Warning: Trying to access array offset on value of type bool in /home/r1406503/public_html/keito.luxe/wp-content/themes/xeory_base/lib/functions/head.php on line 135

会計


Warning: Trying to access array offset on value of type bool in /home/r1406503/public_html/keito.luxe/wp-content/themes/xeory_base/lib/functions/bzb-functions.php on line 589

連続時間モデルにおけるクリーン・サープラス関係(Clean surplus relation, CSR)

こんにちは、毛糸です。

先日、以下の記事で、会計数値(純資産や営業資産)の変動を規定する関係式について述べました。

【参考記事】
会計数値の時系列構造を決める関係式|クリーン・サープラス関係、金融資産関係、営業資産関係

上記記事に示したクリーン・サープラス関係(Clean Surplus Relation, CSR)とは、企業の純資産の変動を示す以下の関係式のことです。
\begin{equation} \begin{split}
bv_t=bv_{t-1}+ni_t-d_t
\end{split} \end{equation}

ここで\( bv_t\)は時点\( t\)における純資産の金額、\( ni_t\)は純利益、\( d_t\)は配当を示しています。クリーン・サープラス関係は、純資産\( bv_t\)を離散的な時間単位で観測した、差分方程式を表しているといえます。

ということは、これを連続時間で考える、つまり純資産の微分方程式を考えるのは、極めて自然な流れではないでしょうか。

素朴に考えると、1期間で成り立つクリーン・サープラス関係を、時間区間\( \Delta t\)でも成り立つと考え

\begin{equation} \begin{split}
bv(t+\Delta t)-bv(t)=ni(t)\Delta t-d(t)\Delta t
\end{split} \end{equation}

と表し、時間区間\( \Delta t\)を\( 0\)に近づけた極限を考えると
\begin{equation} \begin{split}
dbv(t)=ni(t)dt-d(t)dt
\end{split} \end{equation}
のように表せてもよさそうなものです。

これは純資産\(bv \)の微分方程式になっています。

当然ながらこれを積分すると

\begin{equation} \begin{split}
bv(t)=bv(0)+\int_0^t ni(s)ds-\int_0^t d(s)ds
\end{split} \end{equation}
となり、
「ある時点の純資産は、当初純資産に、利益の累積額を足して、配当として流出した分を控除した額として決まる」
という当たり前の結果が成り立ちます。

会計では通常、会計数値は連続的には観測されず、四半期ごととか1年ごとといった離散時間でのみ観測されます。

しかしながら、理論上は瞬間瞬間に決算をし会計数値を確定させるような手続きを踏めば、もしくはその時点で決算を行えば観測されたであろう「仮想の」会計数値を考えれば、連続時間でクリーン・サープラス関係が成り立つと考えても問題はなさそうです。

むしろクリーン・サープラス関係を微分方程式として表すことができれば、解析学のツールを活用することが出来、分析の幅が広がることも期待されます。

会計学の論文では実際に、この連続時間版クリーン・サープラス関係を扱っているものがいくつかあります。

時間をとってこれらの論文を読み込んでみたいと思います。

RESIDUAL INCOME, REVERSIBILITY AND THE VALUATION OF EQUITY(PDF)
Mark Tippett and Fatih Yilmaz
LINEAR INFORMATION DYNAMICS, AGGREGATION, DIVIDENDS AND “DIRTY SURPLUS” ACCOUNTING(PDF)
David Ashton, Terry Cooke, Mark Tippett and Pengguo Wang
A valuation model for firms with stochastic earnings(PDF
Steven Li

会計数値の時系列構造を決める関係式|クリーン・サープラス関係、金融資産関係、営業資産関係

こんにちは、毛糸です。

こんな本を読んでいます。

この本は、企業が発行する株式を評価する手法を、会計学と経済学の立場から論じる研究書です。

この中に、会計学における重要な方程式が取り上げられていたので、メモしておきます。

クリーン・サープラス関係(Clean Surplus Relation, CSR)

