こんにちは、毛糸です。
先日、ファーマ−フレンチの3ファクターモデルのデータが無料で手に入るという記事を書きました。
>>ファーマ-フレンチの3ファクターモデルのデータを入手する方法
ここで手に入るデータには、市場ポートフォリオのリターンデータが含まれています。
本記事ではこの市場ポートフォリオのリターンデータが、ファイナンスでしばしば仮定される「正規分布」に従わないことを確かめてみます。
日本、アメリカ、ヨーロッパ、全世界の市場ポートフォリオ
こんにちは、毛糸です。
先日、ファーマ−フレンチの3ファクターモデルのデータが無料で手に入るという記事を書きました。
>>ファーマ-フレンチの3ファクターモデルのデータを入手する方法
ここで手に入るデータには、市場ポートフォリオのリターンデータが含まれています。
本記事ではこの市場ポートフォリオのリターンデータが、ファイナンスでしばしば仮定される「正規分布」に従わないことを確かめてみます。
こんにちは、毛糸です。
本記事ではファーマ-フレンチの3ファクターモデルを使うにあたり必要となる、市場ポートフォリオ、時価総額(SMB)ファクター、簿価時価比率(HML)ファクター、無リスク金利のデータを入手する方法を解説します。
上記データは、ケネス・フレンチ教授のホームページから無料で、1990年からの長期にわたる時系列データが手に入ります。
各ファイルは、市場ポートフォリオ、時価総額(SMB)ファクター、簿価時価比率(HML)ファクター、無リスク金利のデータからなります。
このほか、上記サイトではファーマ-フレンチの5ファクターモデルに必要な収益性ファクターと投資ファクターや、モメンタムファクターも提供されています。
これらデータを使えば、Rなどで簡単に投資分析をすることが可能です。
金融データの分析方法については、下記の書籍が参考になります。
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こんにちは、毛糸です。
2017年頃の仮想通貨バブルは「億り人」という言葉を生むほど、高い収益機会として注目され、一攫千金の夢を見させてくれました。
>>ビットコインはバブルである
FXや外貨預金の期待リターンに関しては、下記書籍に説明があります。
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こんにちは、毛糸です。
ファイナンス(金融工学)において、正規分布は資産の収益率をモデル化するために頻繁に用いられます。
投資対象となる資産は通常1つだけではなく、複数資産を扱いたいことも多いですから、その場合には多次元の正規分布を考えなければなりません。
本記事では統計プログラミング言語Rで多次元正規分布に従う確率変数ベクトルを生成する方法について説明します。
多次元(多変量)正規分布に従う確率変数ベクトルは、多変量解析用パッケージのMASSのmvrnorm()を使って発生させることが出来ます(公式リファレンスのPDFはこちら)。
mvrnorm()は、発生させる確率変数ベクトルの個数n、期待値ベクトルmu、分散共分散行列Sigmaを与え、n組の確率変数ベクトルを返す関数です。
例えば、( mu=(1,1))、分散共分散行列( Sigma=left( begin{array}{cc}1&0\0&1end{array}right))の2次元正規分布に従う確率変数( (x_1,x_2))を発生させるには、以下のように記述します。
#MASSライブラリを読み込む library(MASS) #期待値ベクトル mu0<-c(1,1) #分散共分散行列 Sigma0<-rbind( c(1,0), c(0,1) ) #多次元正規分布に従う確率変数ベクトルを1組発生 mvrnorm(1,mu0,Sigma0) #[1] 1.8590647 -0.6548381
参考>> 元データ分析の会社で働いていた人の四方山話_多変量正規分布
[ begin{split}
Sigma=diag(S) cdot P cdot diag(S)
end{split} ]で表せます。ただし( diag(S))は( S)を対角成分に持つ対角行列で、「( cdot)」は通常の行列積(Rでは%*%)です。
#各資産クラスの期待リターン mu<-c(2.6/100, 6.0/100, 3.7/100, 6.4/100, 1.1/100) #各資産クラスの分散(標準偏差の2乗) sigma<-c(0.047,0.251,0.126,0.273,0.005) #相関行列 Rho<-rbind( c(1,-0.16,0.25,0.09,0.12), c(-0.16,1,0.04,0.64,-0.1), c(0.25,0.04,1,0.57,0.15), c(0.09,0.64,0.57,1,-0.14), c(0.12,-0.1,-0.15,-0.14,1)) #分散対角行列 sigma_diag<-diag(sigma) #分散共分散行列 Sigma<-sigma_diag%*%Rho%*%sigma_diag #多次元正規分布の発生 X <- mvrnorm(10000, mu, Sigma)
こうして得られた6次元確率変数ベクトルの1万個について、標本平均と標本標準偏差を計算すると、大数の法則により、パラメタとして与えたmuとsigmaに近くなるはずです。
