【投信定点観測】18週目|インデックス、ロボアドバイザー、アクティブファンドに積立投資

こんにちは、毛糸です。

【投信定点観測】2019年7月第2週(スタートから18週目)の損益の報告です。

今週末における損益率は2.31%(年率4.55%)です。

損益状況

商品ごとの含み損益率は以下のようになりました。【投信定点観測】開始から18週間経過時の含み損益率は2.31%(年率換算で4.55%)で、先週から0.28%のマイナスです。

インデックス投資信託の変動

日本株式は週間で1.04%のダウン、一方の先進国株は0.01%のダウンにとどまり、両者の差は拡大しました。

ロボアドバイザーの振り返り

ロボアドバイザーのWealthNavi(ウェルスナビ)は今週-0.37%(含み損益2.25%)、THEO(テオ)は今週-0.01%(含み損益1.27%)でした。

今週の含み損益ランキングは、【投信定点観測】の全14の投資先のうち、WealthNaviは第7位、THEOは第12位です。

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アクティブファンドの変動

日本株式に投資するアクティブファンド、セゾン資産形成の達人ファンドと、多資産に投資するセゾン・バンガード・グローバル・ファンドは、ともに良い成績を挙げています。

まとめ

【投信定点観測】を始めて18週、資産クラスごとに見るとパフォーマンスの差がはっきりしてきています。

特定の資産クラスの成績に左右されず、市場全体の平均的なリターンを享受しようとするのが、インデックス投信による分散投資です。

引き続き、投資信託による「コツコツ」積立投資で、安定的な資産形成を目指していきます。

引き続き積立投資の状況をリポートして参りますので、もしよろしければSNSでのシェアよろしくお願い致します!

学会に参加してきた|日本経営分析学会・日本ディスクロージャー研究学会から、日本経済会計学会へ

こんにちは、毛糸です。

2019/7/12,13,14に、日本経営分析学会・日本ディスクロージャー研究学会の年次大会が行われました(プログラムPDFはこちら)。

両学会はこのたび合併することなり、新たに

日本経済会計学会 The Accounting and Economic Association of Japan(AEAJ)

として生まれ変わりました。

今回開催された大会においては、会員総会と講演会・研究報告会が催されました。

会員総会では日本経営分析学会・日本ディスクロージャー研究学会の財務報告や、日本経済会計学会 The Accounting and Economic Association of Japan(AEAJ)の会則等について審議が行われました。

私が参加した大会2日目の7/13には、学会賞受賞のテキストを著した研究者による講演が行われました。以下ではその内容をまとめます。

浅野敬志先生「資本市場の変容と会計研究の方向性」

首都大学東京の浅野敬志先生による著書『会計情報と資本市場』の紹介と概略についてお話されました。

会計情報と資本市場』では、

  • 会計情報の変容
  • 経営者による会計の選択
  • 会計目標の達成

に着目した仮説検証型の実証分析を行っています。

本公演ではこの他に、資産運用の側面から見た会計情報の有用性について語られました。

クオンツ運用、スマートベータ、市場の効率性、会計情報

昨今の「定量的な資産運用」(クオンツ運用)には、AI・ビッグデータの活用と、スマートベータ(ファクター投資)という2つの新潮流があります。

特に後者については会計情報による指標も用いられ(MSCIクオリティ指数など)、本公演ではこの部分に着目しています。

会計情報は過去情報であり、効率的市場においては超過リターンに寄与しないと考えられます、実証的には会計情報を用いた投資が超過収益を生むことが多くの研究で明らかになっています。

たとえば、総資産売上総利益率の高い企業を買い、低い企業を売るとリターンが得られるような戦略が知られており、これらは効率的市場という前提に反する「アノマリー」と考えられています。

