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資産運用


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仮想通貨の価格ヒストリカルデータを取得する方法|Rライブラリcryptoの使い方

こんにちは、毛糸です。

仮想通貨に再び注目が集まっています。

2017年に価格が高騰し、2018年に暴落した仮想通貨は、現代のバブルとして一躍有名になりました。
参考記事:ビットコインはバブルである

仮想通貨に関しては、その価格変動の激しさから、投機の対象ともなっていますが、適切にリスク管理しないとあっという間に資産が溶けてしまいます。
本記事では再び注目が集まっている仮想通貨に関して、統計プログラミング言語Rによる価格データの簡単な取得方法について解説します。

仮想通貨パッケージcryptoをインストールする方法

Rはライブラリと呼ばれるプログラム・パッケージを利用することで、専門的な分析を簡単に行えるようになります。
仮想通貨の価格分析をするにあたっては、cryptoパッケージが役に立ちます。
cryptoパッケージに内蔵されている関数を用いることで、仮想通貨の価格情報を簡単に取得できます(公式マニュアルPDFはこちら)。
cryptoパッケージを利用するにはお使いのPCにRがインストールされている必要がありますので、下記を参考にして環境を整えてください。

仮想通貨価格の時系列データ(ヒストリカルデータ)の入手方法

まずはじめに、cryptoパッケージ(と付随して必要な他のパッケージ)をインストールします。
Rのコンソール画面に以下のコードを入力し実行します。
install.packages("crypto", dependencies = TRUE)
しばらくの間、各種パッケージのインストールが進みます。
インストールが進んだら、cryptoパッケージを読み込みます。
library(crypto)
これでcryptoパッケージに内蔵される各種関数が使用可能になりました。
たとえば、仮想通貨のリストを入手するには、以下のコードを実行します。
#仮想通貨のリストを表示
crypto_list()
出力結果は以下のようになります。
> #仮想通貨のリストを表示
> crypto_list()
# A tibble: 2,212 x 6
   symbol name     slug      rank exchange_url                history_url                           
   <chr>  <chr>    <chr>    <dbl> <chr>                       <chr>                                 
 1 BTC    Bitcoin  bitcoin      1 https://coinmarketcap.com/… https://coinmarketcap.com/currencies/…
 2 ETH    Ethereum ethereum     2 https://coinmarketcap.com/… https://coinmarketcap.com/currencies/…
 3 XRP    XRP      ripple       3 https://coinmarketcap.com/… https://coinmarketcap.com/currencies/…
 4 BCH    Bitcoin… bitcoin…     4 https://coinmarketcap.com/… https://coinmarketcap.com/currencies/…
 5 EOS    EOS      eos          5 https://coinmarketcap.com/… https://coinmarketcap.com/currencies/…
 6 LTC    Litecoin litecoin     6 https://coinmarketcap.com/… https://coinmarketcap.com/currencies/…
 7 BNB    Binance… binance…     7 https://coinmarketcap.com/… https://coinmarketcap.com/currencies/…
 8 BSV    Bitcoin… bitcoin…     8 https://coinmarketcap.com/… https://coinmarketcap.com/currencies/…
 9 USDT   Tether   tether       9 https://coinmarketcap.com/… https://coinmarketcap.com/currencies/…
10 XLM    Stellar  stellar     10 https://coinmarketcap.com/… https://coinmarketcap.com/currencies/…
# … with 2,202 more rows

ビットコイン(BTC)の価格データからリターンとリスクを計算する

実際にデータを分析してみましょう。

ヒストリカルデータの取得

crypto_history()関数で、指定した仮想通貨の時系列価格情報を取得できます。
#crypto_history(coin = NULL, limit = NULL, start_date = NULL
#end_date = NULL, coin_list = NULL, sleep = NULL)
#仮想通貨の価格等情報を取得
#dateはyyyymmdd形式で。NULLとすると最長期間
BTC<-crypto_history(coin = "BTC",
                    start_date = NULL,end_date = NULL)
日付を指定することで、特定期間のデータを取得することも出来ます。
BTC_saikin<-crypto_history(coin = "BTC",
              start_date = "20190501",end_date = "20190530")
head()関数、tail()関数で、データの先頭と最後尾を確認できます。
#データの先頭
head(BTC,1)
#データの最後尾
tail(BTC,1)
crypto_history()で取得される情報は、時点の情報や始値、終値など、いくつかの列から構成されています。
それぞれの情報にアクセスしたければ、たとえばBTC$closeのように$マークのあとに取り出したい列のラベルを指定します。

終値を時系列データとして抽出

今回使うのはBTCの終値closeです。関数ts()にデータを入れることで、時系列(time series)データとして扱うことが出来ます。
#BTCの終値情報を時系列として取り出す。
#時系列情報の開始日をBTC$date[1]と指定
BTC_price<-ts(BTC$close,start=BTC$date[1])

価格チャート

BTC価格のチャートを描いてみます。データの図示にはplot()関数を使います。
#type="l"は線グラフ
plot(BTC_price,type="l")

BTCの日次収益率(リターン)

日次収益率を計算します。
t日目のBTC価格を\( P_t\)、収益率を\( r_t\)と表すと、
\[ \begin{split}r_t=\frac{ P_{t}-P_{t-1}}{ P_{t-1}} \end{split} \]
と計算できます。
分子は1時点前との差額を計算するdiff(_,lag=1)関数、分母は1時点前の価格を返すlag(_,k=-1)関数を用いて計算できますので、BTCの日次収益率は以下のようにして求めます。
#日次収益率
BTC_return_daily<-diff(BTC_price,lag=1)/lag(BTC_price,k=-1)
plot(BTC_return_daily,type="l")

BTCリターンの平均と標準偏差(リスク)

日次収益率の平均はmean()関数を用いて計算できます。
mean(BTC_return_daily)*100
#[1] 0.2808807
#表示は%
#年率換算では
mean(BTC_return_daily)*100*365
#[1] 102.5215
BTCの日次平均リターンは0.28%(年率換算102%)でした。この値はデータ期間によって変わります。

標準偏差はsd()関数で計算できます。

sd(BTC_return_daily)*100
#[1] 4.333606
#表示は%
sd(BTC_return_daily)*100*365^0.5
#[1] 82.79343
リスクを示す標準偏差は日次で4.33%、年率換算82.79%でした。極めてハイリスクです。

まとめ

Rパッケージcryptoを用いて仮想通貨の価格を用意に取得できることを説明しました。
今後このデータを用いて、仮想通貨に関する統計分析をシリーズでお送りする予定です。
もし面白いと思っていただけたら、SNSでのシェアをよろしくお願いします。

