式とREITが好調

【投信定点観測】の企画をスタートし、各商品が約定したまさに次の日、世界景気の減退懸念から日経平均が急落しました。
安い時に買おう、と購入タイミングを狙っていたわけではなかったのであまり気にはなりませんでしたが、幸先の悪いスタートになりました。
1週経過時点では、グローバルリート、日本リート、先進国株式が好調で、日本株式・新興国株式がさえない展開でした。

ある資産クラスに大きな変動があっても、相関の小さい別の資産クラスでカバーできるのは、分散投資の良さですね。

▼インデックス投信の積み立ては、一月100円から気軽に初められるSBI証券がおすすめです。



ロボアドバイザーの振り返り:WealthNavi(ウェルスナビ)に軍配

ロボアドバイザーはWealthNavi(ウェルスナビ)、THEO(テオ)ともに含み益です。
どちらも世界規模で分散投資している点が、リターンにつながっています。
▼ロボアドバイザーTHEO(テオ)の申込はコチラから
THEO

アクティブファンドの振り返り:ひふみ投信がんばれ、セゾン優秀

日本株式の下落により、ひふみ投信が含み損です。
特筆すべきは、日本株式のインデックスであるTPOIXより下落率が高いということです。
ひふみ投信はTOPIXや日経225をベンチマークとしてはいないようですが、日本株アクティブファンドとしては対TOPIX超過リターンが取れないと意味がないので、「がんばれ!」という感じです。

一方、同じ日本株ファンドであるセゾン資産形成の達人は、大きくリターンを得ています。

まとめ

【投信定点観測】を初めて1週間、各資産クラスの浮き沈みがよく分かる結果となりました。
引き続き積立投資の状況をリポートして参りますので、もしよろしければSNSでのシェアをお願い致します。

レバレッジETFのブルベアショートが必ずしも儲からない理由を数式で示す

こんにちは、毛糸です。

先日こんなつぶやきを見つけました。

この戦略が「けっこうな利回りになる」のは、偶然なのか、それとも市場原理に基づく収益機会なのか、

金融工学で大学院まで出てる毛糸は大変気になりましたので、少し掘り下げて考えてみます。

結論から言うと、レバETFのブルベアショートは必ず儲かる戦略ではありません

この理由を、今回は数式で示します

レバレッジETFとはなにか?(レバレッジとインバース、ブルとベア)

そもそもレバレッジETF(レバETF)とはなんでしょうか?

レバレッジETFとは、ある指数(TOPIXやS&Pなど)の日次騰落率の2倍の騰落率となるよう設計されたETFのことです。

日経225が今日2%上昇したとき、日経レバレッジETFは4%上昇する、というイメージです。

レバレッジETFの逆パターンもあります。

ある指数(TOPIXやS&Pなど)の日次騰落率の-2倍の騰落率となるよう設計されたETFがあり、これを(ダブル)インバースETFといいます。

日経225が今日2%上昇したとき、日経ダブルインバースETFは4%下落する(−4%上昇する)、というイメージです。

レバレッジETFをブル、インバースETFをベア、と呼ぶこともあります。

ブル(雄牛)は角を上へ突き上げるイメージから上昇を、ベア(熊)は爪を下へひっかくイメージから下落を象徴しています。

まとめです。

  • レバレッジETFは、指数の日次変動の2倍の動きをする
  • レバETFをブルとも言う
  • インバースETFは、指数の日次変動の−2倍の値動きをする
  • インバETFをベアとも言う
このレバ・インバETFには、日々の値動きが指数の3倍になるような商品も設計されています。

レバレッジETFのブルベアショート戦略とはなにか

では、最初に取り上げたツイートにもあった「レバETFのブルベアショート」とはどんな戦略なのでしょうか?

まず前提となるのが、「レバETFは減価する」という主張です。

レバレッジETFは長期で保有すると減価するため、長期投資に向かない、とされています。

こちらのサイトでも数値例を使って、長期投資に向かない理由を説明しています。

ここで、こんなことを思いつきます。

レバETF(ブル)とインバETF(ベア)を両方買うと、
日々の変動は完全に相殺される。
しかし、レバ・インバETFは減価するのだから、
このポートフォリオをショート(売建)することで、
リスクなしに収益が得られるのではないか?