Xは、行にサンプル数n、列に確率変数ベクトルの要素が並んでいます。列に対して平均meanと標準偏差sdを適用するには、apply(X,MARGIN=2,mean)という関数を使います。MARGIN=1はXの「列」方向に関数を適用するという意味です。
参考>>24. apply() ファミリー
#各要素の平均を計算(経済中位ケース) apply(X,2,mean)*100 #[1] 2.591798 5.739046 3.773379 6.390514 1.097378 2.793776
#各要素の標準偏差を計算 apply(X,2,sd)*100 #[1] 4.6795340 25.1717768 12.6962985 27.2644081 0.5005285 1.9114364
いずれも理論値に近い値になっています。
こんにちは、毛糸です。
個人の資産運用は、分散投資が基本と言われます。
特に、異なる値動きをする資産クラスに分散投資することが重要とされ、国内と外国の株式と債券の4資産は「伝統的4資産」と呼ばれています。
しかし、この伝統的4資産のうち、外国の債券に関しては、実は組み入れる必要はないのではないか?という意見があります。
本記事ではこの意見について深掘りします。
ある一定の条件のもとでは「外国債券は組入不要」であることがわかりますが、しかしその条件が現実に成り立っているかは微妙なので、実際には外国債券にも意味があるということを説明します。
国内と外国の株式と債券、計4つの資産クラスは、値動きのパターンが異なっており、これらに分散投資することでリスクを低減できるとされています。
値動きのパターンが異なるもの (統計学の言葉で言えば、相関係数が小さいもの)を組み合わせることにより、ポートフォリオのリスクは個々の資産のリスクの合算よりも小さくなります。
これを「分散効果」といい、確率論によって数学的に証明できます。
多数の資産に分散投資することが最善であるというのは、ノーベル経済学賞を受賞したマーコウィッツによる平均分散分析に始まる「現代ファイナンス論」の結論として有名です。
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msmaflink({“n”:”ウォール街のランダムウォーカー原著第11版株式投資の不滅の真理”,”b”:””,”t”:””,”d”:”https://images-fe.ssl-images-amazon.com”,”c_p”:”/images/I”,”p”:[“/51j3XxuLcML.jpg”,”/51L5VguO16L.jpg”,”/51pXH1cT26L.jpg”,”/51qzhDA8N8L.jpg”,”/516KF7nD4ML.jpg”,”/51RqxJ5YdzL.jpg”,”/41Z4TQLguaL.jpg”,”/41RDCEkVSWL.jpg”,”/51ZC6wiROQL.jpg”,”/416UAK2gjbL.jpg”,”/51COLQfOYZL.jpg”,”/41wAkIpxalL.jpg”,”/517pu9qvoaL.jpg”,”/51Qd00xstPL.jpg”,”/41a6WwcjPUL.jpg”,”/41whOykxo9L.jpg”,”/51ZYk6jqWTL.jpg”,”/51JXyzvOypL.jpg”,”/51Cx1OLwZwL.jpg”],”u”:{“u”:”https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%A1%97%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%80%88%E5%8E%9F%E8%91%97%E7%AC%AC11%E7%89%88%E3%80%89-%E2%80%95%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E6%8A%95%E8%B3%87%E3%81%AE%E4%B8%8D%E6%BB%85%E3%81%AE%E7%9C%9F%E7%90%86-%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/4532356873″,”t”:”amazon”,”r_v”:””},”aid”:{“amazon”:”1251300″,”rakuten”:”1249750″,”yahoo”:”1251299″},”eid”:”P0miQ”});
分散投資投資を享受するためには、外国債券の組入には意味がありそうです。
しかし、投資信託によるインデックス投資の指南書『お金は寝かせて増やしなさい』には、外債について以下のようなネガティブなコメントが書かれています。
一見、魅力的に見える高金利の外貨は、長期的には通貨自体が安くなって金利差は相殺されてしまうという考え方があります(金利平価説といいます)。この考え方に従うと、外国債券クラスの期待リターンは、結局、国内債券の期待リターンと同じということになります。
つまり、外債の高利回りは、運用通貨が安くなることで相殺されると考えられるため、為替リスクを取る価値がないのでは、ということです。
実は、金利(債券)と通貨は、両者を同時に考慮して、それぞれの価格(レート)が決まります。