「投資シミュレーションプログラム」サマリー(随時追加)

こんにちは、毛糸です。

本記事は「投資シミュレーションプログラム」に関する記事のまとめページです。

「投資シミュレーションプログラム」とそれを使った各種の分析について、このページから各記事に飛ぶことが出来ます。

投資シミュレーションプログラム

投資シミュレーションプログラムVer.1.0

投資シミュレーションプログラムVer.1.0のコード例と、投資シミュレーションプログラムが用いている「モンテカルロ・シミュレーション」に関する説明は下記ページです。
>>投資シミュレーションプログラムを作ってみた【Rでプログラミング】

投資シミュレーションプログラムVer.1.1

投資シミュレーションプログラムは何千何万という膨大な数のシナリオをコンピュータの圧倒的計算力で処理するプログラムですが、Ver.1.0ではサンプルの計算をfor文を用いて行っていました。

統計プログラミング言語Rはfor文による繰り返し計算よりベクトル演算の方が高速に処理することができ、これを実装したのがVer.1.1です。
>>投資シミュレーションプログラムを高速化してみた

活用例

年金の分析

投資シミュレーションプログラムを用いて、年金積立金のポートフォリオの将来予測を行っています。積立金の100年後の状況を予測したり、1年後に損失が生じる確率が35%あることなどが明らかになりました。
今後、運用期間中に資金が出入りするような、より現実的な仮定のもとで分析を行う予定です。

FX・外貨預金の分析

FXの期待リターンの理論値を計算したうえで、それをパラメタとして投資シミュレーションプログラムを使い、FXで億り人になれる確率や破産する確率を計算しました。

レバレッジが億り人になれるキーであることが明らかになりましたが、破産確率の上昇と隣合わせであることもわかりました。
>>FXの期待リターン、億り人になれる確率、破産する確率【モンテカルロ・シミュレーション】

インデックス投資の分析

資産運用の王道、インデックス投資について、投資シミュレーションプログラムを用いた将来予測を行う予定です。

投資シミュレーションプログラムを支える技術

投資シミュレーションプログラムは、3つの技術と知識によって支えられています。
  1. 確率論・統計学
  2. ファイナンス理論(金融工学)
  3. プログラミング言語
投資シミュレーションプログラムは、確率論における「大数の法則」によって正当性が保証される「モンテカルロ・シミュレーション(モンテカルロ法)」により、将来の予測値を計算しています。
分析の対象は投資であり、金融商品です。金融商品の性質や運用戦略の策定については、ファイナンス(金融工学)の分野において知見が蓄積されています。
投資シミュレーションプログラムにおける実際の計算はコンピュータが行いますので、必然的にプログラミングのスキルが必要になります。投資シミュレーションプログラムは統計プログラミングRを用いて作成されています。
ファイナンスにおけるモンテカルロ法の活用については、下記の書籍が大変役に立ちます。

統計プログラミング言語Rによるファイナンス分析に関しては、下記書籍を読めば、Rの基本的な使いかたから、本格的な分析までを学ぶことが出来ます。

 

FXの期待リターン、億り人になれる確率、破産する確率【モンテカルロ・シミュレーション】

こんにちは、毛糸です。

資産運用にはいろいろな手段があり、なかでも外貨預金やFX(外国為替証拠金取引)は有名どころです。

しかし、外貨預金やFX(以下FX等といいます)は、文献によっては「手を出すべきでない」投資商品として紹介されていたりもします。

たとえば『図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』には、以下のように説明されています。

『為替が上がるか、下がるか』と、『金利が高いか、安いか』をセットで考えて、取引価格が決まっているから、買う前にどっちの通貨がお得かは言えない

外貨預金をやるのはコイントスで『表』か『裏』にお金をかけるのとほぼ一緒

 

本記事ではこの主張について詳しく掘り下げ、FX等の期待リターンについて考察したあと、それに基づく「億り人になれる確率」と「破産する確率」を投資シミュレーションプログラムを用いて計算してみます。

外貨預金・FXはなぜ魅力的なのか

FX等は、2つの収益機会にあずかれます。

ひとつは海外通貨に対して適用される高い金利収入(インカムゲイン)、もうひとつは通貨高による価値の増加(キャピタルゲイン)です。

外貨預金は通常、高金利通貨建てで設定され、高い金利収入(インカムゲイン)が得られるとされています。

またキャピタルゲインに関しても、例えば米ドル建て外貨預金をするとして、1ドル100円のときに1万ドルを預金し、引き出し時に1ドル110円になっていれば、円建てでは100万円から110万円に増えることになります。

FXも同様に、為替の変動による利益を得つつ、スワップポイントと呼ばれる金利収入が得られます。

このように、インカムゲインとキャピタルゲインが同時に得られるという魅力があるため、FX等は人気の投資となっています。

FXリターン分析の前提①:裁定取引とフォワード・パリティ

FX等の期待リターンについて考察する前に、いくつかテクニカルな前提をおきます。

今後、通貨高が見込めるような通貨があったとしましょう。つまり、キャピタルゲインが見込めそうな通貨です。

為替の世界には、将来の為替レートを現時点で「約束」する契約が存在します(通貨先物や為替予約といいます)。

もし将来、通貨高になりそうな通貨に対して、将来低いレートで買う「約束」をすることができれば、その取引を行う投資家は、将来安いレートで通貨を買い、高い市場レートで売却することで利益が得られそうです。

このような投資家の行動を「裁定」とよび、通貨は投資家の裁定によって「適正水準」に収斂します。

やや数学的な表現をすると、将来の( T)年後のスポット為替レートの期待値\(E[S_T] \)が「約束」されたフォワード為替レート\( F_T\)と異なっていれば、市場の効率性を前提として裁定が行われ、両者は一致するようにレートが変化します。つまり

\[ \begin{split} F_T=E[S_T]\end{split} \]
という等式が成り立つようにフォワード為替レート\( F_T\)が調整されます。

両辺を現在のスポット為替レート\( S_0\)で割ると

\[ \begin{split} \frac{ F_T}{S_0 }=E[\frac{ S_T}{ S_0}]=E[1+s_{0,T}]\Leftrightarrow E[s_{0,T}]=\frac{ F_T}{S_0 }-1\end{split} \]
となります。\(E[s_{0,T}] \)は為替の変化率(純額表示のキャピタルゲイン)です。

この等式をフォワード・パリティとか、為替レートの期待形成条件といいます。

 

