数学

超一般化中心極限定理と株式リターン

こんにちは、毛糸です。

先日こんなつぶやきをしました。

本記事では株価リターンを題材に、確率論における中心極限定理とその一般化についてまとめます。

中心極限定理とその一般化

「独立同分布の確率変数の和は正規分布に従う」というのが中心極限定理のざっくりとした内容です。

中心極限定理は確率論における重要な定理であり、それが成立するための前提条件がもちろんあります。

ある定理を、より広い範囲に適用できるようにしたり、前提条件を緩めたりした場合にも成り立つことを示す、というのは、数学においてはよく行われます。

こうした「一般化」は中心極限定理についても存在し、一般化中心極限定理という「拡張版の中心極限定理」では、確率変数の和は正規分布ではなく、べき乗則をもつ安定分布に従うことが示されます。

正規分布に従わない株価リターン

株式リターンの実際の分布は、正規分布よりも「レアな値が出やすい」ものであり、統計的には正規分布に従いません。

【参考記事】
日本株式、米国株式、欧州株式、全世界株式の日次リターンが正規分布ではなかった件

ファイナンスの多くの理論では、リターンの正規性を仮定して結論を導いていますから、実際のリターンが正規分布ではないことについて危機感を覚える人もいるでしょう。

しかし実は正規分布でないケースにも、多くの理論は成り立ちます。

【参考記事】
株価リターンが正規分布でなくてもファイナンス理論は成り立ちます!

べき乗則と一般化中心極限定理

正規分布でなければ何なのだ、ということで注目されているのが、「べき乗則」を持つ分布です。

リターンが正規分布に従うとき、「レアな」リターンが実現する確率は、期待リターンから遠くなればなるほど急激に減っていきます。

しかし実際には、「レアな」リターンはそれほど急激に減っていくものではなく、「べき乗則」というゆったりとした減り方をしているという研究があります。

一般化中心極限定理の帰結として得られる安定分布はこのべき乗則に則った確率分布であり、実際の金融データへの当てはまりの良さが期待されています。

冒頭で述べた超一般化中心極限定理は、これを更に広範囲に拡張した定理のようです。

株価リターンに正規分布を仮定する理由

こんにちは、毛糸です。

先日こちらの記事で、日本株を始めとして株価リターンが正規分布に従っていないことを指摘しました。

【参考記事】
日本株式、米国株式、欧州株式、全世界株式の日次リターンが正規分布ではなかった件


多くの金融理論において、リターンは正規分布に従うという仮定がおかれています。

本記事では主に確率過程論の立場から、なぜこのような仮定がおかれているのかを説明します。

株価ではなくリターンをモデル化する

まず前提としてあるのは、株価は負にならない、ということです。

株価は会社財産の請求権であり、制度上追加的な支出を強制されることはない(株主にキャッシュアウトの義務はない)ので、価格は常に正になります。

したがって、株価をモデル化するにあたっては、価格が常に正値をとるような関数として定義するのが適切です。

指数関数\( y=e^x\)は実数\( x\)がどんな値をとっても正値をとるため、株価を表す関数として適切と考えられます。

時点\( t\)における株価\(S_t \)を

\begin{equation} \begin{split}
S_t=S_0 e^{Z_t}
\end{split} \end{equation}
と表すと、株価は常に正値をとり、さらに指数の肩の\( Z_t\)は株価の幾何リターン(対数リターン)を示すという「よくできた」形になります。

したがって、正値をとる株価をモデル化するときには、株価\( S_t\)そのものではなく、収益率(幾何リターン)\( Z_t\)を確率過程として考えるのが好都合なのです。

市場が効率的で、過去の情報から収益率が予測できないという立場に立つと、独立増分性をもつ確率過程がよさそうということになります。

もしリターンの分布が時点に依らないと考えるなら、時間的一様性という性質を考えるのが適切です。

このとき、リターンを表す確率過程はレヴィ過程になります。

レヴィ過程は、連続なふるまいを決めるドリフトとGauss分散行列と、ジャンプの振る舞いを決めるレヴィ測度が決まると一位に定まる、という著しい性質があります。

特に見本経路が連続であるとき、レヴィ過程はドリフト付きブラウン運動になります。

したがって、収益率が独立増分で時々刻々取引が行われジャンプがないような株価のリターンは、数学的にはブラウン運動くらいしかないのです。

連続複利ベースの収益率がブラウン運動なら、価格は当然幾何ブラウン運動ということになります。

つまり、株価とリターンにふさわしい性質を検討していった結果、候補として残るのは、リターンが正規分布に従うようなもの(=ブラウン運動)しかない、ということです。

会計学と情報理論の融合、そして「会計学の基本定理」

「会計学の基本定理」という定理をご存じでしょうか。

「基本定理」とは数学のある分野で、極めて重要な意味を持つ中心的な命題につけられる名称です。代数学の基本定理や微積分学の基本定理などが有名です。

しかし、会計学にもそうした定理があることを知っている方は少ないでしょう。

今回はそんな「会計学の基本定理」について簡単にまとめます。

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「AIで会計士の仕事(監査)はなくなるのか」に対するひとつの数理的整理