クリーン・サープラス関係(Clean Surplus Relation, CSR)とは、企業の純資産の変動を示す以下の関係式のことです。

\begin{equation} \begin{split}
bv_t=bv_{t-1}+ni_t-d_t
\end{split} \end{equation}

ここで\( bv_t\)は時点\( t\)における純資産の金額、\( ni_t\)は純利益、\( d_t\)は配当を示しています。

つまり、ある時点の純資産額は、一期前の純資産額に、その期の利益を加え、株主に支払った額を差し引いた金額として定まる、ということです。

純資産額\( bv_t\)は、金融(純)資産\( fa_t\)と営業(純)資産\( oa_t\)に分けられると仮定します。

\begin{equation} \begin{split}
bv_t=fa_t+oa_t
\end{split} \end{equation}

純利益\( ni_t\)は、金融(純)利益\( fi_t\)と営業(純)利益\( oi_t\)に分けられると仮定します。

\begin{equation} \begin{split}
ni_t=fi_t+oi_t
\end{split} \end{equation}

金融資産関係(Financial Asset Relation, FAR)

金融資産関係(Financial Asset Relation, FAR)とは、金融(純)資産の変動を示す以下の関係式のことです。

\begin{equation} \begin{split}
fa_t=fa_{t-1}+fi_t+fcf_t-d_t
\end{split} \end{equation}

ここで\( fcf_t\)は時点\( t\)におけるフリーキャッシュフローです。

金融資産関係が成り立つためには、株主への配当は金融(純)資産を通じて行われるという前提を置く必要があります。

この前提のもとで、ある時点の金融(純)資産額は、一期前の金融(純)資産額に、その期の金融(純)利益とフリーキャッシュフローを加え、株主に支払った額を差し引いた金額として定まります。

営業資産関係(Operating Asset Relation, OAR)

営業資産関係(Operating Asset Relation, OAR)とは、営業(純)資産の変動を示す以下の関係式のことです。

\begin{equation} \begin{split}
oa_t=oa_{t-1}+oi_t-fcf_t
\end{split} \end{equation}

営業資産関係(OAR)は、クリーン・サープラス関係(CSR)と金融資産関係(FAR)が成り立つときには当然成り立ちます。

ある時点の営業(純)資産額は、一期前の営業(純)資産額に、その期の営業(純)利益を加え、フリーキャッシュフローを差し引いた金額として定まります。

会計ベースの資産価格理論

CAR、FAR、OARは、ファイナンスの基本原則「無裁定の原則」と組み合わせると、会計数値をベースとした資産価格理論につながっていきます。
ファイナンスでは、ある資産が生み出す配当や利息の割引現在価値が、その資産の価格に等しいという関係式を考察しますが、これは基本的にはキャッシュフローの世界の考え方です。
しかし、上記のような会計関係(Accounting Relation(s))を組み合わせることで、キャッシュフローの世界から、会計数値の世界へと、資産価格の理論を発展させることができます。
もし興味があれば、財務諸表分析などを扱うテキストに説明があるので、読んでみると良いでしょう。

節税効果を企業価値に織り込む2つの方法

こんにちは、毛糸です。

最近こんな本を読んでいます。

本書『Equity Valuation』は、企業が発行する株式の評価方法について、会計学と経済学の立場から論じた研究書です。

この本の中で、節税効果(タックスシールド)を企業価値に織り込む2つの方法について述べられていたので、簡単にまとめておきます。

税引き後資本コスト(WACC)による方法

1つ目の方法が、フリーキャッシュフローや営業利益などの会計数値を割り引く際に用いる資本コストとして、税引き後の割引率を用いる方法です。

フリーキャッシュフローは債権者と株主に配分されるべきキャッシュフローで、これを以下のように定義される税引き後WACC(加重平均資本コスト)で割り引くことで、企業価値を算出できます。

\begin{equation} \begin{split}
k=\frac{ E}{ D+E}k_E+\frac{ D}{ D+E}(1-\tau)k_D
\end{split} \end{equation}
ここで\( E\)は株主資本、\( D\)は負債、\(k_E \)は株主資本コスト、\( k_D\)は負債コスト、\( \tau\)は税率です。