FXリターン分析の前提②:カバー付き金利パリティ

さて、FX等で高金利通貨を買うことで、高いインカムゲインが得られ、運が良ければキャピタルゲインにもあずかれます。

しかし、このような目論見はあらゆる市場参加者(個人投資家や、証券会社などの機関投資家)が狙っているものです。

もし高い金利水準にありながら割安な通貨があれば、その通貨にはまたたく間に買いが入り、一瞬で「適正水準」にまで通貨高になります。

そうなれば、将来のキャピタルゲインの幅が縮まって、投資の旨味が小さくなりますので、投資家は早くに将来の為替レートを「約束」しようとします。

こうした取引によって、フォワード為替レートで「約束」した通貨の値上がり益は、最終的には金利差と同じ水準になるよう調整されます。

数式で表すと、スポット為替レートを\( S_0\)、フォワード為替レートを\( F_T\)、売り通貨の金利(国内金利)を\( i_D\)、買い通貨の金利(海外金利)を\( i_F\)としたとき

\[ \begin{split} \frac{ F_T}{S_0 }=\frac{1+i_D}{ 1+i_F}\simeq 1+i_D-i_F \end{split}\]
という関係が成り立ちます(右辺は近似式)。

つまり、フォワード為替レートという「約束」された為替レート(カバーされたレート)で測る通貨のリターンは、内外金利差と一致するということです。

FX等の期待リターンはゼロ

フォワード・パリティとカバー付き金利パリティを組み合わせると、FX等の期待リターンが計算できます。

FX等の期待リターンは、金利差(インカムゲイン\( i_F-i_D\))と通貨高による増分(キャピタルゲイン\( E[s_{0,t}]\))の和を意味します。

フォワード・パリティより

\[ \begin{split}E[s_{0,T}]=\frac{ F_T}{S_0 }-1 \end{split} \]
であり、

カバー付き金利パリティより

\[ \begin{split}\frac{ F_T}{S_0 }-1\simeq i_D-i_F  \end{split} \]
ですから、これらを合わせると
\[ \begin{split}E[s_{0,T}]= i_D-i_F \Leftrightarrow (i_F-i_D)+E[s_{0,T}]=0\end{split} \]
となります。第一項はインカムゲイン、第二項はキャピタルゲインを表しており、これらの和、つまりFX等の期待リターンは0であることが示されました。

以上のことをまとめると、フォワード・パリティとカバー付き金利パリティによって、FX等の期待リターンは、インカムゲインとキャピタルゲインが相殺され0になる、ということです。

以上の内容は、下記書籍により詳しい説明と数式での証明が載っていますので、合わせてご参照ください。

FXで億り人になれる確率、破産する確率

期待リターンが0のFXで十分な資産を築ける確率はどれくらいなのでしょうか。

以下では当初資金1,000万円をドル円(年あたりリスク10%と想定)で運用するとして、10年後に億り人になれる確率と破産する確率を計算します。

FXはレバレッジ取引が可能ですから、レバ1倍、5倍、10倍のそれぞれのケースを考えてみます。

本性の計算は「投資シミュレーションプログラム」を用いています。シミュレーション回数は10000回です。

  1. レバ1倍の場合、10年後の資産の期待値は1,002万円、億り人になれる確率は0%破産する確率は0%
  2. レバ5倍の場合、10年後の資産の期待値は1,018万円、億り人になれる確率は1.5%破産する確率は20%
  3. レバ10倍の場合、10年後の資産の期待値は1,866万円、億り人になれる確率は3.12%破産する確率は83%

考察

期待リターン0のFXでは、レバをかけないと億り人にはなれないことがシミュレーションで明らかになりました。
また、レバを高めることで億り人になれる確率は高まりますが、同時に破産する確率も高くなることがわかりました。

まとめ

フォワード・パリティとカバー付き金利パリティという関係式から、FX・外貨預金は理論上、期待リターンが0であることがわかりました。この前提のもとで投資を行うと、レバレッジをかけないと多大な富を築くことは出来ないことが明らかになりましたが、一方で破産の確率も高まることがわかりました。

本記事の内容は複数の仮定に基づくものであり、実際の投資収益の成否を保証するものではなく、また実際にFX等で成功していらっしゃる方々の成果を否定する意図は全くありません。また、シミュレーションはあくまで確率論に基づいた予測であることをお断りしておきます。

 

【年金は頼れない?】「老後までに2,000万」報告書を読んだあとに私たちが取るべき行動

こんにちは、毛糸です。

2019年5月22日、金融審議会市場ワーキング・グループが「高齢社会における資産形成・管理」と題する報告書の案を公表し(以下「報告書案」、外部リンク)、話題になっています。

人生100年と言われる現代日本において、金融機関に対する顧客目線に立った資産管理のあり方に指針を提供する内容です。

報告書はまだ素案の段階ですが、ニュースメディアはこぞってこれを取り上げています。

なかには「実質的な年金制度の敗北宣言だ」と言わんばかりの取り上げ方をしているメディアもありますが、本当でしょうか?

今回はこの報告書案の内容と、私たちが取るべき行動について考えてみたいと思います。

忙しい人のための報告書案まとめ

まず、忙しい読者の方のために、「高齢社会における資産形成・管理」の内容を箇条書きでまとめてみました。
  • 高齢社会の金融サービスのあり方についてまとめている
  • 高齢化は進み続けており、「資産寿命」の長期化の重要性が増している
  • 老後を見据え現役時代から資産形成に取り組む必要があり、金融機関はそのニーズに応えることが求められる
  • 唯一の正解はないが、個々人がリテラシーを高め「自分ごと」として資産形成に取り組むべし
これらの内容に関連して、以下では補足的な情報と、私たちが取るべき具体的な行動について考えてみます。

超高齢社会の日本の現状

現代の日本は超高齢社会といわれ、総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は27.3%に登ります。

既に国民の4人に1人は高齢者なのです(内閣府高齢化の状況より)。

日本人の平均寿命は男性81歳女性87歳に達し、今後も医療の発展等によりさらに長寿化すると考えられています。

(出所:報告書案 p3)

そんな状況において深刻化するのがいわゆる「長生きリスク」です。

長生きすることで老後の生活費に困窮したり、医療・介護費を工面できなくなるなどのリスクが懸念されています。

今回の報告書案はそうした長生きリスクに対処すべく、資産寿命をいかに伸ばすかという観点から指針が示されたものです。

高齢期に備えた資産管理の必要性

報告書案では、老後までの資産形成について「かつてのモデルは成り立たなくなってきている」と指摘されており、退職金や国民年金・企業年金に依存してきた旧来の老後の資産形成のあり方に警鐘を鳴らしています。

