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金融


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PyCPAリアル・オプション輪読会まとめと参加者アンケート結果

こんにちは、毛糸です。

先日、会計×テクノロジーをテーマとした勉強会コミュニティPyCPAの『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』輪読会第1回が開催されました。

今回は20名近い参加者にお集まりいただきました。

本記事では今回の輪読会の振り返りをしてみたいと思います。

参加者には事前にアンケートにお答えいただいてますので、その結果もあわせて公開します。

PyCPAとは

PyCPAは、テクノロジーの進化を武器に次世代の担い手となる探求者たちのコミュニティです。

もともとは、プログラミング言語Pythonに関心のある公認会計士(CPA)の勉強会として発足しましたが、現在ではより広く、テクノロジー全般に興味を持ち、探求する意欲のある、会計士、経理財務人材、エンジニアなどがメンバーとなって活動しています。

PyCPAは毎月勉強会を開催しており、もくもく会やセミナー、参加型ワークショップを行っています。

現在のコミュニティメンバーはSlack登録者ベースで170名ほど、2019年5月現在の勉強会の累計参加者は250名を超えます

PyCPAコミュニティと勉強会への参加は無料となっており、運営事務、会場確保、講師の登壇等はすべて、コミュニティのビジョンに共感していただいている組織・個人のボランティアでなりたっています。

PyCPAにコミュニティメンバーとして参加したい方はPyCPAのSlackにご登録ください。

ツイッターでのPyCPAコミュニティメンバーのやり取りは、こちらからご覧いただけます。

リアル・オプション輪読会の概要

今回の勉強会は初の輪読会となりました。

輪読会とは、複数人で同じ本を読み進め、集まって内容を共有し、理解を深める方法です。

今回の輪読会で取り組んだのは『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』という専門書です。


この本は、ファイナンス(金融工学)とプログラミング(ExcelVBA)を用いて、経営意思決定の柔軟性が創出する価値=リアル・オプションを定量的に評価する手法が学べる本です。
参考記事:『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』内容の概説、こんな人におすすめ、いい点と注意点

本書はリアル・オプションを学ぶとても良い題材である一方で、なかなか難易度の高い本だったので、輪読会の題材にしました。

今回は初回ということで、輪読会の目的や進め方について説明しました。
参考記事:【開催前夜】リアル・オプション輪読会の目的、理由、進め方

輪読は第1章を扱いました。

第1章はプログラミング言語ExcelVBAの基礎で、テキストに書かれたコードを入力しながら参加者全員で読み進めました。

VBAの始め方や、変数や関数の定義、for文やDoWhile文などの基本構文、配列の使いかたなどについて学びました。

途中、ファシリテーターから「このコードはモンテカルロ法のこんなシーンで役に立ちます」「この構文は株価シミュレーションの計算で使います」というような解説をはさみながら進めました。

進度を合わせて読み進め、コードも入力しながらということでしたので、理解にばらつきが出るかな?と恐れていましたが、みなさん思いの外つまづくことも少なく、理解度、満足度ともに高かったように思います。

感想とフィードバック

予習について

全員でコードを入力しながら、さくさくと読み進めたので、ちょっと駆け足気味になりました。

この点に関して、参加者から「次回は予習して来ようと思った」という声が上がりました。

事前に準備をしてくれば、輪読会をより意義深いものにできそうです。

バグについて

事前に予習してきた方も、その場でコードを入力した人も、みなさんバグ=プログラムが動かない問題に悩まされていました。

しかし、参加者のひとり(エンジニア)の方から「バグは出るもの、人は完璧じゃない、能率的にバグがとれればOK」という前向きな意見が出て、参加者の気持ちも楽になったように思います。

プログラミングにはバグがつきものですので、輪読会のように他の人と助け合える環境で学習を進めるのがよいと思います。

練習と実践について

プログラミングは一度勉強しても、使わなければすぐ忘れてしまう、という感想が出ました。

たしかに、人は忘れる生き物ですから、どんなに勉強しても使わなければ忘れてしまいます。

もし勉強したことを忘れたくないのであれば、お仕事で使うなり、勉強会で披露するなりして、知識の維持に努める必要がありそうです。

参加者アンケート結果報告

PyCPA リアル・オプション輪読会第1回参加者には、事前に以下のアンケートにお答えいただいています。
  • 参加者の所属
  • 参加理由
  • 意見・感想・提案など
その回答状況を見ていきましょう。

参加者の所属

PyCPAは会計士の勉強会として発足したこともあり、会計士等の比率が一番多い結果となりました。

次いで一般事業会社(経理財務系)の方、金融機関勤務と続きます。

輪読会の内容がプログラミングであったため、エンジニアの方の存在感はとても大きかったです。

会の最後にMVPを決めたのですが、AI開発がご専門のプログラマの方が絶大な支持を得て見事MVPを獲得されました。

参加理由

リアル・オプション輪読会の参加理由は、金融工学、ファイナンスへの関心が首位、次いでリアル・オプション、企業価値評価への関心となっています。

みなさんお仕事で金融・ファイナンスに関わりがある方がほとんどで、その理解を深めたいという方が大多数でした。

リアル・オプションという経営意思決定のためのツールを学びたいという、このテキストの目的ど真ん中のかたもたくさんいらっしゃいました。

ファイナンスにせよ、VBAプログラミングにせよ、このテキストはとてもよい教材になりますので、是非チャレンジしてほしいと思います。

参考記事:『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』内容の概説、こんな人におすすめ、いい点と注意点

意見・感想・提案など

自由回答で寄せられた意見等についてまとめます。

まったく門外漢ですが、なにか楽しそうだと思いました

モンテカルロ法という言葉ぐらいしか知らないので、その内容を理解したい

私も最初はそうでした。

モンテカルロ法という何やら凄い技術があるらしい、なんか楽しそう。

そういう興味が人生を豊かにしてくれると信じています。

一緒に楽しみましょう。

将来的に転換社債のプライシンクモデルを作りたいです!

業績連動型のストックオプション

モンテカルロ法は金融商品評価の強力なツールで、その応用範囲は膨大です。

輪読会での学びをきっかけに、よりアドバンストな内容に挑戦してみるのもいいでしょう。

意思決定にどう活かすのかに興味があります。

リアル・オプションは経営意思決定のツールとして有用です。

単に本を読み、ふーん、そういう手法があるのね、で終わらせることなく、是非輪読会で他の方とディスカッションすることで、ビジネスへの応用について探っていきましょう。

私もとても楽しみです。

まとめ

PyCPA リアル・オプション輪読会の振り返りについて述べました。

徐々にその裾野を広げつつ、コミュニティとしての輪郭を備え始めたPyCPAですが、まだまだ始まったばかりです。

みなさんの学ぶ意欲と発信で、一緒に楽しみましょう。

【開催前夜】リアル・オプション輪読会の目的、理由、進め方

こんにちは、毛糸です。

この記事を書いている日の次の日(2019/5/11)に、『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』の輪読会を開催します。
『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』輪読会第1回 