こんな考えから生まれたのが「レバETFのブルベアショート」という戦略です。
本記事では、この戦略が「リスクなしに収益が得られる」ような取引ではないことを数式を使って説明します。

レバレッジETFはなぜ減価するのか

レバETFについて、

「日々の変動率の2倍動くのだから、長期で持っていても単純に指数の2倍になるだけでは?」

と思われる方もいるでしょう。

しかしこれは誤りです。

こちらのサイトでは「相加平均(算術平均)と相乗平均(幾何平均)」の考え方を使って、この考え方が誤りであることを説明しています。

本記事では「ETFの減価」とはどういうことか、より一般的に、数式で説明してみましょう。

レバETFが減価する(?)数学的理由

【0日目】
指数に1円を、2倍のレバETFにも同じく1円を投資することを考えます。

【1日目】
指数の変動率が\( r_1\)%だったとしましょう。

指数は変動し、\( 1+r_1\)円になります。

レバETFは変動率の2倍の値動きをするので、\( 1+2r_1\)円になります。

【2日目】
指数の変動率が\( r_2\)%だったとしましょう。

指数は変動し、\( (1+r_1)(1+r_2)=(1+r_1+r_2+r_1r_2)\)円になります。

\( 1+r_1+r_2\)円、ではありませんよ。

変動「率」は掛け算で増えていきます、複利効果というやつです。

\( r_1r_2\)の項が、複利効果を表しています。

レバETFは変動率の2倍の値動きをするので、\( (1+2r_1)(1+2r_2)=(1+2r_1+2r_2+4r_1r_2)\)円になります。

この式を少し変形して

\[ \begin{split}
1+2r_1+2r_2+4r_1r_2=1+2(r_1+r_2+r_1r_2)+2r_1r_2
\end{split} \]

と考えてみましょう。

\( (r_1+r_2+r_1r_2)\)は2日目までの指数の変動率ですから、

レバETFの変動率=\(1+2\)指数の変動率\(+2r_1r_2 \)

という関係にあります。

この式からわかることは、

2日間のレバETFの変動率は、2日間の指数の変動率と\( 2r_1r_2\)だけズレる

ということです。

さらに言えば、\( r_1\)と\( r_2\)の符号が逆の場合、\( 2r_1r_2\)の符号はマイナスになるので、

レバETFの変動率<\(1+2\)指数の変動率

となります。

\( r_1\)と\( r_2\)の符号が逆の場合、つまり上げと下げが交互に来た場合、レバETFの変動率は指数の変動率の2倍を下回ります

これが減価の正体です。

一方、\( r_1\)と\( r_2\)の符号が同じ場合、つまり上げ・下げが繰り返した場合、

レバETFの変動率>\(1+2\)指数の変動率

となり、レバETFの変動率は指数の変動率の2倍を上回ります

この数学的事実から言えるのは、

そもそもレバETFが減価していくというのは確定した話ではなく

変動の方向が同じような値動きをしたときは減価せず、


文字通り収益にレバレッジがかけられる。

ということです。

「レバETFは減価する」と書いてある記事をよく見てみてください、変動率がプラスとマイナスを行き来しているような設定になっているはずです。

以下の表にまとめました。

  • 2倍レバETFを複数日保有したときの累積収益率は、指数の累積収益率の2倍にはならない
  • 両者の差はレバETFが生む複利効果を意味する
  • 指数の上げと下げが交互に起こる場合、レバETFは減価する
  • 指数の上げと下げが継続して起こる場合、レバETFは指数の2倍以上の収益を生む

レバレッジETFのブルベアショートが必ずしも儲からない理由

レバETFは必ずしも減価しない、ということが数理的にわかりました。
したがって、レバETFの減価が戦略の前提になっていたレバETFのブルベアショートも、必ずしも収益を生まないのではないか、と考えられます。
次はレバETFのブルベアショートが必ずしも収益を産まない理由を数式と図で考えてみます。