報告書案には高齢無職世帯の平均値として毎月5万円の赤字になっていることが示されており、リタイア後の余生30年で約2,000万円の取り崩しが必要であると述べられています。

メディアではこの内容を受けて「年金を当てにせず自助に努めよという政府からのメッセージ」と捉える向きもあるようです。

報告書案では年金制度の破綻に関して直接述べられてはいないものの、「少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していく以上、年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい」との記述があり、ネガティブな印象は拭いきれません。

国に任せていれば安心、という前提は、政府の打ち出す制作やメッセージに鑑みるともはや成り立たないと考えたほうがよく、資産形成について一人ひとりが責任を持って向き合う必要があります。

現役世代が利用すべき制度:NISAとiDeCo

個人の自助努力による資産形成の支援政策として、NISAとiDeCoがあります。

(出所:報告書案 p29)

これらは投資信託などの金融商品に対して行った投資について、運用益への課税が免除されたり、現役世代の税金が減るといったメリットがあります。

NISAもiDeCoも現役世代の資産形成の強い味方であり、私も最大限活用しています。

NISA、iDeCoは証券会社がこぞって解説をしている他、下記の書籍などにその内容や上手な利用方法がまとまっていますので、将来に向けて準備したい人は早めに勉強すると良いでしょう。

ハイリスク商品に注意、リテラシーを高めて

自助努力による資産形成の重要性が高まっているのは確かですが、一方で過度な恐怖心を持つのはかえって危険です。

年金が破綻する、老後の生活費の確保が難しくなる、といったフレーズは、金融機関からすれば、高い手数料を生むハイリスクな商品を買わせるチャンスでもあります。

老後の不労所得を確保するという建前で、収益性の低い不動産を高い価格で売ろうとしてくる業者も現れるでしょう。

大切なのは、自分の将来を可能な限り客観的に予測・評価し、過度な不安にとらわれることなく、自分自身で判断できるようなリテラシーを身につけることです。

もしこれを読んでいるあなたが自身の資産形成に全く興味を持っていなかったとしたら、今が絶好の機会だと思って、資産運用の入門書を手に取るなどしてみてはいかがでしょうか。

年金のリスクとリターンを統計プログラミング言語Rで計算してみた

こんにちは、毛糸です。

私は【投信定点観測】と題して、投資を行っています。
参考記事:【投信定点観測】インデックス投資信託8つ・ロボアドバイザー2つ・アクティブファンド3つにドルコスト平均法で積立投資してみる

しかし、私のように投資をしていない人でも、日本人はほぼ全員、金融リスクをとっている、ということをご存知でしょうか。

それは「年金」です。

私たちが加入している国民年金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)という機関によって運用されており、株や債券といったリスク資産に投資が行われています。

リスク資産に投資が行われているということは、ある程度のリターンを期待して、リスクをとっているということです。

今回は、私たちの年金がどれくらいのリスクを負い、リターンを求めているのかを、プログラミング言語Rを用いて計算してみたいと思います。

統計プログラミング言語Rと、オンラインでの利用

統計プログラミング言語Rは、データサイエンスで頻繁に用いられるプログラミング言語です。

統計解析や計算を簡単に行うことができ、計算機としても使えます。

本記事ではプログラミング言語Rを用いて、年金ポートフォリオのリターンとリスクを計算します。

Rを使うには、本来RというソフトウェアをPCにインストールする必要がありますが、今回はちょっとした計算に使うのみなので、ブラウザ上で完結するR onlineを利用します。
参考記事:ブラウザ上でRプログラミング(R online、Rオンラインを使う方法)

R onlineのサイト(リンク)でコードを打ち込めば、すぐにRによる計算が実行できます。

試しにサイト上で
1+1
と入力し、[Run it]してみると、すぐに下の方に計算結果が表示されます。

以下、このR onlineを使って、年金ポートフォリオのリターンとリスクを計算します。

すでに打ち込んである内容は、すべて削除して構いません。

GPIFの基本ポートフォリオ

年金はリスク資産に投資を行って運用されています。

年金運用を行っている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、リスク資産への投資に関して、「基本ポートフォリオの考え方」(外部リンク)という指針を示しています。

GPIFは「基本ポートフォリオの考え方」のなかで、年金ポートフォリオとして

  • 国内債券
  • 国内株式
  • 外国債券
  • 外国株式
の4つの資産クラスに投資を行うことを取り決めています。
従来は資金の大部分を国内債券で運用してきましたが、年金は将来の長きに渡り、国民の老後の資金を供給する必要があり、国内債券だけでは資金を賄えなくなったため、リスクをとって高いリターンを得られるように方針を変更しました。
現在、GPIFは4つの資産クラスを、以下のような割合で投資することとしており、これを「基本ポートフォリオ」と呼んでいます。

(出典:https://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.html)

早速、この基本ポートフォリオをRでコーディングしてみましょう、以下のように入力して、[Run it]してください。

#基本ポートフォリオ(各資産クラスのウエイト)
weight<-c(0.35,0.25,0.15,0.25,0)

ここではweightという変数に、各資産クラスのウエイトを代入しています。c()というのは、数字を並べてひとくくりにします、というときに使う決まり文句です。

5つの数字はそれぞれ、図の中の資産構成割合を示しています(最後の0は短期資産ですが、表にはありません)。

資産構成割合をすべて足すと1(100%)になることが確認できます。

#足すと1になることを確認
(sum(weight))

基本ポートフォリオのリターン

2014年10月31日に公表された「【参考資料】年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更」(PDFリンク)では、各資産クラスの期待リターンが記載されています。

(出典:https://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.html)
別に、名目賃金上昇率を差し引いた実質リターンというのも表記してありますが、本記事では実際の資産価格から推定されたであろう名目リターンに着目します。

これら期待リターンをもちいて、年金ポートフォリオのリターンを計算してみます。

まず、各資産の期待リターンをRでコーディングしてみましょう、以下のように入力して、[Run it]してください。

#各資産クラスの期待リターン(名目、経済中位)
mu<-c(2.6/100, 6.0/100, 3.7/100, 6.4/100, 1.1/100)

金融工学では期待リターンを\( \mu\)(ミュー、mu)と表すことが多いので、muとしています。

基本ポートフォリオのリターンは、各資産クラスのリターンに、前述の基本ポートフォリオのウエイトをかけることで求められます。

#ポートフォリオのリターンを計算
(mu_PF<-weight%*%mu)

