会計情報で株価は予測できるのか

こんにちは、毛糸です。

会計は、企業がどのような経済活動を行っているのかを、企業外部の株主や債権者に報告するルールであり、言語でもあります。

会計が果たす役割にはいろいろあり、「自分が託したお金がどのように運用されているか」を知らせるためだったり、その企業の「価値」がどれくらいなのかを投資家が推測するためだったりします。

後者のような会計の役割を「意思決定有用性説」と呼びます。

投資の意思決定に有用であるために会計はあるのだ、ということですね。

この目的が果たされているなら、会計情報を使うことで、投資の成果の予測が出来るのではないかと考えられ、実際に多くの投資家は会計情報(利益やキャッシュフローや財務健全性など)から、投資の成果が得られそうな会社を選定しています。

一方で、ファイナンス(金融工学)の立場は、会計の果たす役割についてやや否定的です。

ファイナンスにおける「効率的市場仮説」によれば、投資家はすでに公開されている情報を用いるだけでは、超過収益は得ることが出来ないとされます。

市場に公開された情報は瞬く間に投資家の知るところとなり、その内容がポジティブならば、瞬時に株価に織り込まれ、蓋然性の高い収益機会はなくなってしまうと考えられているからです。

会計情報により株価リターンは予測できるのか、もしくは超過収益が得られるのか、という研究は、実務家・研究者を問わず多くの市場参加者が行っています。

個人的には効率的市場仮説とそこから演繹される理論体系が好きなので、これを信じていますが、実証研究では会計情報に関する多くの収益機会(会計アノマリー)の存在が指摘されています。

先入観を持たず、これらの研究を追っていきたいと思います。

30歳になって思い知る、高校数学の大切さ

こんにちは、毛糸です。

数学は科学を語る「言葉」として広く受け入れられており、物理学やAIなどのテクノロジーも数学によって記述され、その確かさが証明されます。

社会科学も昨今、数学による分析が多く取り入れられ、経済学や会計学においても数学が用いられています。

最近読んでいる会計学のテキスト『Equity Valuation』にも、数学が用いられており、論理性と検証可能性を要する議論には、数学はなくてはならないものとなっています。

【参考記事】
会計を数学的・経済学的に表現する方法を考える

 
 

AIなどのテクノロジーを理解するために数学が必要なこともあってか、社会人になってから数学を学び直す人は増えているようです。

私が参加している勉強会でも、数学を扱うセミナーは大変好評です。

【参考記事】
【数学ガール】社会人の数学再入門に

 
数学は物事を抽象化し、その構造を浮かび上がらせ、論理の力で結論を導きます。
 
こういった考え方は、数式の展開や計算にとどまらず、日常生活で多くの気づきを与えてくれます。
 
【参考記事】
 
 
私は今年30歳になりましたが、未だに研究意欲を持ち続けており、ビジネスのなかで問題意識を見つけては、これを数学的に解決しようと日夜励んでいます。
 
ときには高校数学で学んだことを復習する必要にかられたりもして、あの頃の勉強はたしかに役に立っているなぁと感慨深くなることもあります。
 
是非、日常に数学のある生活を送る人が増えてほしいと思います。
 
【参考記事】
 
 