第1回開催に際して、この輪読会の目的、なぜ輪読会を開くのか、どんな風に進めるのかについて整理しておきたいと思います。

そもそも輪読会とは何か

輪読会とは、複数人で同じ本を読み進め、集まって内容を共有し、理解を深める方法です。

大学のゼミやエンジニアの勉強会の一環として行われています。

事前に内容をまとめ、当日にプレゼンテーションを行う方式がとられることが多いです。

本を独りですべて熟読する必要がないので、効率的に内容を理解できます。

『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』輪読会の目的

この輪読会の目的は『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』を読破することです。

第一目標は「読むこと」であり、完全な理解は敢えて目指しません。

理解度の目安でいうと、他の人に「この本はこういうことが書いてあるんだよ」と雰囲気を語れるレベルでOKです。

なぜ「理解すること」を第一目標にしないかというと、本書がとてもハイレベルな内容であるからです。

本書の内容は本ブログの記事『『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』内容の概説、こんな人におすすめ、いい点と注意点』にまとめてありますので、その難しさの雰囲気がわかると思います。

とてもハイレベルなので、もはやみんなで足並み揃えて理解しよう、というのが不可能です。

十分に理解している人が参加者に講義するスタイルのセミナーであれば可能かもしれませんが、今回はそういった形式にはしないので、とりあえず「読む」ことができればOKということにします。

もちろん、「読む」ことから理解は始まりますし、輪読会への参加でかなりの理解が得られるので、決して「理解」を放棄しているわけではありません。

なぜ輪読会を開くのか、独りではいけないのか

本書を輪読会で読む理由は3つあります。

1.難しいから

本書はファイナンス(金融工学)とプログラミング(VBA)の理解がなければ読めません。

独りでこの本に取り組むとなると、かなり気合を入れて取り組む必要があります。

しかし、忙しいビジネスマンが、難解な数学やプログラミングにじっくり取り組むのはなかなか厳しいものがあります。

輪読会で読むことで、ファシリテーターや他の参加者の理解を共有でき、意見を聞きながら読むことが出来るので、理解が深まります。

2.甘えてしまうから

独りでは「わかったつもり」になったり、テキストに書いてあるプログラミング・コードを眺めるだけで入力しなかったりと、甘えが出ます。

本書はプログラミング・コードを実際に打ち込み、手を動かしながら読み進めることを前提としているので、甘えると何も身につきません。

同じ目標を持つ人で集まって、みんなで読み進めることで動機づけを図ります。

3.実務的だから

リアル・オプションは経営意思決定のためのツールであり、ビジネスに活かすことの出来る実務的な技術です。
 
したがって、リアル・オプション分析をどう活用するか、という視点がとても大切になります。
 
しかし、独りでは想像力に限界があり、学びをどう活かすかというところに目が向かない可能性があります。
 
輪読会でディスカッションすることにより、自分では思いつかないアイデアに触れられます。
 

輪読会の進め方

輪読会は通常、発表者を事前に決めておき、持ち回りで本の内容をプレゼンテーションします。
 
しかし、リアル・オプション輪読会はまず「読むこと」を目的としており、そのためには参加のハードルをなるべく下げたいと思っています。
 
したがって、参加者には特に事前準備を強制せず、輪読会の中で読み進め理解するようなやり方をとります。
 
リアル・オプション輪読会では、参加者が順繰りに、1人1パラグラフを音読します。
 
その内容について、意見がある人は発言してもらい、また、ファシリテーター(僭越ながら私が務めます)が解説を加えます。
 
テキストに記載されたVBAのコードは、事前に入力してきた人がいれば、そのプログラムを実際に動かしてみます。
 
動かなければ、その場でみんなで改善策を考えます。
 
なので、動くプログラムが作れたかどうかはさておき、事前にコードを書いてきた人の成長が加速するような進め方をとります。
 
会の終了後、動くコードを参加者で共有します。
 
また、会の終わりに、その日のMVPを決めて、みんなで讃えます。
 

まとめ

リアル・オプション輪読会の前日ということで、輪読会の目的や、理由、進め方についてまとめました。
 
ともに学ぶ人がいるというのは嬉しいことです。
 
是非こうした機会を活用し、スキルアップに役立ててください。
 

 

 

 

年金のリスクとリターンを統計プログラミング言語Rで計算してみた

こんにちは、毛糸です。

私は【投信定点観測】と題して、投資を行っています。
参考記事:【投信定点観測】インデックス投資信託8つ・ロボアドバイザー2つ・アクティブファンド3つにドルコスト平均法で積立投資してみる

しかし、私のように投資をしていない人でも、日本人はほぼ全員、金融リスクをとっている、ということをご存知でしょうか。

それは「年金」です。

私たちが加入している国民年金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)という機関によって運用されており、株や債券といったリスク資産に投資が行われています。

リスク資産に投資が行われているということは、ある程度のリターンを期待して、リスクをとっているということです。

今回は、私たちの年金がどれくらいのリスクを負い、リターンを求めているのかを、プログラミング言語Rを用いて計算してみたいと思います。

統計プログラミング言語Rと、オンラインでの利用

統計プログラミング言語Rは、データサイエンスで頻繁に用いられるプログラミング言語です。

統計解析や計算を簡単に行うことができ、計算機としても使えます。

本記事ではプログラミング言語Rを用いて、年金ポートフォリオのリターンとリスクを計算します。

Rを使うには、本来RというソフトウェアをPCにインストールする必要がありますが、今回はちょっとした計算に使うのみなので、ブラウザ上で完結するR onlineを利用します。
参考記事:ブラウザ上でRプログラミング(R online、Rオンラインを使う方法)

R onlineのサイト(リンク)でコードを打ち込めば、すぐにRによる計算が実行できます。

試しにサイト上で
1+1
と入力し、[Run it]してみると、すぐに下の方に計算結果が表示されます。

以下、このR onlineを使って、年金ポートフォリオのリターンとリスクを計算します。

すでに打ち込んである内容は、すべて削除して構いません。

GPIFの基本ポートフォリオ

年金はリスク資産に投資を行って運用されています。

年金運用を行っている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、リスク資産への投資に関して、「基本ポートフォリオの考え方」(外部リンク)という指針を示しています。

GPIFは「基本ポートフォリオの考え方」のなかで、年金ポートフォリオとして

  • 国内債券
  • 国内株式
  • 外国債券
  • 外国株式
の4つの資産クラスに投資を行うことを取り決めています。
従来は資金の大部分を国内債券で運用してきましたが、年金は将来の長きに渡り、国民の老後の資金を供給する必要があり、国内債券だけでは資金を賄えなくなったため、リスクをとって高いリターンを得られるように方針を変更しました。
現在、GPIFは4つの資産クラスを、以下のような割合で投資することとしており、これを「基本ポートフォリオ」と呼んでいます。

(出典:https://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.html)

早速、この基本ポートフォリオをRでコーディングしてみましょう、以下のように入力して、[Run it]してください。

#基本ポートフォリオ(各資産クラスのウエイト)
weight<-c(0.35,0.25,0.15,0.25,0)

ここではweightという変数に、各資産クラスのウエイトを代入しています。c()というのは、数字を並べてひとくくりにします、というときに使う決まり文句です。

5つの数字はそれぞれ、図の中の資産構成割合を示しています(最後の0は短期資産ですが、表にはありません)。

資産構成割合をすべて足すと1(100%)になることが確認できます。

#足すと1になることを確認
(sum(weight))

基本ポートフォリオのリターン

2014年10月31日に公表された「【参考資料】年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更」(PDFリンク)では、各資産クラスの期待リターンが記載されています。