テクニカルな話ですが、weightmuはどちらも「ベクトル」なので、その掛け算には%*%という記号を使います。

結果は0.04565(4.57%)となりました。これが年金の基本ポートフォリオの期待リターンです。

「【参考資料】年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更」(PDFリンク)の9ページ目に、これと全く同じ数字が記載されています。

基本ポートフォリオのリスク

「【参考資料】年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更」(PDFリンク)では、各資産クラスのリスクと相関係数が記載されています。
(出典:https://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.html)
リスクは各資産の期待リターンからのブレを標準偏差で表したものであり、相関係数は2つの資産クラスのリターンの連動性を表す尺度です。
これをRに入力しましょう、以下のように入力したら、[Run it]してください。

#各資産クラスの分散(標準偏差の2乗)
sigma<-c(0.047,0.251,0.126,0.273,0.005)
#相関行列
Rho<-rbind(
    c(1,-0.16,0.25,0.09,0.12),
    c(-0.16,1,0.04,0.64,-0.1),
    c(0.25,0.04,1,0.57,0.15),
    c(0.09,0.64,0.57,1,-0.14),
    c(0.12,-0.1,-0.15,-0.14,1))

rbind()というのは、c()でまとめた数値(ベクトル)を縦に並べる、という意味の関数です。

これら情報だけでは、基本ポートフォリオのリスクは計算できません。

基本ポートフォリオのリスクを計算する前に、各資産クラスの分散と相関行列から、分散共分散行列というものを作る必要があります。

以下のように入力したら、[Run it]してください。

#分散対角行列
sigma_diag<-diag(sigma)
#分散共分散行列
Sigma<-sigma_diag%*%Rho%*%sigma_diag

分散共分散行列にウエイトをかけることで、基本ポートフォリオの分散を計算することが出来ます。

なぜこういう計算になるのかという疑問がわきますが、「線形代数」という数学を勉強するとわかるようになります(記事の末尾に参考文献を挙げます)。

R onlineに以下のように入力したら、[Run it]してください。

#ポートフォリオの分散
Var_PF<-weight%*%Sigma%*%weight

分散の2乗根(ルートのこと、0.5乗も同じ)が標準偏差(リスク)になります。

#ポートフォリオのリスク(標準偏差)
(sigma_PF<-Var_PF^0.5)

結果は0.1276…(12.8%)となりました。これが年金の基本ポートフォリオのリスクです。

「【参考資料】年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更」(PDFリンク)の9ページ目に、これと全く同じ数字が記載されています。

まとめ

本記事では、年金運用の基本ポートフォリオのウエイトと期待リターン、分散等の情報から、年金ポートフォリオのリターンとリスクを計算しました。

私たちの年金の原資となっている資産は、リスク12.8%を追うことで、期待リターン4.57%の獲得を目指しています。

こうした分析は、統計や数学を少し勉強すれば簡単に行なえますので、是非ご自分でも興味を深めてみてください。

参考文献等

投資分析に必要な数学は、高校数学が基本となっていますので、復習してみることをおすすめします。


一歩進んだ投資分析には、行列や線形代数の知識が必要になりますが、金融データ分析を扱うテキストではそういった分野を解説してくれているものもあります。

ひふみ投信の期間別TOPIX勝率まとめ

こんにちは、毛糸です。

私は投資信託に積立投資を行っており、そのなかでアクティブファンドである「ひふみ投信」を購入しています。
参考記事:【投信定点観測】インデックス投資信託8つ・ロボアドバイザー2つ・アクティブファンド3つにドルコスト平均法で積立投資してみる

ひふみ投信は主に日本株式を中心に運用を行うアクティブファンドで、中小型株の目利き力に優れた投資信託として個人的に注目しています。

今回は、ひふみ投信が日本株式のインデックスであるTOPIXの日次勝率を期間別にまとめてみました。

価格時系列データはYahoo!ファイナンスから

ひふみ投信とTOPIXのデータはYahoo!ファイナンスから取得しました。

9C31108Aひふみ投信の時系列データはこちら

TOPIXの時系列データはこちら

ひふみ投信は基準価格を、TOPIXは終値をそれぞれ使用します。

期間はひふみ投信の設定開始日2008/10/1から本記事執筆時点の直近営業日である2019/4/26までの、2,590日です。

日次リターン(算術、純額表示)の計算

日次の算術リターン(日次リターン、純額表示)を計算します。

\( t\)日目のリターン\( r_t\)は、\( t\)日目の価格\( S_t\)と\( t-1\)日目の価格\( S_{t-1}\)を用いて、以下の計算式で算出します。

\[ \begin{split}
r_t=\frac{ S_t-S_{t-1}}{ S_{t-1}}=\frac{S_t }{S_{t-1} }-1,~r_1=1
\end{split} \]

この計算により、ひふみ投信の日次リターン\( r_t^H\)とTOPIXの日次リターン\( r_t^T\)(\( t=1,2,\cdots,2590\))が得られます。

ひふみ投信の対TOPIX超過収益率

ひふみ投信の対TOPIX超過収益率\( r_t^E\)は、ひふみ投信の日次リターン\( r_t^H\)とTOPIXの日次リターン\( r_t^T\)を用いて

\[ \begin{split}
r_t^E=r_t^H-r_t^T
\end{split} \]
と表せます。

ひふみ投信の対TOPIX超過収益率\( r_t^E\)が正の値であるとき、ひふみ投信はTOPIXを上回るリターンを実現させたことになります。

\( r_t^E\)が正のとき\( 1\)、負のとき\( 0\)を取る変数(勝敗変数)を\( t=1,2,\cdots,2590\)に対して計算し、和を取ることで、ひふみ投信のリターンがTOPIXのリターンを上回った日数をカウントできます。

期間別勝率:ほとんどの期間で高い勝率

たとえば、スタート日2008/10/1からエンド日2010/9/30までの488日間で、ひふみ投信の日次収益率がTOPIXを上回った日は256日ありました。

したがって、当該期間のひふみ投信の勝率は52.5%=256/488となります。

縦にスタート日、横にエンド日をとったとき、各期間(66期間)の勝率は、以下のような結果になりました。

2012/10/1-2013/9/30の1期間を除く、66期間中65期間(98%)で、ひふみ投信は対TOPIX勝率が50%を超えていました。

特に、2017年以降の最近のデータを見ても、

  • 2017/10/1から2018/9/30の勝率が51.8%
  • 2017/10/1から2019/4/26の勝率が52.7%
  • 2018/10/1から2019/4/26の勝率が54.3%
という結果となり、「最近TOPIXに負けていないか?」という疑問は、このデータを見る限り否定されそうです。