ややテクニカルな話になりますが、通貨の先渡価格とスポット・レートの関係式「フォワード・パリティ」と、国内外の金利と先渡価格の関係式「カバー付き金利平価」が成り立てば、金利利益は通貨損失とちょうど等しくなり、相殺されます。この関係を「カバーなし金利平価」といいます。
参考>>FXの期待リターン、億り人になれる確率、破産する確率
したがって、理論上は、海外無リスク債券の収益率は、国内の無リスク債券の収益率と一致するはずなので、海外の高金利な無リスク債券に投資することに意味はない(為替リスクがあるぶんネガティブ)ということになります。
ただし、上記のような「外国債券投資は無意味」という主張には、いくつか前提があります。
1つは「カバーなし金利平価が実際に成り立つ」ということ。
もう1つが「外国債券は、為替影響を除いて、国内債券と同じリスクである」ということです。
「フォワード・パリティ」と「カバー付き金利平価」が成り立てば「カバーなし金利平価」が成り立ち、外国無リスク債券の期待リターンは国内無リスク債券の期待リターンと一致します。
カバー付き金利平価については、実際にかなり正確に成り立っているらしいのですが、実はフォワード・パリティが成り立つかについては諸説あります。
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フォワード・パリティは、実は投資家がリスクに対してリターンを要求しないという仮定しないと成り立たないので、おそらく現実にはあまり成り立っておらず、したがって金利・為替リターンはゼロではないと考えられます。
したがって、「外国債券の期待リターンは国内債券と同じで、為替リスクを余計に取っている」というのは、正しくない可能性があります。
仮にカバーなし金利平価が成り立ち、金利と通貨が相殺されるとしても、異なるリスクを持つ資産は当然ながらリターンも異なります。
つまり、安全資産に近い国内債券と、国家レベルで破綻する可能性がある外国の債券とでは、内在するリスクが異なるため、通貨変動考慮後のリターンも異なるのではないかいうことです。
たとえば、日本の国債とギリシャの国債が通貨変動を考慮したら同じ、と言われても、ギリシャ国債を通貨ヘッジ付きで買う人は少ないのではないでしょうか。
もし、外国債券インデックスに連動する投資信託が無リスク資産にのみ投資しているのであれば、通貨変動調整後のリターンは国内の無リスク債券のリターンに近いはずですが、海外の国債・債券には相応のクレジットスプレッドが載っていると考えられ、これを考慮すると外国債券の通貨変動考慮後のリターンが国内債券のリターンと一致するとは限りません。
「通貨変動考慮後での外国債券の期待リターンは国内債券とおなじくらい」と主張するには新興国債券のリターンが「ありえる話」であることを統計的に示す必要があります。
これについては深く検証していませんので、今後の課題とします。
今回得た結論は、
こんにちは、毛糸です。
【投信定点観測】2019年6月第2週(スタートから13週目)の損益の報告です。
今週末における含み損益は▲13,651円、損益率は▲0.82%(年率▲2.22%)です。
損益率に直すとこんな感じです。今週末の損益率は▲0.82%(年率換算で▲2.22%)です。
先進国株、日本株ともに週間でプラスリターンとなり、一旦は盛り返す展開です。
債券市場、とりわけ日本債券に関しては、国内の金利市場に目立った変動がなく、【投信定点観測】開始以来常に含み益をキープしています。対して外国債券は海外の金利動向に左右され比較的ボラタイルです。
しかし、特に外国債券に関しては、為替リスクを考慮すると投資するに値しないという考えもあります。
この点については下記書籍に解説がありますので、調べてみるといいでしょう。
【投信定点観測】開始以来の値動きを見ると、WealthNaviのほうが変動性が大きく、特に先週今週の値動きは激しいものでした。
TOPIXの週次騰落率が+1.27%ですので、珍しく逆方向に動いています。
アクティブファンドは銘柄の選別力をリターンの源泉としており、時には個別銘柄が全体の方向性とはズレて動くこともあります。
インデックスのアップサイドには連動し、ダウンサイドはヘッジするようなポートフォリオはなかなか作れないということなのでしょう。
リーマンショック以後、10年余りをかけ経済立て直しに成功したアメリカですが、ここに来て再び利下げ=金融緩和に動こうとしています。
経済全体レベルの変動の波を乗りこなすのはプロであっても至難の業です。
投資信託の積立投資はそうしたタイミングによるリスクを回避できる投資手法です。
引き続き、投資信託による「コツコツ」積立投資で、安定的な資産形成を目指していきます。
こんにちは、毛糸です。
2019年6月3日、金融庁金融審議会 市場ワーキング・グループが、『高齢社会における資産形成・管理』と題する報告書を公表しました。
参考>>金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書 の公表について
この表によれば、退職後の高齢夫婦世帯の1ヶ月の収入(年金等)は支出を超えており、赤字額の月5万円ほどを資産の取り崩しで対応する必要があると述べています。
この表は総務省家計調査をもとに作成されています。
老後までに2,000万円の根拠がわかったところで、この金額は果たして現役時代の貯蓄でまかなえるものなのでしょうか?
