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会計


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会計公理の不可能性予想:会計理論全体を包括する公理の構築は不可能なのか

公理とはある数学概念を定義づける基本的命題や主張のことです。例えば,群の公理,ベクトル空間の公理などがあります。群の公理は「これこれという性質をもつものを,群とよぶ」という群の定義に用いられ,「これこれという性質」が公理にあたります。

公理とはなにか。証明不要の命題がもつ「論理の力」について

会計理論を公理的に扱おうとする動きは19世紀以降活発に起こりました。会計の公理化に取り組んだ研究者として注目したいのが,マテシッチと井尻です。

簿記・会計の公理化に挑んだ天才たち

会計公理研究は,会計の本質はどこにあるのかという視点を明らかにするという意味で,会計研究において極めて重要です。

理想的には,ある会計公理を定めれば,それのみに依拠して会計のさまざまな理論が導出できることが望ましいのです。例えば○○という公理から,減価償却を行う必要があるという命題を導いたり,××という公理から,親子会社間の取引は連結相殺消去しなくてはならないという命題を導いたりといった具合です。

しかし現代において会計理論を演繹的に導出できるような公理は設定できていません。概念フレームワークはそれに近いといえますが,しかし概念フレームワークによって会計の諸原則がすべて導けるわけではないため,公理とは言い難いと考えられます。

会計とはある種の決まりごとですが,それはとても複雑で,いくつかの特定の命題からすべて演繹することは絶望的です。

会計の公理化に挑戦した井尻先生は『新会計学辞典』(神戸大学会計学研究室編 1966)の「会計公理」の記述の中で,会計理論全体を包括する公理系の構築は不可能であろうと述べています。

井尻の不可能性予想とでも呼ぶべきこの予想は立証されているのか否か,私にはわかりません。もし立証されていれば,それは会計公理の不可能性定理とよぶべきでしょうし,反証されていれば会計公理が存在するということになります。

会計の公理化がどこまで可能で,どこから不可能なのかという範囲についてなら,私にも論じることはできそうなので,別の機会に述べたいと思います。

この記事は以下の書籍の第18章「簿記理論の公理系」を参考にしました。

論文紹介:On Double-Entry Bookkeeping: The Mathematical Treatment (Ellerman 2014)

この記事では,複式簿記におけるT勘定の代数構造についての論文”On Double-Entry Bookkeeping: The Mathematical Treatment” Ellerman(2014)を紹介します。

何についての論文か

“On Double-Entry Bookkeeping: The Mathematical Treatment”(以下Ellerman (2014))は,複式簿記の代数構造に関するの論文です。

複式簿記における勘定科目のTフォーム(T勘定図)が”差の群”(group of difference)としての性質を持つことを明らかにし,複式簿記が持つ数学的な構造を明瞭に示しています。

Ellerman (2014)はこの群をパチョーリ群と名付けました。

【君の知らない複式簿記7】T勘定とパチョーリ群

どこが面白いのか

Ellerman (2014)が面白いのは,複式簿記の数学的な取り扱いを初めて明らかにしたからです。

複式簿記の数学的な性質に言及した研究者は古くから存在していましたが,それらはほとんど注目されませんでした。

ド・モルガンやケイリーといった高名な数学者も複式簿記の数学的構造とその美しさについて考えを述べています。

しかし数学の正しい言葉遣いで複式簿記の性質を明確に述べたものはほぼなく,19世紀に入ってから見いだされた数学によって,やっと複式簿記の正確な数学的表現が得られました。

Ellerman (2014)は複式簿記の性質を代数的に正確な形で表現し研究した点が,独創的です。

どんな示唆があるか

Ellerman (2014)は複式簿記という実務的色合いの濃い対象を,純粋な数学的対象と位置づけたところに重要な意義があります。

複式簿記の代数構造が明らかになれば,その構造に基づいて会計システムを構築したり,複式簿記の新しい活用方法を模索したりできます。

簿記代数は何の役に立つのか

特に,複式簿記の新しい活用方法については,Ellerman (2014)の中で,会計数値を多次元ベクトルで表すという方向性を提示しています。

複式簿記は単一の貨幣尺度に基づく測定が前提とされますが,ベクトル会計システムを用いれば,異なる性質の取引や異なる品目の財をひとつの価値尺度で測定することなしに,複式簿記の枠組みで考察することが可能になります。

関連する文献

Ellerman (2014)は現代的な抽象代数の言葉で表現されています。これを理解するには,大学の初年度レベルの代数の知識が必要です。以下の書籍は私がこの文献を理解する際に参考にしました。

以下の記事はEllerman (2014)が提示した複式簿記の代数構造「パチョーリ群」について解説しています。

【君の知らない複式簿記7】T勘定とパチョーリ群

 

Ellerman (2014)とは異なる複式簿記の代数研究もあります。試算表や仕訳をベクトルで表現しその代数構造を探った研究があり,以下の記事はその研究書のレビュー記事です。

書評『Algebraic Models for Accounting Systems』複式簿記と会計システムの代数構造を解明する

会計帳簿の電子化,その歴史と概要

会計データはデータベースの形式でシステムに保持されますが,そのデータベースの性質はコンピュータの発展に伴って変容してきました。

この記事では,会計帳簿が電子化されてきた経緯を,技術的なメリット,デメリットに着目して解説します。この記事の内容は以下のテキストの第4章「帳簿の電子化と複式簿記の役割」を参考にしています。


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会計の本質を理解するために,データベースの知識が活かせる

「会計とは何か」という哲学的な問いかけに,どれだけの人が自信をもって答えられるでしょうか。

会計は写像であるとか,地図であるとか,言語であると言われます。

こうしたアナロジーを眺めていると,会計というのはものの見方であって,なんらかの方法と形式でビジネスのありようを写し取っているのだということに気づきます。

会計というものの見方がビジネスを写し取るにあたって,会計はビジネスのどんな要素に着目しているのでしょうか。

REA会計モデルはこの問いかけに対して,資源(resource),事象(event),主体(agent)の3つの要素に着目すると回答しています。

REA会計モデルとはなにか

どんな要素に着目して情報を整理するのかという視点は,データベースの設計にも求められます。データベース(DB)は,興味の対象をどのようにデータに写し取るのかを考える際に,対象や関係を把握します。そこでは「この世界のどんな構造に着目するか」という視点が求められています。

会計が写し取るビジネスの要素がわかれば,それをDBで表現できます。逆に,ビジネスの要素をDB表現できれば,その背後には会計的な見方があるとも考えられます。

複雑なこの世界のありようをDBという完結明瞭な形式の写し取るというプロセスについて理解することで,会計というビジネスの見方がどういう風になっているのかを理解する助けになります。

こちらのテキストは汎用的な会計データベースによって多様な会計目的を達成する可能性について論じています。

その参考文献にも挙げられている以下のテキストは,DBの数学的特徴やDBの操作について解説しています。

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