こんにちは、毛糸です。

AI(人工知能)という言葉が広く知られるようになり、Deep learningのようなブレイクスルーがビジネスにも応用されつつあります。

AIは時折「人間の仕事を奪う」という文脈で脅威的な存在として語られることもあり、2013年のカール・ベネディクト・フレイとマイケル A. オズボーンの論文
「THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?」(pdfリンク)

では多くの職業がコンピュータに取って代わられる可能性があることが示されています。

論文内に示される代替確率ランキングでは、Bookkeeping, Accounting, and Auditing Clerks(簿記、会計および監査職員)は702の職業のうち、代替確率が低い順に671位、代替されやすさでいえば31位に上がっています。

こうした状況の中で「AIで会計士の仕事(監査)はなくなるのか」という話題がしばしば取り上げられます。

本記事ではこの問いに対して、会計の数理モデルに基づく整理を述べ、AIによる監査の代替について考察します。

プログラム可能な監査領域は容易に代替可能

現在のAIの実態は、コンピュータ言語によるプログラムないしアルゴリズム(計算手順)です。

AIによって代替できる仕事は、それがプログラム可能であることが必要条件です。

したがって、監査のうち、プログラム可能な手続きならば代替可能、そうでない部分は不能ないし困難です。

また、代替可能=代替実行ではないことにも注意が必要です。

代替可能であっても、コストベネフィットの観点から、代替しないことはありえ、そこには必ず経済性が求められます。

以下では会計と監査を数理モデルとして単純化し、その構成要素がプログラム可能であるかどうかを考えることで、監査がAIによって代替可能なのかどうかを判断します。

写像としての会計

会計\( A\)を「経済活動\( \Omega\)から会計情報\( B\)への写像」と考えましょう。

「会計は写像である」というのは会計学の常套句で、会計学の有名なテキスト『財務会計講義』にも以下のような記載があります。

会計はこのような経済活動を所定のルールに従って測定し、その結果を報告書にとりまとめる。したがってその報告書は、経済活動という実像を計数的に描写した写像である。

会計は、経済活動を報告書に対応付ける写像(関数)のようなものである、ということです。

会計学を写像と定義した場合、会計は確率論のアナロジーとして捉えることができます。

【参考記事】
確率論のアナロジーとしての会計学と、それらの重要な差異

会計規則を写像\( A:\Omega\to B\)と考えたとき、ある経済活動\( \omega\in\Omega\)に対して、会計情報\(b\in B \)を対応させる経営者の主張に対して、

\( b=A(\omega)\)であることを立証するのが監査である、と捉えることができます。

経営活動、会計写像、会計情報のプログラム可能性

会計情報\( b\)は、試算表や有価証券報告書という形式を通じてデータとして扱うことができ、プログラム可能です。

したがって、経済活動\( \omega\in\Omega\)と会計規則\( A\)がプログラム可能ならば、監査はプログラム可能であると言えます。

企業の経済活動\( \omega\in\Omega\)がプログラム可能か?というのはたとえば

「商品を売った」という経済活動(収益認識を伴う営業活動)と

「商品を売った(実はあとで返品する約束をしていた)」(商品担保借入としての財務活動)という経済活動を、

全く別の経済活動としてプログラム言語として記述可能か、というような話です。

会計規則\( A\)がプログラム可能か、というのは、たとえば

「仮想通貨という全く新しい資産(と呼べるかすらわからない対象)を貸借対照表にいくらで載せるべきか」

というような、今までにない経済活動を会計情報として表現するルールがプログラム言語として記述可能か、というような話です。

プログラム可能と思われる経済活動と会計規則の例をあげましょう。

債権債務関係を示す契約書が電子化されており(経済活動\( \omega\)がプログラム可能であり)、

債権債務はその金額を資産負債の額とするというルール(会計規則\( A\)がプログラム可能である)ならば、

財務諸表における債権金額\( b\)が会計基準の要請\( A(\omega)\)に一致しているか否かをコンピュータが判断することができるため、コンピュータによって監査を行うことは可能です。

実際、確認状プラットフォームなどの環境が整えば、これに近いことが行われると考えられます

会計のプログラム不可能性

しかし、複雑化する企業の経済活動\( \omega\in\Omega\)がすべてプログラム可能とは到底思えないうえに、

あらゆる経済活動に細則的な会計規則\( A\)を設定することは現実的でないので、

これらをすべてプログラムするのは不可能(むしろこれら大部分はプログラム不能)と言って良いでしょう。

したがって、監査が完全にAIに代替されることはないと結論付けられます。

追記

経済活動\( \Omega\)と会計写像\( A:\Omega\to B \)がプログラム可能であれば機械に代替可能、といいましたが、\( A\)はプログラム可能である必要はないかもしれません。