会計情報、とくに売上総利益がなぜリターンに寄与するのかという理由は、投資家の行動バイアスや裁量余地が少ないためと考えられています。

売上総利益のほかにも、キャッシュベースの営業利益がリターンに寄与するという研究もあります。

会計情報の(いくつかの意味での)質は指数として定量化されており、それはクオリティファクターと呼ばれます。

クオリティ・ファクターは、企業の割安感を示すバリュー・ファクターと、負の相関があることがわかっています。

つまり、バリュー投資は、低収益性企業への投資を意味します。

統計的には、クオリティ投資のリターン>バリュー投資のリターンであるようです。

ファクター投資の普及により超過リターンは徐々に小さくなっていくと考えられており、事実、有名なアノマリーであった「アクルーアル・アノマリー」は解消しつつあります。

結局のところ、残余利益モデルやDCFモデルによって、会計情報と株価の関係を見出し、ファンダメンタル分析を行うこと重要になるということです。

会計情報の機能「投資意思決定支援機能」を重視するならば、市場が十分に効率的であるという前提を持たず、財務情報の改善に努めるべきで、投資家は「会計の質」を判断して業績予測や価値評価を行う必要があります。

ビジネスと会計は複雑化しており、会計情報はわかりにくくなっていると言われていますが、経営者は中期やMD&Aでこれを補完し、投資家と対話することが求められます。

田口先生「Disclosure is a gift that encourages trust and reciprocity」

同志社大学の田口聡志先生の著書『実験制度会計論』で論じられた、実験会計学のお話です。

本書は理論と実験により、制度と情報の仕組みを探る挑戦的なテキストです。

会計を抽象化したエッセンスをモデル化し、情報のもとでの仕組みと人間の相互作用を分析しています。

通常、情報開示によって、情報を持つ者の優位性は低下します。

従来、長期的関係により評判向上につながってきましたが、近年はより短期主義的に、直接的に信頼を向上することが求められています。

ゲーム理論を用いたモデル分析によれば、意図的な情報開示は社会の信頼と互恵を活性化する(gift exchange)ことが明らかになります。

また、外部要求による開示のほうが信頼性が高いこともわかります。

【数学ガール】社会人の数学再入門に

こんにちは、毛糸です。

最近私の周りで、数学を勉強したいという社会人が増えています。

私が主催する勉強会でも、数学に関するトピックを扱うことも増えており、数学再入門への意識の高まりを感じています。

【参考記事】
まだ数学から逃げてるの?これからのビジネスと数学

この記事では、社会人の数学再入門としておすすめする数学ガールシリーズを紹介します。

続きを読む

資格の勉強を体系的インプットに役立てる

こんにちは、毛糸です。

先日こういう呟きをしました。

私は幸運にも公認会計士の資格をとることができ、会計士として仕事をしています。

公認会計士といえば「手に職をつける」ための資格の最たる例です。

「手に職」系の資格は難易度が高いことが多く(でなければその職の希少価値が下がります)、資格取得には相応の投資が必要になります。

「手に職」系の資格はキャリアアップなどに役立ち、ライフステージ次第ではよい投資案になるでしょう。

では「手に職」系でない資格はどうでしょうか。

「手に職」系でない資格にもいろいろあります、趣味の延長のようなものから、業界資格、ニッチ産業の知識確認のための資格まで、いろいろです。

こういった資格は、取得したからと言ってすぐに仕事になるという類のものではないかもしれません。

しかし、その分野の知識を体系的にインプットするための教材として使えるものも多くあります。

たとえば、

IT業界で仕事をする最初の一歩としての「ITパスポート」は、この情報化社会を支える技術の基本を学ぶとても良い機会になりますし、

ビジネスマネージャー検定」は管理職・非管理職を問わず、業務をマネジメントするための基礎知識を大局的に学ぶことができます。

最近では、AIに関する基礎知識を問う「ディープラーニングG検定」が個人的に気になっています。

昨今話題になっている投資については、「ファイナンシャル・プランナー」のテキストで勉強すると、実用的なお金の知識が身につき有用です。

このように、自分の興味を持った分野でもし資格があれば、そのテキストを教材として利用することで、体系的なインプットを行うことができます。

学びの習慣、欲求階層説、感謝の気持ち

こんにちは、毛糸です。

先日こんな呟きをしました。

