つぶやきまとめ

簿記検定の難化について、ひとりの会計士が思うことは、会計実務家の意識改革

2021年2月に実施された簿記2級の合格率が、速報値で10%を割ってます。

時代は変わったんですね……

10%と言えば従来の1級の合格率くらいのイメージでしたが、まさか2級でこれとは驚きです。

今回は簿記2級の難化について、いち会計士として・実務家としてどう向き合うべきか考えます。

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複式簿記はなぜ難しいのか?会計士が入門時代を思い出して考えてみる

複式簿記は、難しいです。

私はいま公認会計士として毎日簿記に向き合っていますが、簿記を勉強し始めた頃は理解に苦労しました。

この記事では初学者の頃に戻った気持ちになって「簿記はなぜムズいのか」を考察し、その解決策を考えてみます。

 

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「わかった気にさせる」ことの功罪

誰かに知識を伝えるとき、なにを・どこまで深く説明すべきか迷うことがあります。

重要で、知っていて損はないけれども、詳しく説明することで返って混乱を招いてしまうような場合には、敢えて説明をぼかすこともあります。

その際、知識を伝える相手に「わかった気になってもらう」ことが重要です。

本記事では「わかった気になってもらう」「わかった気にさせる」ことの効果と、それによって生じる問題について考えます。

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複式簿記は会計報告の唯一の方法なのか?簿記と会計の独立説・一体説

私たちが会計について学ぶとき、ほとんどのケースで複式簿記の知識も一緒に身につけることになります。あるいは、複式簿記の規則を学ぶことが会計を学ぶ第一歩と位置づけられていたりもします。

セットで学ぶことが多い会計と簿記ですが、両者の境目はどこにあるのでしょうか。もしくは境目などなく、会計と簿記は一体の概念なのでしょうか。

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発信することのハードルを、いかにして下げるか

私たちは日々、様々なことを学んでいます。

仕事での気付きや、日常のちょっとしたアイデアは、SNSやブログで発信することで、誰かの役に立つこともあります。

学びを発信することは、とても意義あることなのですが、しかし私にとっては(そしておそらく多くの読者の方にとっては)なかなか気が進まないことだったりします。

アイデアをまとめてブログやnoteで発信するのはごく一部の人で、Twitterでつぶやけばいい方、ほとんどの人は(私も含めて)アイデアを思いつき「いいことに気づいちゃった」と満足して終わりだと思われます。

これを人に伝わる形で「発信」できたらよいのですが、これが結構めんどうで、人に見られることを意識するとすぐやる気がなくなります。

そんな話を呟いたら、尊敬する先輩がこんな言葉をくれました(鍵垢なのでフレーズだけ引用させていただきます)。

中途半端な状態でもアウトプットしてwiki的にみんなでツキハギ補足するサイトみたいなのを作れば良いのでは?

これからの時代、答えよりもイシューや頭出し、掘る下げる観点やポイントの方が価値ありそ。

確かにおっしゃるとおりです。

問題意識(イシュー)とそれに対する解決策、意見、関連する情報などが整理されていれば、それに越したことはありません。

しかしそういう「質」的側面を重視するあまり、「量」がおざなりになり発信すること自体をやめてしまうのは、本末転倒です。

量が質に転化するのであって、最初から(程度が必ずしも高くない)質に固執して、量をこなすのを遠ざけていたら、意味がない気がします。

なので、私はとりあえず、中途半端でも低クオリティでもいいので、こうした発信の機会を増やそうと思います。

とりあえず、スマホですぐにブログを書けるようにアプリを入れました。

Done is better than perfect.

企業価値と株主価値・PBRの関係

こんにちは、毛糸です。

先日こんなツイートを見つけました。

この図の出典は『ROEを超える企業価値創造』(柳 et al. 2019)だそうです。

この図や、あとに述べる同じ著者のレポートでは、企業価値という言葉を誤用しているのではないかと思われたので、ここで指摘したいと思います。

企業価値と株主価値と純資産

企業価値とは株主価値と負債価値の和として定義されます。

株主価値の評価理論について論じた『Equity Valuation』にも

we may determine the value of the firm both as the sum of debt and equity value, i.e.,

\begin{equation} \begin{split}
V_\tau=S_\tau+D_\tau
\end{split} \end{equation}

と述べられており、私もこの定義がフォーマルな定義であると考えています。なお、\( \tau\)はある時点を表す添字、\( V\)が企業価値、\( S\)が株主価値、\( D\)が負債価値です。