まとめ

ひふみ投信の対TOPIXの勝率を、2018/10/1から2019/4/26までの66の期間で判定してみました。
結果は98%の期間で、ひふみ投信の対TOPIX勝率が1/2を超える結果となりました。
本記事の分析は恣意性を排除したデータ分析に基づいてはいるものの、ひふみ投信の一側面しか見えていないというご意見もあろうかと思いますので、是非SNSで「こんな見方もある」といったコメントを頂けると嬉しいです。

毎月分配型投信は悪か?デメリットと、商品ニーズ・金融経済学から考えるメリット。

こんにちは、毛糸です。

先週の日経ヴェリタスで、毎月分配型投信の残高減少に関する記事を読みました。

「毎月分配型投信は悪」という主張を多く見かけるいま、この主張は正しいのか、考えてみたいと思います。

毎月分配型投信(毎月分配型ファンド)とは

投資信託とは、資産運用のプロにお金を預けて運用してもらい、値上がり益や配当利益などを還元してもらう金融商品です。

投資信託には、稼いだ利益を分配金として投資家に支払うタイプがあります。

このうち、分配金が毎月支払われるものを、毎月分配型投信(毎月分配型ファンド)といいます。

毎月分配型投信は我が国の投資信託残高の大部分を占めており、主にシニア世代に人気の金融商品です。

ただ、毎月分配型投信は、昨今そのネガティブな面がクローズアップされており、冒頭のような「毎月分配型投信は悪」という見方が徐々に強まりつつあります。

以下では毎月分配型投信のデメリットについて触れた後、メリットはないのかについて考察します。

毎月分配型投信のデメリット

毎月分配型投信は資産形成につながらないとする主張があります。

毎月分配型投信は運用資金を毎月換金していくため、複利の効果(利息に利息が付き、雪だるま式に資金が増える効果)が得られづらいという主張です。

毎月分配型投信のなかには元本を取り崩す例も多いと言われており、長期の資産形成に向かないとの批判が近年高まっています。

金融庁により公表された平成28事務年度「金融レポート」(外部リンク)にも、以下のような記述があります(太字は筆者修飾)。

我が国の投資信託の残高の過半を占めている毎月分配型投資信託については、複利効果が働きにくいことに加えて、元本を取り崩しながら分配される場合には運用原資が大きく目減りして、運用効率を下げてしまうということが問題点として指摘されている。

このように、我が国の金融投資実務を統括する金融庁が「顧客本位でない」と問題視しているほど、物議を醸している投資商品なのです。

毎月分配型投信の比率が高い運用会社は資金流出が目立つという記事(外部リンク)もあり、毎月分配型投信に対する風当たりの強さは増しています。

毎月分配型投信のメリット

毎月分配型投信は上記のようなデメリットがあると言われつつも、シニア世代が年金を補うための定期的な収入源として人気を集めています。

金融庁により公表された平成28事務年度「金融レポート」(外部リンク)に記載されているように、「毎月分配型投資信託保有者の毎月分配金の使用目的」の上位には「自分のこづかい」「生活費」 が入っており、毎月分配型投信が定期的な消費の財源になっていることが見て取れます。

(平成28事務年度「金融レポート」より)

この調査を見る限り、年金では消費を賄いきれないシニア世代が、投資を行いながら定期的に資金を取り崩す手段として、毎月分配型投信は一定の存在価値があると認識されているとも言えます。

もちろん、インデックス投信などで運用を行いつつ、自分で必要な額を取り崩せばよいだけのことなのですが、高齢者にそういった手間を強いるのは難儀です。

また、日経新聞の記事(外部リンク)によれば、2019年1月の月間資金純増額ランキング上位に毎月決算型が入っており、毎月分配型投信に復活の兆しが見えているといいます。

運用成績と安定分配を両立させた毎月分配型投信が相対的に浮上したと考えられており、それだけニーズがあると考えることもできるのではないでしょうか。

そもそも金融経済学の理論研究では、投資家は年を取るほどにリスク資産の額を減らしていくべきということが明らかにされています。

マートンのポートフォリオ問題という金融経済学の問題を解くと、投資家は余生が短くなるにつれ、リスク資産の投資額を減らすのが最善であることがわかります。

少し踏み込んだことを述べると、金融経済学で想定されるHARA型効用を持つ投資家が時々刻々変化するリスク資産に投資を行う場合、その投資額\(\omega^*W_t\)は以下のような数式で表せます。

\[ \begin{split}
\omega^\ast W_t=\frac{ \mu-r}{\sigma}\frac{1}{ \sigma\left( 1-\gamma\right)}W_t+\frac{ \mu-r}{\sigma^2 }\frac{\beta }{ r\alpha}\left(1-e^{-r(T-t)} \right)
\end{split} \]

このとき、投資家の余生が短くなると(\(T-t\)が\(0\)に近づくと)、投資額\(\omega^*W_t\)は小さくなります。

つまり投資額を徐々に換金していくのが金融理論的に最適な戦略ということです。

したがって、毎月分配金を支払い、投資額を減らしていく毎月分配型投信は、理論的には即座に否定されるべきものではないようにも思います。

まとめ

毎月分配型投信はデメリットばかりが強調され、金融庁からも苦言を呈されるなどやり玉に挙がっていますが、商品ニーズと金融理論にかんがみれば必ずしも否定されるものではないことを指摘しました。

もちろん、元本を棄損させるような分配方針が資産形成につながらないのは確かですが、しかし投資家の環境によってはそれが望まれるケースもあるはずです。

毎月分配型投信は悪、という決めつけには、慎重になるべきと考えます。

投資は怖い?危ない?投資の心理的ハードルを下げる3つの方法

こんにちは、毛糸です。

投資を始めてみたいけど、お金がなくなってしまうのは怖いし、手続きも面倒くさそう。

そう思っている人はとても多いです。

しかし、投資は、きちんとした理解のもと行えば、資産を増やし人生を豊かにしてくれるものです。

今回は、投資の心理的ハードルを下げる3つの方法についてお話します。

1冊の本から始める

投資に抵抗感を持つ大きな理由のひとつが、投資がどういうものか知らない、ということです。

投資をすると、運が悪ければお金が全部なくなってしまうだとか、下手したら借金を負うといったネガティブな側面が強烈に印象づけられています。

また、投資を始めたら四六時中、株価を気にしなければいけないとか、そもそもお金は汚いものだというイメージを持っている方もいます。

しかし、これらは投資の本質を言い表しているものではありません。

投資はもっとずっと安全で、きちんとコントロールできるものです。

運が悪ければすべて失うなどという状況は、よっぽどのこと、たとえば借金をして投資を行い失敗する、というようなことをしなければ起こりません。

また、リスクなしに、もしくはリスクを小さく抑えながらコツコツ資産を増やす方法がいくらでもあります。

一度仕組みを整えたら「ほったらかし」でもお金がお金を生むような投資だって可能ですし、それで十分実を結ぶ結果が期待できます。

もちろん、労働して稼いだお金は素晴らしいもので、投資をするとその稼いだお金が減っていくリスクもあります。

しかし、手間をかけずに最低限の管理をすれば、お金を守りながら増やすことも可能です。

そんな方法を正しく知るために、まずは投資の初心者本を読むといいでしょう。

投資の王道を教えてくれる本はいくつもあります。

私が最近読んだ本では、この本がわかりやすく、大変おすすめです。

まずは本を読んで投資をきちんと理解することが、投資のハードルを下げる第一歩です。

 