経済活動\( \Omega\)と会計情報\( B\)がプログラム可能なデータであれば、写像\( A\)はDeep Learningなどの関数近似器を使って学習させられる可能性があります。

ただ、この写像がその時点での「あるべき」会計であるかはわかりません。

例えば、100円で商品を掛売りしたとき

(売掛金,売上)=(100,-100)

という仕訳を切るのが現在の会計慣行ですが、

経済全体が困窮してきて

「売上にかかる信用コスト分は収益認識しない」

というような会計基準が適用された場合に、従来の会計処理から学習した「近似会計写像」による会計情報は、もはやあるべき会計情報ではなくなります。

実際、金融商品会計では、従来明示的に扱われてこなかった取引相手の信用リスクを、金融商品の時価に織り込む(CVAと呼ばれます)流れになっており、会計基準はその時々の実務的要請に従います。

機械に代替されるであろう会計士の仕事

経済活動と会計ルールがプログラム可能で、かつ機械に代替させることで監査人の利潤が高まるなら、その部分は代替が進むと考えられます。

仕訳テストなどはその好例です。

従来人間がデータベース管理ソフトを用いてあれこれ行ってきた仕訳分析が、AI(とまで言わずとも簡単なプログラム)で代替される動きはかなり進んでいます。

プログラム可能でコストベネフィットの高い領域は、合理的な組織であれば躊躇なくコンピュータに代替されるものと思われます。

来るべきAI社会に向けて、新しい技術を正しく理解し、脅威ではなくビジネスツールとして役立たせることができれば、移り変わる社会の荒波にも飲まれることなく進めることでしょう。

会計と保険数理のとある類似|「サープラス」について

こんにちは、毛糸です。

最近、企業は配当をどのように決定しているのか?という疑問をよく考えます。

その疑問に答えるべく、経済学的なモデルを使って分析を行っているのですが、その中で会計と保険数理の共通点に気づきました。

会計と保険は「サープラス」というキーワードを、全く同じ概念として共有しています。

本記事では配当(dividend)をいくら支払うかという問題を、企業会計と保険数理の面から考えたときに現れる「サープラス」という共通点についてまとめます。

会計学におけるクリーンサープラス関係

企業(株式会社)の会計ルールにおいて、配当は純資産を分配する性格をもちます(実態としては現預金の支払いです)。

第\( t\)期の純資産額を\( B_t\)と表すことにすると、\( B_t\)は前期の純資産額\( B_{t-1}\)にその期の利益\( e_t\)を加え、そこからその期の配当\( d_t\)を支払ったのこりが\( B_t\)になるという関係が考えられます。

\begin{equation} \begin{split}
B_t=B_{t-1}+e_t-d_t
\end{split} \end{equation}

この関係をクリーンサープラス関係(Clean Surplus Relation)と言います。

サープラスとは「余剰」を意味し、会計学では資産から負債を引いた余剰、つまり純資産の変動が、利益と配当以外で「汚されていない(クリーンな)」状態を表しています。

日本の会計基準には、一部利益を介さず直接純資産を増減させる取引(その他有価証券評価差額金など)がありますので、クリーンサープラス関係は成り立っていませんが、会計数値と配当というキャッシュフローを結びつける関係式として重要です。

保険数理におけるサープラス過程

保険数理においては、保険会社の保険料収入から保険金の支払いを引いた残りをサープラスやリザーブと呼びます。
時点\( t\)におけるサープラス\( r_t\)は、取引開始時点のサープラス\( r_0\)に、それまでの累積保険料収入\( p(t)\)を加え、累積保険金支払い額\( U(t)\)を引いた額として決まります。
\begin{equation} \begin{split}
r_t=r_0+p(t)-U(t)
\end{split} \end{equation}

保険契約においては保険料収入のうち保険金支払いに充てられなかった超過分を配当として支払うものもあります。

この場合、サープラス\( r_t\)の一期前からの変化は、配当を\( d_t\)とすると

\begin{equation} \begin{split}
r_t=r_{t-1}+\Delta p(t)-\Delta U(t)-d_t
\end{split} \end{equation}

と表されます。\( \Delta p(t)\)と\( \Delta U(t)\)はそれぞれ、累積保険料と累積保険金支払い額の差分です。

このようにして決まるサープラスの列\( \left\{ r_t\right\}\)は、サープラス過程と呼ばれ、配当決定や倒産確率の計算に用いられます。

2つの「サープラス」の共通点

会計におけるクリーンサープラス関係

\begin{equation} \begin{split}
B_t=B_{t-1}+e_t-d_t
\end{split} \end{equation}
と、保険数理におけるサープラス過程の変動
\begin{equation} \begin{split}
r_t=r_{t-1}+\Delta p(t)-\Delta U(t)-d_t
\end{split} \end{equation}
は、その構造が極めて類似しています。