種類株式の評価事例| 日本公認会計士協会(経営研究調査会)経営研究調査会研究報告第53号

こんにちは、毛糸です。

「種類株式」は、スタートアップや大企業の資金調達に用いられる、柔軟に設計された株式です。

種類株式は普通株式とは異なり、配当や残余財産請求権を制限したり強化したり、議決権や取得条項などを付けられるなど、各会社の都合に合わせてカスタマイズできます。

当然、種類株式に関する約束が普通株式と異なれば、価格も異なるものになります。

種類株式はその発行時に、その価値に見合う金銭を出資してもらう必要がありますので、当然種類株式の「評価」の問題が浮上します。

 日本公認会計士協会(経営研究調査会)は2013年、経営研究調査会研究報告第53号「種類株式の評価事例」を公表しました(リンク)。

「種類株式の評価事例」では日本の制度上許される種類株式の多くの条件について整理し、実際にそれらをどう評価に織り込めばよいのかを、例題を用いて説明しています。

種類株式の発行時には、どういう目的で、どういう設計にし、それをどう評価すべきかという問題を常にセットで考えねばなりません。

「種類株式の評価事例」には、その問題に対応するための指針が提供されています。

企業価値と株主価値・PBRの関係

こんにちは、毛糸です。

先日こんなツイートを見つけました。

この図の出典は『ROEを超える企業価値創造』(柳 et al. 2019)だそうです。

この図や、あとに述べる同じ著者のレポートでは、企業価値という言葉を誤用しているのではないかと思われたので、ここで指摘したいと思います。

企業価値と株主価値と純資産

企業価値とは株主価値と負債価値の和として定義されます。

株主価値の評価理論について論じた『Equity Valuation』にも

we may determine the value of the firm both as the sum of debt and equity value, i.e.,

\begin{equation} \begin{split}
V_\tau=S_\tau+D_\tau
\end{split} \end{equation}

と述べられており、私もこの定義がフォーマルな定義であると考えています。なお、\( \tau\)はある時点を表す添字、\( V\)が企業価値、\( S\)が株主価値、\( D\)が負債価値です。

この定義の上で、株主と債権者に帰属するフリーキャッシュフローの割引現在価値もまた、企業価値\( V_\tau\)に一致することが示せます(これは定義ではなく定理です)。

株主価値\( S_\tau\)は市場から評価される金額であり、平たく言うと株式時価総額です。

会計ルールによって作成される貸借対照表で、株主価値に対応するのは、純資産(Book value, \( B_\tau\))です。

会計ルールは、株主価値\( S_\tau\)と純資産\( B_\tau\)が一致するようには出来ていないので、当然両者には差があり、両者の比が1になるとは限りません。

株主価値\( S_\tau\)と純資産\( B_\tau\)の比\( \frac{ S_\tau}{ B_\tau}\)はPBR(Price-Book Ratio)といいます。

ROEとPBRの関係

冒頭のツイートの図と似たような図が、同じく柳氏らのレポート『エクイティ・スプレッドと価値創造に係る一考察』(PDF)にも載っています。

同レポートの中では

ROE8%未満ではPBR1倍以下で価値評価が低迷するケースが多く、ROEが8%を超えるとPBRは1倍以上に向上して価値創造が高まる傾向があることが観察できる(図表1)。

と記載されており、また冒頭のツイートの画像(『ROEを超える企業価値創造』のものとされる)の題名は「優れたIRは企業価値向上に貢献する可能性」となっています。

いずれの図でも「ROEが高い企業はPBRが高い傾向にある」という傾向が読み取れますが、同時にこれを「価値創造が高まる」と表現しています。

この解釈は妥当なのでしょうか。

PBRと企業価値の関係

PBRは株主価値\( S\)と純資産簿価\( B\)の比\( \frac{ S}{ B}\)であり、企業価値\( V\)は株主価値\( S\)と負債価値\( D\)の和(\( V=S+D\))です。
これをちょっと変形してみると

\begin{equation} \begin{split}
V=S+D=PBR*B+D
\end{split} \end{equation}
です。

この式から、純資産簿価\( B\)と負債価値\( D\)が同一ならば(変化しなければ)PBRが大きい会社ほど企業価値\( V\)が大きいといえます。
しかしこの前提が成り立たなければ、「高いPBR」は「高い企業価値」を意味しません。

トヨタ自動車は企業価値が大きい会社であるという主張は多くの方に賛同してもらえるかと思いますが、トヨタのPBRは1を下回るかどうか程度ですので、高いPBRとはいえません。