私にとって勉強すること、より具体的には、まだ知らないけれども興味のあることを追求することは、趣味のようなものです。

大学院まで進み、継続的学習を求められる専門職という職業にある私にとって、学ぶということはとても自然な営みです。

【参考記事】
学習意欲を持ち続けるための心がけ4つ

しかし、いつも学ぶ姿勢を持てているわけではありません。

仕事が忙しい時にはゆっくりテキストを読む余裕はありませんし、自分や家族が寝込んでいるときに数式をいじる気にはなりません。

本ブログの記事「繁忙期にも学びを止めないための3つの心がけ」には、仕事が忙しいときにも学ぶ姿勢を崩さないために気をつけるべきことをまとめています。

しかしそうは言っても、寝る間もないほどに忙しいときに「学びの姿勢を!」というのは酷というものです。

心理学者マズローは、人の欲求をいくつかの段階に分け、下位の欲求は「原始的欲求」に近く、それらが満たされながらより高次の「自己実現欲求」を求めるという欲求階層説を唱えました。

(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/自己実現理論#/media/ファイル:Maslow’s_hierarchy_of_needs.png)
「学びの欲求」はそれなりに上位の欲求のようで、食う寝るなどの生理的欲求が満たされなければ、学びを求めるような心理状態にはなりませんし、安全や社会的欲求も満たされている必要があるように思います。
冒頭のツイートは、次のように続きます。

私が学ぶ自由を持っていられるのは、私の生活を(欲求を)支えてくれる多くの人のご支援があってこそです。

支えてくれる方々に感謝をしながら、今日もテキストを開きます。

Excel VBA「RPAです」「よし、通れ!」に潜む危うさ

こんにちは、毛糸です。

先日こんなツイートを見かけました。

このツイートをパク……いえ、インスパイアされて、こんな呟きをしました。

本記事ではこのツイートの内容を深掘りし、VBAをRPAと間違えて通してしまうような状況がどうして起こるのか、その問題はどこにあるのかについて考えてみます。

RPAというバズワード

RPAとは、次世代の新しい労働力と期待される自動化システム(ロボティック・プロセス・オートメーション)のことです。

いまビジネス界ではAIと並ぶ技術として多くの企業が注目し、実際に業務に適用されています。

RPAに関しては、以前開催された勉強会PyCPAでも取り上げられ、大変反響がありました。

RPAは一種のバズワードとして、ビジネスマンなら知らないでは済まされない言葉になりつつあり、企業の「偉い人」たちの中でも、業務に組み込めないものかと画策する人は少なくありません。

冒頭のツイートは、そんなRPAブームを風刺するものです。

VBAではなくRPA、その心は

RPAは業務アプリケーションをまたぐようなプロセスの自動化を可能にするソフトウェアです。

業務自動化という点に着目すれば、すでに「広く普及したツール」により、ある程度のことは可能になっています。

それがExcelマクロであり、その記述プログラミング言語であるVBAです。

Excel VBAはエクセルの操作の自動化や、他のOfficeソフトやインターネットエクスプローラーとの連携により、様々な処理を自動化可能です。

実際、大企業ではExcel VBAによる大規模なツールを開発・導入し、業務効率化を行っている例が数多くあります。

しかし、RPA全盛期の今、「それExcel VBAでもできますよ」というフレーズは、「偉い人」たちの心には刺さりません。

「RPAじゃないの?それじゃあだめだよ、RPAを使わなくちゃ」

と一蹴され、RPAではなくExcel VBAでプログラム組みましょうとはなりづらい現状があります。

このような現象はひとえに「RPAを使いたい」ということが目的化していることが原因です。

RPAは本来、従来の方法では自動化できなかったアプリケーション間の連携などを柔軟につなぎ合わせることが可能な技術として、業務改善に用いられるべきものです。

しかし空前の「RPAブーム」によって、「RPAを使うこと」それ自体が目的化し、そのために課題を探すという逆転現象が起こっているのです。

配られたカードと、課題と解決の一致

もちろん、RPAという新しい技術が世に広く知られたことで、見えてきた課題もあるでしょう。

スヌーピーでおなじみの漫画ピーナッツにもこんな名言があります。

配られたトランプで勝負するっきゃないのさ……(YOU PLAY WITH THE CARDS YOU’RE DEALT…)