無リスクで始める

投資にはリスクがつきもの、と思われがちですがそうではありません。

無リスクで運用することのできる投資も存在します。

たとえば、定期預金は身近な無リスク運用と考えられます。

定期預金は普通預金のようにすぐには引き出せない代わりに、10倍の利率がつきます(普通預金で0.001%、定期預金で0.01%)。

特に、ネット銀行ではメガバンクなどよりお得な金利でお金を預けられます。
参考記事:【定期預金の金利を徹底比較!】定期預金金利の高さで選ぶ!おすすめネット銀行ランキング!

また、個人向け国債も、お金を減らしたくない人にとっては適した商品です。

個人向け国債は国が保証していて、利率も比較的高いです。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
参考記事:>>投資初心者に個人向け国債を勧める4つの理由

定期預金預金も国債も、普通預金に寝かしておくより高い利息がもらえます。

ただし、ネットでいろいろ調べていると、もっと高い金利をアピールしている例が多々あります。

最近では、クラウドファンディングをよく目にします。

クラウドファンディングは、投資家からお金を集めて会社に貸付け、それを利息とともに回収するビジネスで、投資家に提示される金利がとても高く設定されます。

ここで注意したいのは、金利が高いということは、金利が高くないと割に合わないということです。

つまり、回収できないリスクが高いということです。

クラウドファンディングのような高い利率の投資は、それだけハイリスクであるということをよく認識しておいてください。

少額で始める

投資がどういうものかを理解し、無リスクの投資にも慣れてきたら、ほんの少しリスクを取ることをおすすめします。

リスクを取る、とは、値動きのブレを覚悟する代わりに、高いリターンを得る可能性を高めるということ意味します。

投資のリスクは分散投資によって低減させることができる、というのが投資の常識です。

分散投資を手軽に行うには、投資信託を活用するのが良い方法です。

投資信託は、ネット証券でなら月100円から買うことができます。

月にジュース1本分を投資するなら、たとえ少しばかり損をしても、気にならないのではないでしょうか?

ポケットにある小銭と同じくらいだけ投資してみるだけでも、投資について詳しくなり、経済の動きがわかるようになるなど、情報感度が上がります。

自分のお金について責任を持つことができ、無駄な出費を抑えられるかもしれません。

月に100円程度なら損をしてもそんなに痛くないですが、リスクが実を結びリターンがつみ重なっていくと、大きな自信になります。

ネット証券に口座を持つのは無料で、手続きにハンコを押す必要があるくらいです。

100円から90円になっても全く気にならないし、それで投資に向いていないと思ったならなら、投資のことを10円で勉強できたことになります。

もちろん、うまく行けば100円が120円に増えることもありますし、期待値の上では増えるのが投資です。

無理のない範囲で投資することは十分可能ですから、少額ではじめてみるのがおすすめです。

▼ネット証券最大手はSBI証券、こちらから無料で口座開設ができます。



まとめ

いま、普通預金の利息はほとんどゼロです。

普通預金にお金をおいておいても増える状況ではなく、またお給料も景気もなかなか好転しないなか、金に金を稼いでもらうのはますます大事になっています。

そのためには、勉強して、無リスクで始め、少額にチャレンジするというステップを踏むのがおすすめです。

それを実践するコストは、書籍代と少しの時間くらいのものです。

賢く生きるためのコストはそれだけなのです。

投資に少しでも興味がある方は、是非これらの方法を試してみてください。

投資を勉強する最初の一冊として、私は以下の本を勧めています。

投資の仕組み、リスクを取らない運用の仕方、リスクを上手に取る方法、税金や制度の活用方法など、これから投資を学ぶ人にとって必要な知識がまとまっています。

投資初心者に個人向け国債を勧める4つの理由

こんにちは、毛糸です。

本記事では、将来が不安なので資産運用に興味がある、という人に向けて、個人向け国債をおすすめする理由について述べます。

いまは銀行に預けていても、ほんの少しの利息しかもらえませんから、少しでも増える方法を知りたい、という人はたくさんいます。

資産運用に興味を持っていて、これから勉強を始めてみたい人には、この本を是非読んでみてください。本記事はこちらの内容を参考にしています。

この本の中で、頑張って稼いだお金を絶対に失いたくないという初心者に、投資のプロ、山崎元氏があっさりとこう言います。

『個人向け国債』ってやつを買うといい

この記事では、資産運用初心者に国債をおすすめする4つの理由についてお話します。

元本保証である

お金の増やし方を教えてください!』でおすすめされている個人向け国債とは日本政府が発行する債券(国債)のことです。

個人が日本政府にお金を貸し付け、「あなたからいくら借りました、利息をつけて返します」という証明書をもらいます。これが個人向け国債です。

国が返済を保証するため、投資額が減ってしまうことはありません。

日本政府が破綻するような極めて混沌とした状況が起こらない限り、必ず返ってくる元本保証の金融商品が個人向け国債なのです。

途中で売ってしまったりしてしまうと損が出ることもありますが、売却しない限り、元本が保証されます。

したがって、お金を絶対に減らしたくないという人には、個人向け国債はいい選択肢になります。

利率が高い

定期預金の利率は、メガバンクで0.01%ほどです。

しかし、個人向け国債の利率は最低でも0.05%が保証されています。

いまはマイナス金利の世の中なので、個人向け国債の利率もさほど高くありませんが、銀行に預けているよりも高い利回りが得られます。

変動金利型というタイプの個人向け国債だと、将来金利が上昇したときに、国債の金利も上がるようになっているので、銀行預金より利息が低いということにもなりにくいです。

国が財政破綻したり、戦争に負けたり、革命が起きたり、そういう超レアなケースのリスクを負う代わりに、幾らかの利息をあげる、という設計だということです。

いつでも換金できる

個人向け国債は1年間保有すれば、一部の利息を諦めるだけで自由に換金することができます。

過去2回分(1年分)の利息を返すだけなので、実質的に元本割れすることはありません

個人向け国債を、1年ものの定期預金で、利息が銀行より高い、と考えても差し支えないでしょう。

 