(出典:https://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.html)
別に、名目賃金上昇率を差し引いた実質リターンというのも表記してありますが、本記事では実際の資産価格から推定されたであろう名目リターンに着目します。

これら期待リターンをもちいて、年金ポートフォリオのリターンを計算してみます。

まず、各資産の期待リターンをRでコーディングしてみましょう、以下のように入力して、[Run it]してください。

#各資産クラスの期待リターン(名目、経済中位)
mu<-c(2.6/100, 6.0/100, 3.7/100, 6.4/100, 1.1/100)

金融工学では期待リターンを\( \mu\)(ミュー、mu)と表すことが多いので、muとしています。

基本ポートフォリオのリターンは、各資産クラスのリターンに、前述の基本ポートフォリオのウエイトをかけることで求められます。

#ポートフォリオのリターンを計算
(mu_PF<-weight%*%mu)

テクニカルな話ですが、weightmuはどちらも「ベクトル」なので、その掛け算には%*%という記号を使います。

結果は0.04565(4.57%)となりました。これが年金の基本ポートフォリオの期待リターンです。

「【参考資料】年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更」(PDFリンク)の9ページ目に、これと全く同じ数字が記載されています。

基本ポートフォリオのリスク

「【参考資料】年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更」(PDFリンク)では、各資産クラスのリスクと相関係数が記載されています。
(出典:https://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.html)
リスクは各資産の期待リターンからのブレを標準偏差で表したものであり、相関係数は2つの資産クラスのリターンの連動性を表す尺度です。
これをRに入力しましょう、以下のように入力したら、[Run it]してください。

#各資産クラスの分散(標準偏差の2乗)
sigma<-c(0.047,0.251,0.126,0.273,0.005)
#相関行列
Rho<-rbind(
    c(1,-0.16,0.25,0.09,0.12),
    c(-0.16,1,0.04,0.64,-0.1),
    c(0.25,0.04,1,0.57,0.15),
    c(0.09,0.64,0.57,1,-0.14),
    c(0.12,-0.1,-0.15,-0.14,1))

rbind()というのは、c()でまとめた数値(ベクトル)を縦に並べる、という意味の関数です。

これら情報だけでは、基本ポートフォリオのリスクは計算できません。

基本ポートフォリオのリスクを計算する前に、各資産クラスの分散と相関行列から、分散共分散行列というものを作る必要があります。

以下のように入力したら、[Run it]してください。

#分散対角行列
sigma_diag<-diag(sigma)
#分散共分散行列
Sigma<-sigma_diag%*%Rho%*%sigma_diag

分散共分散行列にウエイトをかけることで、基本ポートフォリオの分散を計算することが出来ます。

なぜこういう計算になるのかという疑問がわきますが、「線形代数」という数学を勉強するとわかるようになります(記事の末尾に参考文献を挙げます)。

R onlineに以下のように入力したら、[Run it]してください。

#ポートフォリオの分散
Var_PF<-weight%*%Sigma%*%weight

分散の2乗根(ルートのこと、0.5乗も同じ)が標準偏差(リスク)になります。

#ポートフォリオのリスク(標準偏差)
(sigma_PF<-Var_PF^0.5)

結果は0.1276…(12.8%)となりました。これが年金の基本ポートフォリオのリスクです。

「【参考資料】年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更」(PDFリンク)の9ページ目に、これと全く同じ数字が記載されています。

まとめ

本記事では、年金運用の基本ポートフォリオのウエイトと期待リターン、分散等の情報から、年金ポートフォリオのリターンとリスクを計算しました。

私たちの年金の原資となっている資産は、リスク12.8%を追うことで、期待リターン4.57%の獲得を目指しています。

こうした分析は、統計や数学を少し勉強すれば簡単に行なえますので、是非ご自分でも興味を深めてみてください。

参考文献等

投資分析に必要な数学は、高校数学が基本となっていますので、復習してみることをおすすめします。


一歩進んだ投資分析には、行列や線形代数の知識が必要になりますが、金融データ分析を扱うテキストではそういった分野を解説してくれているものもあります。

ひふみ投信の期間別TOPIX勝率まとめ

こんにちは、毛糸です。

私は投資信託に積立投資を行っており、そのなかでアクティブファンドである「ひふみ投信」を購入しています。
参考記事:【投信定点観測】インデックス投資信託8つ・ロボアドバイザー2つ・アクティブファンド3つにドルコスト平均法で積立投資してみる

ひふみ投信は主に日本株式を中心に運用を行うアクティブファンドで、中小型株の目利き力に優れた投資信託として個人的に注目しています。

今回は、ひふみ投信が日本株式のインデックスであるTOPIXの日次勝率を期間別にまとめてみました。

価格時系列データはYahoo!ファイナンスから

ひふみ投信とTOPIXのデータはYahoo!ファイナンスから取得しました。

9C31108Aひふみ投信の時系列データはこちら

TOPIXの時系列データはこちら

ひふみ投信は基準価格を、TOPIXは終値をそれぞれ使用します。

期間はひふみ投信の設定開始日2008/10/1から本記事執筆時点の直近営業日である2019/4/26までの、2,590日です。

日次リターン(算術、純額表示)の計算

日次の算術リターン(日次リターン、純額表示)を計算します。

\( t\)日目のリターン\( r_t\)は、\( t\)日目の価格\( S_t\)と\( t-1\)日目の価格\( S_{t-1}\)を用いて、以下の計算式で算出します。

\[ \begin{split}
r_t=\frac{ S_t-S_{t-1}}{ S_{t-1}}=\frac{S_t }{S_{t-1} }-1,~r_1=1
\end{split} \]

この計算により、ひふみ投信の日次リターン\( r_t^H\)とTOPIXの日次リターン\( r_t^T\)(\( t=1,2,\cdots,2590\))が得られます。

ひふみ投信の対TOPIX超過収益率

ひふみ投信の対TOPIX超過収益率\( r_t^E\)は、ひふみ投信の日次リターン\( r_t^H\)とTOPIXの日次リターン\( r_t^T\)を用いて

\[ \begin{split}
r_t^E=r_t^H-r_t^T
\end{split} \]
と表せます。

ひふみ投信の対TOPIX超過収益率\( r_t^E\)が正の値であるとき、ひふみ投信はTOPIXを上回るリターンを実現させたことになります。

\( r_t^E\)が正のとき\( 1\)、負のとき\( 0\)を取る変数(勝敗変数)を\( t=1,2,\cdots,2590\)に対して計算し、和を取ることで、ひふみ投信のリターンがTOPIXのリターンを上回った日数をカウントできます。

期間別勝率:ほとんどの期間で高い勝率

たとえば、スタート日2008/10/1からエンド日2010/9/30までの488日間で、ひふみ投信の日次収益率がTOPIXを上回った日は256日ありました。

したがって、当該期間のひふみ投信の勝率は52.5%=256/488となります。

縦にスタート日、横にエンド日をとったとき、各期間(66期間)の勝率は、以下のような結果になりました。

2012/10/1-2013/9/30の1期間を除く、66期間中65期間(98%)で、ひふみ投信は対TOPIX勝率が50%を超えていました。

特に、2017年以降の最近のデータを見ても、

  • 2017/10/1から2018/9/30の勝率が51.8%
  • 2017/10/1から2019/4/26の勝率が52.7%
  • 2018/10/1から2019/4/26の勝率が54.3%
という結果となり、「最近TOPIXに負けていないか?」という疑問は、このデータを見る限り否定されそうです。