クリーンサープラス関係における利益\( e_t\)を、収益\( R_t\)と費用\( C_t\)とに分解して

\begin{equation} \begin{split}
B_t=B_{t-1}+R_t-C_t-d_t
\end{split} \end{equation}
と表現すれば、さらに対応関係がはっきりするでしょう。

「余剰の分配」という意味では、企業会計における配当も、保険契約における配当も、全く同じということがわかります。

これまでの・今後の研究

保険契約における配当をいかに決定するかという問題は比較的古くから、保険数理の問題として研究されており、クラメル・ルンドベルイモデルなどが有名です。

一方、企業会計における最適な配当に関する研究はそれほど進んでいないようです(MMの配当無関連性命題という古典的な結果はあります)。

いずれの問題も、最近は経済学の枠組みのなかで統一的に議論されており、確率制御問題の応用としての期待効用最大化問題の解として、最適配当が決定されます。

本ブログの記事「保険数理と金融工学の融合について」では、保険とファイナンスの接近についてまとめていますので、興味のある方は合わせて参照してみてください。

保険数理におけるサープラス過程と最適配当に関しては、Taskar2000 “Optimal risk and dividend distribution control models for an insurance company“に詳しく論じられています。

【数学ガール】社会人の数学再入門に

こんにちは、毛糸です。

最近私の周りで、数学を勉強したいという社会人が増えています。

私が主催する勉強会でも、数学に関するトピックを扱うことも増えており、数学再入門への意識の高まりを感じています。

【参考記事】
まだ数学から逃げてるの?これからのビジネスと数学

この記事では、社会人の数学再入門としておすすめする数学ガールシリーズを紹介します。

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ヘッジ・ポートフォリオとオプション評価の考え方を簡単に解説する

こんにちは、毛糸です。

私がファシリテーターを務める「モンテカルロ法によるリアル・オプション分析」輪読会で、ヘッジ・ポートフォリオと無リスク金利での割引についての質問をいただきました。

本記事では、

  • ヘッジ・ポートフォリオとはなにか
  • ヘッジ・ポートフォリオの収益率と裁定取引
  • ヘッジ・ポートフォリオでオプション価格が求まるのはなぜか

について説明します。

ヘッジ・ポートフォリオとはなにか

そもそも「ポートフォリオ」というのは、いくつかの証券(株式や債券)のまとまり、もしくは組み合わせのことです。

トヨタ株とホンダ株を1枚ずつ保有するポートフォリオや、TOPIX連動投資信託1単位と個人向け国債1万円を保有するポートフォリオなど、さまざまなポートフォリオが考えられます。

証券投資において、ポートフォリオを組むと、リスクが下がることが知られています。

これを分散効果といい、投資の基本中の基本です。

【参考記事】
>>「リスクをとる」とは何か?よくある誤解と本当の意味。

オプションの価格を知りたいときには、株式とオプションのポートフォリオを考えると都合がよいことが、長年の研究により明らかになりました。

実は、株式とオプションを「上手く」組み合わせることで、そのポートフォリオの価格変動をなくすことができます。

株価の値上がり・値下がりに影響を受けず、値動きを回避(ヘッジ)するような株式とオプションのポートフォリオを、ヘッジ・ポートフォリオといいます。

ポートフォリオのペイオフ(キャッシュフロー)は当然、株式のペイオフとオプションのペイオフの和になります。

ヘッジ・ポートフォリオの収益率と裁定取引

株式とオプションを「上手く」組み合わせて、ポートフォリオの値動きが完全にヘッジできるようになったとすると(つまりヘッジポートフォリオが値動きなしになったとすると)、果たしてヘッジ・ポートフォリオのリターンはどうなるでしょうか?