RPAというカードが配られたからには、そのカードを使って勝ちを挙げたい、と考える人は多いでしょう。

しかし他者もやっているからうちも、とか、Excel VBAでできるような比較的簡単な自動処理もRPAでやりたい、とかいう話になってくると、手段と目的が入れ替わっていると言わざるを得ません。

ベストセラーになった『起業の科学』には、事業の成功の条件の1つに、問題と解決策が一致していること(プロブレム・ソリューション・フィット)を挙げています。

起業という文脈を抜きにしても、課題とその解決策が一致していなければその取組みから成果を上げることは難しく、したがって「解決策(RPA)」ありきで課題を見つけるようなやり方が、常にうまくいくとは限りません。

ましてや冒頭のように、Excel VBAを「RPAです」と言って「よしよし」と納得してしまうのは、RPAという技術がなんたるかを知らないばかりか、自分の課題すらも見失っているのではないかと心配になる状況です。

残念ながら、こんな笑い話のような状況が、たまに見聞きされるのです。

まとめ

RPAの革を被ったVBAが、「偉い人」の機嫌をとる風刺は、課題より解決策が先に来て目的化する危うさを含んでいます。
バズワードに惑わされることなく、いま自分たちが直面している課題はなにか、本当に必要な解決策はどういうものかということを、きちんと考える必要があるように思います。

需要と供給から考える監査報酬

こんにちは、毛糸です。

日本は欧米と比べ、監査報酬が低いと言われています。

特に業界では最近、監査報酬をいかに上げるかという話がよく取り上げられます。

監査報酬というのは、監査というサービスに対して支払う価格のことですから、そのサービスの需要と供給で決まります。

もしたくさん報酬を払わなければ監査受けられないということになれば、嫌でも監査報酬は上がるでしょう。

最近は大手監査法人を中心に、ハイリスクな新興企業を安価で受けるようなことをしなくなってきています。

一昔前は、後の大規模クライアントを期待してか、ベンチャーを破格の監査報酬で獲得しては、現場を疲弊させてきました。

しかし、昨今の働き方改革により、そういった案件に資源を咲くのが難しくなりつつあるようです。

個人的には、それはいい傾向だと思います。

監査サービスの需要と供給

会計不正が市場を賑わせる昨今、多少高くても高品質な監査法人を使いたいというステークホルダーの希望はあるでしょうし、

一方の監査法人も無尽蔵にリソースがあるわけではないことをよく思い知ったでしょううから、

監査報酬アップの土壌は整いつつあるのではないかと思います。

監査サービスの供給側から見ると、働き方改革で従来のジュニアの残業頼りのやり方は通用しなくなり、そのしわ寄せがシニア層へ来ているようですが、ここに十分な手当てがされないと、いよいよ監査法人の運営が危うくなります。

そうなれば、報酬効率の良いクライアントしか残せなくなり、供給はタイトになってくるはずです。

もちろん大手監査法人以下、中堅以下が受け皿になって監査サービスの供給を下支えすることは考えられますが、過度に低廉の報酬は維持できないでしょう。

監査の需要側から見ると、監査なしには資本市場への参加が難しいこともあり、必要コストとして監査の需要は底堅いように思います。

ただ、一方で、監査が必要な会社でいることのメリットは徐々に小さくなっているような気がしています。

監査(を要する会社であること)のコストが大きければ、じゃあ上場辞めようかとか、合同会社でいいかとか、そういう話になるので、監査報酬上げるなら監査報酬に見合う経済的メリットがあることを強調しないといけません。

いずれにせよ、監査法人側もクライアントに対する価値というものに向き合わねば、納得感ある監査報酬アップはできないでしょう。

【投信定点観測】17週目|インデックス、ロボアドバイザー、アクティブファンドに積立投資

こんにちは、毛糸です。

【投信定点観測】2019年7月第1週(スタートから17週目)の損益の報告です。

今週末における損益率は2.60%(年率5.41%)です。

損益状況

商品ごとの含み損益率は以下のようになりました。【投信定点観測】開始から17週間経過時の含み損益率は2.60%(年率換算で5.41%)で、先週から1.73%のプラスです。