まとめ

ひふみ投信の対TOPIXの勝率を、2018/10/1から2019/4/26までの66の期間で判定してみました。
結果は98%の期間で、ひふみ投信の対TOPIX勝率が1/2を超える結果となりました。
本記事の分析は恣意性を排除したデータ分析に基づいてはいるものの、ひふみ投信の一側面しか見えていないというご意見もあろうかと思いますので、是非SNSで「こんな見方もある」といったコメントを頂けると嬉しいです。

ひふみ投信は期間をランダムにとってもTOPIXに勝つ方が多かった件

こんにちは、毛糸です。

先日の記事「ひふみ投信の対TOPIXの勝率を調べてみたら、統計的に有意に1/2より大きかった件」では、ひふみ投信の設定開始日2008/10/1から本記事執筆時点の直近営業日である2019/4/26までの2,590日を1期間として、当該期間の平均や日次勝率を算出しました。

しかし、ここでこんな疑問がわきます。

2008年から2019年という期間では確かにそうかもしれないが、最近に限れば勝率は高くないのではないか?

事実、最近はインデックスに対する勝率が低いという分析結果もあります。
参考記事:ひふみ投信の懸念点とその他投信の注意点

そこで今回は期間選択のバイアスをなくすため、計算期間をランダムに指定して、ひふみ投信とTOPIXの比較をしてみたいと思います。

ランダムな期間のとりかた

全体期間を、ひふみ投信の設定開始日2008/10/1から本記事執筆時点の直近営業日である2019/4/26とします。

この全体期間の中から、ExcelのRAND関数を用いてサンプル期間開始日( t_i^S)(下付きは( i)番目のサンプルを表す)をランダムに選択します。

次に、サンプル期間開始日( t_i^S)から全体期間終了日までの期間の中から、ExcelのRAND関数を用いてサンプル期間終了日( t_i^E)(下付きは( i)番目のサンプルを表す)をランダムに選択します。

こうしてサンプル期間(left[ t_i^S,t_i^Eright] )を作成し、これを1000セット作成します。

これがランダム期間の1000個のサンプルです。

期間をランダムサンプリングしたので、「ひふみ投信のパフォーマンスが高い期間を恣意的に選んだ」という疑念はなくなるでしょう。

各サンプル期間に対して、ひふみ投信とTOPIXの日次リターンの平均、標準偏差、シャープ・レシオ、日次勝率、期間勝率を比較します。

サンプル期間における日次リターンの平均

各サンプル期間で、ひふみ投信とTOPIXの日次リターンが計算できます。

1000件のサンプルで計算されたひふみ投信の日次リターンの平均は年率換算で16.01%、TOPIXは7.81%でした。

期間をランダムに選択した場合でも、ひふみ投信はTOPIXより良好なリターンを上げていることがわかりました。

サンプル期間における日次リターンの標準偏差

1000件のサンプルで計算されたひふみ投信の日次リターンの標準偏差(リスク)は年率換算で18.28%、TOPIXは19.25%でした。

期間をランダムに選択した場合でも、ひふみ投信はTOPIXより低リスクであることがわかりました。

サンプル期間における日次リターンのシャープ・レシオ

日次リターンの平均と標準偏差を用いて計算されるシャープ・レシオは、ひふみ投信が1.29、TOPIXが0.6でした。

投資の運用効率を測る指標であるシャープ・レシオは、ひふみ投信のほうがポイントが高いことがわかりました。

サンプル期間における日次リターンの日次勝率

各サンプル期間で、ひふみ投信の対TOPIXの日次勝率が計算できます。

日次勝率の平均は53.63%で、ランダムに期間を指定しても、ひふみ投信はTOPIXに勝つ確率のほうが高いという結果になりました。

なお、日次勝率の1000サンプルにおける勝率トップは77.5%(2019/1/7-2019/1/20)、勝率最下位は0%(2019/12/5-2018/12/8)、中央値は53.5%でした。

1000サンプルから計算される日次勝率をヒストグラムにしてみると、勝率が50%から57%の間にあるケースが最も多いという結果になりました。

サンプル期間における日次リターンの期間勝率

各サンプル期間でのひふみ投信の基準価格成長率とTOPIXの伸び率を比較することで、サンプル期間での勝敗を定義することが出来ます。

1000サンプルのうち、ひふみ投信がTOPIXの成長率を上回ったサンプルは873件であり、勝率は87.3%でした。

期間を適当に区切ったとき、ひふみ投信がTOPIXより「儲かる」確率は87.3%と解釈できます。

まとめ

本記事ではリターン計測に期間選択の恣意性が混入しないよう、ランダムに期間を選択し、その期間でリターンや勝率を計算してみました。

個別のサンプル期間で見ればひふみ投信がTOPIXに勝てない期間もありましたが、平均的にはひふみ投信はTOPIXより優れた運用成果を上げていました。

本記事の分析は多数・ランダムなサンプルによる統計的手法に基づいてはいるものの、ひふみ投信の一側面しか見えていないというご意見もあろうかと思いますので、是非SNSで「こんな見方もある」といったコメントを頂けると嬉しいです。

ひふみ投信の対TOPIXの勝率を調べてみたら、統計的に有意に1/2より大きかった件

こんにちは、毛糸です。

私は投資信託に積立投資を行っており、そのなかでアクティブファンドである「ひふみ投信」を購入しています。
参考記事:【投信定点観測】インデックス投資信託8つ・ロボアドバイザー2つ・アクティブファンド3つにドルコスト平均法で積立投資してみる

ひふみ投信は主に日本株式を中心に運用を行うアクティブファンドで、中小型株の目利き力に優れた投資信託として個人的に注目しています。

そんなひふみ投信ですが、最近ネットではパフォーマンスに疑問符を投げかける声が散見されています。

そこで今回は、ひふみ投信に対するネガティブな声に反論すべく、ひふみ投信の優位性を統計学的に検証してみたいと思います。

結論として、ひふみ投信は日本株式のインデックスであるTOPIXに対する勝率が、有意に1/2を超える結果となりました。

価格時系列データはYahoo!ファイナンスから

ひふみ投信とTOPIXのデータはYahoo!ファイナンスから取得しました。

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TOPIXの時系列データはこちら

ひふみ投信は基準価格を、TOPIXは終値をそれぞれ使用します。

期間はひふみ投信の設定開始日2008/10/1から本記事執筆時点の直近営業日である2019/4/26までの、2,590日です。

日次リターン(算術、純額表示)の計算

日次の算術リターン(日次リターン、純額表示)を計算します。

\( t\)日目のリターン\( r_t\)は、\( t\)日目の価格\( S_t\)と\( t-1\)日目の価格\( S_{t-1}\)を用いて、以下の計算式で算出します。

\[ \begin{split}
r_t=\frac{ S_t-S_{t-1}}{ S_{t-1}}=\frac{S_t }{S_{t-1} }-1,~r_1=1
\end{split} \]

この計算により、ひふみ投信の日次リターン\( r_t^H\)とTOPIXの日次リターン\( r_t^T\)(\( t=1,2,\cdots,2590\))が得られます。