値動きを完全にヘッジしたポートフォリオは、価格変動がないという意味で、無リスクです。

無リスクということは、ヘッジ・ポートフォリオの収益率は無リスク利子率に一致するはずです。

なぜヘッジ・ポートフォリオの収益率は無リスク利子率に一致するのか

もしヘッジ・ポートフォリオの(無リスクの)収益率\( r_1\)が、無リスク利子率(安全資産の利子率)\( r_f\)より高ければ、

安全資産を売って、そのお金でヘッジ・ポートフォリオを作ることで、無リスクなしに\( r_1-r_f\)を稼ぐことができてしまいます。

無リスクで(絶対に)\( r_1-r_f>0\)を稼げるなら、持っているお金をすべてこの投資戦略につぎ込むような人がたくさん現れるでしょう。

この投資戦略に従えば、例えば\( 100\)億円の資金を持ってる人は「確実に」「絶対に」\( 100(r_1-r_f)\)億円稼げるわけです。

みんながこの戦略(ヘッジポートフォリオを買って、安全資産を売る戦略)をとると、当然ながら安全資産の価格は下がります。需要より供給が多くなるからです。

価格が下がると、将来返ってくる金額は一定なので、安全資産の収益率があがります。

つまり\( r_f\)が大きくなります。

最終的にはこの投資戦略の「うまみ」がなくなるまで\( r_f\)が上がります。

つまり\( r_1=r_f\)になるような水準に落ち着きます。

したがって、ヘッジ・ポートフォリオの収益率\( r_1\)は安全資産の収益率\( r_f\)と一致します。

このような取引は裁定取引(アービトラージ)といい、裁定取引が行えるような状況を裁定機会といいます。

取引が自由に行われる市場においては、裁定機会は瞬時に消滅すると考えます。

ヘッジ・ポートフォリオでオプション価格が求まるのはなぜか

ヘッジ・ポートフォリオは無リスクなので、ヘッジ・ポートフォリオから得られる将来収益を現在の価値に割り引くときには、無リスク金利を割引率として用いるのが適当です。

ヘッジ・ポートフォリオは株式とオプションの組み合わせで収益が決まり、その金額は前もって知ることができます。

この将来の収益額を\( V\)と表すことにしましょう。

現在価値は

\begin{equation} \begin{split} \frac{ V}{ 1+r_f}
\end{split} \end{equation}
です。

さて、ヘッジ・ポートフォリオは株式とオプションの組み合わせですから、ヘッジ・ポートフォリオの現在価値は株式の価格\( S\)とオプションの価格\( C\)を「適当な」比率\( 1:\omega\)で組み合わせたあわせた\( S+\omega C\)でもあるはずです。

以上のことから、

\begin{equation} \begin{split}
\frac{ V}{ 1+r_f}=S+\omega C
\end{split} \end{equation}
という関係が成り立ちます。

そもそもヘッジ・ポートフォリオというものを考えた理由は、オプションの価格\( C\)を知りたいからでした。

上の式を変形すると、オプションの価格\( C\)は

\begin{equation} \begin{split}
C=\frac{ 1}{ \omega}\left( \frac{ V}{ 1+r_f}-S\right)
\end{split} \end{equation}

として求められることになります。

こうして、ヘッジ・ポートフォリオを考えることによって、オプションの価格が求められました。

まとめ

本記事ではオプション価格評価において重要となるヘッジ・ポートフォリオの考え方について説明しました。
金融や投資の知識と、数学の知識が必要になる難しい分野ですが、一つ一つの用語の意味をしっかり掴んで、イメージを持ちながら論理を追っていきましょう。

参考文献

クロネコヤマトとP≠NP予想

こんにちは、毛糸です。

先日、こんなつぶやきが話題になりました。

このツイートのなかで「NP困難」という言葉が使われています。

調べてみると、この話題は「P≠NP予想」という数学の未解決問題に関係する話であることが分かりました。
本記事ではクロネコヤマトのプログラミングコンテストに関連する「計算理論」という数学の概念を概観し、このプログラミングコンテストがどんな問題に挑戦するものなのか、P≠NP予想という未解決問題とどんな関係があるのかについてまとめます。

なお、直感やイメージを大事にするために、数学的な厳密さを欠く部分がありますので、詳しく勉強したい方はテキスト等を参照してください。

計算理論とはなにか

NP困難という用語は、計算理論という数学の一分野における用語です。
計算理論とは「計算」を数学的に定式化し、コンピュータのような計算機と、計算機による計算手順(アルゴリズム)について考えることで、ある問題が「計算」可能かどうか、可能であるならそれはどの程度複雑なのか、といった問題を扱う分野です。
ある計算がどの程度複雑なのかという問題は、計算複雑性理論と呼ばれています。
計算複雑性理論では、データが\(n \)個与えられたときに、計算量が\( n\)と比べてどれくらいの大小関係なのか、ということを考えます。
たとえば、ばらばらに並べられた\(n\)個の自然数を昇順に並べる場合に、
隣どうしの数字の大小を比較して、昇順に並び替える
という手順(アルゴリズム)を考えたとき、並び替えの回数は\(n(n-1)/2\)回を超えることはないということがわかります。
これは「おおよそ」\(n^2\)と同程度の複雑さと考えることができます(これくらいのアバウトさでも十分意味のある分析になります)。

このように、計算複雑性理論では、データ数に関連してその複雑性を定量な尺度で評価します。

多項式時間アルゴリズムとクラスP、クラスNP

あるアルゴリズムがデータ数との関連でどれだけ時間がかかるか、という問題を考えたとき、ある多項式で表せる時間以内で解けるようなアルゴリズムを、多項式時間アルゴリズムといいます。