この定義の上で、株主と債権者に帰属するフリーキャッシュフローの割引現在価値もまた、企業価値\( V_\tau\)に一致することが示せます(これは定義ではなく定理です)。

株主価値\( S_\tau\)は市場から評価される金額であり、平たく言うと株式時価総額です。

会計ルールによって作成される貸借対照表で、株主価値に対応するのは、純資産(Book value, \( B_\tau\))です。

会計ルールは、株主価値\( S_\tau\)と純資産\( B_\tau\)が一致するようには出来ていないので、当然両者には差があり、両者の比が1になるとは限りません。

株主価値\( S_\tau\)と純資産\( B_\tau\)の比\( \frac{ S_\tau}{ B_\tau}\)はPBR(Price-Book Ratio)といいます。

ROEとPBRの関係

冒頭のツイートの図と似たような図が、同じく柳氏らのレポート『エクイティ・スプレッドと価値創造に係る一考察』(PDF)にも載っています。

同レポートの中では

ROE8%未満ではPBR1倍以下で価値評価が低迷するケースが多く、ROEが8%を超えるとPBRは1倍以上に向上して価値創造が高まる傾向があることが観察できる(図表1)。

と記載されており、また冒頭のツイートの画像(『ROEを超える企業価値創造』のものとされる)の題名は「優れたIRは企業価値向上に貢献する可能性」となっています。

いずれの図でも「ROEが高い企業はPBRが高い傾向にある」という傾向が読み取れますが、同時にこれを「価値創造が高まる」と表現しています。

この解釈は妥当なのでしょうか。

PBRと企業価値の関係

PBRは株主価値\( S\)と純資産簿価\( B\)の比\( \frac{ S}{ B}\)であり、企業価値\( V\)は株主価値\( S\)と負債価値\( D\)の和(\( V=S+D\))です。
これをちょっと変形してみると
\begin{equation} \begin{split}
V=S+D=PBR*B+D
\end{split} \end{equation}

です。

この式から、純資産簿価\( B\)と負債価値\( D\)が同一ならば(変化しなければ)PBRが大きい会社ほど企業価値\( V\)が大きいといえます。
しかしこの前提が成り立たなければ、「高いPBR」は「高い企業価値」を意味しません。

トヨタ自動車は企業価値が大きい会社であるという主張は多くの方に賛同してもらえるかと思いますが、トヨタのPBRは1を下回るかどうか程度ですので、高いPBRとはいえません。

統計的にROEがPBRを高めるという主張は成り立っても、それが企業価値を高めているかどうかは明らかでないのです。

「高いPBR」と「高い企業価値」は同じ概念ではないので、それらを混同すると、誤った結論を導くことになります。

「俺の会計基準」 会計ルールはどう決まるか・どう決まるべきか

こんにちは、毛糸です。

先日こんなつぶやきをしました。

会計基準とは、企業の経済活動を会計情報として表現するためのルールのうち、社会的合意によって決まったもののことです。

社会的合意によって決まったものでなくとも、一定のコミュニティの中で有用性が認められた表現ルールというのは考えてもいいわけで、そのようなものを総称して「会計ルール」と呼ぶことにしましょう。

このような用語の使い方を約束すると、たとえば自分の中で有用と認められた会計ルールは「俺の会計基準」と呼んでもよさそうです(笑)

本記事では、会計ルールはどのように決まるのか、そしてどう決まるべきなのかということを考えてみます。

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奨学型勉強会|学びを対価としたパーソナルファイナンスの提案

こんにちは、毛糸です。

先日こういったつぶやきをしました。

最近、社会人の勉強会や学習・研究コミュニティが普及しています。

SNSの発達やチャット・通話・資料共有アプリの普及によって、同じ興味関心を持つ人が気軽に集まり勉強することが簡単にできるようになっています。

私も会計×ITを軸にしたコミュニティPyCPAの運営者のひとりとして勉強会を企画することもあります。

 