ひふみ投信とTOPIXの日次リターンの平均

2008/10/1から2019/4/26までの日次リターンの平均は、
ひふみ投信が0.07%/日、TOPIXが0.02%/日でした。
日次リターンの平均はひふみ投信の方が高い結果となりました。

ひふみ投信とTOPIXの日次リターンの分散、標準偏差(リスク)

2008/10/1から2019/4/26までの日次リターンの分散(平均からの乖離の尺度)は、
ひふみ投信が0.00001、TOPIXが0.00002でした。
日次リターンのリスクを示す標準偏差(分散の平方根)は、
ひふみ投信が0.02%、TOPIXが0.03%でした。
日次リターンのリスクはひふみ投信の方が低い結果となりました。

ひふみ投信とTOPIXの日次リターンのシャープ・レシオ

リスクに対するリターンの効率性を図る指標であるシャープ・レシオ(=リターン÷リスク)は、
ひふみ投信が2.84、TOPIXが0.90でした。
リスクに対するリターンの効率性はひふみ投信のほうが優れているという結果になりました。

ひふみ投信とTOPIXの日次リターンの累積リターン

当該期間中、ひふみ投信の基準価格は4.70倍(純リターン371%)に、TOPIXは1.47倍(純リターン47%)になっています。

ひふみ投信の方が当該期間中の利殖幅が大きいという結果になりました。

ひふみ投信の対TOPIX超過収益率

ひふみ投信の対TOPIX超過収益率\( r_t^E\)は、ひふみ投信の日次リターン\( r_t^H\)とTOPIXの日次リターン\( r_t^T\)を用いて

\[ \begin{split}
r_t^E=r_t^H-r_t^T
\end{split} \]
と表せます。

ひふみ投信の対TOPIX超過収益率\( r_t^E\)は、ひふみ投信をロング、TOPIXをショートするポートフォリオのリターンに近似し、ひふみ投信がTOPIXをどれだけアウトパフォームしているかを測る指標になります。

ひふみ投信の対TOPIX超過収益率\( r_t^E\)の平均は0.04%、標準偏差は0.01%でした。

超過収益率が正であったため、ひふみ投信はTOPIXに対して良好なパフォーマンスを上げているという結果になりました。

ひふみ投信の対TOPIXの勝率

ひふみ投信の対TOPIX超過収益率\( r_t^E\)が正の値であるとき、ひふみ投信はTOPIXを上回るリターンを実現させたことになります。

\( r_t^E\)が正のとき\( 1\)、負のとき\( 0\)を取る変数(勝敗変数)を\( t=1,2,\cdots,2590\)に対して計算し、和を取ることで、ひふみ投信のリターンがTOPIXのリターンを上回った日数をカウントできます。

こうして計算した結果、2,590日中、ひふみ投信がTOPIXを上回った日数は1,385日、割合にして53.5%でした。

2008/10/1から2019/4/26までを計算期間としたときの、ひふみ投信の対TOPIXの勝率は53.5%であり、勝敗が一様に確からしい時の確率\( \frac{ 1}{ 2}\)を上回る結果となりました。

ひふみ投信の対TOPIX勝敗変数の二項検定(正規分布近似)

ひふみ投信の対TOPIX勝率は上記計算によると53.5%であり、勝率トントン(\(\frac{ 1}{ 2} \))に近く、偶然\(\frac{ 1}{ 2} \)を少し超える勝率が記録されただけではないか、という疑問を持ちます。

そこで、ひふみ投信の対TOPIX勝率53.5%という数字が、統計学的に意味がある数字なのかを検証します。

ひふみ投信の対TOPIX勝敗変数は、ひふみ投信の対TOPIX勝率\( p\)をパラメタとする二項分布に従うと考えられます。

「\( p=\frac{ 1}{ 2} \)と仮定したとき、ひふみ投信の対TOPIX勝率の実際値53.5%がどれくらいの珍しさで起こったのか」を統計的に検証する方法を、仮説検定と言います。

\( p=\frac{ 1}{ 2} \)と仮定したとき、ひふみ投信がTOPIXに2,590日中1,385日勝った、という結果が生じる確率が小さければ、ひふみ投信がTOPIXに勝ったのは偶然ではない、と結論付けられます。

仮説検定の詳細は他の記事にゆずりますが、今回はひふみ投信の対TOPIX勝利日数を二項分布\(Bi(2590,p) \)として、帰無仮説:\( p=\frac{ 1}{ 2} \)、有意水準5%で検定を行います。
参考記事:25-2. 二項分布を用いた検定

ひふみ投信の対TOPIX勝利日数は帰無仮説\( p=\frac{ 1}{ 2} \)のもとでは、近似的に平均\( 2590p=\frac{ 2590}{ 2}\)、分散\(2590p(1-p) =\frac{ 2590}{ 4}\)の正規分布に従います。

ひふみ投信の対TOPIX勝利日数を基準化した統計量が1.96より大きいとき、帰無仮説は棄却され、ひふみ投信の対TOPIX勝率は\( \frac{ 1}{ 2}\)と有意に異なる、と結論付けることが出来ます。

統計量は

\[ \begin{split}
\frac{ 1385- 2590p}{ \sqrt{2590p(1-p)}}=3.54>1.96
\end{split} \]
なので、

ひふみ投信の対TOPIX勝率は\( \frac{ 1}{ 2}\)と有意に異なります

つまり、ひふみ投信の勝率が53.5%であり、\( \frac{ 1}{ 2}\)より大きかったのは、統計的には偶然ではない、という結論が導けます。

まとめ

ひふみ投信の設定以来のデータを用い、基本統計量をTOPIXと比較しました。

また、日次の勝敗率を計算し、ひふみ投信がTOPIXに有意に勝っていることを確認しました。

本記事の分析は統計的手法に基づいてはいるものの、ひふみ投信の一側面しか見えていないというご意見もあろうかと思いますので、是非SNSで「こんな見方もある」といったコメントを頂けると嬉しいです。

リアル・オプションを用いた無形資産投資評価(無形資産のプットオプション性)

こんにちは、毛糸です。

リアル・オプションに関する勉強会が、5/11に開催されます。

>>『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』輪読会第1回 hosted by PyCPA

この勉強会に触発されて、こんな本を読んでいます。

この本の中に『リアルオプションを用いた無形資産価値評価について』という論文が掲載されていました。

とても興味深い内容だったので、メモを残しておきます。

無形資産を評価することの重要性

企業の生産性向上が叫ばれるなか、その目的達成のために無形資産を活用することの重要性が認識されつつあります。

無形資産は、機械設備等の有形資産とは異なり、実体を持たない資産ですが、近年、無形資産が企業価値に与える影響が重大であることが指摘されています。

無形資産とは、企業の研究開発力であったり、雇用する人材の能力であったりと多様ですが、会計上、バランスシートに記載されないものも多く、それを活用するのは簡単ではありません。

無形資産を活用するためには、まず無形資産の価値を評価する必要があります。

無形資産を評価するための従来の方法

無形資産の評価手法には、以下のような方法があると言われています。

  • インカム・アプローチ
  • コスト・アプローチ
  • マーケット・アプローチ

近年ではリアル・オプションという考え方も徐々に広まってきました。

リアル・オプションとは、企業の意思決定の柔軟性のことを指します。

具体的には、研究開発が上手く行ったら事業化する、とか、売上が好調なら広告を打って規模を拡大する、といった条件付きの意思決定がもつ価値を分析するのがリアル・オプションの考え方です。