この方法はPenman2007Lundholm&Sloan2004に詳しく説明してあるようです。

修正賞味現在価値法(Adjusted NPV、APV)

節税効果を企業価値に織り込むもうひとつの方法が、修正賞味現在価値法(Adjusted Net Present Value Method, APV)です。

この方法は、節税効果(タックスシールド)を営業活動から生じるキャッシュフローの一部であるかのように扱い、割引率には税引前のWACCを使って企業価値を計算をする方法です。

Grinblatt&Titman2002にはAPVによる企業価値評価が説明されているようです。

税引き後WACCとAPVの比較

いずれの方法でも、条件が同じであれば同一の結果を導きます。

しかし、『Equity Valuation』によれば、APV法のほうがより柔軟で、企業価値の源泉となる営業活動と(税引前で)NPVがゼロの金融活動とを区別する考え方と整合しているといいます。

倒産コストを明示的に扱うような応用的なケースにおいては、税引き後WACCによる計算では企業価値に「歪み」が生じます。

しかしAPV法によれば、倒産コストも営業活動の一部として、通常の割引計算のなかで対応できるため、適用範囲が広いのです。

税引き後WACCもAPVも、企業活動をいくぶん単純化しているため、必ずしも現実の問題を正しく捉えられない場面もありますが、企業価値評価の実務においては広く用いられる方法です。

日本語のコーポレート・ファイナンスの定番テキストにも、これらの方法が説明されているので、興味のある方は調べてみると良いでしょう。

【参考記事】
【ファイナンス・金融工学】おすすめテキストと有名大学の指定教科書・参考書まとめ

【君の知らない複式簿記4】簿記代数の教科書『Algebraic Models For Accounting Systems』とバランスベクトル

こんにちは、毛糸です。

【君の知らない複式簿記】シリーズ第4弾となる本記事では、複式簿記の代数的構造に関する研究書『Algebraic Models For Accounting Systems』についてお話します。

【君の知らない複式簿記】シリーズの過去記事は以下のリンクから辿ることが出来ます。

本記事は下記記事を読まれていない方にも理解いただける内容です。

【君の知らない複式簿記1】行列簿記の意義、性質、限界

【君の知らない複式簿記2】複式簿記の拡張、三式簿記

【君の知らない複式簿記3】複式簿記の代数的構造「群」

続きを読む

クリーン・サープラス関係と最適配当戦略

こんにちは、毛糸です。

最近、企業の配当はどう決まるか?ということを考えています。

配当とは、企業が獲得した利益を株主に分配することであり、株主にとってみれば投資の回収を意味します。

配当は、会計的には純資産の一部を取り崩すと同時に現預金を社外に流出させるものです。

配当と純資産などの会計数値の関係は、以下の「クリーン・サープラス関係」と呼ばれる関係式で記述されます。

\begin{equation}\begin{split}
B_t=B_{t-1}+e_t-d_t
\end{split}\end{equation}

この式は、時点\(t\)における純資産の額\(B_t\)は、1期前の純資産額\(B_{t-1}\)に\(t\)期の利益\(e_t\)を加え、配当\(d_t\)を差し引いた額として決まる、という規則を示しています。

配当\(d_t\)はキャッシュフローであるのに対し、純資産額\(B_t\)や利益\(e_t\)は会計数値ですから、キャッシュフローを中心とした理論展開が行われるファイナンスと会計とは、このクリーン・サープラス関係を通じて関連付けられることになります。

ファイナンスでは配当の割引現在価値として株価が決まるという「配当割引モデル」がよく知られていますが、これをクリーン・サープラス関係と組み合わせることで、会計数値に立脚した「残余利益モデル」と呼ばれる会計数値ベースの株式評価モデルが構築できます。