65歳時点で2,000万円を確保するには、現役時代(20歳から60歳)の40年間に、年50万円ずつ確保する必要がありますが、果たして可能な水準なのでしょうか。
年収水準がもう少し高い層(356〜498万円)の人は、月々の黒字が8.2万円あります。
これをすべて貯蓄に回せられれば65歳時点で4,428万円になり、それなりに余裕が持てることになります。
仮にすべて日本株に投資すれば65歳時点の投資時価の中央値は1億を超え、2,000万を確保できない確率は5%以下と、かなり安心の将来設計です。
というわけで、結論としては、2,000万確保したければ年収上げろ、ということかと思います。
(出所:総務省家計調査2018)
こんにちは、毛糸です。
手軽な投資手法として有名なドルコスト平均法は、専門家でもその有効性に関して評価が分かれており、分析するのは簡単ではありません。
分析が難しい理由は、対象とするデータ期間によって結果が変わってしまったり、確率論の手法が単純には適用できないためです。
参考記事>>ドルコスト平均法の検証が難しい理由
本記事ではこのような困難さを伴うドルコスト平均法に関して、シミュレーションによってその有効性を検証してみたいと思います。
検証の結果、ドルコスト平均法は一括投資に比べてリスク・リターンともに低くなり、また将来時点の損失確率が一括投資よりも大きくなることがわかりました。
検証には投資シミュレーションプログラムVer2を使用します。
参考記事>>積立投資をシミュレーションするプログラムを作った(投資シミュレーションプログラムVer2)
ドルコスト平均法と一括投資の比較をしたいので、使用する期待リターンとリスクは条件を揃えればなんでもいいのですが、ここでは年金の基本ポートフォリオの期待リターン4.57%と、リスクを示す標準偏差12.8%を使うことにします。レバレッジはかけません。
参考記事>>年金のリスクとリターンを統計プログラミング言語Rで計算してみた
投資月数は1年*12ヶ月=12ヶ月、総投資額は12万円です。
当初投資額0円、月1万円の積立投資をします。
1年後の資産額の期待値12.26万円、中央値12.26万円です。
1年後の資産額を総投資額で割ったトータルリターンは2.21%です。
1年後の資産額の標準偏差を総投資額で割ったトータルリスクは7.09%です。
1年時点で損失を被る確率は39.64%です。
当初投資額12万円の一括投資をします。
1年後の資産額の期待値12.57万円、中央値12.50万円です。
1年後の資産額を総投資額で割ったトータルリターンは4.80%です。
1年後の資産額の標準偏差を総投資額で割ったトータルリスクは13.36%です。
1年時点で損失を被る確率は38.11%です。
投資月数は10年*12ヶ月=120ヶ月、総投資額は120万円です。
当初投資額0円、月1万円の積立投資をします。
10年後の資産額の期待値151.46万円、中央値146.30万円です。
10年後の資産額を総投資額で割ったトータルリターンは26.22%です。
10年後の資産額の標準偏差を総投資額で割ったトータルリスクは31.63%です。
10年時点で損失を被る確率は20.04%です。
当初投資額120万円の一括投資をします。
10年後の資産額の期待値189.57万円、中央値173.92万円です。
10年後の資産額を総投資額で割ったトータルリターンは57.97%です。
10年後の資産額の標準偏差を総投資額で割ったトータルリスクは66.69%です。
10年時点で損失を被る確率は17.58%です。
投資月数は30年*12ヶ月=360ヶ月、総投資額は360万円です。
当初投資額0円、月1万円の積立投資をします。
30年後の資産額の期待値765.48万円、中央値673.64万円です。
30年後の資産額を総投資額で割ったトータルリターンは112.63%です。
30年後の資産額の標準偏差を総投資額で割ったトータルリスクは108.04%です。
30年時点で損失を被る確率は7.39%です。
当初投資額360万円の一括投資をします。
30年後の資産額の期待値1406.71万円、中央値1099.39万円です。
30年後の資産額を総投資額で割ったトータルリターンは290.75%です。
30年後の資産額の標準偏差を総投資額で割ったトータルリスクは310.57%です。
30年時点で損失を被る確率は5.53%です。
投資月数は50年*12ヶ月=600ヶ月、総投資額は600万円です。