統計的にROEがPBRを高めるという主張は成り立っても、それが企業価値を高めているかどうかは明らかでないのです。

「高いPBR」と「高い企業価値」は同じ概念ではないので、それらを混同すると、誤った結論を導くことになります。

『会計情報と資本市場』のレビュー

こんにちは、毛糸です。

本記事では『会計情報と資本市場』の6つの主要な結論をまとめます。

本記事の内容は2019年の日本経済会計学会における『会計情報と資本市場』著者浅野先生の講演内容を参考にしています。

経営者の裁量と企業価値

経営者は、会計基準の枠内、もしくは自身の業務執行の範囲内で、一定の裁量(操作可能性)を有しています。


会計処理における裁量余地は、情報提供や効率的契約を通じて利益の質と企業価値を向上させる一方、経営者は機会主義に陥り企業価値を低下させるおそれがあります。

経営者が企業に有利なように会計情報や投資活動を「操作」することで、企業価値を高められる可能性がある一方で、好きかってやってしまう可能性も生じるということです。

減損損失の認識は、機会主義的処理として、企業価値評価のノイズになっている可能性があり、それを防ぐためにのれん償却が正当化されるといいます。

原則主義と細則主義

会計基準に原則のみを定め、詳細は個々の企業の状況によって判断するという考え方を、原則主義といいます。

他方、会計基準に個別具体的な会計処理を細かに規定しておくやり方は、細則主義といいます。

会計基準における原則主義と細則主義の二者択一ではなく、両者を会計基準の精神に照らしながら両立させていくことが現実的です。

マネジメント・アプローチの欠点

マネジメント・アプローチは時系列比較の欠如や所在地別セグメントの非開示など負の側面があり、有用性低下や租税回避につながっているとされます。

エージェンシーコスト削減のため、これら問題に対処する必要があります。

業績予想の柔軟化と規制

経営者は企業の内部の情報を誰よりも知る者であり、経営者による業績予想は、投資家の将来予測に大きな影響を及ぼします。

業績予想は証券取引所のルールに乗っ取り適時に行われるものですが、これをより柔軟にしようという動きがあります。

しかし、業績予想の開示柔軟化により、返ってその有用性が低下するおそれがあります。

業績予想それ自体は、投資意思決定に極めて有用なので、有用性を害しないようなガイドラインが必要です。

東日本大震災後の業績予想

東日本大震災の直後、企業にたいする業績予想の開示が時限的に緩和されました。

これにより、業績予想を非開示とする会社が多数発生しました。

この行動を分析したところ、業績予想は不確実性を低下させ、投資環境を改善する効果を持つことがわかりました。

経営者の私的選択と裁量余地

経営者の私的選択が外部から検証可能であれば機会主義を減らせますが、判別は困難です。

したがって、細則により裁量余地を減らすことが効果的です。

GPIFがアイスクリーム会社の株に集中投資しないわけ

こんにちは、毛糸です。

先日こんなつぶやきをしました。

これはネタツイートであり、本気で「儲かる会社の株を買え!」と言っているわけではありません(#ksprとはクソリプのことです)。

RT元のGPIFのツイートでは、変動パターンの異なる2つの会社(アイスクリーム会社とおでん会社)の株を組み合わせて保有すると、投資のブレ幅が小さくなることをイメージ図で表しています。

これは投資の「分散効果」として知られており、異なるランダムな動きをまとめることで、変動性が小さくなることは数学的に証明されています。
しかしGPIFのイメージ図(下図)を見ても分かる通り、分散投資を行うことで、好成績を上げたアイスクリーム会社にのみ投資をしていた場合よりも、低いリターンになってしまします。
したがって「最初からアイスクリーム会社を買っておけば高いリターンが得られただろう!」という考えを初心者は抱きがちです。
ですが、「アイスクリーム会社が好成績だった」というのはあとになって振り返ってみて初めてわかることであって、最初からアイスクリーム会社の株価リターンが好調であるとは限らないのです。
たまたまその年が冷夏であれば、予想よりもおでん会社の株価リターンが高まるでしょうし、猛暑が予想されていても台風の影響で涼しい日が続くようなことがあるかもしれません。
個別の会社の業績や株価リターンの良し悪しを見通すことは専門家にも難しく、学術研究においても「予測」の困難性が指摘されています。
こういった予測困難性(≒リターンのランダム性)を前提にすると、分散投資により多くの銘柄に投資するのが最善であるという結論が得られます(「最善」の意味については金融経済学(Wikipedia)を参考に)。
GPIFは運用する資金を多くの資産クラス・銘柄に振り分け、分散投資を実践しています。