従来、リアル・オプションは事業価値に関するコールオプション=アップサイドの利益を享受し、ダウンサイドの利益を回避するようなポジション、として定式化されてきました。

代表的な無形資産投資である研究開発投資も、新知識の発見・開発・事業化という「リニア・モデル」に従って、リアル・オプションの考え方を用いて評価されてきました。

しかし、近年では従来のような技術主導型の研究開発に加え、ニーズ主導型の投資が多くなってきているといいます。

技術目標を予め設定し、それを確保すべく投資を行うと行ったプロセスを踏むことで、必要な能力や効果を獲得していきます。

本書では新しい無形資産評価として、将来の事業化への投資機会獲得(コールオプション)ではなく、必要資産の獲得という観点から、評価手法を組み立てています。

プットオプションとしての無形資産

本書では、無形資産はMVA(Marked Value Added。スターンスチュワート社が定義[リンク])として市場から評価されていると考えます。

MVAは株式時価総額と自己資本の差額として評価される、会計上の「のれん」に近い概念です。

コーポレートブランド(CB)の観点からMVAを算出するCBバリュエーターなどのツールもありますが、こちらは算定ロジックが非公開となっています。

無形資産それ自体は取引不能であり、無形資産から得られる利益の期待値の変動でMVAは変化することから、無形資産とMVAは全く同等ではありません

本書では無形資産への投資を、無形資産を獲得するためのプットオプションへの投資とみなします。

無形資産に投資することで、市場が評価する株式時価総額に一定の下限値を設けつつ、アップサイドの株式時価総額を実現させる効果が得られます。

つまり、株式時価総額と無形資産のポートフォリオが、株式時価総額のコールオプションの買いポジションになると考え、無形資産はプロテクティブ・プットとして機能すると考えるのです。

無形資産への投資により、将来の株式時価総額の下方リスクをヘッジ出来る、といってもいいでしょう。

無形資産投資( p)は、将来の無形資産価値( I_e)を権利行使価格とした、株式時価総額( M_T)のプットオプションとして表します。
[ begin{split}
p=PV[max(I_e-M_T,0)]
end{split} ]

無形資産への投資とは具体的には、研究開発投資、広告投資、超過人件費投資を指します。

プットオプション価格としての無形資産投資( p)と、現在の株式時価総額( M_0)がわかれば、オプション価格に内包される権利行使価格( I_e)が求まり、これを無形資産の価値とみなすことが出来ます。

具体的な計算式や分析の詳細は本書を参考にしていただきたいと思いますが、本研究によれば、無形資産投資のオプション性(フロア効果)が示されており、無形資産に投資することで株価にポジティブな影響が認められることが実証されています。

本書にはモデルの詳しい説明と、財務諸表との関係、日本の上場企業を対象とした無形資産価値のランキング表などが示されています。

まとめ

本研究では、無形資産に投資することで株式価値の下方リスクをヘッジすることが出来るというアイデアによって、無形資産をプットオプションとみなし、無形資産の価値を評価する手法が説明されています。

無形資産の重要性が叫ばれる昨今、無形資産の活用の緒として、リアル・オプションの考え方を用いた分析がパワーを発揮します。

リアル・オプションに興味を持たれた方は、勉強会を開催しておりますので、是非参加してみてください。
>>『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』輪読会第1回 hosted by PyCPA

『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』内容の概説、こんな人におすすめ、いい点と注意点

こんにちは、毛糸です。

5/11土曜日に、『モンテカルロ法によるリアルオプション分析』(きんざい)の輪読会を開催します。

>>『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』輪読会第1回 hosted by PyCPA(外部サイトに飛びます)

今回は本書の内容をざっくり紹介したあと、この本がどんな人におすすめかに触れたあと、いい点と注意点について説明します。

目次

  • 本書の目次と内容概説
  • こんな人におすすめ
  • いい点と注意点その1:ファイナンス・金融工学・リアルオプションの教材として
  • いい点と注意点その2:エクセルVBAの教材として
  • まとめ

本書の目次と内容概説

第1章 エクセルVBAプログラミング入門

エクセルVBAとはどんなプログラミング言語なのか、どうやって使い始めたらよいのかを解説しています。

第2章 数値解析入門

モンテカルロ法とは何かを説明し、実際にモンテカルロ法を用いて円周率の推定を行います。覆面算、方程式、数値積分、常微分方程式などを題材に、モンテカルロ法の理解を深めます。

第3章 乱数

乱数とは何かについて説明したあと、乱数の生成方法について述べます。乱数発生アドインのインストールを解説し、以後の章の準備をします。本書では線形合同ジェネレーターの拡張版と、インバース法を用いて正規乱数を生成します。

第4章 基本株価プロセスとブラック・ショールズ・モデル

二項モデルの例をみたあとに、ランダムウォークと株価プロセスのモデル化を行います。モンテカルロ法による「ブラック・ショールズ・モデル」の実装方法について説明します。

第5章 エキゾチック・オプション

バイナリー・オプション、ルックバック・オプション、バリア・オプション、アジア型オプションの評価方法とコード例を説明します。

第6章 推定誤差

サンプル数による推定誤差の理論と計算について述べます。推定精度の向上法や離散化による推定誤差について説明しています。

第7章 シンプルなモデル

売上高のランダムなパスを生成し、リアルオプション分析のためのシンプルなモデルを作成します。

第8章 リスク中立評価

リアルオプションを含むデリバティブの評価理論に必要なリスク中立評価法について、数式で詳しく説明します。

第9章 基本プロセスの拡張

前章までで紹介された基本プロセスに、配当、外国為替、価格のジャンプなどを入れて拡張します。ファット・テイル分布からのサンプリングや平均回帰過程についても説明します。

第10章 スタートアップ企業の評価

Schwartz and Moonの「アマゾン」モデルを使って、スタートアップ企業の評価を行います。

第11章 アメリカン・オプションの評価

最小二乗モンテカルロ法(LSM法)について説明し、バミューダ・プット・オプションの評価を行います。

こんな人におすすめ

本書はファイナンス・金融工学で研究されてきたデリバティブの価格評価理論を応用し、経営上の意思決定の柔軟性が生む企業価値(リアル・オプション)の評価を行います。
リアル・オプション分析に必要な金融工学の数学的背景が丁寧に解説されているため、金融工学を学ぶためのテキストとしても適しています。
数学(解析学や確率論)に触れてきた人で、その知識を実務に活かしたい人は、本書でデリバティブ理論を学ぶことが出来ます。
また、リアル・オプション分析を行うに当たり、プログラミングが必要になります。
本書ではエクセルに標準搭載されたプログラミング言語VBAを用いてリアル・オプション評価のためのプログラムを作成します。
プログラミングに初めて触れる人でも躓かないよう、エクセルVBAの使い方からプログラミングの基礎的内容を説明しています。
昨今のプログラミングブームのなかで、自分も何か始めたいけれど、どんな言語を始めたらいいのかわからず、勉強方法についても悩んでいる、という人は、本書を手を動かしながら読むことで実力が身につきます。