レバETFのブルベアショートが儲かる(?)数学的理由

【0日目】
指数2円をロングし、2倍のレバETFに1円、-2倍のインバETFを1円、それぞれショートする戦略することを考えます。【1日目】
指数の変動率が\( r_1\)%だったとしましょう。

指数は変動し、\( 2\times(1+r_1)=2+2r_1\)円になります。

レバETFは変動率の2倍の値動きをするので、\( 1+2r_1\)円のショート・ポジションになります。

インバETFは変動率の-2倍の値動きをするので、\( 1-2r_1\)円のショート・ポジションになります。

レバETFとインバETFのポートフォリオ(以下、ブルベアといいます)の価値は、\( 1+2r_1+1-2r_1=2\)円(ショート)です。

すでに指数とブルベアの価格差が\( 2r_1\)円出てきていますね。

\( r_1\)がプラスかマイナスかで、この戦略は利益にも損失にもなります

【2日目】
指数の変動率が\( r_2\)%だったとしましょう。

指数は変動し、\( 2\times(1+r_1)(1+r_2)=2+2r_1+2r_2+2r_1r_2\)円になります。

レバETFは変動率の2倍の値動きをするので、\( (1+2r_1)(1+2r_2)=1+2r_1+2r_2+4r_1r_2\)円(ショート)になります。

インバETFは変動率の-2倍の値動きをするので、\( (1-2r_1)(1-2r_2)=1-2r_1-2r_2+4r_1r_2\)円(ショート)になります。

レバETFとインバETFのポートフォリオ(以下、ブルベアといいます)の価値は、\( 2+8r_1r_2\)円(ショート)です。

したがって、2日目における指数とブルベアの価格差は\( 2r_1+2r_2-6r_1r_2\)円となります。

この式からわかることは、

  • 2日間のブルベアの変動率は、2日間の指数の変動率とずれ、そのズレが損益となる
  • 損益の方向(利益か損失か)は\( r_1\)と\( r_2\)の符号、つまり日次の指数変動率の方向による

ということです。

たとえば1日目の変動が1%、2日目の変動が1%であった場合には、ブルベアショート戦略から利益が得られますが、

1日目の変動が-1%、2日目の変動が-1%であった場合には、ブルベアショート戦略からは損失が生じます。

具体的に\( r_1\)と\( r_2\)がどういうときに利益になり損失になるのか、というと、

  • \( r_1>0\)かつ\( r_2>0\)、つまり上昇が続けば利益
  • \( r_1<0\)かつ\( r_2<0\)、つまり下落が続けば損失
  • それ以外の場合、変動率の大小関係による

となります。

それを表しているのが以下の図です。

横軸が1日目の指数変動率\( r_1\)、横軸が2日目の指数変動率\( r_2\)で、グラフの上側がブルベアショートで利益を獲得できるゾーン、下側が損失ゾーンです。

以上のことから、レバETFのブルベアショートは、必ずしも収益を生む戦略ではなく、指数の変動の方向によっては損失を被る可能性もある、ということがわかります。

まとめ

本記事では、レバレッジETFが減価すると言われている理由を数式で明らかにし、「レバETFのブルベアショート」という戦略が必ずしも収益を生まないことを数式とグラフで示しました。

市場で広く知られている商品の組み合わせから、安定的な高収益を生み出すことは難しいものです。

うまい話のように思えたら、きちんと検証してみる姿勢が、投資においては重要だと考えます。

分析が得意な方の中には、過去のデータ(バックテスト)からこの戦略の有効性を実証している方もいるかも知れません。

いずれ、実際のデータやモンテカルロ・シミュレーションを用いて、レバETFのブルベアショート戦略の有効性を検証する機会を儲けようと思います。

参考文献

本記事を書くに当たり、以下の本が大変参考になりました。
神谷政敏『運もお金もない人のための資産の増やし方

数式を計算するに際しては、数式処理ソフトMaximaを利用しました。
複雑な数式の計算を自動でやってくれるので、大変便利なツールです。
梅野 善雄 『いつでも・どこでも・スマホで数学! Maxima on Android活用マニュアル