【参考記事】
年金のリスクとリターンを統計プログラミング言語Rで計算してみた

もちろん「アイスクリーム会社を事前に発見することはできる!」と考える人も多くいて、銘柄選別により市場の「平均」よりも高いリターンを目指す「アクティブファンド」というのもあります。
いずれにせよ、事後的な情報をベースに「この株を買っておくべきだった!」などと指摘するのは完全なクソリプですので、注意しましょう。
分散投資の意義や個別株の選別の難しさについては、下記の書籍に説明があります。

分散投資の一つの実践手法であるインデックス投資については、下記の書籍がバイブル的な本であり、たいへん示唆に富む良書です。

連続時間モデルにおけるクリーン・サープラス関係(Clean surplus relation, CSR)

こんにちは、毛糸です。

先日、以下の記事で、会計数値(純資産や営業資産)の変動を規定する関係式について述べました。

【参考記事】
会計数値の時系列構造を決める関係式|クリーン・サープラス関係、金融資産関係、営業資産関係

上記記事に示したクリーン・サープラス関係(Clean Surplus Relation, CSR)とは、企業の純資産の変動を示す以下の関係式のことです。
\begin{equation} \begin{split}
bv_t=bv_{t-1}+ni_t-d_t
\end{split} \end{equation}

ここで\( bv_t\)は時点\( t\)における純資産の金額、\( ni_t\)は純利益、\( d_t\)は配当を示しています。クリーン・サープラス関係は、純資産\( bv_t\)を離散的な時間単位で観測した、差分方程式を表しているといえます。

ということは、これを連続時間で考える、つまり純資産の微分方程式を考えるのは、極めて自然な流れではないでしょうか。

素朴に考えると、1期間で成り立つクリーン・サープラス関係を、時間区間\( \Delta t\)でも成り立つと考え

\begin{equation} \begin{split}
bv(t+\Delta t)-bv(t)=ni(t)\Delta t-d(t)\Delta t
\end{split} \end{equation}

と表し、時間区間\( \Delta t\)を\( 0\)に近づけた極限を考えると
\begin{equation} \begin{split}
dbv(t)=ni(t)dt-d(t)dt
\end{split} \end{equation}
のように表せてもよさそうなものです。

これは純資産\(bv \)の微分方程式になっています。

当然ながらこれを積分すると

\begin{equation} \begin{split}
bv(t)=bv(0)+\int_0^t ni(s)ds-\int_0^t d(s)ds
\end{split} \end{equation}
となり、
「ある時点の純資産は、当初純資産に、利益の累積額を足して、配当として流出した分を控除した額として決まる」
という当たり前の結果が成り立ちます。

会計では通常、会計数値は連続的には観測されず、四半期ごととか1年ごとといった離散時間でのみ観測されます。

しかしながら、理論上は瞬間瞬間に決算をし会計数値を確定させるような手続きを踏めば、もしくはその時点で決算を行えば観測されたであろう「仮想の」会計数値を考えれば、連続時間でクリーン・サープラス関係が成り立つと考えても問題はなさそうです。

むしろクリーン・サープラス関係を微分方程式として表すことができれば、解析学のツールを活用することが出来、分析の幅が広がることも期待されます。

会計学の論文では実際に、この連続時間版クリーン・サープラス関係を扱っているものがいくつかあります。

時間をとってこれらの論文を読み込んでみたいと思います。

RESIDUAL INCOME, REVERSIBILITY AND THE VALUATION OF EQUITY(PDF)
Mark Tippett and Fatih Yilmaz
LINEAR INFORMATION DYNAMICS, AGGREGATION, DIVIDENDS AND “DIRTY SURPLUS” ACCOUNTING(PDF)
David Ashton, Terry Cooke, Mark Tippett and Pengguo Wang
A valuation model for firms with stochastic earnings(PDF
Steven Li