>>多項式時間-Wikipedia

多項式時間で解けるといったときには、解くための時間が天文学的な数字にはならない(現実的な計算時間に収まる)と考えてよいでしょう。
多項式時間アルゴリズムで解ける問題は、クラスPと呼びます。

また、ある問題の答えが「yes」だとわかったとき、それが本当に正しいのかを多項式時間で判定できる問題を、クラスNPと呼びます。

>>NP-Wikipedia

ある問題がNPである、といったときには、その問題の答えが与えられたときに、膨大な計算を要さずに答え合わせができる、と考えてよいでしょう。

NP困難な問題と巡回セールスマン問題

NPに属する問題(多項式時間で答え合わせができる問題)と同等、もしくはそれ以上に難しい問題を、NP困難な問題といいます。

NP困難な問題は、その検証に膨大な計算を要する場合があります。

NP困難な問題として有名なものに「巡回セールスマン問題」というのがあります。
巡回セールスマン問題とは、いくつかの目的地を巡回するセールスマンが、もっとも短い移動距離を達成するには移動したらよいか、を考える問題です。

巡回セールスマン問題はNP困難、つまり多項式時間では解けない複雑な問題であるということです。

ヤマト運輸プログラミングコンテスト

冒頭でとりあげたヤマト運輸は、AtCoderというプログラミングコンテストサイトで、巡回セールスマン問題と思われる問題を出題しています。

ヤマト運輸プログラミングコンテスト2019

その問題の概要は以下のとおりです。

本コンテストでは、私たちの取り組む課題の一つとして「宅配ドライバーの配達ルートの効率化」をテーマとして取り上げ、配達ルートの最適化問題を含む2問を出題いたします。

配達ルートの最適化という言葉から類推するに、ヤマト運輸の出題する問題はおそらく巡回セールスマン問題に何らかの実際的な制約を課した問題なのでしょう。
ヤマト運輸はこの問題の良い解決策が得られれば、彼らの物流ビジネスの効率化につながります。
しかし、巡回セールスマン問題は多項式時間では解けそうにない(計算量が膨大になる)問題ですので、ヤマト運輸の課題も、解くのは容易ではないと予想されます。

なお、このヤマト運輸はこのプログラミングコンテストについて、著作権を譲渡することを求めており、これがちょっとした批判の的になってるようです。

P≠NP予想

計算複雑性理論には、数学上の未解決問題が残されています。
それが「P≠NP予想」です。
P≠NP予想はクレイ数学研究所のミレニアム懸賞問題の一つとして100万ドルの懸賞金がかけられた未解決問題で、
クラスP(多項式時間で判定できる問題)とクラスNP(多項式時間で答え合わせができる問題)とは一致しない
という予想です。
>>P≠NP予想-Wikipedia
「PならばNP」(判定できるなら答え合わせができる)は真なので、PはNPに含まれる(P⊆NP)ことはわかります。
しかし、PだけれどもNPでないような問題があるかどうか(つまりPはNPの真部分集合になるか、多項式時間では判定できないけど答え合わせならできる問題があるか)はまだ誰も証明したことがなく、未解決の問題となっているのです。

まとめ

計算理論における、多項式時間やクラスP、NPといった用語をまとめながら、NP困難な問題である巡回セールスマン問題とヤマト運輸のプログラミングコンテストの内容について説明しました。
この分野においては「P≠NP予想」という数学上の未解決問題があります。
ヤマト運輸のプログラミングコンテストでP≠NP予想が解決できるわけではありませんが、計算理論の「実践」のすぐ近くに、数学の未解決問題があるというのは、ロマンを感じませんか。

参考文献

本記事の内容(計算理論やアルゴリズム、P≠NP予想)に興味を持たれた方は、下記書籍が大変参考になります。読み物としても数学書としても楽しめる名著です。

保険数理と金融工学の融合について

こんにちは、毛糸です。

先日こんな論文を見つけました。
>>金融と保険の融合について(PDFリンク)

私は大学院で金融工学について研究しており、社会人になってからアクチュアリー(保険数理人)を目指そうと思ったこともあったため、とても興味深く思い読んでいます。

本記事ではこの論文で解説されている「保険数理と金融工学の融合」について、最近の研究にも触れながらコメントしたいと思います。

保険数理とはなにか

私たちは、人間の生死や事故などの予測不能なアクシデントに備えるために、保険に加入します。

保険は「万が一」に備えて多くの人がお金を出し合い、不幸に見舞われた人を保障する仕組みです。

保険に加入すると保険料を支払わねばなりませんが、この保険料はどのように決めるべきかを主な関心事として、数理的な分析を行うのが、保険数理という分野です。

保険数理を生業としている専門職はアクチュアリーと呼ばれ、極めて難易度の高い資格となっています。

金融工学とはなにか

私たち家計や企業は、自分の資産を運用したり、必要な資金を調達するなどして暮らしています。資金の貸し借りや投資は金融活動と呼ばれ、経済の潤滑油に例えられます。

お金を持っている主体が企業にお金を託す行為は証券投資として広く認知されていますが、企業がその事業に成功するかどうか、将来を完全に予測することはできません。

こうした不確実な金融に関する事柄について、いかに効率よく資金を利用できるか、どうしたらリスクを回避できるのかという課題を、数学を用いて解決する学問が、金融工学です。