インデックス投資信託の振り返り

先週末の米中首脳会談から両国間の緊張ムードが和らいだことが好感され、市場は盛り上がりを見せています。

日本株式、先進国株式とも2%を超える上昇となり、長らく含み損であった日本株も含み益に浮上したことで、全資産クラスで含み益の状態になりました。

ロボアドバイザーの振り返り

ロボアドバイザーのWealthNavi(ウェルスナビ)は今週+1.31%(含み損益2.62%)、THEO(テオ)は今週+1.12%(含み損益1.28%)でした。

今週の含み損益ランキングは、【投信定点観測】の全14の投資先のうち、WealthNaviは第7位、THEOは第12位です。

分散投資を行っているはずのTHEOが【投信定点観測】内ランキングで下の方にいるのが残念です。

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アクティブファンドの振り返り

日本株式に投資するアクティブファンドであるひふみ投信とセゾン資産形成の達人ファンドですが、セゾンのほうが継続的に高いリターンを維持しています。

対インデックスで見た場合のアクティブファンド(ひふみ、セゾン)は、いずれもインデックスをアウトパフォームしており、今のところはアクティブファンドとしての価値を発揮できていると言えるでしょう。

まとめ

【投信定点観測】を始めて17週、全銘柄が含み益の状態になりました。

損益状況に一喜一憂するのは長期投資家のスタンスとしてはよろしくないのかもしれませんが、好成績なのは嬉しいですね。

投資の継続という観点からは、含み益状態による「安心感」も重要な要因であると感じます。

引き続き、投資信託による「コツコツ」積立投資で、安定的な資産形成を目指していきます。

引き続き積立投資の状況をリポートして参りますので、もしよろしければSNSでのシェアよろしくお願い致します!

quantmodの使い方とCAPMの計算|Rでプログラミング

こんにちは、毛糸です。

株式の期待リターンを推定するために広く用いられているのが、CAPM(Capital Asset Pricing Model)です。

CAPMは株式のリターンを市場ポートフォリオの1次関数として表す、とてもわかり易いモデルです。

本記事ではCAPMの計算(具体的には、ベータの推定)を、統計プログラミング言語Rで行う方法についてまとめます。

CAPMにおけるベータの推定には、個別株式と市場ポートフォリオのリターンのデータが必要になりますが、quantmodというパッケージを使えば、簡単に取得できるため、その方法も説明します。

また、推定に必要な無リスク金利(安全資産利子率)には、財務省が公表している国債利回りを用いることとします。

CAPM(Capital Asset Pricing Model、資本資産価格モデル)の概略

CAPMは、資産収益が正規分布するなどのいくつかの仮定のもとで成り立つ、危険資産(株式など)の期待リターンに関するモデルです。
CAPMでは、ある証券\( i\)の期待リターン\( E[r_i]\)は、無リスク金利\( r_f\)と市場ポートフォリオの期待リターン\( E[r_M]\)を用いて、以下のように表されます。
\begin{equation} \begin{split}
E[r_i]=r_f+\beta\left( E[r_M]-r_f\right)
\end{split} \end{equation}
係数の\( \beta\)(ベータ)は、証券\( i\)と市場ポートフォリオ\( M\)の連動性を示しています。
CAPMにおける\( \beta\)は、ある証券\( i\)の超過期待リターン\( E[r_i]-r_f\)を被説明変数、市場ポートフォリオの超過期待リターン\( E[r_M]-r_f\)を説明変数とした回帰分析によって求められます。
本記事では、統計プログラミング言語Rを用いて、
  • 証券と市場ポートフォリオのデータを取得しリターンを計算する方法
  • 無理リスク金利を取得する方法
  • 回帰分析を行う方法
を解説しています。

