こんにちは、毛糸です。
先日、以下の記事で、会計数値(純資産や営業資産)の変動を規定する関係式について述べました。
【参考記事】
会計数値の時系列構造を決める関係式|クリーン・サープラス関係、金融資産関係、営業資産関係
bv_t=bv_{t-1}+ni_t-d_t
\end{split} \end{equation}
ここで\( bv_t\)は時点\( t\)における純資産の金額、\( ni_t\)は純利益、\( d_t\)は配当を示しています。クリーン・サープラス関係は、純資産\( bv_t\)を離散的な時間単位で観測した、差分方程式を表しているといえます。
ということは、これを連続時間で考える、つまり純資産の微分方程式を考えるのは、極めて自然な流れではないでしょうか。
素朴に考えると、1期間で成り立つクリーン・サープラス関係を、時間区間\( \Delta t\)でも成り立つと考え
bv(t+\Delta t)-bv(t)=ni(t)\Delta t-d(t)\Delta t
\end{split} \end{equation}
と表し、時間区間\( \Delta t\)を\( 0\)に近づけた極限を考えると
dbv(t)=ni(t)dt-d(t)dt
\end{split} \end{equation}
これは純資産\(bv \)の微分方程式になっています。
当然ながらこれを積分すると
bv(t)=bv(0)+\int_0^t ni(s)ds-\int_0^t d(s)ds
\end{split} \end{equation}
「ある時点の純資産は、当初純資産に、利益の累積額を足して、配当として流出した分を控除した額として決まる」
という当たり前の結果が成り立ちます。
会計では通常、会計数値は連続的には観測されず、四半期ごととか1年ごとといった離散時間でのみ観測されます。
しかしながら、理論上は瞬間瞬間に決算をし会計数値を確定させるような手続きを踏めば、もしくはその時点で決算を行えば観測されたであろう「仮想の」会計数値を考えれば、連続時間でクリーン・サープラス関係が成り立つと考えても問題はなさそうです。
むしろクリーン・サープラス関係を微分方程式として表すことができれば、解析学のツールを活用することが出来、分析の幅が広がることも期待されます。
会計学の論文では実際に、この連続時間版クリーン・サープラス関係を扱っているものがいくつかあります。
時間をとってこれらの論文を読み込んでみたいと思います。
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