「どうしたらいいと思う?」に答えられない部下の気持ちと、上司が見せるべき目的意識

こんにちは、毛糸です。

先日ツイッターで、経理に携わる方の、こんなつぶやきを見つけました。

「経理職員は手取り足取りの指示を望んでいるのだろうか?」

「問題に直面したとき、上司が、どうしたらいいと思う?と聞くと、フリーズしてしまう」

というものです。

果たして、意見を求められたときに思考停止してしまう経理職員(以下、部下と呼びましょう)は、どんな気持ちでいるのでしょう?

上司が期待するような適切な回答が返ってくるには、どうしたらいいでしょう?

問いかけにこたえられない部下の気持ちと、上司の取るべき行動について、一緒に考えてみましょう。

明確な目的意識が思考を育む

「どうしたらいいと思う?」

この質問に部下が主体的に意見を述べるには、明確な目的意識が必要です。

明確な目的意識は、ビジョン、ゴール、行動基準とも言い換えられるでしょう。

意思決定の根拠となる考え方やルールのようなものです。

明確な目的意識があることで、眼の前の問題とゴールとの差異を見極め、自律的に考え行動するきっかけが生まれます。

例を出しましょう。ディズニーランドのスタッフです。

ディズニーランドの園内は大変綺麗で、スタッフの対応も大変よく、入園者の満足感に大きく貢献しています。

スタッフの殆どはアルバイトですが、果たして彼らは、上司や先輩から綿密な指導や指示を得ているのでしょうか?

違います。彼らは明確な目的意識を持っているため、園内の様々な問題に自律的に取り組めているのです。

ディズニーランドのスタッフには、以下のような共通の目的意識、ミッションが強く刷り込まれています。

「私はディズニーランドが、幸福を感じてもらえる場所、大人も子供も、ともに生命の驚異や冒険を体験し、楽しい思い出を作ってもらえるような場所であってほしいと願っています。」ウォルト・ディズニー

人々に幸福を届ける、という明確な目的意識をすべてのスタッフが持っているため、高いホスピタリティを提供できるのです。

この例からも分かる通り、明確な目的意識は、思考を育み、自律的行動を促すきっかけになります。

参考:3日で変わるディズニー流の育て方

部下の目的意識とは何だったのか?

ではいったい、経理職員の部下はどんな目的意識で動いていたのでしょうか?