「安全資産」という言葉の誤用について

こんにちは、毛糸です。

先日こんなツイートをしました。

本記事では「安全資産」という言葉の正しい意味を説明し、誤用例のどこが誤っているのかを解説します。

安全資産の定義

安全資産(risk free asset)は経済学やファイナンスの専門用語です。

安全資産とは、投資時点において収益(額・率)が確定している資産です。

株式などのリスクある資産は、投資時点において(資産の購入時点において)、将来いくら返ってくるかが明らかではありません。

100万円で買った株が120万円になることもあれば、80万円になってしまうこともあり、収益が確定していません。

収益が確定していない、つまり不確実であることを、「リスクがある」「リスキーだ」といいます。

安全資産とは、収益の不確実性がない資産のことであり、無リスク資産ともいいます。

金や円は安全資産?いいえ、誤用です

安全資産とはあらかじめリターンがわかっている資産ですから、以下のようなものは安全資産ではありません。

  1. 相場全体が下落しているときにこそ値上がりする資産
  2. 下落相場で買われやすい退避先資産
  3. 投資収益率のボラティリティが低い資産

相場全体が下落しているときにこそ値上がりする資産

株式相場全体がマイナスムードの時にも株価が下がりづらかったり、むしろ値上がりするような資産を、安全資産と称する場合がありますが、誤用です。

相場全体の動きと、個別の資産の動きの連動性は、ベータと呼ばれます。

相場全体が下がっても、価格が上がるような資産は、負のベータを持つ資産といえますが、この場合も投資時点でリターンが確定しているわけではないので、安全資産ではありません。

下落相場で買われやすい退避先資産

金(ゴールド)や円を安全資産と称する場合がありますが、誤用です。

一般用語としてなんとなく「安全」であるというニュアンスは伝わりますが、当然ながらこれらは投資時点でリターンが決まっていないので、安全資産ではありません。

投資収益率のボラティリティが低い資産

収益の変動性、つまり期待収益から上下にどれだけ変動しうるかの尺度を、ボラティリティといいます。

ボラティリティが高いということは、それだけ収益の振れ幅が大きい資産ということであり、ハイリスクです。

収益のボラティリティが小さい資産はローリスクであり、これを安全資産と称する場合がありますが、誤用です。

例えば、インフラ系企業(電気やガス)の株は従来、景気変動の影響を受けづらい銘柄をディフェンシブ銘柄として認知されていました。

しかし、某電力会社がああいうことになったこともわかるように、ボラティリティが低くとも、価格変動のリスクから完全に切り離されているわけではないので、安全資産ではありません。

安全資産は実際に存在するのか

デフォルト(貸倒れ)のない債券が唯一、安全資産です。

貸出時にリターンが決まっており、必ず返済されるので、これは定義通り、安全資産になります。

ただし、物価変動を考慮すると結論は変わります。

物価変動を考慮した場合の安全資産は、国家などのデフォルト懸念のない主体が発行する物価連動債です。

名目上の利回りが投資時点で既知の名目債は、物価変動により実質価値が上下するので、安全資産ではありません。

現在、一般市民が投資可能な物価連動国債は発行されていないですし、国家であってもデフォルト懸念がないとは言えないので、真の意味での安全資産はありません。

YouTubeで量子力学が勉強できる時代

こんにちは、毛糸です。

数学をライフワークとしている私ですが、この世界のルール・理(ことわり)を数理的に解き明かす物理学にも当然興味を持っています。

物理学には物理学特有の数式表現が数多く存在しています。

ブラケット記法とか、アインシュタインの縮約記法とか、物理を論じる上で都合のいい数式の記述方法には色々あります。

私は物理学をきちんと勉強したことがなかったので、それらに出くわすときはしばらく時間をとって調べる必要があります。

今日も調べ物をしていましたら、偶然こんな動画を見つけました。

予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」というチャンネルでは、大学レベルの数学と物理学を、「予備校のノリで学ぶ」ことができます。

講師のたくみ先生の講義は大変わかりやすく、教育系YouTuberとして有名なようです。

これまでは、なにか勉強をしたいと思ったら、その分野の教科書を読み、学校に通い、もしくは近くの詳しい人に聞いたり、ネットの文字情報を読み込む必要がありました。

しかし、インターネット環境が整う中で、このような動画による教材が多く提供されつつあり、学びの幅は更に広がっています。

また、SNSの発展により、同じ興味を持つ人と、物理的な距離を問わずつながることができるようになりましたし、オンラインの人間関係を発展させ気軽にリアルな勉強会を開くこともできるようになっています。

そう、現代は学びを楽しむ人にとっては、とても幸福な時代なのです。

私も自分の興味を共有したくて、勉強会を開いたりしていますが、普段の仕事だけでは得られないつながりを持つことができ、とても楽しいです。

【参考記事】
勉強会「意識高い……」「レベル高そう……」いやいや、誤解してませんか?