いい点と注意点その1:ファイナンス・金融工学・リアルオプション

本書のテーマはモンテカルロ法を用いて企業の意思決定の柔軟性から生まれる価値=リアル・オプション価値を定量的に評価することです。
本書で学ぶリアル・オプション分析は、従来、ファイナンス・金融工学という分野で蓄積されてきた研究成果を応用したものです。
ファイナンスとは、リスク(不確実性)と時間の概念を明示的に考慮した経済学の一分野であり、確率論を高度に利用した応用数学の側面もあります。
金融工学とは、ファイナンスのうち、実務的便益を企図していることを強調した表現です。
本書ではファイナンス・金融工学のうち、リアル・オプション分析に必要な部分を整理して解説してくれているため、ファイナンス・金融工学を勉強する大変よい教材となっています。
本書に取り組むことで、実務への応用を前提としたファイナンス理論を習得することが出来ます。
ただし、ファイナンス・金融工学を完全に理解するためには、数学、とくに解析学や確率論の知識が必要不可欠です。
本書ではファイナンスに用いる数学を最低限しか解説していないため、例えば高校レベルの数学に抵抗感を持っているような人には、通読が難しい内容となっています。
高校数学に不安のある方はまず高校数学の参考書に取り組むことをおすすめします。

また、ファイナンスで用いる数学は、高校数学+アルファなので、この「+アルファ」の部分を勉強する必要もあります。具体的には確率解析と呼ばれる、確率論と微積分学の応用分野が必要になります。
ファイナンスに用いる数学については、以下の本に必要最低限の内容がまとまっているため、参考文献にすることを勧めます(増補版は入手しづらいようですが、古い版でも十分です)

いい点と注意点その2:Excel VBA

リアル・オプション分析では、乱数を用いた将来予測(モンテカルロ・シミュレーション)を強力なツールとして利用します。

コンピュータの計算力をフル活用した現代的手法であるモンテカルロ・シミュレーションを行うには、コンピュータに処理をさせるためのプログラミング言語を習得する必要があります(簡単なものであれば、エクセルシートでもなんとかなります)。

本書はモンテカルロ法を実行するに当たり、エクセルに標準搭載されているプログラミング言語VBAを用います、

VBAはエクセルがインストールされたPCであれば特別なことをしなくてもすぐに使えるようになりますので、プログラミングの入門には適しています

構文も難しいものではなく、少し訓練すれば容易に習得可能ですし、その訓練は本書にじっくり取り組むことで達成されます。

実際、私のプログラミング力を飛躍的に上昇させたのは、この本を読んだからです(私はプログラミング勉強会を開くまでにスキルアップしました)。

実際に手を動かしながら本書を読み勧めていく中で、エクセルVBAとプログラミングの基礎がしっかり身につきます

ただし、一点注意点があります。

プログラミング習得には近道は存在しません。

本書を流し読みすれば勝手にプログラミング力が身につくということは絶対にありませんので、しっかり自分で手を動かす必要があります。

本書に記載されているコードを実際に打ち込む(エンジニア用語で、写経する、と言います)ことでしか、プログラミング力は向上しません。

そもそも本書は、紙面上でコードが記載されてはいるものの、コーディング済みのエクセルシートなどは公開されていません

もし「手軽にリアル・オプション分析を行うためのツールが欲しい」と考えている人にとっては、本書はふさわしくないでしょう。

裏を返せば、確かなプログラミング力を身につけるための教材としてはこれ以上のものはないと言ってもいいでしょう。

スキルアップを目指す方にとって最高の教材です。

まとめ

『モンテカルロ法によるリアル・オプション分析』はファイナンスとVBAを使ってリアル・オプションを学ぶ大変良い教材です。
ある程度の数学の素養がある人が、ファイナンスとプログラミングを学ぶのにおすすめの本です。
ファイナンスを基礎から学び、数理的思考力を鍛えることが出来るとともに、VBAプログラミングのスキルを効率的に学ぶことが出来ます。
リアル・オプション分析の手法を学ぶことで、企業の意思決定に説得力をもたせることも出来ます。
難書ではありますが、間違い無しの良書です。是非チャレンジしてみてください。

毎月分配型投信は悪か?デメリットと、商品ニーズ・金融経済学から考えるメリット。

こんにちは、毛糸です。

先週の日経ヴェリタスで、毎月分配型投信の残高減少に関する記事を読みました。

「毎月分配型投信は悪」という主張を多く見かけるいま、この主張は正しいのか、考えてみたいと思います。

毎月分配型投信(毎月分配型ファンド)とは

投資信託とは、資産運用のプロにお金を預けて運用してもらい、値上がり益や配当利益などを還元してもらう金融商品です。

投資信託には、稼いだ利益を分配金として投資家に支払うタイプがあります。

このうち、分配金が毎月支払われるものを、毎月分配型投信(毎月分配型ファンド)といいます。

毎月分配型投信は我が国の投資信託残高の大部分を占めており、主にシニア世代に人気の金融商品です。

ただ、毎月分配型投信は、昨今そのネガティブな面がクローズアップされており、冒頭のような「毎月分配型投信は悪」という見方が徐々に強まりつつあります。

以下では毎月分配型投信のデメリットについて触れた後、メリットはないのかについて考察します。

毎月分配型投信のデメリット

毎月分配型投信は資産形成につながらないとする主張があります。

毎月分配型投信は運用資金を毎月換金していくため、複利の効果(利息に利息が付き、雪だるま式に資金が増える効果)が得られづらいという主張です。

毎月分配型投信のなかには元本を取り崩す例も多いと言われており、長期の資産形成に向かないとの批判が近年高まっています。

金融庁により公表された平成28事務年度「金融レポート」(外部リンク)にも、以下のような記述があります(太字は筆者修飾)。

我が国の投資信託の残高の過半を占めている毎月分配型投資信託については、複利効果が働きにくいことに加えて、元本を取り崩しながら分配される場合には運用原資が大きく目減りして、運用効率を下げてしまうということが問題点として指摘されている。

このように、我が国の金融投資実務を統括する金融庁が「顧客本位でない」と問題視しているほど、物議を醸している投資商品なのです。

毎月分配型投信の比率が高い運用会社は資金流出が目立つという記事(外部リンク)もあり、毎月分配型投信に対する風当たりの強さは増しています。

毎月分配型投信のメリット

毎月分配型投信は上記のようなデメリットがあると言われつつも、シニア世代が年金を補うための定期的な収入源として人気を集めています。

金融庁により公表された平成28事務年度「金融レポート」(外部リンク)に記載されているように、「毎月分配型投資信託保有者の毎月分配金の使用目的」の上位には「自分のこづかい」「生活費」 が入っており、毎月分配型投信が定期的な消費の財源になっていることが見て取れます。

(平成28事務年度「金融レポート」より)

この調査を見る限り、年金では消費を賄いきれないシニア世代が、投資を行いながら定期的に資金を取り崩す手段として、毎月分配型投信は一定の存在価値があると認識されているとも言えます。

もちろん、インデックス投信などで運用を行いつつ、自分で必要な額を取り崩せばよいだけのことなのですが、高齢者にそういった手間を強いるのは難儀です。

また、日経新聞の記事(外部リンク)によれば、2019年1月の月間資金純増額ランキング上位に毎月決算型が入っており、毎月分配型投信に復活の兆しが見えているといいます。