金融工学のスペシャリストのことをクオンツと呼び、数学や物理学の研究者が、一時期金融界を席巻しました。

 

保険数理と金融工学の共通点

保険数理も金融工学も、将来を完全に予見することはできない、という考え方に基づいています。

どちらも、予測不能なランダムな現象と、それに伴う将来のお金の出入りに関する分析を行います。

分析のツールとなるのが、確率論(確率過程論、確率解析学)や統計学です。

つまり、保険数理も金融工学も、不確実な将来のリスクに紐付いたキャッシュフローを巡って、数学を武器として立ち向かう学問分野であるという点で共通しています。

保険数理と金融工学の相違点

保険数理も金融工学も、数学によるランダム性への挑戦という意味で同じですが、その基本思想は大きく異なっています。

保険数理は、人や企業が負担するリスクをどう測定・評価し、それをいかに制御するかという問題に比重を置いてきました。一方、金融工学は、不確実性の源である証券の価格変動は、市場取引を通じてヘッジ(回避)可能なもの考えています。

つまり、保険数理と金融工学には、リスクに対する姿勢が大きく異なっているということです。

もう少し具体的な相違点を挙げてみましょう。

保険数理におけるリスクは「大数の法則」により、その傾向を描写することが可能とされることが多いですが、金融工学におけるリスクはこの考え方が適用できない場合が多くあります。

金融工学におけるリスクの多くは「市場性」があり、市場を通じた資産の売買によりリスクをヘッジすることが可能とされますが、保険数理で考えるリスクには市場性がないのが通常です。
(証券投資は似た値動きの株を保有して変動を回避できますが、事故のリスクは誰かに肩代わりしてもらうわけにはいきません。)

このように、保険数理と金融工学には、リスクの考え方をめぐり相違点があります。

しかしながら、昨今は保険商品が流動化されることにより、保険に市場性が生まれつつあり、保険にかかわるリスクのヘッジ可能性が高まりつつある一方で、市場取引でヘッジ不能なリスクをどう価格に反映するかというプライシング理論を取り入れた金融工学発達により、両者はかなり近接してきています。

経済学による統一理論の試み

保険数理と金融工学は、徐々にその垣根が消えつつあります。

両者は、「不確実性の経済学」というより一般的な枠組みの中で、統一的に議論できるようになっています。

たとえば、保険数理における保険料計算原理は、経済学における期待効用最大化問題の解に対応していますが、全く同じ考え方によって、金融工学のリスクを反映した証券の価格が決定されます。

論文ではエッシャー原理に基づく保険料計算について述べられていますが、これは指数型の効用関数による効用最大化問題を解いていることと同じであり、保険数理で用いられてきた手法が経済学的意味を持っていることを明らかにするものです。

同時に、指数型効用の最大化問題を金融工学に適用すると、正規分布に従う資産価格を原資産とするオプションが、かの有名なブラック・ショールズ式で評価できることが知られています。

このように、経済学という枠組みの中で保険数理と金融工学を扱うことで、両者は極めて類似した概念を用いていることがよくわかります。

経済学の枠組みでは、将来キャッシュフローを「適切な割引因子」とともに計算することで、今の価値を評価できるという公式が知られています。

その式は「中心資産価格付公式」とか「資産価格の基本等式」と呼ばれており、以下のような極めてシンプルな形をしています。

\begin{equation} \begin{split}
1=E\left[ mR\right]
\end{split} \end{equation}

この式は、資産収益率\( R\)は、「適切な割引因子」\( m\)を乗じて期待値を取ることで、1に等しくなることを主張しており、この公式から多くの結論が導き出されます。

「適切な割引因子」は確率的割引ファクターやプライシング・カーネルと呼ばれ、経済学では特別な意味を持ちます。

エッシャー変換もリスク中立確率も、この公式から出発しています。

【参考記事】
>>リスク中立確率、状態証券価格、確率的割引ファクターの関係

最新の研究にも触れておきましょう。

従来、主に損害保険分野で考察されてきたであろう、災害が発生した際にキャッシュフローが生まれる金融商品(保険であり、デリバティブ)について、経済学の均衡アプローチから論じた論文がこちらです。

>>変換ベータ分布を用いた地震デリバティブの評価理論(PDFリンク)