当初投資額0円、月1万円の積立投資をします。
50年後の資産額の期待値2286.82万円、中央値1820.05万円です。
50年後の資産額を総投資額で割ったトータルリターンは281.31%です。
50年後の資産額の標準偏差を総投資額で割ったトータルリスクは284.51%です。
50年時点で損失を被る確率は2.75%です。
当初投資額600万円の一括投資をします。
50年後の資産額の期待値5794.77万円、中央値3921.94万円です。
50年後の資産額を総投資額で割ったトータルリターンは865.79%です。
50年後の資産額の標準偏差を総投資額で割ったトータルリスクは1072.02%です。
50年時点で損失を被る確率は1.93%です。
この結果から、次のようなことがわかります。
ドルコスト平均法と一括投資のどちらの方法によっても、投資年数が長くなればなるほど、トータルのリターンとリスクは大きくなります。
ときおり「長期投資は安全」という主張を目にしますが、将来時点の資産の変動性をリスクと呼ぶ限りにおいて、長期の投資はリスクを増大させます(その裏でリターンという報酬も大きくなります)。
参考記事>>長期投資は【安全ではない】ことをシミュレーションで証明する
投資期間が同じならば、ドルコスト平均法よりも一括投資の方がリターン・リスクともに高いです。
これは、投資総額が同じであれば、ドルコスト平均法のほうが資金の待機時間が長く、リスクにさらされる期間と金額が小さくなるためです。
投資期間が短ければ、おおよそドルコスト平均法の2倍程度が一括投資のリターン・リスクになりますが、期間が長くなればなるほど複利の効果によって幅が大きくなってきます。
損失確率についてまとめたのが以下の表です。
この表からわかることは、①投資が長期になるほど損失確率は小さくなる、②ドルコスト平均法よりも一括投資の方が損失確率が低い、ということです。
投資年数が同じであれば一括投資の方がハイリスク・ハイリターンですが、損失確率という別の「リスク(危険性)」の尺度で考えると、一括投資の方が安全である(損失が生じにくい)ということは驚きに値します。
モンテカルロ法を用いた投資シミュレーションプログラムによって、ドルコスト平均法と一括投資の比較を行いました。
結論として
資金の出入りを反映させるに伴い、まず期間を原則として月数とするようにし、投資月数をhorizonという変数に格納します。
#投資年数(自由入力) Year<-1 #1年あたりの月数(通常は12) Month_par_year<-12 #投資月数 horizon<-Year*Month_par_year#monthes
また、投資期間中の資金の出入りを、inv_schedule変数に格納します。たとえば、毎月1万円の積立投資を行う場合には、指定した数字を繰り返す関数rep()を用いて、以下のように記述します。
#投資スケジュールを入力(自由入力) inv_schedule<-rep(1,horizon)
投資のリスク・リターンも、月次ベースに直します。
#年率期待リターン(期待収益率μ、自由入力) mu<-7/100 mu_par_month<-mu/Month_par_year #年率リスク(標準偏差σ、自由入力) sigma<-12.88/100 sigma_par_month<-sigma/(Month_par_year)^0.5
シミュレーションを行う繰り返し計算の部分に、前述のinv_scheduleの各要素を足すように変更します。
#シミュレーション開始 for (s in 1:sample){ for ( t in 1:horizon){ #撤退していれば計算を飛ばす if(W[s]==1) break #今年の資産額=前年の資産額*(1+レバ比率*収益率) A[s,t+1]<-A[s,t]*(1+Lev*z[s,t])+inv_schedule[t] #もし資産額が撤退額を下回ったら撤退目印を立てる if(A[s,t+1]<Withdraw)W[s]<-1 } }