 

学ぶことを苦痛と思わず、知ることを純粋に楽しめるようになったら、現代社会の充実感を噛みしめることができるでしょう。

今回紹介した動画は量子力学(量子論)の解説ですが、量子論を考えるには「波」に関する理解が必須です。

波(波動)は高校物理でも扱いますので、高校レベルの参考書を読んでみることから始めるのが良いでしょう。

私も以下の本が高評価だったので、この夏の宿題として、読んでみようと思っています。



会計数値の時系列構造を決める関係式|クリーン・サープラス関係、金融資産関係、営業資産関係

こんにちは、毛糸です。

こんな本を読んでいます。

この本は、企業が発行する株式を評価する手法を、会計学と経済学の立場から論じる研究書です。

この中に、会計学における重要な方程式が取り上げられていたので、メモしておきます。

クリーン・サープラス関係(Clean Surplus Relation, CSR)

クリーン・サープラス関係(Clean Surplus Relation, CSR)とは、企業の純資産の変動を示す以下の関係式のことです。

\begin{equation} \begin{split}
bv_t=bv_{t-1}+ni_t-d_t
\end{split} \end{equation}

ここで\( bv_t\)は時点\( t\)における純資産の金額、\( ni_t\)は純利益、\( d_t\)は配当を示しています。

つまり、ある時点の純資産額は、一期前の純資産額に、その期の利益を加え、株主に支払った額を差し引いた金額として定まる、ということです。

純資産額\( bv_t\)は、金融(純)資産\( fa_t\)と営業(純)資産\( oa_t\)に分けられると仮定します。

\begin{equation} \begin{split}
bv_t=fa_t+oa_t
\end{split} \end{equation}

純利益\( ni_t\)は、金融(純)利益\( fi_t\)と営業(純)利益\( oi_t\)に分けられると仮定します。

\begin{equation} \begin{split}
ni_t=fi_t+oi_t
\end{split} \end{equation}

金融資産関係(Financial Asset Relation, FAR)

金融資産関係(Financial Asset Relation, FAR)とは、金融(純)資産の変動を示す以下の関係式のことです。

\begin{equation} \begin{split}
fa_t=fa_{t-1}+fi_t+fcf_t-d_t
\end{split} \end{equation}

ここで\( fcf_t\)は時点\( t\)におけるフリーキャッシュフローです。

金融資産関係が成り立つためには、株主への配当は金融(純)資産を通じて行われるという前提を置く必要があります。

この前提のもとで、ある時点の金融(純)資産額は、一期前の金融(純)資産額に、その期の金融(純)利益とフリーキャッシュフローを加え、株主に支払った額を差し引いた金額として定まります。

営業資産関係(Operating Asset Relation, OAR)

営業資産関係(Operating Asset Relation, OAR)とは、営業(純)資産の変動を示す以下の関係式のことです。

\begin{equation} \begin{split}
oa_t=oa_{t-1}+oi_t-fcf_t
\end{split} \end{equation}

営業資産関係(OAR)は、クリーン・サープラス関係(CSR)と金融資産関係(FAR)が成り立つときには当然成り立ちます。

ある時点の営業(純)資産額は、一期前の営業(純)資産額に、その期の営業(純)利益を加え、フリーキャッシュフローを差し引いた金額として定まります。

会計ベースの資産価格理論

CAR、FAR、OARは、ファイナンスの基本原則「無裁定の原則」と組み合わせると、会計数値をベースとした資産価格理論につながっていきます。
ファイナンスでは、ある資産が生み出す配当や利息の割引現在価値が、その資産の価格に等しいという関係式を考察しますが、これは基本的にはキャッシュフローの世界の考え方です。
しかし、上記のような会計関係(Accounting Relation(s))を組み合わせることで、キャッシュフローの世界から、会計数値の世界へと、資産価格の理論を発展させることができます。
もし興味があれば、財務諸表分析などを扱うテキストに説明があるので、読んでみると良いでしょう。