【参考記事】
PyCPAで勉強会を開催する、もしくはリクエストする方法

そんな社会環境の中で、「お金はあるけど時間がない社会人」と「お金はないけど時間はある学生」を上手くマッチングさせることができれば、相互にメリットのある勉強会ができるのではないか、というアイデアを思いつきました。

本記事ではこの「奨学型勉強会」についてまとめます。

 

社会人と学生の補完関係

社会人は経済的な余裕はありますが、業務に忙殺され、日々の生活の中で興味関心を深めていく余裕を持ちづらい人が多いことと思います。

専門的な勉強をするなら、ある程度腰を据えてテキストや論文に取り組む必要がありますが、多くの社会人には時間の捻出がハードルになりがちです。

【参考記事】
学習意欲を持ち続けるための心がけ4つ

繁忙期にも学びを止めないための3つの心がけ

この点、学生は社会人に比べ学術研究に割ける時間の割合が多く、興味関心を深める自由が比較的大きいと思われますが、一方で専門書は高価なものも多く、書籍の購入をためらうケースもあります。

ここに「お金はあるけど時間がない社会人」と「お金はないけど時間はある学生」という相互補完的な関係が見いだせます。

つまり、社会人がお金を出して学生を支援する代わりに、学生が社会人のために研究内容を提供するという関係が築ければ、両者が自分の足りない部分を補い、ともに知的欲求を満たすことができます。

 

奨学型勉強会の仕組み

具体的にどうするのかというと、次の通りです。

奨学型勉強会のイメージ

ます、社会人がお金を出し、テキストを学生に買い与えます。

学生はその対価として、テキストの内容を社会人に講義するような勉強会を行います。

奨学のための経済的支援と勉強会を両立するイベント、すなわち「奨学型勉強会」によって、マッチングが成立するのではないかというわけです。

社会人は気になるテキストの内容の要約を「お金で買う」ことができ、学生はアウトプットを約束する代わりにテキスト代を工面できます。

意欲ある学生ならば、きっとゼミなどで発表の場を持つでしょうから、この勉強会のために追加的な負担が生じることは少ないと思われます。

社会人側も、何人か集まって教科書代を工面するくらいであれば、比較的低負担に支援が行えるでしょう。

問題意識豊富な社会人と柔軟な発想の学生が共に勉強することで、新しいアイデアの創出にもつながると期待されます。

ちなみに、説明上「社会人」「学生」という言葉を使いましたが、資金提供者(パトロン)と発表者(奨学生)の区別がつきさえすれば、社会的役割に関係なく「奨学型勉強会」は行えるでしょう。

個人的にこの「奨学型勉強会」は是非やってみたいと思っており、現在テキストを選定中です。

パトロンとして・奨学生として賛同していただける方は、Twitterでお知らせください

資格の勉強を体系的インプットに役立てる

こんにちは、毛糸です。

先日こういう呟きをしました。

私は幸運にも公認会計士の資格をとることができ、会計士として仕事をしています。

公認会計士といえば「手に職をつける」ための資格の最たる例です。

「手に職」系の資格は難易度が高いことが多く(でなければその職の希少価値が下がります)、資格取得には相応の投資が必要になります。

「手に職」系の資格はキャリアアップなどに役立ち、ライフステージ次第ではよい投資案になるでしょう。

では「手に職」系でない資格はどうでしょうか。

「手に職」系でない資格にもいろいろあります、趣味の延長のようなものから、業界資格、ニッチ産業の知識確認のための資格まで、いろいろです。

こういった資格は、取得したからと言ってすぐに仕事になるという類のものではないかもしれません。

しかし、その分野の知識を体系的にインプットするための教材として使えるものも多くあります。

たとえば、

IT業界で仕事をする最初の一歩としての「ITパスポート」は、この情報化社会を支える技術の基本を学ぶとても良い機会になりますし、

ビジネスマネージャー検定」は管理職・非管理職を問わず、業務をマネジメントするための基礎知識を大局的に学ぶことができます。

最近では、AIに関する基礎知識を問う「ディープラーニングG検定」が個人的に気になっています。

昨今話題になっている投資については、「ファイナンシャル・プランナー」のテキストで勉強すると、実用的なお金の知識が身につき有用です。

このように、自分の興味を持った分野でもし資格があれば、そのテキストを教材として利用することで、体系的なインプットを行うことができます。