quantmodによる株価ヒストリカルデータの取得方法

Rライブラリ「quantmod」を用いると、個別株式の価格情報を入手することができます。
quantmodは、Rコンソールで以下を実行すればインストールできます。同時に「XML」というライブラリも必要になる(ないとエラーを吐く)ので、合わせてインストールしましょう。
install.packages(“quantmod”)
install.packages(“XML”)
quantmodライブラリを読み込みます。
library(quantmod)
getSymbols()関数を使うと、指定した証券コードの価格データをwebページから取得することができます。日本の株式では、Yahoo!ファイナンスを情報ソースにすればよいです。
本記事では、証券コード9984.Tソフトバンクグループの株価を、Yahoo!ファイナンスから、開始日”2013-06-01″、終了日”2019-05-31″で取得します。
証券コードは、Yahoo!ファイナンスの各証券のページの?code=以下に記載されているものです。
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=9984.T
証券コードの.Tは市場(T=東京証券取引所)を示すものですが、なくても大丈夫かもしれません。
関数の最後の引数auto.assignは取得したデータを自動でオブジェクトに代入するかどうかを決めるもので、=TRUEとした場合は自動的に「YJ9984.T」というオブジェクトに情報が格納されます。
getSymbols(“9984.t”,src=”yahooj”,from=”2013-06-01″,to=”2019-05-31″,auto.assign=TRUE)
auto.assign=FALSEとした場合には自動でオブジェクトに代入されないので、自分でオブジェクトに代入します。
data9984<-getSymbols(“9984.t”,src=”yahooj”,from=”2013-06-01″,to=”2019-05-31″,auto.assign=FALSE)
取得したデータは、日次ベースの時系列データになっており、始値・高値・安値・終値・取引高・調整後株価が格納されています。
以下の作業では終値の情報を使いますので、以下のように終値のみのデータを作ります。
Price_i<-YJ9984.T$YJ9984.T.Close
plotすることで株価の推移を見ることができます。
plot(Price_i)
\( t\)日目の日次リターン\( r_{i,t}\)は
\begin{equation} \begin{split}
r_{i,t}=\frac{P_{i,t} -P_{i,t-1}}{ P_{i,t-1}}\approx \log(P_{i,t})-\log(P_{i,t-1})
\end{split} \end{equation}

企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」の要点

こんにちは、毛糸です。

企業会計基準委員会が「時価の算定に関する会計基準」を公表しました。
>>企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」等の公表

この基準により、すでに海外基準では取り入れられている「公正価値ヒエラルキー」が日本でも導入されます。

公正価値ヒエラルキーでは、時価算定の複雑度によって時価を3つのレベルにわけます。

3つのレベルはインプット(時価算定に必要な入力情報)の性質によりわけられます。

ざっくりとしたイメージは以下のとおりです。

  • レベル1:時価が活発な市場で直接観測できるもの
  • レベル2:活発な市場はないが、直接観測できるもの
  • レベル3:時価が直接観測できず何らかの仮定を要するもの

複雑な相対デリバティブなどはレベル3が通常です。

公正価値ヒエラルキーによる時価開示は、米国基準では10年くらい前に既に適用されていますが、当時はかなりの実務負担であったと聞いています。

日本でも時価会計基準の導入にあたっては、海外基準がかなり参考になるでしょう。

国際財務報告基準(IFRS)においてはIFRS第13号「公正価値測定」、米国会計基準においてはAccounting Standards Codification(FASBによる会計基準のコード化体系)のTopic 820「公正価値測定」)が、本基準に対応しています。

時価基準導入にあたって、有価証券の時価としていままで認められてきた、期末前1ヶ月平均価格が使えなくなります。

これは、時価の定義が明確になり、売却により得られる価額、とされたためです。

本基準において時価は以下のように定義されています。

「時価」とは、算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格をいう。

1ヶ月平均価格はその価格での売却を確約するものではないので、時価とは認められなくなります。

また、時価算定にレベルの概念を導入したことにともない、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券、という概念はもはや存在しなくなることから、基準から削除されます。

時価の範囲を広げたので、何かしら時価はつけられるはずである、ということですね。

金融商品はレベル別の残高を開示する必要があるため、自社の金融資産がどんなインプットを使っているかを把握して、レベル分けをする必要が出てきます。

また、レベル3の金融商品は、期首残高から期末残高への調整表(フロー表)を開示することになります。

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