手数料がかからない

個人向け国債の購入にかかる手数料は、原則としてかかりません

お金の増やし方を教えてください!』ではネット証券の利用をおすすめしていますが、ネット証券で購入すれば、個人向け国債の購入手数料はゼロです。

ネット証券に口座を開設するのは無料で、維持費用もかかりませんし、銀行のような煩わしい営業トークを聞く必要もありません。

ネット証券の最大手はSBI証券です。

▼SBI証券の口座開設はこちらから、無料です。



投資初心者が買うべきおすすめの個人向け国債は変動10年

個人向け国債には3種類あります。

  • 固定金利型3年満期
  • 固定金利型5年満期
  • 変動金利型10年満期

の3つです。

固定型は金利が変わらないタイプで、将来、世の中の金利が上がっても、購入時の金利で利率が固定されます。

もう一つの変動型は、世の中の金利の変動に連動して、利率が変わるタイプです。

おすすめなのは変動10年です。

変動型であれば、将来金利が上がったときも、銀行に預けるのと比べてものすごく損をすることはありません。

金利が高くなったときは、それに連動して利率が上がるので、これからの上昇余地があるといえます。

 

まとめ

投資初心者に個人向け国債をおすすめする4つの理由について説明しました。

もしかしたら、なぜこんなお得な商品をみんなやらないのか?と疑問に思われる方もいるかもしれません。

お金の増やし方を教えてください!』では、山崎氏がこう述べています。

それは、知らないから。

世の中には知っているだけで得することってたくさんあるの。だから金融の正しい知識をつけることは大切なことなの

お金のことはきちんと勉強して、資産形成に役立てたいですね。

お金の増やし方を教えてください!』は初心者にわかりやすく投資について説明している良書なので、これから勉強する人はまずこの本を手に取るのをおすすめします。

「リスクをとる」とは何か?よくある誤解と本当の意味。

こんにちは、毛糸です。

資産運用や、何かに挑戦するときに

リスクをとる

という言葉を使いますね。

仮想通貨バブルの最中には盛んに「リスクをとれ!」と叫ばれていましたし、今も起業や副業の文脈で「リスクを取ろう!」と声を大きくしているインフルエンサーがたくさんいます。

しかし、「リスクをとる」ということがどういうことか、十分に理解している人は多くないようです。

「リスクをとればリターンが得られるんでしょう?」という考えでは、きっと後悔するでしょう。

今回はこの「リスクをとる」ということの本当の意味について考えていこうと思います。

「リスク」の意味

リスク、という言葉を日本語訳するとき、多くの人は「危険」という言葉を充てるでしょう。

Wikipediaの「リスク」のページにも、

OXFORD現代英英辞典によると、”the probability of something bad happening at some time in the future(将来のいずれかの時において何か悪い事象が起こる可能性)” とされている。

という記載があります。

つまり、リスクとは悪いことが起こる可能性、というのが一般的な意味です。

一方、「リスクをとる」という言葉を使うときには、やや意味が異なります。

「リスクをとる」と言ったときの「リスク」とは、経済学上のリスクを指します。

経済学(特に金融経済学)においてリスクとは、ある事象の不確実性を意味し、良いことも悪いことも含めて、将来の結果が予期できないことを意味します。

「リスクとは分散や標準偏差のことだ!」という専門的な主張も、不確実性の度合いが、分散や標準偏差で測られることを意味しています。

この定義に当てはめると、「リスクをとる」とは、結果が不確実な試みに参加する、という意味になります。

将来の収益が予測できない株式投資や、上手くいくかわからない起業などは、まさしくこの意味で「リスクをとる」ことなのです。

「リスクをとる」の本当の意味は、上手くいかない未来を覚悟するということ

老後の貯えを充実させるため、若い時からリスクをとって資産運用をしましょう、と金融機関からの勧められることがあります。

こちらの記事でも、老後を安定して生活するためには、1億円の財産が必要であると金融機関に教えられたという話が載っています。
参考記事:「老後に1億」まじめな人ほど要注意!思い込みが家計を脅かす

この記事を見る限り、高い利回りの商品を積み立て購入すれば(リスクをとれば)将来に1億円の財産を築ける、といった説明がされているようです。

しかし、この説明は「リスクをとる」ということを十分に説明しているとは言えません。

すでに述べた通り、「リスクをとる」とは、、結果が不確実な試みに参加する、という意味です。

ここで大事なのは、将来利益になるか損失になるかはわからない、ということです。

参考記事ではさも「リスクをとれば安定した老後が迎えられますよ」と言わんばかりですが、これは誤りです。

リスクをとるというのは、目標期限までの不確実な値動きを我慢すれば、目標期限には高い実現収益が得られる、という意味ではないのです。

つたない絵ですが、図示するとこういうことです。

リスクをとるということは、将来損失が生じることを覚悟する、ということでもあります。
参考記事の例でいえば、高利回りな投資商品を購入することで、「期待値の上では」利益が得られるでしょう。
しかし、実際の運用成否は現時点ではわからず、元本を棄損してしまう可能性もある、ということです。
運用結果が好ましくない状況となる可能性もあるということは、老後に1億円の財産を築くどころか、資産が目減りしてしまう可能性もある、ということです。
このリスクの「ダウンサイド」に関する理解は、一般に十分理解されているとは言えません。
金融機関などでは、将来必要な資金を確保するためこれくらいの利回りが必要だからこのくらいのリスクをとる、というリターンベースの投資計画を提案されることもあります。
しかし、リスクをとる、ということは、好ましくない結果になることを覚悟する、ということですから、望む未来が手に入らなくなる未来も、当然あるわけです。
初心者がまず手に取るべき投資の入門書として推薦する『お金は寝かせて増やしなさい』にも、リスクに対する理解の甘さに警鐘を鳴らしています。

まとめ

リスクとは、不確実性であるということ、そして「リスクをとる」とは、上手くいかない未来を覚悟することであるということをお話ししました。

もちろん「リスクをとる」ことにより、高い収益を得る未来も、当然待ち構えています。

リスクが損失として顕在化することを恐れるあまり、チャレンジすべき機会を逃してしまうのも考え物です。

「リスクをとる」ということを安易に捉えず、自分が許容できる範囲内で挑戦していくことが大切です。

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