#投資年数(自由入力) Year<-1 #1年あたりの月数(通常は12) Month_par_year<-12 #投資月数 horizon<-Year*Month_par_year#monthes #シミュレーション回数(自由入力、多いほど正確だが時間がかかる) sample<-1000 #シミュレーション数値を格納する行列 A<-matrix(0,sample,horizon+1) #初期投資額を入力(自由入力) initial<-1000 #投資スケジュールを入力(自由入力) inv_schedule<-rep(1,horizon) #シミュレーション数値に初期投資額を入力 A[,1]<-initial #年率期待リターン(期待収益率μ、自由入力) mu<-7/100 mu_par_month<-mu/Month_par_year #年率リスク(標準偏差σ、自由入力) sigma<-12.88/100 sigma_par_month<-sigma/(Month_par_year)^0.5 #レバレッジ比率 Lev<-1 #撤退をカウントする目印 W<-rep(0,sample) #撤退額を設定 Withdraw<-0 #乱数を生成(ランダムな投資収益率) set.seed(1234) x<-rnorm(sample*horizon,mu_par_month,sigma_par_month) #乱数(ランダムな収益率)を行列形式に変換 z<-matrix(x,sample,horizon) #シミュレーション開始 for (s in 1:sample){ for ( t in 1:horizon){ #撤退していれば計算を飛ばす if(W[s]==1) break #今年の資産額=前年の資産額*(1+レバ比率*収益率) A[s,t+1]<-A[s,t]*(1+Lev*z[s,t])+inv_schedule[t] #もし資産額が撤退額を下回ったら撤退目印を立てる if(A[s,t+1]<Withdraw)W[s]<-1 } } #シミュレーション結果の期待値を表示 paste(Year,"年後の資産額の期待値は",mean(A[,horizon+1])) #シミュレーション結果の中央値を表示 paste(Year,"年後の資産額の中央値は",median(A[,horizon+1])) #損する確率を表示 paste("損失を被る確率は",length(A[,horizon+1][A[,horizon+1]<initial])/sample) #億り人になれる確率を表示 paste("億り人になれる確率は",length(A[,horizon+1][A[,horizon+1]>10000])/sample) #破産する確率を表示 paste("破産する確率は",sum(W)/sample) #将来の資産額の確率分布(ヒストグラム)を表示 hist(A[,Year+1])
こんにちは、毛糸です。
ドルコスト平均法は投資手法の一つであり、決まった期間ごと(たとえば一ヶ月ごと)に一定の金額を投資することを指します。
ドルコスト平均法は投資の平均買い付け価格を下げる効果があるとされています。
しかし、ドルコスト平均法が投資手法として優れているのかというのは、学術的には肯定的な意見も否定的な意見もあり、科学的に立証された方法ではありません。
資産運用の初心者におすすめの入門書『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』には、ドルコスト平均法について、
三流ファイナンシャルプランナーが書いたんじゃない?
早めに買ってお金に働いてもらう期間が長いほうが、現時点の判断としては正しい。
と書かれており、ドルコスト平均法に否定的です。
このように、専門家の間でもドルコスト平均法の有効性については判断が分かれています。
こういうケースにおいては、ドルコスト平均法によって、買い付け単価の平均は小さく抑えられます。
出典:三井住友DSアセットマネジメントhttps://www.daiwasbi.co.jp/fundcollege/investment/about/index4.html
したがって、特定期間のデータに依拠したドルコスト平均法の分析は説得力にかけるものがほとんどです。
データ期間に依存しない一般的なケースでの分析が難しいことが、ドルコスト平均法の分析を難しくする要因のひとつとなっています。
計算によって、この購入量もまた、対数正規分布に従うことがわかります。
数式で書くと、時点\( t\)において資産価格が\( S_t\)だったときに、一定額\( A\)を投資したときの購入量\(Q_t \)は、以下のように表すことができ、これは対数正規分布に従います。
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