地震の指数は取引不能・ヘッジ不能であることは明らかですが、経済学の立場からは値付けが可能であることが示されています。

まとめ

>>金融と保険の融合について(PDFリンク)
を参考にしながら、保険数理と金融工学の共通点・相違点について概観してみました。

両者はリスクを数理的に扱う学問分野として共通していますが、リスクに対する態度は大きく異なっています。

しかし、両者はより広い経済学の枠組みの中で統一されつつあります。

今後両者が連携し、社会科学の分野が更に発展していけばよいと願います。

参考文献

経済学の枠組みの中で、確率的割引ファクターやプライシング・カーネルの考え方が解説されている本では、下記がおすすめです。

ファイナンスと保険数理を両睨みで学べるテキストには、以下のようなものがあります。

会計数値のマルコフ性について

こんにちは、毛糸です。

先日こういったつぶやきをしました。

最近、会計を数学の世界の言葉で置き換えられないか?ということをよく考えます。

複式簿記の代数的構造について考えだしたのも、こうした問題意識の一環です。

【参考記事】
>>【君の知らない複式簿記3】複式簿記の代数的構造「群」

先述のつぶやきは、同僚と議論しているときに考え付いたものです。

本記事では会計数値のマルコフ性について考えてみたいと思います。

マルコフ性(マルコフ過程)とは

マルコフ性とは確率過程論の用語で、

前期「まで」の情報を所与とした場合の予測が、前期「のみ」の情報を所与とした場合の予測と同じ

という性質のことです。

マルコフ性の例をあげましょう。

コイン投げをして表なら1円もらえ、裏なら1円持ってかれるゲームをします。

n回目のコイン投げのあとに持ち金が\( C_n\)円だったとき、n+1回目のコイン投げのあとの持ち金の期待値はいくらになるでしょうか?

n+1回目のコイン投げで表が出れば1円もらえ、裏が出れば1円持っていかれてしまうので、その期待値は

\begin{equation} \begin{split}
1\times\frac{1}{2}+(-1)\times\frac{1}{2}=0
\end{split} \end{equation}

になりますから、n+1回目のコイン投げのあとの持ち金の金額は\( C_n\)円になります。

この「予測」にはn-1回目以前のコイン投げの情報は必要なく、n回目時点の持ち金の情報のみで決まります。

これがマルコフ性という性質です。

マルコフでない例も考えてみましょう。

このコイン投げに「前前回の獲得金額がおまけされる」というようなケースが、マルコフ性をもたない例です。

このときn回目のゲームのあと\( C_n\)円持っているとわかっても、n+1回目のコイン投げの獲得金額はn-1回目の結果に左右されるので、n回目時点の持ち金\( C_n\)という情報だけでは、将来を予測できません。

これがマルコフでない例です。

会計数値はマルコフ性をもつか

会計数値はマルコフ性を持つでしょうか?

たとえば、企業が保有する売買目的の有価証券は、マルコフ性を持ちそうです。

売買目的有価証券は貸借対照表において時価評価されますが、売買目的有価証券の時価を予測するのは通常困難で、過去の情報を使ってリターンを予測するのは難しいからです(これを効率的市場仮説といいます)。

【参考記事】
>>「日本株に投資すると長期的には損」は本当か?

償却性の固定資産はどうでしょうか。

償却性固定資産は減価償却に関する諸条件が変わらなければ、当初の条件どおりに費用認識をするだけなので、将来にわたる減価償却費とその累計額、およびそれを控除した固定資産額が購入時点でわかることになります。

もちろんこれは「前期のみの情報で予測できる」というマルコフ性の定義を満たしますので、この場合の固定資産額はマルコフ性を持つでしょう。

しかし、減損があれば話は別です。

減損会計には「利益が2期間赤字」というようなトリガーが定められています。

したがって、ある時点の固定資産額が減損するか否かは、前期・前々期の情報を必要とするため、マルコフ性を持ちません。

減損会計のように複数時点にまたがるトリガーを会計数値の測定に反映させる処理があると、会計数値のマルコフ性は失われます。

あらゆる会計数値について、その金額の計算方法から、マルコフ性を持つか否かを考えることが可能ですが、一般には会計数値はマルコフ性を持たないと考えて差し支えないでしょう。

ちなみに、マルコフ性を持たない確率過程の議論はとても難しいと考えられており、現実どおり「会計数値は非マルコフ」と考えて分析すると有用な結論が得られなくなることがほとんどでしょうから、学術的には会計数値もマルコフ性を持つと仮定して話を進める場合が多いのではないかと思います。

まとめ

会計数値を確率過程として考えたとき、それがマルコフ性を持つかどうかを考えてみました。
一般には、会計数値はマルコフ性を持たないでしょう。
しかし、非マルコフな確率過程は扱いが難しいので、マルコフ性を仮定している場合も多いのではないかと思います。