私が多くの会社のコンサルティングに関わってきた中で感じた、経理職員の目的意識は、

堅確な経理作業の遂行

です。

ミスなく、きれいに決算作業を完遂することが、多くの経理担当者の目的になっています。

しかし、「ミスなく」を目的としている、というところには、落とし穴があります。

それは、いざ問題が発生してしまったときには、目的を見失ってしまう、ということです。

「ミスなく仕事をすることが目的だったのに、ミスが起きてしまった、もうだめだ……」

そう考えて思考停止に陥ってしまう、それが今回の問題の原因です。

問題が起きた際に明確な目的意識がないために、課題に対処できない。

なのでフリーズしてしまう、というわけです。

決して、この部下が怠慢だ、というわけではありません。

普通の経理職員が普通に抱く「ミスなく完遂する」という目的意識では、問題が置きたときに対処できない、ということです。

上司が見せるべき目的意識

明確な目的意識があれば思考のきっかけになる。

しかし部下には問題が起きた時に持てる目的意識がない。

それがこの問題の根幹です。

したがって、上司がとるべき行動は、問題が起きた時に明確な目的意識を部下が持てるようコーチする、ということです。

今回の経理の話で言えば、

経理の目的は「企業活動を適切に外部に伝えること」

という目的意識が考えられます。

企業活動を外部に伝えるために、ミスなく作業を完遂する、という関係にあるため、

このような大きな目的意識を部下に提示することは、部下がすでに持っていた目的意識にも整合しています。

このように、問題が起きた時にもブレずに対応するための指針となるような明確な目的意識を提示することが、上司が果たすべき役割です。

部下は往々にして、小さな目的意識を抱きがちです。

上司はそんな部下の意識を否定することなく、より広い視野で明確な目的意識を提示してあげる必要があります。

参考:ビジネスマネジャー検定試験Ⓡ公式テキスト

【投信定点観測】を始めた3つの理由

こんにちは、毛糸です。

先日から、【投信定点観測】と称して、投資信託やロボアドバイザーにドルコスト平均法で積立投資をしていく企画を始めました。

【投信定点観測】インデックス投資信託8つ・ロボアドバイザー2つ・アクティブファンド3つにドルコスト平均法で積立投資してみる

今回はなぜこれを始めたかについてお話したいと思います。

自分の興味を発信したかった

第一の理由は、私が投資に興味を持っていることを周りに知ってほしかったからです。

私は大学生のときに勝間和代さんの『お金は銀行に預けるな』を読んでから、投資の面白さ、重要さに目覚めました。

投資、もっと広く言うと、金融やファイナンスという分野ですが、更に深く学ぼうと思い大学院にまで進み、論文を書いています。

ファイナンスの勉強は社会人になったいまも継続して続けており、日々の投資に生かしていますが、

このことを知ってくれている人は私の周りのわずかな人数だけでした。

今まで積み上げてきた経験があり、今後も続けていく覚悟がある。

ならばその前向きな気持ちを発信し、

自分が興味を持っていることを一緒に楽しめる仲間に出会いたい。

そして願わくば、私の経験が誰かの役に立てばいい。

そんな思いから、自身の投資活動をブログとして公開することにしました。

すでにドルコスト平均法での積立投資は実践していた

第二の理由は、「どうせやるんだから、発信したほうが楽しい」ということです。

第一の理由で述べたとおり、私は大学生のころから投資を行っており、投資は既に日常的な営みになっています。

投資手法としてのドルコスト平均法(毎月一定金額を投資し続ける方法)は実践していましたし、その効果を実感してもいました。

ですので、投資活動をコンテンツとして発信することに関して、追加的なコストがほぼないのです。

もちろんブログを書いたりする手間はありますが、折しも今年の目標に「アウトプットを強化する」ことを掲げており、手間を掛けるのはむしろ望んでいたくらいです。

えらいてんちょうさんの『しょぼい起業で生きていく』という本を読んだことも背景にあります。

この本には、リスクを抑えリターンを得る方法として

「生活の資本化」(日常生活を事業に同化させる)

が勧められています。

【投信定点観測】もまさしく「生活の資本化」としての試みであり、私なりの「売り」を作る第一歩なのです。

買ったこともないロボアドバイザーの悪口は言えなかった

第三の理由は、「買ってもいない商品をdisるのはよくない」と思ったからです。

先日、ツイッターでこんな疑問を投げかけられました。

「投資の勉強時間を十分に取れないサラリーマンには、ロボアドバイザーがいいのではと思っています」

私は投資を「研究」してきた人間ですから、理論的にロボアドバイザーが必ずしも最適な投資案ではないことを知っています。

なので「ロボアドバイザーが最適とは限りませんよ、コストも高いし」と答えました。

しかし翌々考えてみると、なぜ買ってもいない商品の是非を、偉そうに語っているのだろう?と反省の念をいだきました。

もちろん、投資・金融商品は市場で価格が決まり、データは比較的簡単に入手できますから、

買っていない金融商品を評価することは十分可能です。

しかしロボアドという流行りの金融商品に全く手を出さないのもな、という後ろめたさがあり、

第一、第二の理由もありましたので、

今回の【投信定点観測】にロボアドを組み入れてみるのも面白い、と思ったのです。
THEO

まとめ

【投信定点観測】の企画を始めようと思った理由について3点述べました。
  • 自分の興味を発信したかった
  • すでにドルコスト平均法での積立投資は実践していた
  • 買ったこともないロボアドバイザーの悪口は言えなかった

今まではブログの執筆頻度も「たまに気が向いたとき」くらいでしたが、

この企画を自分の定期的な発信活動のきっかけにできればと思います。
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