配当割引にせよ残余利益モデルにせよ、配当はそれ自体が確率変数であると考えて理論展開されることが多いです。

しかしながら、配当は企業が株主との関係を伺いながら、ある意味で「適切な」水準で「決定」するものです。

したがって、その決定プロセスを考察することなしに、天下り的に確率変数(ランダムな変数)と考えてしまうのはよくないのではないかと考えています。

私はこの問題意識に基づき、企業はどんな意思決定に基づき「最適な配当戦略」を決めているのかを、経済学的観点から検証しています。

何か発見があったら、ブログでも取り上げたいと思います。

会計を数学的・経済学的に表現する方法を考える

こんにちは、毛糸です。

最近、会計学を数学の言葉で表現できないか、という問題に取り組んでいます。

本記事では数学(確率論)と会計の対比をしつつ、両者の大きな差異について述べたあと、経済学の枠組みで決まる「最適な会計」についてのアイデアをまとめます。

続きを読む

「俺の会計基準」 会計ルールはどう決まるか・どう決まるべきか

こんにちは、毛糸です。

先日こんなつぶやきをしました。

会計基準とは、企業の経済活動を会計情報として表現するためのルールのうち、社会的合意によって決まったもののことです。

社会的合意によって決まったものでなくとも、一定のコミュニティの中で有用性が認められた表現ルールというのは考えてもいいわけで、そのようなものを総称して「会計ルール」と呼ぶことにしましょう。

このような用語の使い方を約束すると、たとえば自分の中で有用と認められた会計ルールは「俺の会計基準」と呼んでもよさそうです(笑)

本記事では、会計ルールはどのように決まるのか、そしてどう決まるべきなのかということを考えてみます。

続きを読む

会計学と情報理論の融合、そして「会計学の基本定理」

「会計学の基本定理」という定理をご存じでしょうか。

「基本定理」とは数学のある分野で、極めて重要な意味を持つ中心的な命題につけられる名称です。代数学の基本定理や微積分学の基本定理などが有名です。

しかし、会計学にもそうした定理があることを知っている方は少ないでしょう。

今回はそんな「会計学の基本定理」について簡単にまとめます。

続きを読む

「ブロックチェーンで監査はなくなる」という誤解について

こんにちは、毛糸です。

AIやブロックチェーンなど、新しいテクノロジーが次々と生まれては、またたくまにビジネスに適用されていくのが今の時代です。

テクノロジーは我々の仕事を効率化し、人間がより人間らしく働くことの後押しをしてくれると期待されていますが、一方で「仕事を奪われる」という脅威論もしばしば見られます。

この主張は果たして信じて良いのでしょうか。

続きを読む

「AIで会計士の仕事(監査)はなくなるのか」に対するひとつの数理的整理

こんにちは、毛糸です。

AI(人工知能)という言葉が広く知られるようになり、Deep learningのようなブレイクスルーがビジネスにも応用されつつあります。

AIは時折「人間の仕事を奪う」という文脈で脅威的な存在として語られることもあり、2013年のカール・ベネディクト・フレイとマイケル A. オズボーンの論文
「THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?」(pdfリンク)

では多くの職業がコンピュータに取って代わられる可能性があることが示されています。

論文内に示される代替確率ランキングでは、Bookkeeping, Accounting, and Auditing Clerks(簿記、会計および監査職員)は702の職業のうち、代替確率が低い順に671位、代替されやすさでいえば31位に上がっています。

こうした状況の中で「AIで会計士の仕事(監査)はなくなるのか」という話題がしばしば取り上げられます。

本記事ではこの問いに対して、会計の数理モデルに基づく整理を述べ、AIによる監査の代替について考察します。

続きを読む

Warning: Trying to access array offset on value of type bool in /home/r1406503/public_html/keito.luxe/wp-content/themes/xeory_base/lib/functions/bzb-functions.php on line 299

Warning: Trying to access array offset on value of type bool in /home/r1406503/public_html/keito.luxe/wp-content/themes/xeory_base/lib/functions/bzb-functions.php on line 301
class="col-md-4" role="complementary" itemscope="itemscope" itemtype="http://schema.org/WPSideBar">