運用成績と安定分配を両立させた毎月分配型投信が相対的に浮上したと考えられており、それだけニーズがあると考えることもできるのではないでしょうか。

そもそも金融経済学の理論研究では、投資家は年を取るほどにリスク資産の額を減らしていくべきということが明らかにされています。

マートンのポートフォリオ問題という金融経済学の問題を解くと、投資家は余生が短くなるにつれ、リスク資産の投資額を減らすのが最善であることがわかります。

少し踏み込んだことを述べると、金融経済学で想定されるHARA型効用を持つ投資家が時々刻々変化するリスク資産に投資を行う場合、その投資額\(\omega^*W_t\)は以下のような数式で表せます。

\[ \begin{split}
\omega^\ast W_t=\frac{ \mu-r}{\sigma}\frac{1}{ \sigma\left( 1-\gamma\right)}W_t+\frac{ \mu-r}{\sigma^2 }\frac{\beta }{ r\alpha}\left(1-e^{-r(T-t)} \right)
\end{split} \]

このとき、投資家の余生が短くなると(\(T-t\)が\(0\)に近づくと)、投資額\(\omega^*W_t\)は小さくなります。

つまり投資額を徐々に換金していくのが金融理論的に最適な戦略ということです。

したがって、毎月分配金を支払い、投資額を減らしていく毎月分配型投信は、理論的には即座に否定されるべきものではないようにも思います。

まとめ

毎月分配型投信はデメリットばかりが強調され、金融庁からも苦言を呈されるなどやり玉に挙がっていますが、商品ニーズと金融理論にかんがみれば必ずしも否定されるものではないことを指摘しました。

もちろん、元本を棄損させるような分配方針が資産形成につながらないのは確かですが、しかし投資家の環境によってはそれが望まれるケースもあるはずです。

毎月分配型投信は悪、という決めつけには、慎重になるべきと考えます。

投資は怖い?危ない?投資の心理的ハードルを下げる3つの方法

こんにちは、毛糸です。

投資を始めてみたいけど、お金がなくなってしまうのは怖いし、手続きも面倒くさそう。

そう思っている人はとても多いです。

しかし、投資は、きちんとした理解のもと行えば、資産を増やし人生を豊かにしてくれるものです。

今回は、投資の心理的ハードルを下げる3つの方法についてお話します。

1冊の本から始める

投資に抵抗感を持つ大きな理由のひとつが、投資がどういうものか知らない、ということです。

投資をすると、運が悪ければお金が全部なくなってしまうだとか、下手したら借金を負うといったネガティブな側面が強烈に印象づけられています。

また、投資を始めたら四六時中、株価を気にしなければいけないとか、そもそもお金は汚いものだというイメージを持っている方もいます。

しかし、これらは投資の本質を言い表しているものではありません。

投資はもっとずっと安全で、きちんとコントロールできるものです。

運が悪ければすべて失うなどという状況は、よっぽどのこと、たとえば借金をして投資を行い失敗する、というようなことをしなければ起こりません。

また、リスクなしに、もしくはリスクを小さく抑えながらコツコツ資産を増やす方法がいくらでもあります。

一度仕組みを整えたら「ほったらかし」でもお金がお金を生むような投資だって可能ですし、それで十分実を結ぶ結果が期待できます。

もちろん、労働して稼いだお金は素晴らしいもので、投資をするとその稼いだお金が減っていくリスクもあります。

しかし、手間をかけずに最低限の管理をすれば、お金を守りながら増やすことも可能です。

そんな方法を正しく知るために、まずは投資の初心者本を読むといいでしょう。

投資の王道を教えてくれる本はいくつもあります。

私が最近読んだ本では、この本がわかりやすく、大変おすすめです。

まずは本を読んで投資をきちんと理解することが、投資のハードルを下げる第一歩です。

 

無リスクで始める

投資にはリスクがつきもの、と思われがちですがそうではありません。

無リスクで運用することのできる投資も存在します。

たとえば、定期預金は身近な無リスク運用と考えられます。

定期預金は普通預金のようにすぐには引き出せない代わりに、10倍の利率がつきます(普通預金で0.001%、定期預金で0.01%)。

特に、ネット銀行ではメガバンクなどよりお得な金利でお金を預けられます。
参考記事:【定期預金の金利を徹底比較!】定期預金金利の高さで選ぶ!おすすめネット銀行ランキング!

また、個人向け国債も、お金を減らしたくない人にとっては適した商品です。

個人向け国債は国が保証していて、利率も比較的高いです。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
参考記事:>>投資初心者に個人向け国債を勧める4つの理由

定期預金預金も国債も、普通預金に寝かしておくより高い利息がもらえます。

ただし、ネットでいろいろ調べていると、もっと高い金利をアピールしている例が多々あります。

最近では、クラウドファンディングをよく目にします。

クラウドファンディングは、投資家からお金を集めて会社に貸付け、それを利息とともに回収するビジネスで、投資家に提示される金利がとても高く設定されます。

ここで注意したいのは、金利が高いということは、金利が高くないと割に合わないということです。

つまり、回収できないリスクが高いということです。

クラウドファンディングのような高い利率の投資は、それだけハイリスクであるということをよく認識しておいてください。

少額で始める

投資がどういうものかを理解し、無リスクの投資にも慣れてきたら、ほんの少しリスクを取ることをおすすめします。

リスクを取る、とは、値動きのブレを覚悟する代わりに、高いリターンを得る可能性を高めるということ意味します。

投資のリスクは分散投資によって低減させることができる、というのが投資の常識です。

分散投資を手軽に行うには、投資信託を活用するのが良い方法です。

投資信託は、ネット証券でなら月100円から買うことができます。

月にジュース1本分を投資するなら、たとえ少しばかり損をしても、気にならないのではないでしょうか?

ポケットにある小銭と同じくらいだけ投資してみるだけでも、投資について詳しくなり、経済の動きがわかるようになるなど、情報感度が上がります。

自分のお金について責任を持つことができ、無駄な出費を抑えられるかもしれません。

月に100円程度なら損をしてもそんなに痛くないですが、リスクが実を結びリターンがつみ重なっていくと、大きな自信になります。

ネット証券に口座を持つのは無料で、手続きにハンコを押す必要があるくらいです。

100円から90円になっても全く気にならないし、それで投資に向いていないと思ったならなら、投資のことを10円で勉強できたことになります。

もちろん、うまく行けば100円が120円に増えることもありますし、期待値の上では増えるのが投資です。

無理のない範囲で投資することは十分可能ですから、少額ではじめてみるのがおすすめです。

▼ネット証券最大手はSBI証券、こちらから無料で口座開設ができます。



まとめ

いま、普通預金の利息はほとんどゼロです。

普通預金にお金をおいておいても増える状況ではなく、またお給料も景気もなかなか好転しないなか、金に金を稼いでもらうのはますます大事になっています。

そのためには、勉強して、無リスクで始め、少額にチャレンジするというステップを踏むのがおすすめです。

それを実践するコストは、書籍代と少しの時間くらいのものです。

賢く生きるためのコストはそれだけなのです。

投資に少しでも興味がある方は、是非これらの方法を試してみてください。

投資を勉強する最初の一冊として、私は以下の本を勧めています。

投資の仕組み、リスクを取らない運用の仕方、リスクを上手に取る方法、税金や制度の活用方法など、これから投資を学ぶ人にとって必要な知識がまとまっています。

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